【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
気楽に立寄ってちょ~

「政治家がばかでは国もたぬ」 鳩山首相

2010年04月07日 | ニュース政治
「政治家がばかでは国もたぬ」=公務員研修の訓示で鳩山首相

 鳩山由紀夫首相は7日の国家公務員合同初任研修開講式で訓示し、入省したばかりの新人を鼓舞したが、その中で「政治家がばか者の集団では(国は)もたない」などと脱線気味に発言する場面があった。

 首相は弟である鳩山邦夫元総務相が政治家を志した際、大蔵事務次官を経て政界入りした父威一郎元外相が「政治家なんてものは物ごいをする情けないばか者だ」と反対した話を紹介。「父親は役人だったことに誇りを感じていた」と語る一方で、「トップの首相が大ばか者であれば、そんな国がもつわけがない」と繰り返した。

 首相としては、政治主導への決意を示しつつ鳩山内閣の優秀さを強調したかったようだが、指導力不足や自らの発言をめぐる迷走が指摘されているだけに、新人公務員も複雑な表情だった。

2010/04/07 時事通信

張り切りすぎは要注意 「アキレス腱断裂」

2010年04月07日 | 健康
張り切りすぎは要注意 ベッカムも襲った悪夢「アキレス腱断裂」

 アキレス腱断裂の重傷を負い、6月に南アフリカで開催されるW杯出場が絶望的となったイングランド代表のデビッド・ベッカム(34)。過密日程が負傷の一因と指摘されているが、中年を過ぎれば誰だってアキレス腱の断裂は起こりやすくなる。ゴルフや草野球など休日のスポーツが楽しみな季節だが、「まだまだ若い!」と張り切り過ぎは要注意だ。

【加齢で腱が弱くなる】

 アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉が収縮する力をかかとの骨に伝えている人体で最も太い腱組織。断裂の原因の大多数は自分の筋肉の力で切ってしまう“自爆”だ。

 「アキレス腱が弱ってふくらはぎの筋肉の急激な収縮力を支え切れなくなると断裂する」と説明するのは、西葛西南口整形外科・リウマチ科(東京)の村瀬研一院長。

 アキレス腱を弱らせる要因は、若いアスリートであれば使い過ぎなどによるストレス、中年以降なら加齢に伴う腱の変性(伸展性が低下)だという。

【体力の過信は禁物】

 とくに30-40代の比較的若い中年層のリスクは高い。アキレス腱の変性が進む一方で、まだ筋肉の収縮力がそれほど衰えていないからだ。

 村瀬院長は「年齢的にも子供の運動会に参加して張り切り過ぎて発症してしまう人がいる。学生時代に運動部で体力に自信があるという人ほど要注意」と警告する。

 また、スポーツの種目によってもリスクは違う。

 村瀬院長はJリーグ(現在、FC東京)のチームドクターを15年以上務めているが、過去にアキレス腱断裂の選手をみた経験は1人だけ。

 「サッカーの動きではあまり起こらない。リスクが高いのは剣道やバドミントン」という。

【ストレッチで予防】

 中高年ではゴルフ場で発症する人も多いが、これはボールを追いかけ勢いよく駆け出したときなど、プレー以外での原因がほとんどだ。

 発症すると後ろから蹴られたり、ボールが当たったような衝撃があり、パチッという断裂音を自覚する人もいる。腱を触るとくぼみあって押すと痛い。爪先立ちができなくなるのが特徴だ。

 アキレス腱の変性は老化現象なので防ぎようがない。断裂の予防対策はスポーツする前後の入念なストレッチに尽きる。

 村瀬院長は「アキレス腱を伸ばすストレッチは、後方の膝を伸ばした状態と軽く曲げた状態の両方をやるように」とアドバイスしている。

■国内初「スポーツ傷害保険」登場

 スポーツ中のケガに特化したユニークな保険商品が登場した。ブロードマインド少額短期保険(東京)が販売する国内初の「スポーツ傷害保険」で、スポーツ中のケガなど、スポーツに特化した少額短期保険。支払い対象は4日以上の通院からで、個人単位で加入できる「一般型」の保険料は2020円(年払)で「団体活動型」「短期活動型」はさらに割安になる。問い合わせはTEL03・5447・8351。

2010.04.06 ZAKZAK

“舛添“自民乗っ取り"へ5月決起も

2010年04月07日 | ニュース政治
“舛添“自民乗っ取り"へ5月決起も、党内では不人気!?

 谷垣自民党が党内に渦巻く執行部批判の封じ込め作戦に着手した。重鎮議員を名指しで批判するなど“過激派”として知られる河野太郎衆院議員(47)を幹事長代理に起用し、新設した「影の内閣」には中堅や当選1回の若手を登用したのだ。ただ、「最も総理にふさわしい政治家」ナンバーワンの舛添要一前厚生労働相(61)は執行部入りを断り、引き続き「人心一新」論を展開した。果たして舛添氏の真の狙いとは-。

 「次世代のリーダーを配置して、わが党が政権をつくる力があることを示すのが狙いだ。当面、街頭演説やテレビなどで、党の政策の優位性をアピールしてもらう」

 谷垣禎一総裁は6日の記者会見で「影の内閣」と位置づける「政権力委員会」の意義について、こう胸を張った。

 影の内閣には当選1回の斎藤健氏ら若手のほか、執行部に批判的な言動を繰り返す後藤田正純氏らも登用。「不満分子を囲い込んだ」(党幹部)布陣にしたのだ。

 自民党は野党転落後、離党者が続出。民主党が「政治とカネ」の問題で失速しているにもかかわらず、支持率は低迷したままだ。

 とりわけ、谷垣執行部の「攻撃力不足」は深刻だ。「実際は不満分子の封印というよりも、中堅・若手議員からあがった執行部刷新要求の大合唱を押さえきれなかっただけ」(若手)との見方が広がる。

 ただ、批判勢力封じ込め作戦は、早くも不発気味だ。

 その象徴が、影の内閣の新設とともに、幹事長代理に起用された河野氏。これまで執行部批判を繰り返してきただけに、6日の就任会見でもいきなり「執行部が自民党を変える意思がないとわかれば、すぐ辞める」と宣言したのだ。

 さらに過激な発言は続く。夏の参院選で「参院のドン」青木幹雄前参院議員会長が出馬することに「前から反対。応援にいくつもりもない」と不満をぶちまけた。

 執行部に取り込まれたとの指摘に対しては、「自民党総裁になる前に幹事長代理でこういうことをやりたいと言っていきたい。仲間の声を執行部にぶつける。外から言うのでなく、中でやらせてもらいますということだ」と述べた。

