【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
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仙谷VS小沢、そして鳩山首相の落ち着きの謎

2010年04月25日 | 情報一般
田原総一朗の政財界「ここだけの話」
仙谷VS小沢、そして鳩山首相の落ち着きの謎

 鳩山内閣の支持率がどんどん落ちている。前回の本連載でも書いたが、最新の世論調査では時事通信が23.7%、朝日新聞が25%となった。30%を大きく切り、明らかに危険水域に入っている。

■政権に慣れていない民主党の慌てふためき
 そして危険水域に入ったため、民主党議員たちが皆、ゆとりをなくしている。非常に慌てふためいている、と言ってもいい。

 その一つの現象が仙谷由人国家戦略相の発言をめぐる動きである。

 仙谷さんは4月16日、ある番組の収録で、鳩山由紀夫首相が夏の参議院選挙前に退陣した場合、「ダブル(選挙)で問う可能性が論理的にはある」と述べた。

 政府・民主党内で波紋を広げたこの仙谷発言は、私は合理性があると考える。なぜか。それについて最初に述べる。

 鳩山首相は普天間問題を5月末までに決着すると繰り返し言っているが、現在わけの分からない状態に陥っている。このままいけば確実に支持率はさらに下がるだろう。仮に20%を切ることになったら、「鳩山内閣は信用できない」と国民が判断し見捨てることになる。

 自民党政権時代は、支持率が落ちてくると必ず総理大臣を代えた。総理大臣を代えることで難局を切り抜けてきた。

 ところが、初めて政権を取った民主党は政権運営に慣れていないため、どうしたらいいかわからない。鳩山さんを代えようという声も党内から出てこない。

 このまま突き進めば、行き着く先は二つしかない。鳩山さんが辞めるか、あるいは衆議院の解散だ。

 もし鳩山さんが辞める場合は当然、平野博文官房長官も共同責任を取って辞めなければならない。小沢一郎幹事長も辞めざるを得なくなる。

■仙谷氏のダブル選発言に反発した官房長官と幹事長
 だが、小沢さんは多分辞めないだろう。いや、辞められない。政治資金規正法違反事件で起訴されるのが怖いからだ。

 「政治とカネ」の問題をめぐり小沢さんは幹事長だから起訴されなかった。鳩山さんも総理大臣だから脱税に問われなかった。もし幹事長を辞めれば、小沢さんは起訴されることになるかもしれない。そう考えるからこそ辞めることができない。

 となると、仙谷さんが言ったように衆参のダブル選挙になる可能性が出てくる。

 ところが、仙谷さんの発言に対して、平野さんが19日の記者会見で「閣僚でも同日選とかいろいろ言っているがまったく論外だ。閣僚が首相の専権事項に触れることはあり得ない」と批判した。平野さんにしてみれば、「冗談じゃない。第一、仙谷氏にはそう言う資格はない」と気持ちだったに違いない。

 小沢さんも19日、「外の敵は怖くない。中でごたごたしてはいけない。団結を保つことで有効な政策が実行できる」と語り、解散などあり得ないとの考えを述べた。

■表面化してきた小沢氏と仙谷氏の対立
 このところ、小沢さんと仙谷さんの対立がはっきりと表に出てきている。たとえば、次の二つの出来事が象徴的である。

 まず、仙谷さんの「マニフェストを変えたほうがよいのではないか」という姿勢をめぐる動き。

 昨年の衆議院選挙の際、民主党は、自民党の予算にはムダが多い、そのムダを省けば子ども手当や高校無償化、あるいは農家の戸別所得補償や高速道路の無料化を実施するための財源は確保できると主張した。

 自民党時代のムダづかいを洗い出せば初年度(平成22年度)で7兆1000億円が引き出せると民主党は言った。ところが、あの事業仕分けによって出てきたムダはどれほどであったか。たったの7000億円だ。

 その結果、バラマキは国債発行による借金でまかなわざるを得なくなった。2010度予算は37兆円の税収に対して歳出が92兆円。歳出が税収をはるかに上回る異常な予算である。

 だから、仙谷さんはバラマキ批判のある衆院選マニフェストの修正を望んでいた。仙谷さんのこの考えには合理性がある。

 ところがこれに対して、小沢さんは12日の記者会見で「半年で基本が変わるのはとても国民が納得しない」と語り、マニフェストの見直しは必要ないとした。

 これは明らかに小沢さんの苛立ちの表れだろう。

 つまり民主党政権内で今、仙谷さんの力がどんどん強まっている。鳩山さんも仙谷さんを頼りにしている。現に5月1日の上海万博開会式には、鳩山さんの代わりに仙谷さんが出席することになっているという。

 仙谷さんの力が強まってゆくのは、小沢さんにしてみれば不愉快きわまりないことだ。だから、マニフェストの修正を望んでいた仙谷さんに対し、小沢さんがその必要はないとしたのは「反仙谷」の姿勢をあらわにしたものであろう。

■ダブル選挙を真っ向から否定する小沢氏
 もう一つは、ダブル選挙を小沢さんが真っ向から否定したことだ。小沢さんは19日、「衆議院は常在戦場というけれど、参院選と同日選というのはあり得ない」と述べている。

 こうした小沢さんや平野さんの反応は、民主党幹部らにゆとりがないことを示している。ゆとりがあるならば、即座に否定するようなことは言わないはずだ。

 民主党が追いつめられている最大の理由は何か。言うまでもなく、普天間問題だ。

 鳩山さんは繰り返し、普天間問題は5月中に決着をつけると述べている。今月米国ワシントンで行われた核安全保障サミットでの非公式会談でも、オバマ大統領に対して、鳩山さんはそう念を押した。だが新聞各紙に書かれているように、5月中決着の見込みはほとんどない。

