仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

新網走番外地 さいはての流れ者

2017年08月08日 | 映画サークル
ましけ映画サークル7月例会は、忠〇企画の『新網走番外地 さいはての流れ者』(1969年/佐伯清監督)を見た。
物語は、「かつて網走監獄に収監されたこともある血の気の多い男・末広勝治(高倉健)は、足が悪い息子・正一(下沢広之/真田広之)の治療費を稼ぐため、愛馬タローが曳くソリでオホーツク海に面する小さな漁港・りびべつにやって来た。無一文だったものの、食堂の女将・石渡ふみ代(星由里子)の計らいで温かい食事にありつけた勝治と正一。しかしその場で、田丸重三(須賀不二男)が経営する地元の水産会社・田丸組の若い衆と、いんちき博打で船を抵当に取られてしまった日野組の船長・白鳥幸市(今井健二)、朝井常吉(水島道太郎)らの争いに巻き込まれてしまう。ふみ代の助言で、馬ソリ競争での決着をはかることになった勝治と田丸組の若島勇吉(山本麟一)。レース当日、常吉は白鳥の船を取り戻すため、自分の船をタローの勝利に賭けるのだったが・・・」という内容。
レース前、勝治と同時期に収監されていたらしい小松五郎(南利明)という男が近づいてきて、2人はいろいろと話をするのだが、その会話から勝治や正一の詳細が明らかになっていく。
序盤のエピソードからも随分と意地っ張りな性格であることが見て取れた勝治だが、正一にとってはとても頼りになる父親のようだった。
馬ソリのレース会場といってもただのだだっ広い雪原で、レース自体も決着がつくまでどれだけの距離を走るものなのかもよく分からないものだったが、極悪非道な存在であることがすでに明らかになっている若島の酷い妨害がゴールまで繰り返される。
(^_^;)
さて、作中ではオホーツク海沿岸の小さな漁村"りびべつ"とされているのだが、そのロケ地は日本海側の増毛町と留萌市だったようだ。
高台から見渡す港の様子は増毛港だし、まだ貨物ヤードが存在する頃の増毛駅がりびべつ駅として登場していた。
忠魂碑の大きな鳥居、そしてその向こうにある増毛小学校も幾らか映り込んでいたようだ。
恩人でもある田丸社長の命令で酷いことを続ける若島だが、根は悪い人間ではないようで、脇役ながらも、なかなか存在感がある役どころ。
これは期待以上に面白い物語だった。
(^_^)

エレキの若大将

2012年04月15日 | ムービー
『エレキの若大将』(1965年/岩内克己監督)を見た。
物語は、「京南大学アメフト部の次期キャプテンに選出された若大将こと田沼雄一(加山雄三)は、父・久太郎(有島一郎)が経営しているすき焼き屋"田能久"で宴会をしたのだが、2次会に向かう途中、飲酒運転で交通事故を起こした青大将・石山新次郎(田中邦衛)の身代わりになって罪を背負うことになる。幸い事故の相手・星山澄子(星由里子)は軽症で済んだものの、入院費用やクルマの修理代を支払うはずだった青大将をあてに出来なくなり、賞金10万円を目当てに"勝ち抜きバンド合戦"に出場することを決める。アメフト部のメンバーにそば屋の出前持ち隆(寺内タケシ)を加え、"ヤングビーツ"というバンド名で出場するのだが・・・」という内容。
大学の若大将』(1961年)、『銀座の若大将』(1962年)、『日本一の若大将』(1962年)、『ハワイの若大将』(1963年)、『海の若大将』(1965年)に続く若大将シリーズ第6弾のこの映画がこれまでと違うのは、父・久太郎が経営するすき焼き屋"田能久"が破産してしまうこと。
過去の作品では、100万円を無断で使ったり客に馬肉を出したりと無茶苦茶いい加減なことをしても揺るがなかった老舗が、東京オリンピック開催後の"証券不況"の時代になって遂にどうしようもなくなってしまったのだが、このあたりの展開がその頃の時代を表しているのかもしれない。
また、加山雄三も落ち着きが出てきて、大学生役には少々無理っぽいとの認識があったからなのか、学生の設定はそのままではあったもののあまりそれを意識させないようにするためか、キャンパスでの場面が妙に少なかった。
そして劇中、加山雄三のヒット曲『君といつまでも』が「君のために作ったんだ」として登場するのだが、初めて聞いたはずの澄ちゃんが若大将とデュエットしてしまう。
この辺りが何ともいい加減で面白かった。
(^。^)