 一方、注目の舛添氏は党執行部から選対本部長代理のポストを打診されたが、これを拒否。

 谷垣執行部が決めた一連の人事についても6日、「(執行部)体制の刷新を申し上げてきたが、それがかなえられているとは思えない。小手先のことをやっても駄目だ」と批判した。

 さらに、平沼赳夫元経済産業相と与謝野馨元財務相らによる新党構想についても、「一切、わたしに関係のない話だ」と述べ、連携を否定。そのうえで、今後の自身の身の振り方について、「あらゆる可能性をオープンにしているということに尽きる」と述べた。

 党執行部入りを拒んだ舛添氏に対し、「参院選に向けて党が一丸となって戦わなければいけない時に、“無職”のまま汗をかかずに、文句だけを言うのはおかしい」(自民党ベテラン)との批判の声があがっているが、いったい、舛添氏は何を狙っているのか。

 政治評論家の浅川博忠氏は舛添氏の動きについてこう解説する。

 「あくまで基本路線は参院選前に自分が総裁になる『ポスト谷垣』狙い。だから、ほかのポストにつく気がない。これは終始一貫しており、不人気の“自民党株式会社”を居抜きで乗っ取ろうというわけだ。オレの国民的な人気で参院の負け幅を最小限にしようという腹なのだろう」

 そのうえで舛添氏が決起するのは「5月」との見方を示し、「このままではもう一度、党内で谷垣降ろしが吹き荒れる可能性は高い。ただ、舛添氏にどれだけの同調者がいるかは疑問だ。国民的人気はあるが、党内では人気がない」と話す。

 一方、舛添氏に近い永田町有力筋は「別に焦る必要は何もない。動き出すのはゴールデンウイークあけの5月で十分だ。自民党が変わらないようなら、新党結成も視野に入れている」と打ち明ける。

 いずれにしても、舛添氏が「総理の椅子」に照準を合わせたことだけは間違いなさそうだ。

2010.04.07 ZAKZAK

平沼新党 ネーミングは「たちあがれ日本」

2010年04月07日 | ニュース政治
平沼新党、ネーミングは「たちあがれ日本」

 平沼赳夫・元経済産業相(無所属)と自民党に離党届を提出した与謝野馨・元財務相らが10日に結成する新党の名称が、「たちあがれ日本」に決まった。


 与謝野氏と園田博之・元官房副長官が10日発売の月刊誌「文芸春秋」5月号への寄稿で明らかにし、平沼氏も7日、都内で記者団に党名が決まったことを認めた。

 平沼氏は「(新党を支援する)石原慎太郎東京都知事の命名だ」と語った。

 また、自民党の中川義雄参院議員は7日昼、新党に結党時から参加することを記者団に明らかにした。平沼、与謝野、園田各氏と藤井孝男・元運輸相の参加がすでに固まっており、中川氏が加われば、「国会議員5人」という政党助成法に基づく政党要件を満たすことになる。

 寄稿では結党の目的について、「参院選で与党を過半数割れに追い込み、与野党の衆参ねじれ現象に持ち込むのが第一の狙いだ。その上で、政策プロフェッショナルを結集する政界再編の起点となっていきたい」としている。

 新党の政策目標としては、〈1〉日本の国際競争力を強化・増強させ、富を増やして豊かさを維持する〈2〉国の財政を再建しつつ、持続可能性のある社会保障制度を作り、医療制度や年金制度の不信感を払拭(ふっしょく)する――などを挙げている。

2010年4月7日 読売新聞

死刑執行:中国、覚せい剤ルート寸断狙い

2010年04月07日 | ニュース政治
死刑執行:中国、覚せい剤ルート寸断狙い 北朝鮮製増加で

 【大連・浦松丈二】中国が赤野光信死刑囚の死刑を執行した背景には、中国東北地方(遼寧、吉林、黒竜江の各省)で暗躍する覚せい剤密輸組織を寸断し、北朝鮮から中国への覚せい剤流入ルートを先細りさせる狙いがあるとみられている。

 中国捜査当局によると、赤野死刑囚は06年4月初めに中国の大連を訪れた直後から「容疑者」としてマークされていた。北朝鮮から持ち込まれた覚せい剤609グラムを押収した際、売却先の一人として赤野死刑囚の名前が浮かんだからだ。当時、赤野死刑囚は覚せい剤を探して北朝鮮国境の遼寧省丹東や吉林省延辺朝鮮族自治州延吉などを訪ねた。最終的に中国人の協力で仕入れ、06年9月に大連の空港から仲間の日本人と持ち出そうとして共に逮捕された。捜査当局がこの2人から押収した覚せい剤は純度95%。粗悪な中国製ではなく、国営企業の厳格な管理下で製造される北朝鮮製とみられる。中国で出回る量が急増しており、友好国・中国の捜査当局が北朝鮮の容疑者逮捕を発表し、警告を発したこともある。

 こうした背景には日本が北朝鮮からの日本向け海上密輸ルートの監視を強化した事情がある。01年に鹿児島県奄美大島沖で北朝鮮工作船と日本の海上保安庁の巡視船との銃撃事件が発生し、工作船が覚せい剤を密輸していたことが発覚。新たに陸続きの中国経由ルートが開拓されたのだ。

 消息筋によると、中国当局は大連に本社を置く北朝鮮のIT企業に目を付けている。中国の雲南省昆明や新疆ウイグル自治区ウルムチなどに支社を置き、密輸組織と接触していると疑っている。

 一方、中国が8日にも麻薬密輸罪で刑を執行する3人の中で、名古屋市の武田輝夫死刑囚(67)は日本側密売組織の主犯格とみられ、03年6月に大連で仕入れた約5キロの覚せい剤を日本人5人の「運び屋」に指示し密輸しようとした。

2010年4月7日 毎日新聞

亀井案こそ郵政を潰す

2010年04月07日 | 情報一般
亀井案こそ郵政を潰す
時限爆弾のスイッチ入れた郵貯・簡保の限度額拡大

 亀井静香金融・郵政担当相vs.仙谷由人国家戦略担当相──。郵便貯金(ならびに簡易保険)の預入限度額の増額の是非を巡る鳩山由起夫内閣の議論を見ていて、奇妙な疑問がわいてきた。

 郵貯の主力商品である定額貯金は、ご存じの通り、預入後満6カ月から引き出し可能で、固定金利ベース複利で最長10年の預け入れができる。現在その適用金利は6カ月超1年未満の場合が0.06%で最長10年預けても複利で0.11%に過ぎない。

 一方、郵貯の資金運用の大部分は中長期の国債であり、10年物国債利回りは現在1.3%前後だ。1990年代後半以降、超低インフレあるいはデフレ状態が続いているので10年物国債利回りは、政府債務の急膨張にもかかわらず、ほとんど1%から2%未満の水準がずっと続いている。

 この結果、郵貯は1%前後の利ざや収入を得ている。このままでは赤字拡大が予想される郵便事業の全国一律サービスを維持するためには、郵便貯金の資金運用益の維持・拡大が必要であるとされ、そのために限度額引上の是非が論点になったわけである。結局、鳩山首相の「裁可」で亀井・原口(一博総務相)案通り2000万円への拡大が閣議決定された。


■貯金者はなぜ超低利回りに甘んじるのか?