 いったい鳩山さんは何を考えているのか。普天間問題をどういう方向へ持って行くのか。民主党内は、周章狼狽である。

 だがそんな中で、慌てていない人がいる。鳩山さんである。

■異様にも思える鳩山首相の落ち着き、その謎を解く
 鳩山さんは19日、映画『おとうと』の監督・山田洋次氏と長時間、話をしている。あるいは17日、雨降りしきる中で「桜を見る会」を東京・新宿御苑で主催し、「雨のときに集まってくれる友こそが真の友だ」などと語っている。

 民主党の誰もが周章狼狽している中、鳩山さんただ一人が落ち着いている。本来なら、最も慌てなくてはいけない人ではないか。一体なぜか。異様にも思える鳩山さんの落ち着きは今、大きな謎だ。

 私は、鳩山さんは次のように考えているのではないかと思う。謎解きをしてみる。

 日本の米軍基地の75%が沖縄にある。沖縄には迷惑をかけっぱなしだ。なるべくその負担を減らしたい。普天間基地は街中にあって非常に危険だから、自民党は辺野古(沖縄県名護市)への移転を決めていた。

 だが、冗談じゃない。辺野古は沖縄県内ではないか。これ以上、沖縄県民に迷惑をかけられない。昨年の衆議院選挙の際、「県外」あるいは「国外」を移設先に挙げたのはそのためだ。

 新聞各紙は、ぶれてぶれて、ぶれまくっている、と書く。しかし、私はまったくぶれていない。米軍キャンプ・シュワブ(名護市辺野古)やホワイトビーチ(うるま市)、あるいは普天間凍結など、民主党内からさまざまな意見が出ているではないか、と指摘されるが、それは私の気持ちを理解していない人が勝手に言っているだけだ。あるいは、マスコミが勝手に報道しているだけだ。私は一貫して県外だと言っている……。

 おそらく、鳩山さんはこのように言いたいのではないか。

 では、鳩山さんは移設先をどこに考えているのか。それは鹿児島県の徳之島ではないかと思う。ところが、徳之島では18日に1万5000人を超える大規模な反対集会が開かれた。しかも、滝野欣弥官房副長官が20日、3町長(大久保明・伊仙町長、大久幸助・天城町長、高岡秀規・徳之島町長)に電話をかけ、平野官房長官との会談を要請したが、あっさりと断られた。鹿児島県の伊藤祐一郎知事も反対している。

 このような状況では、徳之島で決着できるわけがないではないか。だから各紙は「徳之島案は厳しい、絶望的」と報じている。

■おおらかなのか、現実離れしているのか
 しかし、鳩山さんの心中はこうだろう。

 「沖縄にこれ以上、迷惑をかけたくない」と考えているのは国民の皆さんも同じ。今は徳之島の方々は大反対だ。しかし、私が誠意を持って説明すれば、きっと理解してくれるに違いない……。

 以上のように推測しない限り、鳩山さんがこの土壇場にきてもなお平然としていることが私には理解できない。普通の人ならノイローゼになってしまうところだ。でも鳩山さんはならない。何しろ「宇宙人」なのだから。

 鳩山さんは、銀の匙(さじ)をくわえて生まれてきた。そして、銀の匙をくわえっぱなしで「雲上人」となった。ある意味ではおおらかであるし、ある意味では現実離れしていると言えるだろう。

 この土壇場に追いつめられ、誰もが狼狽しているにもかかわらず、あの異様な落ち着きぶり。それは、こうでも考えないと理解できないのである。

2010年4月22日 日経BP

国交相が伊丹統合案を提示

2010年04月25日 | ニュース政治
国交相が伊丹統合案を提示 橋下知事「方向性は一致」

 前原誠司国土交通相は25日、兵庫県西宮市で橋下徹大阪府知事と会談、大阪(伊丹)空港を株式会社化し、関西空港と経営を統合、両空港の事業運営権を民間に売却して関空の負債圧縮に充てる案を提示した。

 会談後、橋下知事は「売却額については認識の差があったが、方向性は一致団結してやっていけると感じた」と語った。前原氏は「関空と伊丹を一体的に考え、統合活用する案を話した。(橋下知事から)宿題ももらった」と述べた。

 国交省案は、現在、国が管理している大阪空港を、第三セクターが経営する空港ビルも含めて株式会社化。国が100%出資する持ち株会社が、この会社と関西国際空港会社の株式を取得し、実質的に経営統合する。

 将来的には両空港の一体的な事業運営権を持ち株会社が民間に売却、一兆円超ある有利子負債の削減を目指す。

2010/04/25 共同通信

アイスランド噴火は気象異変をもたらすか

2010年04月25日 | 情報一般
「地球危機」発 人類の未来
アイスランド噴火は気象異変をもたらすか

 4月14日、アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山が噴火した。大量の火山灰の影響で、イギリスやヨーロッパ各地の空の便が大混乱に陥った。噴火による欠航便は10万便を超え、国際航空運送協会(IATA)は、航空貨物の停止も含めて損失は総額30億ドル(約2800億円)を超えると推定している。大規模な火山噴火は経済的な損害だけでなく、広範囲に寒冷化を引き起してきた。この夏の気温は大丈夫だろうか。

■エアロゾルが日照を妨げる
 アイスランドは人口31万人。日本の面積の3分の1ほどの島国で、国の西側は北米大陸プレートに、東側はユーラシア大陸のプレートに属しているため、両プレートが押し合うリフトゾーン(割れ目)が東西に走る。世界有数の火山国で、35の活火山がある。地球内部から割れ目にそって上昇してきたマグマが、約5年周期で火山噴火を引き起こしてきた。

 今回の噴火口は300mの厚さの氷河の下にあり、溶けた氷河の水がマグマと接触して水蒸気爆発を起こしたとみられている。2度にわたって大規模な洪水も発生した。アイスランドでの火山噴火は2004年以来である。エイヤフィヤトラヨークトル付近の噴火は1823年を最後に起きていなかった。

