【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
気楽に立寄ってちょ~

米大統領「やり通せるのか」

2010年04月18日 | ニュース政治
米大統領「やり通せるのか」 普天間5月決着は絶望的

 オバマ米大統領が、12日(日本時間13日)にワシントンで行われた鳩山由紀夫首相との非公式会談で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の5月決着への協力を求めた首相に対し「何も進んでいないではないか。最後までやり通せるのか」と強い不信感を表していたことが18日、分かった。日米関係筋が明らかにした。

 普天間移設をめぐり、オバマ氏自身が鳩山首相の対応に不満を持っていることが鮮明になり、首相が掲げる「米国の理解」を含む5月決着は絶望的な状況になった。

 会談は日本側の再三の要請で、核安全保障サミットの夕食会の合間に約10分間だけ開かれた。オバマ氏の隣席に着いた鳩山首相は、5月末までの決着と沖縄県の負担軽減に理解を求めた。

 これに対しオバマ氏は昨年11月の東京での首脳会談で、鳩山首相が「トラスト・ミー(私を信頼して)」と話したことに触れ「キャン・ユー・フォロー・スルー?(最後までやり通せるのか)」と応じたという。

2010/04/18 共同通信

家電量販店 ヤマダ攻勢で再編加速も

2010年04月18日 | ニュース一般
家電量販店、消耗戦…ヤマダ攻勢で再編加速も

 家電量販店最大手のヤマダ電機は、16日に初出店した東京・新宿駅周辺に来年も新店を出す計画で、「郊外型」と「都心型」という業界のすみ分けは過去のものとなってきた。

 価格競争の激化で各社が消耗戦を強いられる中、ヤマダの攻勢が業界再編を加速させる可能性もある。

 ヤマダの「LABI(ラビ)新宿東口館」には開店前、雨にもかかわらず約1万人が列を作った。一宮忠男社長はセレモニーで「店を新しいランドマークにしたい」と自信をのぞかせた。

 ヤマダは最近4年間、ビックカメラ本店のある東京・池袋を含め全国の駅前一等地に17の大型店を開設した。東京・有楽町の西武有楽町店や名古屋市の松坂屋名古屋駅店が閉鎖した後の跡地への出店観測も浮上している。

 これまで家電量販店は、郊外店が主力のヤマダやエディオンなどのグループと、都心部の駅前に大型店を展開するヨドバシカメラやビックなどのグループとに二分されていた。しかし、地方経済の低迷を受け、ヤマダは乗降客数の多い都心部への積極進出に転じた。

 もっとも、都心部の家電市場も先行きは厳しい。調査会社BCNの道越一郎シニアアナリストは「省エネ家電へのエコポイント制度が終了すれば、薄型テレビなどの需要は減る」と指摘する。

 限られた顧客を奪い合う競争の中で、各社の体力格差も目立ち始めた。

 ヤマダは2009年度に家電量販店で初めて売上高2兆円を突破する見込みで、2位のエディオンや3位のヨドバシを引き離す。一方、10年2月期決算の税引き後利益が374億円の赤字となった7位のベスト電器は、経営方針の違いから社長がわずか2か月で交代するなど経営の混乱が続く。

 生き残りをかけた合従連衡の動きも進んでいる。ラオックスは中国の家電量販大手・蘇寧電器の傘下に入り、外国人旅行者の取り込みに活路を求める。ベストは、ヤマダ、エディオンと三つどもえの争奪戦を繰り広げたビックの持ち分法適用会社となった。

 当面は、「提携は是々非々で検討する」(寺崎悦男社長)と再編への意欲をにじませるコジマの動向に注目が集まりそうだ。(岩崎拓)

2010年4月17日 読売新聞

理事長に民間人を初登用 自治体国際化協会

2010年04月18日 | ニュース政治
理事長に民間人を初登用=積立金78億円も返還-自治体国際化協会

 総務省所管の財団法人「自治体国際化協会」(会長・麻生渡全国知事会長=福岡県知事)は今年度、総務省事務次官経験者らが歴代務めてきた理事長に民間人を初めて登用した。都道府県や政令指定都市の分担金を原資とする積立金78億円の返還も始める。分担金の引き下げなどを求める自治体の意見を踏まえた改革の一環。民主党政権が政府関係公益法人の運営に対するチェックを強めていることも、見直しを進める背景にあるようだ。

 協会は自治体が共同で設けた組織。海外7都市に事務所を置き、自治体の国際交流を支援している。運営費は主に都道府県や政令市が納める分担金で賄っている。しかし、近年、東京都の石原慎太郎知事や大阪府の橋下徹知事らから、「分担金が高過ぎる」との意見も出ていた。

 このため協会は2006年度に合計で約20億円だった分担金の2割削減や役員報酬の引き下げに取り組んできたが、今年度は組織や運営の見直しをさらに加速。総務省(旧自治省)の事務次官や消防庁長官経験者が歴代務めてきた理事長に、今月1日付で元奈良女子大教授の木村陽子氏を起用した。

 海外事務所の開設や移転、為替変動に伴う差損の発生に備えた「海外事務所開設準備等積立金」も、新たに海外拠点を設ける計画がないことから減額。残高123億円のうち78億円を今年度から3年かけて都道府県や政令市に返還する。

 引き続き組織のスリム化も進め、ロンドン、パリ事務所などの縮小を検討する。

2010/04/18 時事通信

年金財政が破綻するこれだけの理由

2010年04月18日 | 情報一般
野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
厚生年金積立金が枯渇し、年金財政が破綻するこれだけの理由

 厚生年金の将来の財政状況は、「財政検証」として推計されている。その最新版は、2009年の2月に発表されたものだ。厚生年金についての「基本ケース」の結果は、【図表1】に示すとおりである。

 これによれば、積立金は現在144.4兆円だが、今後増える。2049年には500兆円を超えて、なお増加する。2066年からは年間収支がマイナスになり積立金の取り崩しが始まるが、2105年になっても、まだ132兆円の残高がある。つまり、今後100年間は、積立金はなくならないわけだ。これを見ている限り、「年金財政が破綻する」などということはありえないように思われる。

 しかし、この数字は、一定の仮定に基づいて計算されたものである。「今後50年以上の期間にわたって積立金が増え続ける」という結果は、経済的な前提条件に強く依存しているのである。それが満たされなければ、結果は大きく変わる。