 私が奇妙だと感じるのは次のことだ。

 どうして郵貯で定額貯金をしている貯金者らは0.1%程度の超低利回りに甘んじ、自ら10年物国債を買うことで1%を超える運用益を手にしようとしないのだろうか。今時、国債は日本国債でも米国債でも証券会社の窓口で簡単に買える。インターネットのオンライン証券取引でも簡単に買えるというのに(ただし証券会社は国債を売っても手数料率が低いので積極的にセールスはしない)。

 次のような理由が考えられる。

(1) 初歩的な金融・投資知識がないので国債と定額預金の利回り格差も知らずに、過去からの惰性で漫然と郵貯に預けている人たちがいる。
(2) 定額預金は預入後満6カ月から引出可能なので(定期預金のように期限前解約で利率が下がるペナルティーがない)、市場の金利が上がって金融商品の利回りが上昇したら、もっと高い利回りの商品に移そうと思って預けている人々がいる。ただ超低金利時代が思いがけなく長引いた結果、そのままになっている。

 おそらく(1)と(2)の双方の方々がいるのだろう。

 (2)のケースのように金利動向に合理的に反応して郵貯に預けている方々もかなりいることは、過去の金利と郵貯残高の変化を見ると分かる。例えば定額貯金の適用金利がほぼピークだった1990年の郵便貯金残高(簡保資金を含まない)は136兆円、これが95年には213兆円と57%も増え、そこから99年までにさらに22%増え260兆円でピークとなった。

 とりわけ金利の天井感が強まって先行き金利の低下が予想された1990年代初頭には、高い固定金利で長期の資金運用を確保するために、5年物利付債や10年固定金利を確保できる郵貯の定額預金に個人資金が殺到した。

 結局、金利は90年代を通じて低下し、ゼロ金利近くまで下がったので、長期固定金利で預けられた定額貯金はほとんど引き出されることなく累積した。これが90年代の郵貯資金急膨張の主因となったのだ(民間金融機関の信用不安も副次的な要因だったかもしれない)。

 こうした預貯金者の行動選択は、極めて合理的であり、金利や金融商品に無知なわけではない。その後、ゼロ金利に近い水準が10年以上も続いているので、定額貯金はかつての魅力を失った。郵貯残高は2000年代に入ってから毎年減少基調をたどり、今では郵貯残高は175兆円に減った(2009年9月末時点)。

■国債価格の急落という時限爆弾

 さて、今後の財政赤字膨張の結果、政府債務の累積が加速し、やがて国債価格が急落する(利回りが急騰する)局面が到来すると、どういう事態になるだろうか。

 金利が上ったら利回りの高いもの(新規の定期預金、債券など)に乗り換えようと待機していた人は、郵貯の定額貯金を引き出して別の高い利回りの商品にシフトするだろう。

 その結果、何が起こるか。それを知るためには日本郵政のバランスシートを見る必要がある。

 日本郵政のホームページで公表されているバランスシート(2009年9月末)を見ると、負債の最大項目は「貯金」で175兆円、2番目に大きいのは簡保の「保険契約準備金」で100兆円、2つ合わせて275兆円である。

 これに対応する資産の項目で一番大きいのは「有価証券」の260兆円であり、資産全体の86%を占めている。「有価証券」の内訳で最大の項目は国債と地方債で236兆円と保有有価証券の90%を占めている(地方債に比べて国債の比率が圧倒的)。

 国債の平均残存期間は公表されていないが、大雑把に推測することはできる。損益計算書で半期の「銀行事業収益」が1兆1284億円と示されている。これはほとんどが利回り0.1%前後の郵便貯金と国債の利回りの格差から生じる利ざや収益のはずだ。1兆1284億円を年換算するために2倍にして、調達資金残高275兆円(郵便貯金と簡保の合計)で割ると、年間利ざやは0.82%と推計できる。

 郵便貯金への支払い平均利率を0.1%とすると、資金運用で0.93%の利回りを上げていることになる。短期国債の運用利回りはゼロ%に近いので、0.93%の利回りを国債保有で実現するためには保有している国債の残存期間は5年超~10年、おそらく7~8年だろうと大雑把に推計できる(あくまでも公表されている限られた数字からの逆算推計であるので念のため)。

 さて、日本経済が待望のデフレ脱却、軽度のインフレへの転換を実現した時、国債利回りはどうなるだろうか。

 投資家一般の期待がデフレ期待からインフレ期待へ1ポイント上昇すると、実質利回りが同じならば、現在名目利回り1.3%の10年物国債は2.3%の利回りに上昇する。

 1ポイント利回りが上昇すると、10年物国債価格はいくら下がるか。長期の利付債券の利回りと価格の関係は以下の式の通りとなり、期間の長い債券ほど1ポイントの利回り変化に対する価格の変動は大きくなる。

利回り(%)=100×{クーポン金利+(100-価格)/残存期間(年数)}/価格

 これに基づいて価格の変化を計算すると、クーポン1.3%で額面100円の10年物国債の場合、流通利回りが2.3%に上昇すると価格は91.87円下落する。残存期間8年ならば価格は93.24円に下がる。つまり平均残存期間8年の場合、債券ポートフォリオ全体で約7%の評価損が生じる。

 郵貯の国債保有額236兆円を基に計算すると、16兆5000億円の損失が生じることになる。現在の日本郵政の純資産(自己資本)は9兆3000億円(自己資本比率約3%)だから、この場合評価損を差し引くと7兆2000億円の債務超過に陥ることになる。