 アイスランドは漁業が基幹産業だったが、近年は金融立国への転換を目指して成長を続けてきた。しかし、2008年の世界的な金融危機の影響を受けて経済が破綻し、政権も崩壊した。今回の火山噴火は、その危機に追い打ちをかけるものになりそうだ。

 火山噴火が寒冷化の原因になることがある。

 冷却化の主犯は、噴出した「火山性エアロゾル」である。エアロゾルとは、大気中に浮遊している固体もしくは液体の微粒子の総称だ。噴火当初、噴煙に含まれる珪酸塩は大粒なので、雨などによって数ヵ月で落下する。また、亜硫酸ガスも対流圏では雨や雪などの降水で洗い流されて、数日から2週間程度で姿を消す。

 この間、ジェット機のエンジンが珪酸塩を吸い込むと、高温のエンジン内部でガラスのように溶けてエンジンに障害を与える。火山灰の影響で飛行中の航空機に障害が起きた事故は、過去30年で90件余り報告されている。

 エアロゾルが成層圏にまで上昇すると長期間にわたって漂い、酸化されて硫酸ガスに変わって「硫酸塩」になる。成層圏の下部では1年前後、中部では2~3年も滞留する。大気は透明ガラスから磨りガラスに入れ替えたようになり、太陽から地表に達する日照量が減少する。

■エアロゾルが異常に多い
 近年の火山噴火による気象への影響では、1982年に噴火したメキシコのエルチチョン火山の噴火がよく知られる。噴火後に各地で日照量が減ったことから大騒ぎになった。

 この火山とほぼ同緯度にあるハワイでは、地表に到達するすべての日射量である「全天日照量」が7%減少した。日本でも1982年5月から翌年2月にかけて2%減った。噴火後1~3年にわたって各地の平均気温が0.3℃ほど下がった。

 1991年に噴火したフィリピンのピナツボ火山は、20世紀最大級の噴火だった。地上気温は全球平均で0.1~0.2℃、夏の北半球中緯度では0.3℃低くなり、その影響は噴火から2年におよんだ。

 火山噴火が気象に影響を与えることは経験的に知られていた。とくに、1940年代に噴火したインドネシアのアグン火山以来、気象との関係に関心が高まり、盛んに研究されるようになった。ミファイル・ブディコ博士(元ロシア国立水文学研究所気候変化研究部長)は、1880~1960年の間の北半球の平均気温を調べた結果、日照量の減少が火山噴火と一致することを発見した。

 この間に、サンタマリア(グアテマラ)、カトマイ(アラスカ)、モンプレー(カリブ海)、タール(フィリピン)、スーフリエール(カリブ海)、桜島などの噴火が相次いだことが研究の進んだ理由でもある。ブディコ博士は、噴火で日照量が長期にわたって1%減少すると気温は0.5℃下がり、日照量が1.6%減少すると、極の氷冠(アイスキャップ)が張り出してきて急激な寒冷化が起きると考えた。

 アイスランド大学の分析では、今回の噴火に伴う火山灰の約4分の1が大気中を漂いやすいエアロゾルだった。通常の噴火では数%程度しか出ないとされる。エアロゾルの割合が極端に多く、エアロゾルがより細かく砕けるといわれる水蒸気爆発が起きたことなどから、長期に気象に影響をおよぼす可能性が指摘されている。

 地球温暖化が大きな関心事になっているが、地球の気候は過去にもつねに変動を繰り返してきた。気候変動の原因は、地球の自転・公転の軌道のぶれや温室効果ガスの増減などが原因とされるがわからないことも多い。

 そのなかで比較的よくわかっているのが、火山噴火による寒冷化だ。歴史を振り返っても、噴火に伴う急激な寒冷化が大飢饉を招き、国家や文明の崩壊につながったこともしばしばある。

■噴火が滅ぼした数々の文明
 火山によって滅びた文明で、もっとも古いものとして知られるのは、エーゲ海南部クレタ島の北のサントリーニ島にあるサントリーニ火山の噴火であろう。紀元前1450年(諸説ある)の噴火に伴う津波が、1000年もの間地中海東部を支配してきたクレタ島のミノア文明を一瞬のうちにのみ込んだ。

 高さ90mの大津波が発生して、半径160km以内を水没させたと推測される。黒雲が地中海を覆い、旧約聖書「出エジプト記」にある「エジプト全土が3日間闇に包まれた」の記述は、この火山だという説もある。この噴火で島が大きく陥没したことが、幻の大陸アトランティス伝説のもとになったともいわれる。

 紀元前1150~1136年にはアイスランドのヘクラ火山が噴火した。当時の中国の文献に「6月に雪が降り、雪は1尺以上も積もり、霜で穀物が枯れた」といった記述があり、この火山の影響だったことが考えられる。

 紀元前209年にも、アイスランドの火山が大噴火を起こしたようだ。グリーンランドの氷雪層とアイルランドのカシの木の年輪にその痕跡が残る。このとき、中国では大飢饉が発生して、漢代の歴史家、司馬遷は「3カ月も星を見ることなく、収穫がまったくなかった」と書き残している。

 紀元前42年にシシリーのエトナ火山が噴火した。ギリシャ人たちはこの活火山の火口を「地獄の入口」と信じていた。このときの中国古文書には「太陽が輝かず、収穫はなく、穀物の値段が10倍になった」と記されている。

 西暦79年には、ナポリ湾を見下ろすベスビオ火山が噴火し、ポンペイの町は火山灰に埋もれた。約1700年の時を経てはじまった本格的な発掘によって、タイムカプセルを開いたように人口6000人以上と推定される古代ローマの都市と人々の生活ぶりが、ほぼ完全な姿でよみがえった。

 10世紀から14世紀にかけてつづいた温暖な気候は、14世紀半ばから19世紀半ばにかけて、一転して約500年も寒冷な期間が続いた「小氷期」に突入した。各地でさまざまな寒冷化の記録が残されている。この小氷期の時期に発生し火山噴火は、気温の寒冷化をさらに強める働きをした。