 とくに問題なのは、この連載の第65回で述べたように、賃金上昇率が2.5%、積立金の運用利回りが4.1%と想定されていることだ。これらは、明らかに過大な想定と考えられる。

■「基本ケース」の経済想定は楽観的過ぎる
 ここでは、賃金の問題を取り上げよう。日本の賃金は、1990年代末までは増加し続けていた。日本の年金制度は、こうした経済情勢を基本にして設計されている。すなわち、経済が成長し、物価や賃金は上昇するものとして設計されてきたのである。したがって、問題とされたのは、名目値で決められている年金が、上昇する賃金にいかにキャッチアップできるかということであった。このために、インフレスライドの制度が導入されていたのである。

 問題は、この傾向が将来も続くと考えてよいかどうかである。

 実は、すでに10年以上前から、この前提は満たされなくなっている。すなわち、賃金の上昇率は停滞し、さらには絶対額が減少するようになった。たとえば「現金給与総額」(事業規模5人以上)の指数を見ると、1997年の108.5をピークとして、それ以降はほぼ一貫して低下している。2009年においては95.1であるから、この間に13%強下落したわけだ。

 この傾向が将来も続くとすると、年金制度の基本が揺らぐことになる。なぜなら、賃金にほぼ比例している保険料収入は減少する一方で、デフレスライドの制度はないため、名目額で決められている年金給付額は、賃金下落の影響を受けないからだ。

 これによって、まず年金の実質価値が自動的に上昇することになる。これは、世代間の不公平を引き起こす。これまでの年金制度でも、さまざまな点で世代間の不公平があったのだが、それにもう一つの要因が加わり、不公平が拡大することになる。

 第2の問題は、年金財政が悪化することである。年金保険料の料率は2017年の18.3%までは徐々に上昇してゆくが、それ以降は固定される。このため、賃金の下落にともなって保険料収入が減少するからだ。

 これらの問題を解決するためには、給付水準を切り下げるか、支給開始年齢を引き上げる等の手段によって、支出を削減する必要がある。しかし、新規の年金についてさえ、給付水準を切り下げるのは難しい。ましてや、いったん裁定してしまった年金は、聖域化してしまうので、これを減額するのは大変難しい。

 こうして、従来の問題意識とはまったく逆の事態が生じることになるのである。

 なお、経済想定について、「平成21年財政検証結果レポート」(厚生労働省年金局数理課、2010年3月)は、「長期の経済前提で採用した賃金上昇率2.5%は、実質賃金上昇率1.5%に物価上昇率1%を加えたもの」と説明している(同レポートp.22および第3章4節)。

 また、財政検証においては、上で述べた「基本ケース」以外のケースも計算されている。しかし、「経済低位」であっても、「物価上昇率1.0%、賃金上昇率2.1%、運用利回り3.9%」である。現実の日本経済の状況に照らすと、これさえもかなりの過大想定と考えざるをえないのである。

 つまり、90年代末以降の日本経済の構造変化は、財政検証では考慮されていないと言うことができる。

■賃金が上昇しないと何が起こるか?
 では、財政検証の経済前提が満たされないと、どのような問題が発生するだろうか。

 問題の本質をつかむために、つぎのような簡単な計算を行なってみよう。この計算は、正確なものではないが、問題の性格を把握するためには、正確なシミュレーション計算より有益である。

 まず、積立金からの運用収入を無視しよう(なお、2009年の運用収入は2.1兆円である)。

 また、受給者・加入者は、財政検証の数字をそのまま用いることとしよう(つまり、受給者・加入者比率の変化や就業構造の変化などは考えないこととする)。そのうえで、デフレ効果だけを考えることとしよう。

 ここでは、賃金は毎年0.5%ずつ低下するとしよう。財政検証では2.5%の上昇とされているので、3%の差がある。この累積効果によって、保険料収入が、10年後には財政検証の数字の73.7%、20年後には54.4%に減少する。つまり、財政検証で示されている額に比べて、10年後には約4分の3、20年後には約半分にしかならないわけだ。

 具体的にはつぎのとおりだ。2020年における保険料収入は36.9兆円とされているが、これが27.1兆円にしかならない。つまり、9.8兆円だけ少なくなる。2030年における保険料収入は44.5兆円とされているが、これが24.2兆円にしかならない。つまり、20.3兆円だけ少なくなる。

 想定との乖離が時間に比例して拡大してゆくと近似すれば、現在から2020年までの保険料の累積減収額は49兆円に及ぶ。2030年までをとれば、203兆円の累積減収額となる。

 ところで、現在の積立金残高は、144.4兆円である。したがって不足分を積立金の取り崩しで賄ってゆくとすれば、2020年時点で積立金は3分の2程度に減少し、2030年までのどこかの時点でゼロになるはずである。つまり、厚生年金制度は今後20年間さえ継続することができず、それまでのどこかで破綻するわけだ。

 ここでの想定の場合には、2030年時点における収支は、つぎのようになる。保険料収入が24.2兆円、国庫負担が10.4兆円。これに対して、支出は52.3兆円。したがって、差し引き赤字が17.7兆円。積立金残高は、これより前にゼロになっているので、2030年より前に、支出を収入で賄えない状態になり、財政が破綻しているはずである。

 このように、「賃金が2.5%ずつ上昇」という仮定を外してしまうと、結果は財政検証とは大きく違ってくる。積立金が500兆円を超えるどころではなく、枯渇してしまうのだ。

 ところで、ここ数年の予算編成では、「埋蔵金の活用」という手法が使われた。埋蔵金は枯渇したと言われるのだが、2011年度予算は、2010年度と同じような厳しい財源問題に直面する。他方で増税はほぼ不可能だ。こうした状況を考えると、年金積立金が埋蔵金として利用され、取り崩される恐れがある。

 まず、額が144兆円と巨額だ。しかも、取り崩したところで、当面は大きな問題は発生しない。金利変動準備金のようなものは必要ないのだ。「保険料収入が入らない場合に備える必要がある」と言われるが、144兆円にも上る積立金を少しくらい使ったところで、問題は生じないだろう。