 「べつに評価損が出てもかまわないじゃないか。国債なんだから期日まで保有すれば当初の利回りが得られる」

 そう考える方もいるかもしれない。しかし、郵貯の保有者は、郵便貯金を引出して高くなった利回りで新規の定期預金や債券などに当然乗り換えるはずだ。つまり郵貯から大規模な資金の流出が生じる。郵便貯金の引き出しに応じるためには、郵貯は保有している中長期国債を売却して資金化するしかない。価格の下がった国債を売却するのだから、評価損は現実の損失として実現する。

 つまり、長期固定金利での利回りを保証しながら、同時に預入後満6カ月で引出自由という定額貯金の特殊な商品性は、1990年代のような金利低下時代には資金を引きつける強い力なのだが、反対に金利上昇局面では既存資金の流出を招く致命的な条件に転換するのだ。

 その時、郵貯が資金の流出を食い止めるために郵貯の利回りを引き上げるとどうなるか。

 その場合は、既に中長期債に固定されている低い利回り、例えば先ほど推計した現在0.93%の運用利回りと、金利上昇後の新利回り、例えば1.5%の格差分だけ逆ざやを長期にわたって抱えることになる。いずれにしても巨額損失は避けられない。郵便事業の赤字を補うどころか、郵貯の調達・運用自体が大赤字となる。


■金融社会主義は必ず破綻する

 「小泉・竹中内閣は市場原理主義だ」と批判してきた亀井大臣の金融哲学は、どうやら「金融社会主義」を志向しているように見える。社民党と歩調が合うのも当然だ。

 しかし、日本経済がデフレを脱して軽度であれインフレ基調に転換すると、それに伴う国債利回りの上昇(=国債価格の下落)による莫大な評価損で、日本郵政は純資産が棄損し、郵貯システムは財務的に破綻することが不可避となる。

 私は郵貯が大規模な金融組織として生き残る唯一の道は、劇的に民営化を推進し、同時に内外の民間金融機関、機関投資家を買収し、金融・投資コングロマリッドになることだと思っていた。しかし、鳩山・亀井内閣は民営化を阻止し、その可能性を閉ざしてしまったのだ。

 この結果、将来のインフレ局面への転換=国債利回りの上昇局面では、より高い利回りを求める貯金者の合理的な選択という市場メカニズムが郵貯システムを破綻させることだろう。

 「べつに日本郵政が債務超過になっても、国有機関として政府が支援すればよいではないか」

 そう考える方もいるかもしれない。その場合には、日本郵政の赤字、債務超過を埋め合わせるために数兆円以上の財政資金(税金)が投入されることになる。

 今回の米国の金融危機で連邦住宅金融公社のファニーメイ、フレディマックが財務上の破綻に直面した。結局、大規模な公的資本注入が行われ、連邦政府によって国有化された。元々両公社は政府の出資機関はなかった。それでも「暗黙の政府保証」が働くことによって調達した低利の資金をベースに1990年代以降、住宅ローンの証券化と証券化された投資商品を自ら莫大に保有して総資産2兆ドル(約190兆円)を超える巨大金融機関となった。

 米国でも2005年頃には膨張・巨大化する両公社の資産規模を制限し、低すぎる自己資本比率(2~3%程度だった)をもっと引き上げさせるべきだという規制改革論議がなされた。しかし、組織の既得権益の壁を崩せず、改革は実らなかった。「官制組織は自らの組織の拡大を自己目的とする」というマーフィーの法則を地で行くような膨張を遂げた挙句の破綻だった。

 将来日本郵政に公的資金投入が行われても、日本の民間銀行だってかつて公的資金が投入されて救済されたのだから、お互い様かもしれない。しかしながら、日本郵政の場合、将来起こり得る赤字と自己資本棄損の原因は単純明確なALM(Asset and Liability Management)上のミスマッチによる逆ざやだから、貯金者の貯金カットでもしない限り、投入された公的資金は赤字の補填で蒸発し、政府に返済されることはないだろう。

 一方、かつての民間銀行に投入された公的資金は、日債銀や長銀など破綻した銀行への譲渡分は戻ってこないが、生き残った銀行は、景気の回復に後押しされた不良化資産の回復や新規収益を元に返済しているのだ。しかも多くの場合キャピタルゲインを付加してだ。納税者負担の観点からはそれが決定的な違いだろう。

 もっとも国債は民間金融機関も莫大に保有しているので、国債価格の急落が起これば民間金融機関の損失も大きなものになる。ただしその損失は民間金融機関全体としては、郵貯ほどには致命的にならない。なぜなら、まず生保や年金の場合は、長期国債の大口保有者であるが、調達している資金も生命保険の掛け金や年金資金など長期固定性の資金であり、安定している。また資産ポートフォリオも内外株式や不動産に分散している。

 また、民間銀行の場合も、あくまでもローンなどが主要な資産であり、郵貯のように資産の大部分が国債ということはあり得ない。さらに銀行の負債である預金は1年物定期預金などが主流である。多くの場合、定期預金は期日まで預けられ、乗り換えられる場合も期日到来後新しい金利での書き換えとなるため、ALM上のリスク管理が容易である。ALM上まともなリスク管理をしている銀行ならば、負債構造に合わせて資金運用期間を管理・制限しているので、国債保有額が多くても短期国債もあり、長期国債ばかり保有しているわけではない。


ヘッジファンドが日本国債急落を待っている

 今回の郵便貯金と簡保の限度額引き上げで、これまで縮小基調をたどっていた郵貯・簡保が再び規模を拡大することになれば、将来の国債利回り上昇(価格下落)による郵貯システムの損失額は一層巨額になるだろう。

 政府債務残高がGDP(国内総生産)比率で先進諸国中最大となったにもかかわらず、長期国債利回りが1%台で先進国中最低という日本財政のパラドックスは、まさに「デフレが永遠に続く」というような投資家心理が自己実現した結果だと思う。

 それは、かつて不動産価格は永久に上がり続けると信じた日本の「不動産神話」や米国の「住宅神話」の対極をなす逆バブルではなかろうか。

 政府債務が急膨張した結果、国債相場は郵貯を含む日本金融社会主義のアキレス腱となった。ギリシャ国債の急落などは序章に過ぎない。欧米のヘッジファンドは過去幾度か日本国債に売り仕掛けをして失敗を繰り返してきたが、「次回こそ」と狙いをつけて仕掛ける機会をうかがっているのだ。

 逆バブルの劇的な崩壊を避けられる唯一の可能性は、投資家が逆バブルのリスクに気づき、資産ポートフォリオを国債から実物資産に漸次シフトさせ、その結果として生じる国債利回りの段階的な上昇が、政府に財政再建に本腰を入れさせる要因として働くことである。