 とくに、1783年は大噴火の当たり年になった。日本では岩木山と浅間山が噴火して、各地に火山灰を降らせた。アイスランドではラーキ山を中心とする延長25kmの割れ目にそった線上噴火が起こり、続いて近くのグリームスボトン火山も噴煙を上げた。

■夏のなかった年
 噴火に伴う噴出物の推定量は、ラーキ火山が340億tと桁違いに大きく、史上最大級の噴火だった。浅間山も4億tのマグマを噴出して、浅間山麓には2mの厚さで火山灰が積もり、山麓では1624人の死者をだした。

 エアロゾルは北半球全域を覆い、日射量や気温が大きく下がって農作物に壊滅的な被害が生じ、翌年には日本各地で「天明の大飢饉」が発生した。

 ヨーロッパ各地は極端な冷夏になり、深刻な食料不足に陥った。とくにアイスランドでは、島全体が硫黄を含んだモヤで覆われ、視界が極端に悪くなって漁に出られなくなったために、4万9000人の島民の4分の1が餓死した。

 1784年の夏にはニューヨーク港が10日間も氷で閉ざされ、人々は氷の上を歩いて移動した。各地で極端な冷夏になり深刻な飢饉が広がった。1789年のバスチーユ襲撃からはじまるフランス革命は、この社会不安が引き金になったという説が根強い。

 インドネシアのスンダ海峡の小島にあるクラカトア(クラカタウ)火山が、1883年に水蒸気爆発を伴って噴火した。島全体が吹き飛んで噴煙は約40kmの高さに達し、9波にわたって津波に襲われ、3万6000人以上が犠牲になった。

 このとき、北半球全体の平均気温は0.5~0.8℃下がった。エアロゾルのためにその後、数年にわたって異常な夕焼けがみられた。ノルウェーの画家ムンクが噴火の年に描いた代表作「叫び」の背景にある帯状の夕焼けは、このときの光景といわれる。

 1815年にはインドネシア・スンバワ島のタンボラ火山が、轟音とともに噴火した。火山灰は周囲250km2の範囲に降りそそぎ、500km離れた地点にまで飛来した。1万2000人の島民のうち、生き残ったのはわずか26人だった。さらに周辺で90万人が洪水、地震、飢餓、病気で死んだ。全世界に褐色を帯びた雪が降った。

 北アメリカ東海岸では夏の気温が平年より4℃も低く、「夏のなかった年」として、今も歴史に刻まれている。6月には寒波が来襲し、ニューヨーク湾は凍結して馬そりで渡ることができた。フランスでは、ナポレオン戦争で疲弊したフランスを異常気象が直撃した。各地で食料暴動が発生した。

 スイスでも凶作から犯罪が多発し、餓死者も続出した。飼料の不足からブタが大量に殺され、犬やネコが町から消えたという。アイルランドでは自殺者も激増、幼児殺しも横行した。

 たった1つの火山の噴火がこれだけの影響を及ぼすこともあるのだ。

2010年04月23日 日経BP
環境学者  石 弘之

日航、赤字1600億円に 過去最悪

2010年04月25日 | ニュース一般
日航、赤字1600億円に 過去最悪、更生計画に影響も

 会社更生手続き中の日本航空の平成22年3月期の本業のもうけを示す連結営業損益が、1600億円程度の赤字(前期は508億円の赤字)に膨らむ見通しであることが、24日わかった。景気低迷に伴う旅客収入の大幅な落ち込みが響き、赤字幅は14年の旧日本エアシステムとの統合後で最悪となる。収益悪化を受け、日航と同社を支援する企業再生支援機構は、人員削減の前倒しや不採算路線の撤退といったリストラの追加を迫られ、今後の更生計画づくりにも影響を与えそうだ。

 国際線の旅客収入は昨年4~12月の累計で前年比で4割超減少し、国内線も同じく1割超落ち込んでいた。今年1月以降も旅客収入は回復せず、コスト削減でも補えなかった。

 ただ、主要運航子会社である日本航空インターナショナルは2月まで続いていた営業赤字が、3月はわずかながら黒字に転じたもようだ。燃費の良い小型の航空機への置き換えといった効率化が奏功した。日航が1月19日の会社更生法の申請時に計画していた22年3月期の営業赤字(2651億円)よりも、赤字幅は圧縮できる見込みだ。

 それでも、景気低迷や更生法申請に伴うブランドイメージの悪化などで、顧客離れに十分な歯止めはかかっていない。競争激化で旅客1人あたりの単価も低迷したままだ。4月はアイスランドの火山噴火で欠航が相次ぐなど、日航を取り巻く経営環境は依然厳しい。

 更生計画の策定を目指して日航と支援機構は、10月以降に国際線と国内線計47路線から撤退し、22年度末までにグループの約3割にあたる1万6千人強の人員削減を柱とするリストラ計画を、主要取引銀行に提示していた。

 これに対し、債権放棄を迫られる銀行団は「確実に収益を上げるには不十分」(メガバンク幹部)などとして反発し、国際線を中心とした撤退路線の上積みなど一段のリストラを要求している。銀行団と調整を進めるため日航と支援機構は、6月末としていた東京地裁への更生計画の提出を参院選後の8月末ごろに延期する方針だ。

4月24日 産経新聞

高速新料金、深まる対立…内閣一元化揺らぐ

2010年04月25日 | ニュース政治
高速新料金、深まる対立…内閣一元化揺らぐ

 高速道路の新料金制度をめぐり、民主党の小沢幹事長と前原国土交通相の対立が23日、先鋭化した。

 前原氏は同日の閣議後の記者会見で、「実質値上げ」となる新料金制度見直しを求めた小沢氏の対応を激しく非難した。鳩山政権の政策決定のあり方も揺らいでいる。

 前原氏は記者会見で、小沢氏の要求を「二律背反のことを言っている」と断じた。小沢氏が昨年12月、鳩山首相に提出した2010年度予算案の18項目の重点要望には「高速道路の整備」が盛り込まれていた。政府はその財源を生み出すために、現行の料金割引を減らし、新料金制度に移行する方針だからだ。