 それに、財政検証の結果が正しければ、積立金は増え続けるのだから、取り崩したところで問題が起こらないと判断される危険がある。

 しかし、仮に上で示したように積立金が将来枯渇するのであれば、問題は大きい。取り崩してしまうと、財政破綻はより早い時点で起こる可能性があるからだ。この点からも、財政検証の楽観的な予測は問題だと言える。

■なぜ公的年金が必要なのか?
 以上で述べた計算は、「給付は財政検証のとおりに行なう」という前提で計算していることに注意が必要だ。

 実際には、このとおりの給付をしなければならない責任は政府にはない。2004年改革の本質は、「保険料を決める」ということなのであって、給付はその範囲で調整できるからだ。「所得代替率50%程度」というのは、そうなるだろうという予測なのであって、約束ではない。

 だから、給付を減額して財政収支を均衡させることは可能である。しかも、所得代替率も維持できる。なぜなら、賃金が下がるからだ。つまり、給付を財政検証の額より減額したところで、その時点の賃金との比較で言えば、年金額が少なくなるわけではない。

 ではまったく問題がないのかといえば、そんなことはない。

 なぜなら、加入者が自分で運用した場合に比べて、収益率が低くなるからだ。そもそも、人口減少社会における賦課方式年金は、本質的にこのような問題を抱えている。

 すると、「なぜ強制加入の公的年金が必要なのか?」という疑問が生じるだろう。自分で運用した場合に比べて不利になるにもかかわらず、加入を強制する合理的な理由は見当たらない(現実には、公的年金制度を廃止しようとしても、過去に徴収した保険料を全額返却するだけの積立金が存在しないので、廃止することができない。これが公的年金が存在している身も蓋もない現実的な理由なのであるが、そうした理由で国民を強制できないことは明らかだ)。

 これこそが本質的な問いである。日本の公的年金制度は、制度の基幹にかかわる問題を突きつけられているのである。

2010年4月17日 ダイヤモンドオンライン
野口悠紀雄 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授

満座の中で恥をかかされた鳩山首相

2010年04月18日 | 情報一般
花岡信昭の「我々の国家はどこに向かっているのか」
満座の中で恥をかかされた鳩山首相、国民にはもはや「ガン」か

■政治大国になろうとしなかったツケが噴出
 ワシントンで開かれた核安全保障サミットは、日米同盟関係の冷却化と日本の国際的地位の低下をもろに証明するものとなった。

 その背景にあるのが、周知の通り、米軍普天間基地の移設問題をめぐる鳩山政権の迷走だ。

 鳩山首相は自らの不用意な対応が招いた「普天間危機」によって、その政治生命を断たれようとしているかに見える。

 47カ国首脳が参加したハイレベルの国際会議となったが、全員の記念写真が日本の置かれた地位を象徴している。4列に並んで写真におさまったのだが、鳩山首相は3列目の右端である。

 日本はG8サミット(主要国首脳会議)のメンバーでありながら、こうした核をめぐる安全保障という舞台では、中央に位置することができないのである。

 世界第2の経済大国という立場は、中国にGDP(国内総生産)で追い抜かれたばかりか、トヨタがアメリカで狙い打ちされるという国際戦略の脆弱さを見せつけ、すっかり影が薄れてしまった。

 筆者はトヨタ問題について車の技術的欠陥といった問題ではなく、追い落としの策謀だと考えている。機敏に対処できなかった官民あげての対応の稚拙さを反省すべきだろう。

 経済大国の座が揺らぎ、一方で、政治大国にはなろうとしてこなかったツケが一気にここで噴出したといっていい。

■日米会談はわずか10分、米中会談の9分の1
 オバマ大統領は13カ国首脳との正式会談を行った。

 中国とは予定時間を大幅に超えて90分間の会談となった。鳩山首相とは夕食会の冒頭、10分間だけの非公式「会談」にかろうじて応じただけだ。

 オバマ大統領が「みなさん、食事をはじめていてください」と声をかけ、隣席の鳩山首相のほうへ向きなおって言葉を交わした。

 米側の精いっぱいの配慮という見方もあるが、これは満座の中で恥をかかされたようなものだ。

 「会談」で普天間の話がどこまで出たかははっきりしない。米側の発表でも「普天間」の固有名詞はなかった。

 鳩山首相は「5月末決着」を公約としてきたが、ここにいたっては、事実上、断念せざるをえないだろう。

 首相周辺からは「決着というのは、ある方向を決め、それに沿って米側との協議を続けていくこと」といった言い訳がましい声も聞こえてくる。これでは決着ではなく、ごまかしだ。

 昨年2月のできごとを思い出している。

 非公式な話だから、あまり外部では明らかにしてこなかったのだが、鳩山政権の本質を知るには参考になるかと思う。こういう状況にいたっているのだから、もう時効だろうと勝手に判断した。

■民主党政権誕生に向けた経済人主催の会合で……
 ある経済人から声がかかった。「このままいけば、民主党政権が誕生する。そのとき、どういう内外政策が必要か、多方面から集まって議論する場をつくりたい」という。

 そういう機会もおもしろいかなと思い、第1回の会合に参加した。会場は国会裏手の十全ビル。鳩山事務所のあるビルの会議室である。

 ちょっと早めに着いてしまったので、1階の喫茶店で時間をつぶしていたら、そこへ田岡俊次氏が入ってきた。朝日新聞出身の著名な軍事ジャーナリストである。筆者よりも5歳ほど年長だ。

 「あれ、田岡さんも呼ばれたの。何をどう話し合おうというんだろうね」「なんだか、よく分からないなあ」などと、双方とも首をひねった。

 田岡氏は朝日の社会部出身で、建設談合のスクープなどその取材力には定評があった。

 筆者は産経新聞出身だが、朝日と産経は基本路線が違うものの、現場の記者同士がいがみ合っているわけではない。筆者も朝日に友人知己は多い。

 田岡氏は「朝日新聞初の軍事専門記者」を目指してきたそうで、かつて防衛庁(現在の防衛省)詰めとして、ご一緒したこともある。

■元朝日記者の田岡俊次氏は防衛庁担当時の好敵手
 その当時のビッグニュースとして思い出すのが、1983年9月の大韓航空機撃墜事件である。

 慣性航法装置の入力ミスにより、大韓機がソ連(当時)領空に入りこんでしまい、サハリン沖でソ連空軍機に撃墜された。

 このとき、田岡氏も筆者も防衛庁を担当していた。夕刊の締め切りぎりぎりのきわどい時間帯であった。「サハリンに着陸」という外電ニュースが入り、どこの夕刊も「よかった、よかった」という雰囲気の紙面であった。