 しかし、すべてのバブル現象と同様に、今回も行き着くとこまで行かないと本格修正の動きは起こりそうにない。間違いなくバブル崩壊的なハードランディングになる。

2010年4月7日(水) 日経BP

竹中 正治(たけなか・まさはる)龍谷大学 経済学部教授
1979年東京大学経済学部卒、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)の為替資金部次長、調査部次長などを経て、2003年3月よりワシントン駐在員事務所所長。ワシントンから米国の政治・経済の分析リポート「ワシントン情報」を発信する傍ら、National Economists Club(WDC)役員を務めるなどエコノミストとして活動。2007年1月から2009年3月まで国際通貨研究所チーフエコノミスト、2009年4月より現職。最近の著書に、『米国経済の真実』(共著編、東洋経済新報社、2002年)、『素人だから勝てる 外貨投資の秘訣』(扶桑社、2006年11月)、『ラーメン屋vs.マクドナルド』(新潮新書、2008年)、『今こそ知りたい資産運用のセオリー まず投資の魔物を退治しよう』(光文社、2008年)、「なぜ人は市場に踊らされるのか?」(日本経済新聞出版社、2010年)など。

国際コンテナ戦略港湾 「中部空港沖は有力候補」

2010年04月07日 | ニュース政治
「中部空港沖は有力候補」 名古屋港の浚渫土埋め立てで知事

 神田真秋知事は5日の定例記者会見で、国が重点整備する国際コンテナ戦略港湾(ハイパー中枢港湾)に伊勢湾(名古屋・四日市港)が立候補していることに関連し、大型コンテナ船への対応のため名古屋港を浚渫(しゅんせつ)する際の処分場所として、「広大な処分場が必要で費用対効果面からも絞られる。中部国際空港沖は有力な候補の一つだ」と認めた。

 国は、ハイパー中枢港湾の選定作業を進めているが、大型コンテナ船が接岸できる水深18メートル以上の岸壁を備えることが選定の目安となっている。現在、名古屋港の岸壁は最深部でも16メートルで浚渫が必須。2日に国土交通省で行われたヒアリングでも、伊勢湾は浚渫による18メートル化を提示した。

 神田知事は「浚渫へ進まざるを得ない。処分場所の確保も一対として検討する」と述べた上で、具体的な処分場所については「小さな処分場では賄いきれない」として名古屋港外に確保することを強く示唆。浚渫を実施する名古屋港管理組合側から協力要請があれば、県として支援する姿勢を見せた。

 一方、ハイパー中枢港湾選定をめぐる阪神港(大阪・神戸港)など国内他港との争いについては、「名古屋港は輸出入の圧倒的な実績がある。民間活力や自動化システムの導入も進んでいる」と自信を見せた。

 【伊勢湾フェリー廃止問題】神田知事は「三重県との物流、観光面で半世紀の実績があり、なくなるとすれば残念」と述べ、同県と対策協議会を立ち上げ、対応を検討する方針を明らかにした。

 伊勢湾フェリー(三重県鳥羽市)は先月24日、田原市と鳥羽市を結ぶ伊良湖航路を9月末で廃止すると発表。田原市の鈴木克幸市長や地元観光協会幹部らが3月25日、愛知県庁を訪れ、存続へ向けた支援を要請していた。神田知事は「20億円とも言われる累積赤字など経営の現状を調べ、地域への影響も確かめなければならない」と強調。地元市やフェリー会社、三重県と連携し、国へ働き掛ける考えを示した。

 【JAL撤退問題】会社更生手続き中の日本航空が、県営名古屋空港の既存9路線の全廃を検討していることについて、神田知事は「寝耳に水で大変驚いた。情報収集し、地域の声を届けなければ」と述べた。

 日本航空は10月以降、国内線約30路線の廃止を検討中。中部国際空港の発着路線も含まれており、神田知事は「経営再建は重要だが、地方空港に大打撃を与え、地域経済に影響が出るようなことでいいのか。先々を見据えて判断する必要がある」と指摘、慎重な対応を求めた。(鎮西努、大村歩)

2010年4月6日 中日新聞

公営最高の2488万馬券 大井競馬の3連単で

2010年04月07日 | ニュース一般
公営最高の2488万馬券 大井競馬の3連単で

 東京都品川区の大井競馬場で6日に行われた地方競馬、大井競馬第7レースの3連勝単式(3連単=1~3着を着順通りに当てる)で、1レースの配当としては中央競馬、オートレースなどを含めた国内の公営競技史上最高となる2488万720円を記録した。的中は1票(1票100円)。

 公営競技の従来の最高払戻金は、昨年2月4日に地方競馬の船橋競馬で記録された3連単の1911万円。中央競馬の最高は2005年10月に東京競馬で出た3連単の1846万9120円。

 ダートの1600メートルで16頭が争ったレースは、1着に単勝14番人気のルドゥーテ、2着に4番人気のアーノルドツヨシ、3着に15番人気のグレイスレイラが入る大波乱となった。3連単の「(15)―(2)―(13)」の組み合わせは3360通り中の3102番人気だった。

 競輪では複数レースを対象に重勝式車券も発売。08年6月5日の平塚競輪で、後半7レースの1着をコンピューターが自動発番してキャリーオーバーが発生する7重勝単勝式の「チャリロト」(1票200円)で、7969万8600円の最高払戻金を記録した。6日現在、平塚競輪ではチャリロトのキャリーオーバーが6億円を超えている。

2010/04/06 共同通信

ギリシャ支援 当面の危機避けたが

2010年04月07日 | 社説
ギリシャ支援 当面の危機避けたが

 財政危機に陥っていたギリシャに対する支援策がまとまった。ひとまず当面の危機は乗り切った形だが、抜本解決にはならない。欧州は財政規律維持により効果的な枠組みの構築が求められる。

 欧州連合(EU)のユーロ圏十六カ国は首脳会議を開き、ギリシャに対してユーロ導入国と国際通貨基金(IMF)が協調融資することで合意した。融資総額は不明だが、IMFよりもユーロ導入国による二国間融資の金額が多くなる見通しだ。

 実際の融資に際しては、欧州中央銀行(ECB)と欧州委員会による審査やユーロ圏十六カ国の満場一致による合意、高金利の適用など厳しい条件を付けた。

 財政危機に陥った国への支援としては、IMFが融資する国際的な枠組みがある。ところがIMFに支援を頼めば、ギリシャが厳しい財政再建を求められるだけでなく、ユーロ圏全体の金融政策を遂行しているECBの政策運営にも注文がつきかねない。