 民主党は鳩山首相の指導力を強化するため、党の政策調整の場である政策調査会(政調)を廃止し、「内閣一元化」を掲げた。しかし、実際には小沢氏が「有権者の意向」をたてに口出しする事態が起きている。

 前原氏は「小沢氏が(党が政府に)モノを言う窓口になってしまった。政調がないことが起因している」と語り、政策の責任が不明確になることへの懸念を示した。民主党内では、政策決定のあり方を見直すべきだとの声は多い。

 自民・公明連立政権では、与党の了承がなければ政府が国会に法案を提出できない「事前審査」の仕組みがあった。「国会審議の 形骸 ( けいがい ) 化につながる」との批判もあったが、法案提出後、政府と党が対立する例はほとんどなかった。公明党の井上幹事長は23日の記者会見で、民主党の混乱について、「首相の指導力不足もあるし、政策決定のプロセスも不透明だ」と批判した。

 高速道路建設財源の裏付けとなる道路財政特別措置法改正案の国会審議は、党と政府の対立の影響で滞っている。平田健二民主党参院国会対策委員長は23日の記者会見で、「結論が出ない場合、次の国会でもいいではないか」と述べ、成立先送りを示唆した。

 前原国交相は6月からの新料金制度導入に変わりはないとの立場だが、鳩山首相は23日夜、首相官邸で記者団に、「変えるべきところがあれば変えるのは、当然のプロセスではないか」と述べ、小沢氏の意向に沿って見直すべきだとの考えを示した。

2010年4月24日 読売新聞

朝青龍の二の舞は…師匠教育徹底

2010年04月25日 | ニュース一般
“ノーモア朝青龍”師匠を徹底的に再教育

 日本相撲協会の生活指導部特別委員会が23日、新メンバーで初会合を行った。暴行問題の責任を取って2月に引退した元横綱・朝青龍(29=本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ)が起こした諸問題、時津風部屋での力士暴行死事件などトラブルの再発防止に向け、同委員会では師匠教育を徹底的に行うことを確認した。その第1弾として5月27日の師匠会で、警視庁から講師を呼んで講演会を開くことを決めた。

 漫画家やくみつる氏らが外れて新メンバーで再始動した生活指導部特別委員会の初会合は約1時間15分に及んだ。会合後、陸奥委員長(51=元大関・霧島)は「師匠を教育していかないといけないという案をいただいた。問題が起きないようにどうしたらいいのかを考えていかないと」と力士だけでなく師匠も教育すべきとの意見が数多く出たことを明かした。

 引退の原因となった暴行騒動をはじめ朝青龍が起こした諸問題。時津風部屋での力士暴行死事件。現役力士の大麻所持事件。近年、角界では多くのトラブルが起きているが、いずれも師匠が力士をきちんと指導、管理していれば防げた可能性がある。外部有識者として招へいされた野呂田芳成委員(80)は「修己治人(しゅうこちじん=自分を修養して徳を積んで世を治めていくこと)です。人を教育するためには自分が修業をしなければ」と語った。再発防止には師匠の再教育が必要との認識だ。

 そこで夏場所後の5月27日の師匠会の際に、警視庁関係者を招いて、暴力団関係者、反社会団体員とかかわらないようにするにはどうすれば良いかなどを講演してもらうことを決めた。健康管理やマナーに関する講演会を行うことも検討中だ。

 日本相撲協会はこの日、朝青龍の暴行問題についての最終報告書を文部科学省へ提出したが、その報告書の中でも「師匠の相撲部屋における力士指導方法のレベルアップが不可欠」との再発防止策を掲げている。

 まずは師匠の徹底教育から、角界改革に向け、新生生活指導部特別委員会が動きだした。

2010年4月24日 スポーツニッポン

サラリーマンを議会へ

2010年04月25日 | 社説
サラリーマンを議会へ 週のはじめに考える

 地方自治を見直そうという動きが活発です。サラリーマンが地方議会の議員になるぐらいの仕組みがほしいという意見もあります。主役は皆さんです。

 まず地方自治が憲法にどう書かれているのか見てみましょう。

 九二条「地方公共団体の組織及(およ)び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基(もとづ)いて、法律でこれを定める」

■憲法のいう「本旨」とは

 ここで頭を悩ますのは「地方自治の本旨」とは何かです。政治学者の辻清明氏などは、試しにこの部分を抜いて読んでご覧なさい、なんて言っていました。抜いて読むなら、法律は国会がつくるのだから、地方自治は政府与党の思い通り、中央集権型にもできる、だから「本旨に基いて」という文言は短いが重要だと説きました。

 本旨は原理原則、また主義を言い、憲法の英文ではプリンシプルが当てられています。明治憲法になくて現日本国憲法に加わった章目に、戦争放棄と地方自治があります。そう言うと地方自治は米国からの移植のようにも見られますが、地方自治また住民自治と呼ぶべきものは、世界のどこでも協調的かつ実効的地域運営として根付き、また発展してきたものなのではないでしょうか。

 日本なら江戸時代の庄屋・組頭・百姓代の村方三役を中心とした村政などが該当するでしょう。西洋なら教会の鐘の音の聞こえるぐらいの範囲、これは教区(パリッシュ)と呼びますが、その町での小さな民主主義が知られます。

 なぜそういうものが発達してきたのかというと、地域を最も知る者は国などの上部機関ではなく、地域の住民であり、地域にはそれぞれに固有の産業も文化もあるからです。国から地方へ、と言いますが、歴史にならえば当然のことであり、住民の意思を反映して自治を行うのが首長と議会です。