 その中で、かろうじて朝日と産経が「撃墜されたという情報もある」と触れた。朝日はもちろん田岡氏の取材によるのだろうと思う。しばらくして、田岡氏に確認し否定されなかったことを覚えている。

 産経は防衛庁にやたら強い先輩記者がいて、この人が自宅にいながら核心情報をつかんだ。筆者はこの先輩が社に一報を入れる直前に「サハリン着陸は間違いかもしれない。空幕のようすがどうもおかしい」とデスクに電話を入れていて、なんとか記者クラブ担当の面目を保った。

 後で聞くと、このデスクは筆者の電話が事前にあったため、その先輩の情報の精度を確信して製作工場に走り(当時は鉛の活字を使うアナログ時代で、編集局と製作局が隣接した位置にあった)、製作担当者に口で言いながら記事のリード部分を修正したという。

 余計な話になるが、フリージャーナリストの上杉隆氏らが記者クラブの横並び体質を批判している。同じ記者クラブにいても、こういうスクープ合戦が行われているのだということを知ってほしいものだ。

■鳩山氏が何を求めているのか判然としなかった
 で、鳩山事務所会議室での初会合には、30人ほどが集まった。リベラル系の政治学者などもいたが、ほとんどが企業関係者であった。

 初回なので、各自が短時間、話をしろというので、筆者は、「田岡氏と外交、安全保障問題を議論するのは結構だが、路線の違いは明白で(田岡氏は対米追随批判派、筆者は日米同盟重視派といえた)、いくら話し合ってもかみ合わないと思う。それでいいのかどうか」といった提起をした。

 途中で休憩が入ったので、鳩山氏に「そういうことですから……」と、考えを聞こうと声をかけたのだが、ぐっとこちらをにらみつけているだけで、何も言わなかった。

 初回会合が終わって、近くの中華料理店に場所を移し、会費制で懇親会も行ったが、筆者の提起に対して、だれからも話はなかった。

 その後、この会合に出るのはやめた。出席すると数時間も拘束されるので時間の調整がつかなかったこともさることながら、鳩山氏が何を求めているのか判然としなかったためだ。

 いま考えると、両論併記でもいいから、日米同盟や外交・安全保障の基軸となるべき考え方をまとめるべく、無理をしてでも出席していたほうがよかったかなとも思う。

 もっとも、「友愛」を先頭に押し立てたのでは、現実的な外交・安保政策は確立しようがない。外交とは、手で握手しながら、足でけり上げるといったたぐいの権謀術数の世界だ。

 鳩山首相のそうした「あやうさ」は政権発足当時から指摘されていたのだが、やはりその通りになった。

■米「サギ」、中「カモ」、日「ガン」、その鳥の正体は?
 普天間移設問題では、すでに4年前に日米間で名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部にV字型滑走路をつくるという合意ができている。

 鳩山首相は政治的な巧みさを見せようとしたら、「不本意ではあるが日米合意ができている。国家間の合意なのでこれを踏襲せざるを得ない」という態度を取るべきであった。

 これが政治の知恵というものだ。

 それが「沖縄県民のみなさまのお声を踏まえて」とやったものだから、20年前の状況に戻ってしまった。移設受け入れを容認していた名護市では反対派の市長が誕生した。

 その後の迷走ぶりはもう言葉にならない。キャンプ・シュワブ陸上部への移設案、ホワイトビーチ沖埋め立て案、さらには徳之島などへの分散移転など、さまざまな移設案が飛び交った。

 鳩山首相は「トラスト・ミー」とオバマ大統領に明言し、「腹案がある」と大ミエを切った。現地に自ら乗り込んで説得するといった場面はなかった。

 永田町にはざれ歌が流行している。バージョンはいくつもあるが「永田町には奇怪な鳥がいる」というものだ。

 この鳥はアメリカには「サギ」、中国には「カモ」と見られているが、本人は「ハト」だと言っているものの、日本人には「ガン」として受け取られている、といった内容だ。

 半年前の衆院総選挙圧勝がウソに思えるほど、悪しざまに言われる首相となってしまった。

 自民党内には「追い詰められて、やぶれかぶれの衆院解散に打って出ないともかぎらない」と衆参ダブル選挙を懸念する声が急浮上している。

2010年4月14日 日経BP

民主 首相退陣論が現実味

2010年04月18日 | ニュース政治
首相退陣論が現実味=参院選へ動揺広がる-民主

 時事通信社の4月世論調査で鳩山内閣の支持率が23.7%にまで落ち込んだことで、民主党内では16日、動揺が広がった。懸案の米軍普天間飛行場移設問題で、鳩山由紀夫首相が約束の「5月決着」を果たせなければ、さらに支持率は低下しかねない。参院選を前にした首相退陣が、現実味を持って語られ始めた。

 「参院選マニフェスト(政権公約)の表紙(に載せる顔)をどうするかという話になってくる」。あるベテラン議員は、いずれ「鳩山降ろし」の動きが出てくると指摘。若手の一人は「参院選では与党での過半数獲得も厳しい」と危機感をあらわにし、党幹部も「政権の末期症状」と厳しい現状を認めた。

 ただ、小沢一郎幹事長や菅直人副総理兼財務相ら政府・民主党の実力者は、鳩山首相の下で政権浮揚を図り、参院選を乗り切ることを想定しているとされる。不人気を理由に首相を交代していては、「自民党政権と同じになってしまう」(幹部)などの理由からだ。輿石東参院議員会長は「政策実現に頑張るだけだ」と、首相を支える姿勢を強調した。しかし、難問が山積し、支持率を大きく押し上げる要素が見当たらないのも実情だ。

 一方、政権への逆風が日ごとに強まるのに伴い、小沢氏の進退をめぐる「小沢系対非小沢系」の駆け引きは沈静化しつつある。党内で主導権争いなどやっていられないほど、取り巻く状況が悪化した結果だ。党関係者は「小沢幹事長が交代しても、有権者の支持は戻らない」と分析する。党内で小沢氏の進退に言及するのはもはや、ベテランの渡部恒三元衆院副議長ぐらいだ。