海の若大将

2012年04月14日 | ムービー
『海の若大将』(1965年/古澤憲吾監督)を見た。
物語は、「京南大学水泳部の若大将こと田沼雄一(加山雄三)は、講義中にウクレレを弾いたりカンニングをしたりと馬鹿なことばかりする青大将・石山新次郎(田中邦衛)の巻き添えで停学処分になってしまう。そのうえ、商科ではなく水産科に学籍があることが父・久太郎(有島一郎)にバレて勘当もされてしまった。いっそのこと退学して海の男になろうと決意した雄一は、航海士の資格を活かして調査船の求人に応募するが、なんとそれは青大将のヨットなのだった。ヨットには、以前マネージャーの江口敏(江原達怡)と買出しに出かけたスーパーマーケットで知り合った芦屋澄子(星由里子)がひそかに乗り込んでいて・・・」という内容。
これは加山雄三主演による"若大将シリーズ"の第5作目。
前4作と同様、「マネージャーの江口が絡んでいることから青大将の無茶苦茶な頼みごとを断らず、負わなくても良い責任を負うことになってしまう若大将」という展開で、「それはないだろう」という状況になってきても、「若大将は頼まれたら断れないからな」の一言で片付いて、何事もなかったかのように展開されてしまう。
これはある意味、罠なのだが、本人はのほほんとしている。
また、流されたヨットが御蔵島という究極の孤島に流れ着くのだが、網元の孫娘・酒井昌江(沢井桂子)が勘違いしてしまうような言葉を、良く考えもせずに発してしまうのも、究極のおぼっちゃん体質がなせるわざだ。
(^。^)
ただ、すき焼き屋"田能久"の店構えや雄一の部屋なども前作までとはガラッと変わってたりもして、シリーズ化すると妙に細かい設定に縛られて広がりがなくなっていくという物語もあるが、この若大将シリーズはその辺りの設定がいい加減なので、長く続いても面白さを保てたのかもしれない。

日本一の若大将

2012年03月19日 | ムービー
若大将シリーズ第3作『日本一の若大将』(1962年/福田純監督)を見た。
物語は、「明治10年創業の老舗すき焼き屋"田能久"の長男・若大将こと田沼雄一(加山雄三)は、翌春に卒業を控えた京南大学4年生で、マラソン部のキャプテン。全日本大学マラソン大会を目指して猛練習の毎日だったが、マネージャー江口敏(江原達怡)が突然やめたいと言い出し、後任に青大将・石山新次郎(田中邦衛)を推薦した。渋々ながら了承した後、青大将が運転する自動車で銀座に向かう途中、男達に絡まれている中里澄子(星由里子)を助け・・・」という内容。
このシリーズは全編を通じてほぼ同一の設定になってはいるものの、幾分パラレルワールドというべき世界にもなっているようで、各作品に登場する"澄ちゃん"は若大将や青大将と毎回初めて出会う。
(^_^)
そして、この"澄ちゃん"。
前作『銀座の若大将』(1962年/杉江敏男監督)に登場した"澄ちゃん"が余りにも酷すぎたからか、この話に登場した"澄ちゃん"は青大将にむごい仕打ちをすることもなく、まともな人だった。
脚本家が反省したのか、どこからかクレームがついたのか定かではないが、おそらく後者が理由だろう。
(^。^)
それにしても若大将はモテモテだ。
澄ちゃんよりも先に青大将のいとこ越智英子(田村奈巳)と出会ったので、その辺りのエピソードもあるかと思っていたのだが、時間がかかるからなのだろうか、マッタク触れずじまいで終わったのは少し残念に思えた。
ただ、この類いの映画は、100分を超えてしまうと途端に長く感じて飽きてしまうから、そこを超えないように考えると、エピソードの割愛は仕方が無いところか。
(^_^;)
世の中にモーターボートが登場する映画は数多くあるのだろうけど製造工場まで出てくる場面はそうは無い筈で、この映画では当時のモーターボート製造工場の様子が少し映されていた。
ボディーがほとんど木製だったのは時代を感じさせた。