■「議会とはうまくやる」

 ここで、ちょっと生臭いはなしをしてみましょう。

 ある中型都市の元幹部にかつて聞いたことがありました。市役所は議会とどういうふうに付き合ってきたのか。

 返事はこうでした。「市長を役所側の人間、まあ助役あたりから出す。選挙で当選すれば、あとは議会とうまくやる。予算は予定通りに通らないと、役所は困るし市民生活だって滞りますからね…」

 少なからぬ自治体がこんなふうだったかもしれません。議員の質問も首長の答弁も役所の作文の読み上げというのは、つまりこういうことです。自治は役人の仕事になっているのです。

 北海道夕張市の“破産”時、財政の監視役の議会は一体何をしていたのかと非難されましたが、市も議会も腐っていたわけです。

 元鳥取県知事で慶大教授の片山善博氏は少し前の著書「市民社会と地方自治」(慶応義塾大学出版会)の中で、サラリーマンが地方議会の議員をつとめられるようにすべきだ、と述べていました。市町村民税の約八割を納める給与所得者から議員が出るべきだが、今の雇用環境では会社を辞めなくてはならないし、議会も参加しやすい仕組みに変えられないか、という提案でした。

 自治体の規模にもよりますが、人口の少ない市町村では案外可能なのかもしれません。米国では夜の地方議会がありますし、議会ではありませんが、名古屋の学区単位で試行の地域委員会は住民委員と傍聴者のため、夜や週末に開催しています。国政は外交安保といった大きな政治を行い、市町村は住民が自分たちの税の使途を自分たちで決める。これぞ自治の本旨にかなうでしょう。

 地方議会改革は各地で進んでいます。財政破綻(はたん)した夕張市の隣の栗山町は、議会のネット中継と報告会を始めました。情報公開は自治を住民の手に取り戻す有効な手段です。サラリーマンや主婦、お年寄り代表も議会に送り込めればいいのですが、その前に情報公開こそ徹底したいものです。知る仕組みが大事なのです。

 繰り返すようですが、自治とはおそらく人類普遍の原理です。話を広げれば、二十世紀、全体主義国家は統一の名の下に住民から自治をはく奪しました。独裁者ムソリーニに投獄された思想家グラムシは獄中、哲学や芸術、それに奪われた市民社会をノートに記したのでした。

■歴史動かした住民自治

 冷戦下の東欧では、伝統的な住民自治が新たな力をためて、ベルリンの壁崩壊へと向かいました。東独ライプチヒでは、毎月曜の夕刻、ミサのあとの教会から出発した小さなデモがやがて数十万人規模に拡大したのでした。ポーランドの「連帯」も同様です。小さな力だが歴史をも揺すぶる。これも自治の本旨の一部ではないのでしょうか。

2010年4月25日 中日新聞 社説

4/25中日春秋

2010年04月25日 | コラム
4/25中日春秋

 ジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫妻が、浮世絵などを扱う東京の古美術商に足を運んだのは四十年ほど前のことだ。白隠の達磨(だるま)絵や芭蕉の俳句を書いた短冊などが気に入り、数点を購入した

 別の店に案内する空き時間に、店主の故木村東介さんは二人を東銀座の歌舞伎座に連れて行った。独特の華やかな舞台を見せたいと思ったからだ

 ちょうど公演中だったのは「隅田川」。六代目の中村歌右衛門が、子供の死を知って泣き崩れる母親の悲しみを演じていた。明るい歌舞伎を見せたかった木村さんは、外に出ましょうかと促そうとして驚いた。レノンさんがとめどなく涙を流し、ヨーコさんがハンカチでぬぐっていたのだ

 清元の唄(うた)もせりふの意味も理解できなかったはずだ。それでも木村さんは「何もかも読みとれたのだ。それは歌右衛門の演技力だ。…名優の演技自(おの)ずから名演奏家に通ず」と振り返っている(話の特集『ジョン・レノンと歌右衛門』)

 数々の名舞台を生んだ歌舞伎座が今月末に閉場する。「さよなら公演」は大盛況で、二時間並んでやっと一幕見席で観劇できた。寒い中、外国人の観光客もたくさん並んでいた

 芸の力は言葉の壁を乗り越える。高層ビルとともに「五代目」の歌舞伎座が完成するのは三年後。音響面などに課題もあると聞くが、円熟した芸を伝える新たな「祝祭空間」に期待する。

民主党を弱体化し支配下に置きたい

2010年04月25日 | ニュース政治
民主党を弱体化し支配下に置きたい

 民主党が政策に掲げた「電波利用料のオークション制度」。電波を有限資源としてとらえる世界では当たり前の考えだが、これまで格安料金で電波を独占してきた日本のテレビ局はそこに触れてほしくない。現在40億円で済んでいる利用料が、数倍、数十倍に膨れ上がる可能性があるからだ。

 それで、オークション制度はもちろん、そんなことを言い出す民主党政権そのものを封じ込み、弱体化させ、支配下に置いてしまおう。そうテレビ局経営者が考えたとしても不思議じゃない。いや、経営者なら当然の感覚だろう。

 テレビの民主党叩きの本質はここにあるのだ。

 しかも、今回の特徴は民主党批判するテレビ局を、資本関係にある新聞社が全面的に支援していることだ。それが表れたのが、民主党・小沢一郎幹事長に対する嵐のような攻撃だった。

 昨年春から報道が始まった小沢氏の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件。テレビでは女子アナや芸人キャスターまでが「小沢さんは辞めるべき」「説明責任を果たせ」と叫び、街頭で「小沢氏は国会議員を辞めるべきか」などと「○×アンケート」を行う番組もあった。影響力が絶大なテレビが、起訴も逮捕もされていない政治家を“容疑者扱い”した報道を連日続けたのだ。

 タッグを組むように新聞社も検察の尻をたたき、捜査情報をロクに検証しないでタレ流し続けた。

 「自民党時代は、新聞メディアが汚職政治家を厳しく批判しても、テレビは後追いで、報道もソフトだった。小沢幹事長の事件は、テレビも横並びという点で異様だった」(民主党議員)