 こうした中、鳩山首相自身は政権維持になお強い意欲をもっているようだ。先のワシントンでのメドベージェフ・ロシア大統領との会談で、領土問題の進展を目指し、年内に3回の首脳会談を開くことで合意している。政府内の一部からは、普天間問題の決着が先送りになった場合、「首相に責任が及ぶのを回避するため、平野博文官房長官が辞める」(関係者)との観測も漏れる。

 「国会に提出している法案を成立させ、政策遂行につなげる」。平野長官は記者会見で、支持率低下について聞かれ、厳しい表情でコメントした。

2010/04/16 時事通信

宇宙からみる地球温暖化

2010年04月18日 | 新聞案内人
宇宙からみる地球温暖化

 「宇宙から」とはそもそも大げさだが、そのこころは2つある。

 ひとつはこの銀河系宇宙を支配している物理学的な原理に則った視野が必要ということであり、もう一つは、地球を外から見る視野が必要だということである。

 こんなレベルの話をしなければならない状況がでてきた。これまで気候変動の科学的根拠を提供してきたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が崩壊しつつあるといった報道が海外を中心に昨年からあった。それがとうとう日本でも、一部科学者からの意見が学術誌だけでなく、週刊誌などでも表明されはじめているからである。

○データ捏造の疑い

 もともとは、温度データの捏造に近い行為があったという英国の事件が発端である。それに加えて、今年になってから、「2035年にはヒマラヤの氷河が消滅する」という極論を述べたインド人科学者のインタービュー記事がNPOによって引用され、それがIPCCの第4次報告書において、気候変動による危機をことさら強調するために使われた、と批判される事件が起きた。

 そもそもNPOの発表のような科学的審査を経ていない記述を引用することが起きたこと自体、いかにローカルな状況に関する科学的データが少ないという状況があったとはいえ、IPCCがもつべき科学性に反する行為だった。

 温度データの捏造に近い行為だが、ハッカーの攻撃によって英国で気候研究者の電子メールの一部が外部に流出。一部のデータの真偽が疑われる事態になった。

 一般論だが、科学論文における完全な捏造は多いとも言えないが、ゼロではない。あることの重大性を極端に強調する行為は、科学界でも比較的頻繁に行われることである。

 韓国のクローン技術の世界的権威であった黄禹錫(ファン・ウソク)教授がES細胞に関して論文を捏造したという事件は、極めて衝撃的であった。

 もっと身近な例もある。ダイオキシンの毒性も、メディアの増幅作用によって一般市民は現実のリスクの数万倍も脅かされた。その増幅に、一部の科学者が関わったことは事実である。環境ホルモンについても状況は類似していた。現時点では、さすがにダイオキシンが怖いという報道はなくなった。

○疑惑論文は少数

 今回の事件で、気候変動を専門とする研究者にも、さまざまなタイプがいることが暴露された。しかし、だからといって、気候変動問題の全体が捏造であると言えるのだろうか。この問題で、IPCCの権威は一部失われたと言えるが、捏造を疑われる論文などは極めて例外的である。

 そもそもIPCCが第4次報告書で引用している科学文献の総数だが、多すぎて数え切れないほどである。最初の数節を見ただけの感触だが、総数は1万件をはるかに超すのではないか。その内の1%が妙だとしたら、100件が問題になるが、現時点では、0.1%レベルなのではないだろうか。

 このような問題をどう見るべきなのだろうか。そこには、やはり宇宙的視点が不可欠だと思う。

 日本でも数名の学者が、「IPCCは崩壊した」と指摘しているが、その数名の主張を批判的に解析してみると、どうしても理解できない部分がある。大別して2つになるだろうか。

 一つは、赤外線を吸収するという分子としての特性から、そもそも温室効果ガスであることが確実な二酸化炭素である。それを化石燃料を燃やし大量に大気中に放出して、たとえば大気中の濃度が2倍になっても、本当に温度が上昇しないのか。

 その可能性を否定することは、この宇宙を支配している物理学的な原理原則に照らしておかしい。実際にどのぐらい上昇するか、という定量的な話に不確実性はまだまだ存在するし、地球の揺らぎが大きいのも事実なのだが、全面否定ができるはずはない。

○気象モデルを全否定していいのか

 二つ目であるが、IPCCによる気温の未来予測は、気候モデルを使ったシミュレーション計算を根拠にしている。第4次報告書では、主として先進国に存在する23の研究グループのデータが引用されている。

 ある学者はこう主張する。コンピュータ用のモデルは、いかようにも作ることができる。だから偽物である。

 しかし、このロジックの妙ではないか。

 気候モデルは、流れに関する物理的な表現であるナビエ・ストークス方程式と呼ばれる式を、スパコンを使って解いている。筆者の理解を遙かに超す難解な代物であるが、基本的に、ニュートン力学の範囲内にある方程式である。

 地球規模の計算を行おうとすると、様々な近似が必要になるため、研究グループによって、温度変化の計算結果は少しずつ違う。しかし、大筋では一致している。すなわち、大気中の二酸化炭素の濃度が増加すれば、地球の平均気温は高くなるといういう共通の結論になっている。

 IPCCが引用した気候モデルをすべて単なるインチキだと主張することは、ニュートン力学がこの宇宙では成立していないと主張することと同じである。

 大体、23の研究グループが、談合してインチキを行うと考えているのだろうか。これは、気象学者が科学者であることを否定する言質である。このあたりの見解を是非聞きたいものである。

 話を次に進めたい。「地球を外から見る」ことの必要性である。検討すべきことは、日本政府の25%削減計画である。

 2020年の中期目標である25%削減については、いわゆる国内だけで削減する真水分について、まだ最終決定が行われた訳ではない。

 つい先日、中長期ロードマップが発表され、そこでも、真水の削減として15%、20%、25%という3種類のシナリオが検討されている。これらはどのように違うのだろうか。

 真水分が多ければ多いほど、当然のことながら、国民の負担は大きくなる。経済は成長するのか、それとも減速するのかこれまで詳細には検討されていかなったが、中長期ロードマップには、日本国内の経済モデルによる検討結果が含まれている。