 ギリシャだけでなくユーロ圏全体が米国の強い影響下にあるIMFの監視の下に置かれるような事態は欧州の自尊心を傷つける。

 「欧州の問題は欧州の手で解決すべきだ」という原則論がある一方、ドイツなどからは「放漫財政を続けたギリシャの破綻(はたん)を、なぜ他国がコストを払って救済しなければならないのか」という反対論も強かった。

 ユーロ導入国による二国間支援とIMF融資という組み合わせは両論の妥協の産物だ。手をこまねいていれば、危機がイタリアやスペイン、ポルトガルといった巨額財政赤字を抱えた同様のユーロ国にも広がりかねず、現実的対応策として妥当な結論といえる。

 だが、これで問題が解決したとはいえない。ギリシャが歳出削減や増税によって財政立て直しを急ぐのは当然として、欧州ユーロ圏としても検討課題が残る。

 なにより危機が表面化する前に、各国が財政規律維持に真剣に取り組むよう促す実効性ある枠組みを工夫すべきだ。

 現状では、財政赤字の水準を国内総生産(GDP)比で3%以内とするよう定めた財政安定成長協定がある。だが、世界的金融危機に対処するため財政出動を重ねた結果、独仏のような主要国でさえも基準を達成できていない。

 欧州版IMF創設の議論もあるが、まずは協定の運用や例外規定の厳格化が先ではないか。欧州の知恵が試される。

2010年4月7日 中日新聞 社説

影響力が大きすぎると感じているジャーナリストたち

2010年04月07日 | 新聞案内人
影響力が大きすぎると感じているジャーナリストたち

 ジャーナリストは、世論に与える影響が大きいほうがいいと考えているのかと思っていたが、どうもそうではないらしい。 アメリカのナイト財団はジャーナリズムの研究や新しい試みに資金を提供しているが、その関連の論文などを見ていて、興味深い調査レポートを見つけた。

 1149人のジャーナリストに尋ね、世論への影響力をどう見ているかについて調査しているのだ。新聞・テレビ・ラジオ・通信社・雑誌と既存メディアのジャーナリストたちをランダムに選んで電話で尋ねたとのことで、02年の調査なのでいささか古いが、いろいろなことを考えさせてくれる。

 興味深いことに、すべてのメディアのジャーナリストが、世論に対する影響力が大きすぎると感じているという。ジャーナリストたちは、自分たちの理想よりも実際の影響力が大きい、つまり、もっと影響力が小さいほうがいいと思っているというわけだ。

○予想とは逆の結果

 インターネットが出てきて従来のメディアの影響力は下がっている。だから、そうしたことに対する危機感があるかと思っていたのだが、この調査の結果はまったく逆だった。

 02年の調査なので、ネットのパワーがさらに増したここ何年間かで変化した可能性はあるが、1982年から10年おきに調査し、2002年までの20年間の傾向はほとんど変わっていないという。

 第4の権力と言われるメディアの力の源泉は影響力なわけだから、影響力が大きいほうがいいと感じているジャーナリストが多いのかと思っていたので、これはまったく意外な結果だった。

 この調査は、調査対象のジャーナリストたちに自由に考えを言わせる形はとっていない。だから、こうした結果になった理由は推測するしかないそうだが、多くのジャーナリストたちは中立的な情報発信者を任じ、客観性を重んじている。それで不相応な影響力を好ましく思っていないのではないかと推測している。

 また、力のあるニュース・ソースが世論に影響をあたえるためにメディアを使おうとしていて、ジャーナリストたちは操られているように感じているからではないかと、少々穿(うが)った見方もしている。

 本欄で私もとりあげたが、捜査当局がメディアを使って情報操作をしているのではないかと日本でもこのところ議論になっている。ジャーナリストたち自身が「情報操作されているかもしれない」と思っているのであれば、影響力の大きさにためらいを感じるのは不思議ではない。

 しかし、そうした理由だけなのだろうか。

○圧倒的パワーの世論に直面

 ひとりの人間が圧倒的なパワーを持つ世論に直面し、ときにそれに抗して活動しなければならないというのは、誰であってもそもそも荷が重く感じることなのではないか。

 私は、学校を出て10年ほどリトル・マガジンの編集をしていてそれから一人で原稿を書いており、かかわった本や雑誌が売れればいいとは思ったが、影響力が大きいほうがいいかどうかはとくに意識したことがなかった。多少でもそうしたことを考えるようになったのは、ウェブで原稿を公開するようになってからだ。

 多くのブログでは、アクセスデータが把握できるようになっているし、ネットではたちまち賛否がわかる。意見が分かれることなどについては、激しい反応があったりもする。極端なことを言って注目されたいなどという性格ではもとよりないので、激しい反応に巻きこまれるのは好きではない。とはいえ、考えを書くのが仕事ではあるので、好き嫌いにかかわらず書く必要があると思ったときには書くわけだが、影響力がもっとあるほうがいいかと聞かれれば「ノー」と答えるだろう。

 しかし、組織をバックにしたジャーナリストならば違った考えを持っているのではないかと思っていた。けれども、いくら組織をバックにしていても、最終的に書いた人間が発言に責任を持つことには変わりはない。となれば、書いた結果生じる影響の大きさに戸惑いを感じるほうが自然なのかもしれない。

 類似の調査はアメリカ以外でも行なわれているそうだ。

 残念ながら日本のデータはないが、イギリス、フランス、オーストラリア、ブラジル、チリ、韓国のジャーナリストたちも、アメリカのジャーナリスト同様、影響力が多すぎると思っているという。

 掲載されているなかでは、ドイツは現実の影響力が理想とほぼ同じ、アルジェリアのジャーナリストはもう少しだけ影響力があったほうがいいと思い、メキシコのジャーナリストだけが影響力の増大をはっきりと望んでいるという結果だった。

○放送局ジャーナリストの懸念

 また、メディアごとの違いも明らかになっている。

 影響力がありすぎるともっとも思っているのは、テレビとラジオのジャーナリストで、日刊紙のジャーナリストはそう思っている度合いが小さかった。

 この結果の理由もジャーナリスト自身に聞いているわけではないので推測するしかないとのことだが、日刊紙のジャーナリストに比べて、放送局のジャーナリストたちは、世論にあたえる影響力の質が高くないと感じているからではないかという。