銀座の若大将

2008年06月06日 | ムービー
若大将シリーズ第2作『銀座の若大将』(1962年/杉江敏男監督)を見た。
1962(昭和37)年といえば、仁左衛門が生まれた年である。
これは『大学の若大将』(1961年/杉江敏男監督/東宝)の翌年の作品だが、"寅さんシリーズ"とは違って内容的に連続性が無いのがこの"若大将シリーズ2の特徴なので、若大将と澄ちゃんは作品ごとに何度も出会いを果たす。
今回は"2度目の出会い"というわけだ。
(^_^)
物語は、「京南大学に通う田沼雄一(加山雄三)は、明治時代から続く老舗すき焼き屋"田能久"の若旦那。頼まれ事を断れない性格で、新聞部の団野京子(団令子)につきあって広告主探しに出かけたことをきっかけに、次々に面倒に巻き込まれてしまう」といった内容。
今作の"澄ちゃん"こと中里澄子(星由里子)は、婦人服を扱う店の従業員。
結構嫉妬深い性格に設定されていて、すぐにへそを曲げてしまうわりには青大将こと石山新次郎(田中邦衛)を巧く利用し、どこまでも若大将を追いかける。
ひどい女だ。
(^o^)
また、前作では水泳部マネージャー江口(江原達怡)が失敬してきた"浄化槽の蓋"で焼き肉をする無茶苦茶なシーンがあったが、今作でボクシング部のマネージャーになった江口は、レストランのゴミ箱に捨てられた食材を貰ってきて、なんとそれで鍋を作ってしまう。
鳥の足や野菜の芯はまだしも、さすがに「アブラムシが入ってるよ」というのはどうかと思ったが、まぁ"浄化槽の蓋で焼き肉"と大差はないか・・・。
(-_-)

レッツゴー!若大将

2007年09月08日 | ムービー
若大将シリーズ第9作『レッツゴー!若大将』(1967年/岩内克己監督)を見た。
今回の若大将こと田沼雄一(加山雄三)はサッカー部の主将で、大学日本選抜チームに選出されて海外遠征に行くのだが、遠征先の香港では例によって"澄ちゃん"こと仁科澄子(星由里子)と再会することになる。
(^_^)
物語の展開はこれまで見た若大将とほぼ同様。
すっかり先が読めてしまうのだが、ついつい見入ってしまうのが不思議だ。
青大将(田中邦衛)のいい加減さも面白いものの、祖母・田沼りき(飯田蝶子)がやはり面白い。
大学の若大将』(1961年/杉江敏男監督)や『ハワイの若大将』(1963年/福田純監督)では、孫可愛さに店の高級肉を若大将に渡してしまったり、代わりに馬肉を客に出したりしていたが、あれでよく店が明治時代から潰れずに残っていたものだ。
(^_^;)
『ハワイの若大将』ではムームーを着ているシーンが登場したが、この映画では若大将の香港土産のチャイナドレスを着ているシーンがあって、「やるな、婆さん!!」と思わせる。
庭でボールを蹴ってガラスを何枚も割るシーンもあるが、やはりやることが滅茶苦茶で面白い。
(^。^)

アルプスの若大将

2007年09月02日 | ムービー
『アルプスの若大将』(1966年/古沢憲吾監督)を見た。
主演の若大将こと田沼雄一役はもちろん加山雄三
これが若大将シリーズ第7作目なものの仁左衛門的にはこれが3番目に見た作品で、若大将本人と家族、青大将以外は、役名が一緒だとしてもマッタク別人の設定だということにようやく気がついた。
マドンナが毎回"澄ちゃん"という名前でも、それは別の"澄ちゃん"なのだ。
(^^ゞ
若大将も『大学の若大将』『ハワイの若大将』では水泳部だったりヨット部だったり映画ごとに違うわけだから、マドンナ役の名前が"澄ちゃん"じゃなくてもいいと思うのだが、それは監督のこだわりだったのだろうか。
(^_^;)
さて、この『アルプスの若大将』では、♪しあわせだなぁ~♪というセリフの曲も歌っていたし、若大将が歌うシーンがやたらに多かったのだが、さすがにスキー場のゲレンデでギターを持って歌っているのには「それはないだろ~」と突っ込みを入れたくなった。
(^。^)
また、青大将(田中邦衛)のC調さも見事なのだが、あれだけ"澄ちゃん"こと岸澄子(星由里子)に便利に使われちゃうと、何だか哀れにも見えてきてしまう。
すっかり"やられキャラ"に変わってしまった青大将だが、若大将の父・田沼久太郎(有島一郎)も随分とおちゃらけキャラに変わっていて、祖母・田沼りき(飯田蝶子)のいい加減さが霞んでしまったのがもったいない。
この作品は(当時の)"パンアメリカン航空"がスポンサー企業の一つに名を連ねていたようで、大相撲千秋楽の「ひょーしょーじょー!!」で記憶に残るトロフィー授与のシーンをわざわざ取り入れていたし、そのデビッド・ジョーンズ氏も澄ちゃんの上司役で登場していた。
公開当時はなかなかにタイムリーな演出だったのだろう。
(^_^)