 それによれば、国内で太陽電池や太陽熱、さらには風力発電や大規模蓄電池などの市場が大きくなるだろうから、ある程度の経済拡大効果を見込める、となっている。しかし、電気代などは必ず高くなることだろう。

 いずれにしても、この検討では日本国内にしか視点が向いていない。15%を国内で、10%を国外で削減した場合の経済効果などとなると、検討を行うのが極めて難しいからである。

○技術貢献で排出量削減

 もう一つの文書である新成長戦略には、日本の技術的な貢献によって、世界の排出量を13億トン分減らすと書いてある。

 こちらは、地球を外から見ている発想で、その意味ではすばらしい。

 地球レベルで持続可能になるためには、次のステップしか答えはなさそうに思う。(1)途上国の経済成長、(2)教育志向が高まる、(3)出生率が低下、(4)世界人口が2050年に80億強でピーク--である。

 これを実現するには、日本の省エネ技術が途上国で使われるようになり、少ないエネルギー使用量で途上国の経済成長が実現されると同時に排出量はある程度抑えられる、という貢献が求められている。

 当然のことながら、日本への経済的な見返りも期待できることだろう。

 技術移転による排出量の削減の総量を算出するこは不可能に近いだろうが、もし日本からの排出量である13億トン分に近い値を実現したと主張できれば、宇宙から見た場合でも貢献をしたと言えるだろう。

○視点の転換

 内田樹氏のベストセラー「日本辺境論」によれば、日本人の特性として、決して「私たちは国際社会のために何ができるのか」と考えない。

 その反対に、自分の周囲1メートル程度の範囲内で環境問題を語ることは、日本人の得意とするところである。その最たる例がゴミの分別であった。

 しかし、地球温暖化を理解し、正しい対応をするには、どうも、視点を地球の外に移すぐらいのマインドを持つことが必須のように思える。

2010年04月13日 新聞案内人
安井 至 (独)製品評価技術基盤機構理事長、東大名誉教授

変容する“盆栽司法”

2010年04月18日 | 社説
変容する“盆栽司法” 週のはじめに考える

 有罪であることの確認から有罪か無罪かの判定へ-日本の司法文化が変わり始めました。多くの国民が意識を転換して変革の一翼を担いたいものです。

 「盆栽の上にかがむような姿勢で剪定(せんてい)し枝ぶりを整える。結果に満足し、鉢から離れて眺めると奇妙な形に見えることがある」-大学教授から最高裁判事に転じた人物が書いた随筆の核心です。

 専門家の視野が狭くなりがちなことを自戒し、幅広く多様な視点の必要性を指摘したのです。

 別の刑事法学者は有罪率99%という実態をもとに「日本の裁判所は有罪であることを確認するところだ」と嘆きました。

○検察官が握る起訴権限

 刑事法学者の念頭には、有罪率がもっと低く、有罪か無罪かを分けるところとされる欧米の裁判所がありました。

 二人の指摘から二つの問題意識が浮かびます。一つは「裁判で無罪になるべき人が無罪になっていないのではないか」です。足利事件のような事例に直面すると、なおさらその感を強くします。 

 ほかは「有罪になるかもしれない人がもっといるのに起訴されていないのでは」というものです。

 ここではまず後者の疑問から考えましょう。

 日本では疑わしい人を起訴して裁判にかけるかどうかの権限は検察官が握り、原則として検察官の積極的判断がなければ刑事責任を追及できません。その検察官は慎重で、有罪判決が確実と考えられなければ起訴しません。

 さらに、有罪の可能性が高くても事情によっては起訴しない権限も検察官にはあり、かなりの人が裁判を受けずにすみます。

 「検察官が事実上の裁判官だ」と自著に書いたのは、日本通のオランダ人ジャーナリスト、カレル・ウォルフレン氏です。「検察官司法」という評もあります。

○改革で壁にあいた風穴

 検察の判断と国民意識や被害者感情などが合致していれば、これで問題はありませんが、両者間の乖離(かいり)があまり開くと社会の安定が揺らぎます。

 犠牲者五百二十人を出した日航ジャンボ機の整備ミス、共産党幹部宅の電話盗聴、金丸信・元自民党副総裁の政治資金ばらまき…不起訴決定に世論が激しく反発した例はたくさんありました。

 市民代表による検察審査会が証拠を調べ、起訴すべしと議決しても、強制力がなかったのです。

 司法改革はその壁に風穴をあけました。審査会が「起訴相当」と二回議決すれば強制的に起訴されることになったからです。

 今年一月には、兵庫県明石市の花火大会における歩道橋事故(二〇〇一年)に関し元警察副署長が強制起訴されることが決まりました。続いて三月には、〇五年の尼崎JR脱線事故をめぐりJR西日本の歴代三社長の強制起訴も議決されました。

 裁判に市民感覚を反映させるための裁判員制度は既に順調に機能しています。戦前・戦中に行われた、市民だけの陪審裁判では無罪率が職業裁判官より高かったので、裁判員の参加で日本の裁判所も「有罪か無罪かを判定するところ」に変わるかもしれません。

 それに加えて、市民が起訴するシステムが動きだしたのです。専門家任せだった日本の司法文化は大きく変容するでしょう。

 欧米では「有罪の見込みが51%あれば起訴せよ」と言われるほどです。捜査機関という密室で事件に終止符を打つのではなく、開かれた場である法廷で決着をつけるべきだとの考えからです。そのかわり無罪になる率は高く、40%に達することもあるといわれます。

 日本の検察が起訴を絞るのは、起訴された被告人の負担がとても重いからでもあります。心労、仕事や社会生活への支障、弁護料その他の経済的負担…無罪になっても取り返しはつきません。

 市民感覚の反映で起訴の幅を広げるだけでなく、被告人の負担を軽くする工夫が必要です。

 市民感覚による起訴であっても直ちに有罪と決めつけず、有罪か否かは証拠と法に基づき厳密に判断すべきです。被害者感情を生のまま反映させるのは危険です。

 強制起訴しても無罪になることもあるでしょう。有罪判決が確定するまではあくまでも被告人を無罪として扱うよう、意識転換しなければなりません。

○統治主体者の重い責任

 正義はあらかじめ決まっているもの、あるいは誰かに決めてもらうものと考えがちですが、自分たちで決めることが憲法の大原則である「国民主権」にかないます。

 どんな社会をつくり上げるか、私たちには統治主体者として決める権利と重い責任があります。司法における正義を判断し実現する責任を担うのもそのためです。

2010年4月18日 中日新聞 社説

4/18中日春秋

2010年04月18日 | コラム
4/18中日春秋

 フォークソングの名曲「なごり雪」のキーワードは、<季節外れの雪>。四月から始まる新しい生活を前にした別れのシーンが目に浮かぶが、桜が散った後に降る雪は季節外れの風情よりも、自然の変調が気にかかる