 放送局のジャーナリストには申し訳ないが、これは、日本でも理解できる解釈だろう。ワイドショーなどで執拗なまでにひとつの事件をあつかい、世論に影響をあたえていることに、放送局のジャーナリストたち自身が忸怩(じくじ)たる思いでいるということは十分に考えられる。

 さらに、ケーブルテレビが浸透し、多チャンネル化が進んでいるアメリカは、日本よりもひとつのテレビ局がおよぼす影響力は小さいのではないか。だとすると、日本の放送局のジャーナリストたちのほうが、「影響力が大きすぎる」と感じている度合いが強いということもありそうだ。

 この調査ではほかに、「市民が何を優先度の高い問題ととらえているかを知るために、あなたの組織が世論調査をするのは重要だと思うか」だとか、「世論調査は、どのニュースが価値があるかについてのあなたの考えに影響をあたえているか」といった世論調査に関する問いもある。

 世論調査はとても重要と答えたのは、日刊紙が46パーセント、テレビが44パーセントと高いが、ニュース雑誌は16パーセントにすぎないという。実際に世論調査に力を入れているメディアかどうかによって違いがありそうだ。

 世論調査がニュースの価値を決めるにあたって影響をあたえているかどうかについても、テレビ局のジャーナリストがもっとも大きな影響を認め、次が日刊紙で、ニュース雑誌がもっとも低いという具合だった。

 私も本欄で世論調査のことを何度もとりあげているが、日本の新聞やテレビはこのところ世論調査に力を入れている。だから、日本で調査すると、世論調査の重要度の評価はもっと高くなるかもしれない。

 そのほか、「一般の人びとの声を届けることが重要と思うか」とか「一般の人びとが公的な議論に加わるようにすることは重要だと思うか」など、この調査をした02年頃までアメリカで注目されていたシビック・ジャーナリズムの動きを踏まえた調査もされている。

 そんなに長い調査レポートではないので、興味がある人は覗いてみるといいかもしれない。

2010年04月07日 新聞案内人
歌田 明弘 コラムニスト

参院選後 政界再編は不可避

2010年04月07日 | 情報一般
参院選後、政界再編は不可避=みんなの党・渡辺代表インタビュー

 みんなの党の渡辺喜美代表は6日、時事通信のインタビューに応じた。平沼赳夫元経済産業相や与謝野馨元財務相らが結成する新党を批判。夏の参院選に30人以上の候補を擁立し、政界再編は不可避との見通しを示した。発言要旨は次の通り。

 -平沼、与謝野氏らの新党をどう見るか。
 大義が感じられない。自民党の補完勢力として「第三極」を名乗るのはけしからん話だ。

 -新党は、反民主党の受け皿になり、自民党再生も目指すとしているが。
 自民党と組んで参院選で民主党の単独過半数を阻止するというが、結果として民主党を喜ばすだけだ。自民党にダメージを与えているのは確かで、民主党の補完勢力になっている。

 -みんなの党の支持率上昇の受け止めは。
 政権交代にもかかわらず、民主党のやっていることは昔の自民党政権と一緒だと考える人が非常に多くなった。官僚統制、中央集権をやめさせるというみんなの党のアジェンダ(政策目標)に、「これしかない」と考える人が増えている。

 -参院選にどの程度の候補者を擁立するか。
 20選挙区くらい検討している。比例代表にも2ケタ以上立てる。順調にいけば30人以上が出る。議席獲得目標は2ケタだ。

 -参院選後の政界再編のイメージは。
 民主党が過半数を取った場合、政権交代と自民党の破壊という小沢一郎民主党幹事長の目的はすべて果たされる。そこから先は小沢流純化路線が始まるから、衆参ともに過半数を取った民主党を自ら破壊していくだろう。そのときは、アジェンダの下に新たな政治勢力を結集し直す、政界再編のビッグチャンスが巡ってくる。

 -民主党が過半数を取れなかった場合は。
 公明党がキャスチングボートを握る場合がある。細川内閣以降、公明党と組んだところは必ず壊れていく。新進党も自民党もそうだ。政界再編は不可避だ。みんなの党がキャスチングボートを握った場合、安易な連立の組み替えには応じない。われわれのアジェンダはハードルが高い。こういうアジェンダを主張していくことにより、おのずと政界再編へのメカニズムが働く。

 -公明党との政策協議は。
 全くやってない。公明党は相いれないアジェンダを持っている。やってもしょうがない。公明党が候補を擁立した参院選埼玉選挙区にも候補者を立てる。

2010/04/06 時事通信

自民党新体制 「舛添氏待望論」に応えよ

2010年04月07日 | 社説
自民党新体制 「舛添氏待望論」に応えよ

 ベテラン議員の離党が続く自民党が、ようやく若手や中堅の起用に動き始めた。

 幹事長代理に河野太郎元法務副大臣が就任したほか、今夏の参院選を党三役とともに取り仕切る選挙対策本部長代理に、石原伸晃元政調会長と小池百合子元防衛相ら、遊説担当に注目度の高い小渕優子前少子化担当相、小泉進次郎衆院議員らが起用された。

 党三役に若手を抜擢(ばってき)するなどしたもう少し思い切った人事が必要だった。谷垣禎一総裁は若手らの執行部刷新要求に対し、大島理森幹事長と川崎二郎国対委員長の交代を拒否しており、それを取り繕うための人事であることは否定できない。

 体制刷新を求めていた舛添要一前厚生労働相は選対本部長代理での起用の話を断ったうえで、「小手先では駄目だ」と一連の人事を批判した。

 しかし総裁が決断した以上、国民の支持を取り戻すため、全党一丸となって民主党政権に代わる受け皿作りを急がねばならない。

 新設される「政権力委員会」(ネクスト・ジャパン)は「影の内閣」にあたるもので、分野別に14の担当を置いた。林芳正元防衛相(経済財政運営担当)、高村正彦元外相(外交担当)などの中堅・ベテランに加え、当選1回の衆参国会議員4人がポストに就くなど若手の積極起用に腐心した。