 こうした状況に原口一博総務相が、テレビ・新聞を牽制する対抗策に出た。特定資本が新聞社やテレビ局などの複数メディアを持つ「クロスオーナーシップ」を規制しようとした一件だ。

 「日本では総務省令で、新聞、テレビ、ラジオの『3事業支配』は原則、禁止です。しかし、基準があいまいで例外的に認められているケースもある。このため、読売新聞と日本テレビ、朝日新聞とテレビ朝日、毎日新聞とTBS、産経新聞とフジテレビ、日経新聞とテレビ東京のような系列関係が築き上げられてきました」(ITジャーナリスト)

 この5大メディア資本が、すべて同じ方向に動いた結果、狂気のような小沢バッシングになったのだ。元秘書の石川知裕衆院議員がいきなり微罪で逮捕された乱暴さなどは、まったく検証されなかった。原口総務相は会見で「同一資本が一色で支配することは、言論の多様性からみて問題」と指摘したが、テレビ、新聞は「クロスオーナーシップ」に言及した大臣発言をほとんど取り上げなかった。阪大名誉教授の鬼木甫氏(情報経済論)はこう言う。

 「この件は新聞・テレビのクロスメディア所有の弊害がそのまま出た。つまり国民の『知る権利』が害されているのです。クロスメディアの規制を実施し、テレビの好まぬ話題は新聞が、新聞の批判はテレビが行うという環境づくりが必要です。外部批判を欠く状態は『停滞と腐敗』を生みやすいのです」

 ところが、テレビは耳の痛い話だから全く報じない。そればかりか、原口総務相まで縛ろうと、民主党政権攻撃をさらにエスカレートさせた。それが現在の普天間基地移設をめぐる鳩山首相「無能無策」報道、「5月退陣論」報道なのである。

2010年04月24日 ゲンダイネット

仕分け第2弾 中長期の戦略的視点が重要だ

2010年04月25日 | 社説
仕分け第2弾 中長期の戦略的視点が重要だ

 独立行政法人の税金の無駄遣いを徹底して削減することは無論、大切である。しかし、目先の費用対効果にこだわるあまり、より重要な戦略的視点を忘れてはなるまい。

 政府の行政刷新会議が、事業仕分けの第2弾の作業を開始した。4日間にわたり、104の独法のうち、10府省が所管する47法人の151事業を対象に、「廃止」「縮減」「民間移管」「地方移管」などを判定する。

 初日は、沖縄科学技術研究基盤整備機構について、大学院大学の開校準備の事務経費や職員給与が多すぎるとして、予算の縮減と管理運営体制の見直しを求めた。

 青年海外協力隊の派遣や政府開発援助(ODA)を実施する国際協力機構(JICA)については、職員給与や在外手当、旅費の一層の節減、不要資産の国庫返納などが必要と結論づけた。

 所管府省から独法、あるいは独法から関連企業・法人にOBが天下りする。その見返りに、独法や企業・法人は、随意契約などで有利な条件で事業を受注したり、補助金を受け取ったりする。こうした癒着の見直しは急務だ。

 独法同士または独法と自治体が類似した事業を行っている場合、独法を統廃合し、事業を地方に移管すれば、事業の効率化や二重行政の是正に役立つだろう。

 一方で、科学技術の研究開発法人を安易に統廃合する「数合わせ」の改革には、慎重であるべきだ。科学技術立国に欠かせない国際競争力を高める観点から、重要だと判断すれば、予算を拡充すべき事業もあるはずだ。

 そもそも事業仕分けは、地方自治体の無駄な予算の削減で一定の効果を上げた手法だ。

 はるかに事業費が巨額で、仕組みも複雑なうえ、国全体に影響する事業の是非について、わずか1時間足らずの議論を経て多数決で結論を出してしまうやり方は、乱暴であり、無理がある。

 仕分け作業は、2010年度予算の概算要求を対象にした昨秋の第1弾と同様、全面公開され、インターネットで生中継された。

 鳩山内閣の支持率の低下に歯止めがかからない中、政府・与党には、仕分けを政権浮揚のカードにしたい思惑が働いている。大衆受けを狙った政治ショーにすることは許されない。

 政府は、仕分け作業の結論を踏まえて、来月中にも独法の改革案をまとめる予定だ。冷静で慎重な議論を重ねたうえで、最終結論を出すべきだろう。

2010年4月25日 読売新聞 社説

4/25余禄

2010年04月25日 | コラム
4/25余禄「扇子商法の極意」

 扇子商法とは、どんな難局でも耐えられる経営の心構えである。扇子は暑い時に開くが、いらなくなると畳む。開きすぎると、畳みにくくなる。商いも同じで、好景気に事業を広げるのはたやすいが、不況の時に縮めるのは思いの外、難しい。最悪の事態に照準を合わせ備えを怠るなという。

 大阪・船場で100年以上も続く寝装具卸の老舗の3代目社長、和田亮介さん(78)が創業者の生き方をつづった評伝に「扇子商法」と名付けたのが始まりで広く知られるようになった。企業は拡大路線に走りがちだが、商いの目的は「永続」にあるという。

 船場の商法は、「始末、才覚、算用」といわれる。始末は「始まりと終わりのけじめ」をつけることだろう。先見性という才覚を発揮し、算用つまり勘定を合わせるが、利益より信用を重くみる。その心根に身の程を知る慎みと恐れがある。

 阪神大震災の後に、和田さんは判じ物の社訓を掲げた。横額に、「!?△○」と符号を並べ、それを右肩上がりの朱色の斜線が貫く。「!」は初心忘れずで、常に疑問を持てと。人を頂点に金、モノが支える三角形で、対話の輪を作れという。斜線は永続だ。