ここ数日の日本列島は冬に戻ったような寒さだった。関東地方などではきのう雪が降り、都心もうっすらと雪化粧。最も遅く雪が降った日に四十一年ぶりに並ぶという記録もできた

北からの寒気と南からの暖気がぶつかり、不安定な気候になりやすいのが四月の気候の特徴だが、今年は特に寒暖の差が激しい。日照不足により、野菜の生育が悪く暮らしにも影響が出ている

世界に目を向けると、アイスランドでは火山が噴火した。火山灰の影響で、欧州各国の空港は軒並み閉鎖中だ。世界規模で多数の便が欠航を余儀なくされるのは二〇〇一年の米中枢同時テロ以来という

中国青海省の大地震は、貧しいチベット族の住む地域を直撃し千三百人以上の死者を出した。三カ月余りでハイチ、チリに続く大地震だ。地球の内で何が起きているのだろうか

「地球も私たちも宇宙の一部なのだなと実感しました」。国際宇宙ステーションに滞在した宇宙飛行士の山崎直子さんは語った。大地震が起きるたびに無力感に襲われるが、私たちは地球からは逃れられない。自然の脅威と正面から向き合うしかない。

火山灰、南欧にも広がる 政治への影響も拡大

2010年04月18日 | ニュース一般
火山灰、南欧にも広がる=23カ国で空港閉鎖・飛行禁止-政治への影響も拡大

 【ベルリン時事】アイスランド火山噴火の航空網への影響は17日、イタリアやクロアチア、セルビア、ルーマニアをはじめとする南欧やバルカン諸国にまで及び、23カ国が飛行禁止空域の設定や空港閉鎖などの措置を取った。

 火山灰は東方にも広がっており、ベラルーシで一部の旅客便が欠航した。一方、西欧でも事態は改善されず、ロンドンのヒースロー空港、パリのシャルル・ドゴール空港、ドイツのフランクフルト空港の欧州三大空港は、閉鎖されたままとなっている。

 欧州航空管制機関ユーロコントロール(本部ブリュッセル)によると、1万7600便が運航を取りやめた16日に続き、17日も1万7000便が欠航となる見込み。同機関は、少なくとも18日午前までは火山灰の影響が続くとの見通しを示した。

 日中両国がスペインで17、18の両日開かれるアジア欧州会議(ASEM)財務相会合への出席を見送るなど、政治への影響も拡大。アフガニスタンを訪問していたドイツのグッテンベルク国防相は帰国できず、急きょトルコのイスタンブールに立ち寄った。

4月18日0時17分 時事通信

ゴールドマン訴追 金融危機解明の弾みに

2010年04月18日 | 社説
ゴールドマン訴追 金融危機解明の弾みに

 世界経済を恐慌のふちまで追い込んだ米国発金融危機。その過程で誰が不当なもうけを得、何がそれを可能にしたのか--。全容解明までには道のりがありそうだが、一つの重要な糸口となり得る動きがあった。

 米国の証券取引委員会(SEC)が、ウォール街きっての有力投資銀行、ゴールドマン・サックスを証券詐欺の疑いで訴追したのである。住宅バブル崩壊後、SECが金融機関に対して今回のような措置をとるのは初めてのことだ。

 SECの訴追を受け、ゴールドマン株の時価総額は瞬時にして約1兆2000億円も吹っ飛んだ。衝撃の大きさを物語っているわけだが、ゴールドマンに限らず、今後同様の訴追や処分が相次ぐ可能性がある。日本も大いに関係する金融規制強化や危機再発防止策の議論に影響が及ぶのは間違いなく、今後の展開を注視したい。

 SECによるとゴールドマンは、将来の価格暴落を十分予知しながら、信用力の低い借り手向けの住宅ローン(サブプライムローン)を組み込んだ投資商品を投資家に販売した。その商品設計には、顧客だった有力ヘッジファンドが関与し、焦げ付く可能性が高そうなローンを多く組み込んだのだという。

 このヘッジファンドは投資商品の暴落を見越して空売りをかけると同時に、暴落すれば元本が受け取れる保険もかけていたことから、最終的に1000億円近い利益を得た。ゴールドマンには手数料が入った。しかし背景を知らされず値上がりを信じて購入した投資家が大損した。

 単純化して例えると、こうなる。ゴールドマンはヘッジファンドという名の車両技術者が細工した欠陥ブレーキ付き自動車を販売、車両技術者は車が事故を起こすたびに保険金を受け取れる手続きをとっており、結果的に大もうけした。

 ゴールドマンは訴追内容を全面否定し、当局と争う構えだ。これから法廷で真相が明らかになることを期待したい。ただ、金融危機を一握りの有名金融機関による悪行の結果だと片づけ、非難して幕引き、とするわけにはいかない。特定の金融商品を規制すれば済む問題でもない。

 世界は何十年に1度というスケールの危機を経験した。痛みは随所に残っている。それだけに、再発を許さない堅固な規制・監督の枠組みを築くことが米国をはじめ主要国の政府や立法府に課されている。

 そのためには金融危機に至った過程をめぐる冷静で徹底した事実関係の究明と分析が不可欠だ。何より震源地となった米国で、訴追を機に全容解明に向けた努力が加速することを望みたい。

2010年4月18日 毎日新聞 社説

4/18編集手帳

2010年04月18日 | コラム
4/18編集手帳

 江戸時代も「就活」は厳しかったようである。旗本の子弟で学問や武芸に励んでいても、なかなか望むように就職することは難しかったらしい。

 東京・北の丸公園にある国立公文書館が興味深い資料を公開している。22日まで開催中の「幕臣たちの実像」と銘打った特別展だ。就職活動のエピソードは、森山孝盛という旗本が書き残した「蜑(あま)の焼藻(たくも)の記」にある。