 党運営や党勢停滞に不満を抱く議員の“ガス抜き”の場ではなく、真剣勝負で政策を磨く機関にしなければならない。

 離党した与謝野馨元財務相や平沼赳夫元経済産業相が目指す新党は、自主憲法制定や消費税増税を大きな政策の柱に掲げようとしている。

 憲法改正は立党以来の課題として自民党が本家のはずだ。より積極的に取り組むべきだ。消費税についても、財政規律を重視する立場を貫く必要がある。

 いずれも鳩山政権が曖昧(あいまい)にしている課題だ。対立軸として鮮明に打ち出すべきだ。鳩山政権の政治の流れを変える一義的な責務は、野党第一党の自民党にある。

 残念なのは、国民の人気が高い舛添氏が執行部入りしなかったことである。谷垣氏はさらに活躍の場を与える努力をすべきだ。

 舛添氏も執行部批判を繰り返すだけでなく、自らがどのような党再生の青写真を描いているのかを提示してもらいたい。

2010.4.7 産経新聞 主張

4/7産経妙

2010年04月07日 | コラム
4/7産経妙

 新党をつくる平沼赳夫氏の養父は、平沼騏一郎元首相である。検事総長などをつとめた国士型の政治家として知られ、昭和14年1月近衛文麿の後を受けて組閣した。だが約8カ月後、国際情勢激変のあおりを受け、あっけなく辞任に追い込まれる。

 8月23日、ヒトラーのドイツとソ連との間に突然不可侵条約が結ばれ、ヨーロッパは第二次大戦への道を進む。この情勢の変化を読めなかった平沼内閣は「欧州の天地は複雑怪奇」という声明を出して総辞職する。この「複雑怪奇」は当時の流行語ともなった。

 こじつけるわけではないが、平沼氏の新党結成も「複雑怪奇」に見える。第一、平沼氏とパートナーとなる与謝野馨氏との接点がよくわからない。平沼氏が養父譲りの国士タイプなのに対し、歌人・晶子を祖母に持つ与謝野氏には学者型の政策通というイメージが強い。

 新党に参加するメンバーもまだハッキリしない。しかもその背後に石原慎太郎東京都知事や、与謝野氏の師である中曽根康弘元首相の姿もチラホラする。平沼氏は「おじさん集団でとりあえずはやる」と語っているが「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」といった揶揄(やゆ)も聞こえてきそうだ。

 だが、この「おじさん集団」の強面(こわもて)ぶりには期待するところもある。というのも与党の民主党には内閣支持率が急落しているのに、面と向かってトップを批判できるのが誰もいない。野党の自民党も分裂ばかり恐れ大胆な政策も打ち出せない集団になっているからだ。

 その点「おじさん」たちは、年齢的にも怖いものなしのはずだ。子羊のようになってしまった政治家たちに活を入れなければ、国の将来は暗い。ただし、一部でささやかれる小沢一郎氏と手を組むというような複雑怪奇さはゴメンである。

外国人参政権、慎重検討論相次ぐ 知事会

2010年04月07日 | ニュース政治
外国人参政権、慎重検討論相次ぐ=意見集約は見送り-知事会

 全国知事会議が6日、東京都内で開かれ、永住外国人に地方参政権を付与する法案への対応について議論した。出席者からは「参政権を認めれば首長選挙に影響しかねない」(二井関成山口県知事)など慎重な検討を求める意見が相次ぎ、引き続き議論を続けることを確認。知事会としての意見集約は見送った。

 会議では、石原慎太郎東京都知事が「地方にとどまらず国家の利益にかかわる可能性がある」として「絶対反対」を表明。加戸守行愛媛県知事も「基本的に反対する」と述べた。

 一方、野呂昭彦三重県知事、蒲島郁夫熊本県知事、嘉田由紀子滋賀県知事は「認めてもいいのではないか」などと地方参政権付与に理解を示した。松沢成文神奈川県知事は、参院選のマニフェスト(政権公約)で各党がこの問題への態度を明確にすることが先決、と主張した。

 このほか会議では、補助金の一括交付金化について、地方の裁量権拡大と必要な予算総額の確保を今後の制度設計に当たって重視する、とした知事会プロジェクトチームの方針を了承。麻生渡会長(福岡県知事)は、関係閣僚と知事会など地方6団体の代表で構成する「国と地方の協議の場」の第2回会合を今月22日開催で調整していることを明らかにした。

2010/04/06 時事通信

毒ぶどう酒事件 再審の扉は開かれるのか

2010年04月07日 | 社説
毒ぶどう酒事件 再審の扉は開かれるのか

 「名張(なばり)毒ぶどう酒事件」の再審開始の是非を決める特別抗告審で、最高裁が審理を名古屋高裁に差し戻した。

 死刑囚に再審の道を開くかどうか――。この重い判断をするにあたっては、審理を尽くし、事件の根幹に未解明の部分を残してはならない。それが最高裁決定の趣旨だろう。

 これにより、犯人として死刑が確定した奥西勝死刑囚の再審が開始される可能性が出てきた。

 足利事件を契機に、冤罪(えんざい)を生んだ司法界に厳しい目が注がれている。名古屋高裁には、疑念を招かない厳格な判断が求められる。

 事件は1961年に発生した。三重県名張市の公民館で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡し、12人が中毒となった。

 奥西死刑囚は「妻と愛人の三角関係を清算するため、ぶどう酒に農薬を入れた」と自白したが、起訴前に否認に転じた。

 最大の謎は、事件直後に行われた鑑定で、奥西死刑囚が使ったとした農薬に含まれているはずの成分が、飲み残しのぶどう酒から検出されなかったことだ。

 今回の再審請求では、そこが大きな争点となり、最高裁は「事実は解明されておらず、審理が尽くされていない」と、再審開始を認めなかった名古屋高裁の判断を批判した。

 仮に、ぶどう酒に混入されたのが別の毒物であれば、奥西死刑囚の自白の信用性が崩れることになる。それを考えれば、最高裁の判断は妥当なものといえる。

 それにしても、これほど複雑な経過をたどってきた裁判は、極めてまれである。1審は無罪としたが、2審は死刑を言い渡し、72年に最高裁もそれを支持した。

 奥西死刑囚の7度目の再審請求に対し、名古屋高裁は2005年、再審開始を認めたが、翌年に同高裁の別の部がこれを取り消した。今回の決定の結果、審理は再度、高裁に戻ることになった。

 最高裁の裁判官の一人は、「事件発生から50年近くが経過し、差し戻し審での証拠調べは必要最小限に限定することが肝要だ」との補足意見を示した。

 拙速な審理は禁物だが、奥西死刑囚が既に84歳であることを考えれば、当然の指摘である。

 「疑わしきは被告人の利益に」というのが、刑事裁判の鉄則だ。まずは再審を開始し、その法廷で詳しい証拠調べをすべきだとの声も多い。この裁判は、依然としてハードルが高い再審決定のあり方を考える契機となろう。

2010年4月7日 読売新聞 社説