ハワイの若大将

2007年08月31日 | ムービー
『ハワイの若大将』(1963年/福田純監督)を見た。
若大将シリーズ第4作目とのことだが、第1作目の『大学の若大将』(1961年/杉江敏男監督)と比べると、若大将(加山雄三)と青大将(田中邦衛)がすっかり友人っぽい設定になっていて、若大将は人のいいお坊ちゃん、青大将はダメ男君にもなっていたのだった。
青大将のおかげで割の悪い役どころを背負い込むはめになる若大将だが、そこは何といっても加山雄三ありきの映画なので、物語はどんどんと良い方向に転がって行く。
さすがスター!!
(^o^)
物語は、「青大将のおかげで停学処分をくらい、さらにはハワイに迎えに行く羽目になった若大将が、現地で窮地に陥りながらも恒例のダンスパーティーつながりで知り合った女性"澄ちゃん"こと中里澄子(星由里子)と再会を果たし・・・」という内容。
ハワイでの撮影シーンがふんだんに使われていて、当時の一般的な日本人がやりたくても出来なかったことをほとんど、若大将が簡単にやってしまっているこの話は、若者達の憧れの的だったのかもしれないと想像する。
日本政府は太平洋戦争中から観光を目的とする海外渡航を禁止していたが、この映画が公開された翌年の1964(昭和39)年から自由化され、1966(昭和41)年からは、1人(年に)1回までという制限も無くなったそうだから、「この映画が日本のハワイ人気を後押ししたのか」とも考えたのだが、実際の所はどうだったのだろうか。
(^_^)
まぁそんなことは別として、クライマックスは若大将・青大将コンビがヨットレースに出場して上位を狙う展開で、このレースは劇中のテレビで生中継。
実況中継のアナウンサーが緊迫感を煽り、当時映画館でこのシーンを見ていた人達は、物語に引き込まれて相当に盛り上がっていたのではないかと想像して楽しくなった。
(^o^)
などと少しひねくれた見方もしてしまうのだが、これは面白い作品だった。

大学の若大将

2007年08月28日 | ムービー
若大将シリーズの第1作『大学の若大将』(1961年/杉江敏男監督)を見た。
加山雄三主演の"若大将シリーズ"という名前は知っていたが、見たのはこれが初めてで、青大将(田中邦衛)とはお坊ちゃん同士仲が良いのかと思っていたら、2人はほとんど友人関係に無いようだった。
ただ、続編になると違う設定かもしれないし、とにかく今の所はこれしか見たことがないので良くは判らないのだが・・・。
(^^ゞ
また、♪ふたりを~♪ゆうやみがぁ~♪とか、いつ歌い始めるのかと思っていたのだが、ついにそんな場面は無く、それは違う(若大将の)映画でのことらしかった。
物語は、「父・久太郎(有島一郎)が経営している明治時代から続く"すき焼き屋・田能久"の若旦那・田沼雄一(加山雄三)が、京南大学水泳部のエースとして活躍する。ボートが転覆して溺れそうになっていた野村社長(上原謙)父子を助け、その娘・千枝子(藤山陽子)との見合い話が持ち上がるが、水泳部のマネージヤー・多湖誠(江原達怡)が千枝子に好意を持っていることを知り・・・」という内容。
学生らしい無茶な生活や、"澄ちゃん"こと中里澄子(星由里子)とのエピソードが描かれている。
青大将がひき逃げをしようとする場面や、浄化槽の蓋を外して焼肉の鉄板代わりに使うだなんて、どう考えたらそんなアイディアが出てくるのだろう。
(^。^)
この映画が公開されたのは1961(昭和36)年で、さすがに仁左衛門も生まれていないほどに随分と昔のことなのだが、「たばこを吸ったら痩せられるし、美容にいいんだよ」という雄一の祖母・りき(飯田蝶子)の台詞には驚いた。
実際、「若い頃に、痩せられるよなんて勧められて煙草を吸い始めた」という知り合いの話を思い出したのだが、そういう理由で煙草を吸い始めた女の人って多いのだろうか。