 役職に就くには、幕府の重役が江戸城に出勤する前に屋敷を訪ねて、自分を売り込むことが必須だったそうだ。その慣行は「対客登城前(たいきゃくとじょうまえ)」と呼ばれていた。日に三度も押しかける猛者もいたというから涙ぐましい。

 婚姻届にあたる「縁組願之留(えんぐみねがいのとめ)」を見ると意外に再婚同士の例も多く、必ずしも添い遂げる夫婦ばかりではなかったようだ。親を介護するための「看病断(かんびょうことわり)」という休暇届や、勤務ダイヤを代わってくれた同僚への礼状などもあった。

 当節、就職難や家族のあり方、介護のことなど、山積する難題を何とかしないといけないのだけれど、古(いにしえ)のサラリーマンたちの等身大の姿に、あぁ昔から人生の諸問題は変わらぬ、と少しばかり気楽にはなる。

低温続きで異例の商戦 冬物も復活

2010年04月18日 | ニュース一般
低温続きで異例の商戦 コートや毛布、冬物も復活

 天候不順で4月になっても低温が続き、大手百貨店などではコート、上着、毛布類が再び売れ始めた。コンビニエンスストアの一部では、温かい蒸しパンやホットドッグが好調。冬物商品の一部が復活し、春物と並んで店頭に置かれる異例の商戦が続いている。

 東京・日本橋の高島屋東京店では、婦人用のコートの売れ行きが伸びている。折り畳んでバッグに入れられる薄くて軽い春物コートが中心で、3万~7万円台の商品が売れ筋という。

 雨具として使える商品も投入し、4月に入ってからの春物コートの売上高は、前年の同じ時期と比べ約2倍になっている。消費不況が続いているだけに「気温の低さが幸いしている。うれしい誤算だ」(高島屋)と張り切っている。

 ディスカウント店大手ドン・キホーテでは、4月前半の毛布類の売り上げが前年同期の約3倍に膨らんだ。「千円程度の価格の商品がよく売れている」という。通常は冬によく売れる保湿クリームも引き続き好調。スーパーでは、ポン酢など鍋物用の食品が売れる日も多い。

2010/04/17 共同通信

教員人事権移譲 優秀な先生確保なら歓迎

2010年04月18日 | 社説
教員人事権移譲 優秀な先生確保なら歓迎

 文部科学省が、公立小中学校の教員の人事権を都道府県教育委員会から市町村教委に移すことを認める方針を示した。

 大阪府の橋下徹知事の要請を受けたものだが、人事権移譲を含め教育の地方分権には課題が少なくない。今後、他の自治体にも広がる可能性も視野に、文科省には改めて慎重な判断と検討を求めたい。

 教育の地方分権では、いじめ問題や一部教職員組合が進める偏向教育などに対し、教委が適切な指導を行えず、公教育への不信を招いた事例も多い。権限移譲には当然、責任が伴い、教委の指導力が問われる。

 大阪府の場合は、豊中、池田など北部3市2町が広域連携を組み、府が条例を設けて教員人事権を移譲する。教員採用や異動、配置、懲戒など政令市並みに人事権が与えられることになる。

 人事権移譲は、市町村教委が都道府県教委に要望・相談する手間が減り、地域で進めようとする教育目標に沿って教員配置を機動的に行える利点がある。

 一方で、山間地域など小規模の教委からは「いい先生が集まらなくなる」などとする反対意見もある。現場教員を指導する指導主事などの人材確保も課題だ。大阪府の事例でも広域連携を組むことで実現の方向となった。

 優秀な教員の確保は教育再生の決め手だ。東京都杉並区のように師範塾を設け、独自に教員養成などに取り組む自治体もある。権限移譲で教員の育成、教育内容改善へ競争が進むことは歓迎だが、教委の熱意や指導力によって地域差が広がる可能性はある。

 教委の実力が問われる半面、心配なのは教委自体の閉鎖的な体質だ。過去には、教職員組合とのなれ合いから偏向教育を放置し、旧文部省の改善指導を受けた広島県の事例もある。

 いじめ問題の放置など教委のことなかれ体質にも批判が起きた。3年前の教育再生3法改正で、教委活性化とともに国の是正権限を明確にしたのもこのためだ。違法な選挙運動や偏向教育が発覚した北海道教職員組合のような問題に教委が毅然(きぜん)とした指導力を発揮できるか注視する必要がある。

 また権限移譲には、保護者や地域住民に情報公開を適切に行うことが欠かせない。全国学力テストの市町村別や学校別の成績公表に反対するような教委の体質を改めねば権限は移譲できまい。

2010.4.18 産経新聞 主張

4/18余禄

2010年04月18日 | コラム
4/18余禄「1Q84」

 さぬきうどんブームが最盛期のころ、高松に勤務していた。香川県内のうどん店は700以上と言われ、どれだけの店を食べ歩いたかを競うファンもあった。看板もない店を苦労して探し当て、畑から自分でネギを取ってきて刻んだりすることも「通」の条件だ。

 だが、実はもう一つ別のブームが静かに広がっていた。村上春樹さんの小説「海辺のカフカ」ゆかりの地を訪ねることだ。彫刻家を父に持つ15歳の主人公が家出し、夜行バスで向かったのが高松だった。少年が腹ごしらえをした駅近くのうどん店や、しばらく身を寄せた図書館など、小説の舞台を探し歩くのである。

 もちろん実際には存在しない架空の場所である。しかし、本を手にした何人もの若者に「小説にある甲村記念図書館のモデルはどこですか」と尋ねられたというのが、地元書店員の証言だった。

 あれから8年近く。村上さんの長編小説「1Q84」第3巻が発売された。昨年の1、2巻と同様、発売前から増刷されるほどの人気である。一部書店で午前0時の発売を待つファンの列ができたという。

 電子書籍も読める端末「iPad」が米国で発売されたときの光景と重なる。生産が追いつかず、日本での発売が延期された。先輩格の「キンドル」と共に出版界を揺るがす黒船とうわさされている。

 ネットで電子書籍が流通する時代になれば「増刷」も「絶版」も死語になるだろう。GPS機能付き読書端末に案内され、小説の舞台をたどるファンも現れるに違いない。だがどんな時代でも、物語の世界に読者をいざなうのは作家の想像力である。それだけは永遠に変わるまい。