 訪れる人を驚かせ、社員は謎解きを繰り返すうちに自然と社訓が身につくそうだ。人をはぐくみ、のれんの信頼を守りつつ新しい息吹を吹き込まねば、安定や永続は望めない。

 107人が亡くなったJR西日本の福知山線脱線事故から、きょうで5年になる。歴代4社長が刑事訴追される前代未聞の事態だ。金、モノを優先し、人を底に据える逆三角形の体制を作っていなかったか。裁判では企業風土が問われよう。

最近の首相発言のぶれ

2010年04月25日 | ニュース政治
最近の首相発言のぶれ

【偽装献金事件】
 「資料は検察が持っている。資料が返ってきた時に、事務所費などお示しできるところはお示しする」(1月22日、衆院予算委員会)
    ↓
 「検察が判断して結果を出した話だけに、資料の提出は必要ないのではないか」(4月21日、党首討論)

【高速道路料金】
 「政府が引き取ってこの問題を見直そうということになった」
(4月22日朝、記者団に)
    ↓
 「現時点では見直さない。国会で真剣に議論して、もし見直すことが必要ならその結論を見いだしていく」(同日夜、記者団に)

【普天間問題】
 「3月いっぱいをめどに政府案をまとめる努力をしている」(3月26日、記者会見)
    ↓
 「今月中じゃなきゃならないとか、別に法的に決まっているわけではない」(同29日、記者団に)
 「すべての政策に職を賭す覚悟で臨んでいる。普天間移設先の問題も当然含まれる」(4月23日午前、参院本会議)
    ↓
 「全身全霊で、ある意味、当然命を懸けてという思いも含めて、職を賭すというのはそういう思いで連日努力している」(同日夜、記者団に)
    ↓
    ?

2010/04/24-15:08 時事通信

高速料金混迷 政権へのあきらめ投影

2010年04月25日 | 社説
論調観測 高速料金混迷 政権へのあきらめ投影

 高速道路の料金制度の見直し問題は、再見直しを求める小沢一郎民主党幹事長と、否定する前原誠司国土交通相との対決の構図が鮮明となってきた。

 値下げの財源を道路建設に回せと指示され、その通りにしたら、今度は、値上げになるから改めろと言う。小沢幹事長の要求は「二律背反だ」と、前原国交相は批判する。

 限られた財源の中で、無料化と建設の両立は不可能だ。小沢幹事長の「ちゃぶ台返し」に憤るのは当然だろう。

 一方で、国交省が建設に回す資金は、東京外環道など都市部が主体で、それに対する反発も背景にあると指摘されている。

 ただ、無料化を掲げながら、実際には値上げというのでは、夏の参院選は戦えないという声は強い。選挙に不利なことはしないという基本線からすると、小沢幹事長が再見直しを求めたのは当然ということになる。

 いずれにしても、民主党内の小沢対反小沢の構図が、高速料金問題を介して熱を帯びてきたわけで、この駆け引きの行方が注目されるところだ。

 もちろん、この鳩山政権の迷走について、各紙社説は厳しく批判している。

 冒頭部分を抜粋してみる。読売は「政府・民主党の政策決定が、またしても混乱している」、産経は「鳩山政権のたががはずれ、統治能力に重大な疑問符がつけられている」と、通常の表現で始まっている。

 しかし、朝日は「またか、である」、毎日は「鳩山劇場の迷走劇に新たな一幕が加わった」、日経は「『高速道路料金を見直す』との決定を見直すという方針を見直す」--というような具合だ。

 受け流したり、皮肉交じりの表現から感じられるのは、迷走が続く鳩山政権に対し、まともに注文をつけても仕方がないという雰囲気だ。

 文中には、「いい加減うんざりさせられる」(朝日)、「またかというより、うんざりというのが、正直なところだ」(毎日)、「もはや政権の体をなしていない」(日経)という文句がさしはさまれており、そうした雰囲気を補強している。

 政権交代をめぐって論調は分かれていた。どちらかというと、是としてきた方の社説に情緒的な表現が目立つのは、鳩山政権に対するあきらめが投影されているからではないだろうか。

 ただ、国民の視線は、すでに、あきらめからしらけに変わっているかもしれない。その危機感が政権から伝わってこない。【論説副委員長・児玉平生】

2010年4月25日 毎日新聞 社説

4/25産経抄

2010年04月25日 | コラム
4/25産経抄

 ちょうど1300年前、都を藤原京から平城京に遷(うつ)したのは、43代元明天皇の御代である。史上4人(5代)目の女帝で、天智天皇の皇女、先帝・文武天皇の母親だった。つまり、子から母へという異例の継承によって即位した天皇である。

 当初は天皇となることを固辞するが、本来皇位を継ぐはずの文武天皇の遺児で孫の首(おびと)皇子(後の聖武天皇)はまだ幼い。成長するまでの橋渡しとして即位を決意したとされる。しかし707年に位に就くと「中継ぎ」とは思えないほど、積極的に治世の任にあたっていく。

 希代の政治家とされる藤原不比等のサポートがあったとはいえ、律令制度の確立につとめ、詔(みことのり)では「民への慈しみ」を忘れなかった。太安萬侶に『古事記』の編纂(へんさん)を命じ、完成させたのも元明天皇だった。そして最大の仕事が平城遷都だったと言ってもいい。

 そういえば、遷都に始まる奈良時代は女性の存在が大きく感じられる。天皇も4代3人が女性である。聖武天皇の光明皇后は施薬院、悲田院など病人や貧者のための施設を造った慈愛の人で知られる。その光明皇后の母で不比等の妻、三千代の政治力も大きかったと言われる。

 平城遷都の陰には病気の流行などによる国の疲弊があり、気分を一新しようとしたとの説もある。新都建設で民への負担はいっそう大きくなったとも言えそうだ。それでも後世から見て、たおやかな時代に映るのはそんな女性たちの存在があったからかもしれない。

 その平城遷都1300年を祝う祭りが始まった。きらびやかに再建された大極殿や復元された遣唐使船を早く見てみたいと気はせかれる。だがその前に「天平の道」を歩きながらゆっくり、あの時代のことを考えてみるのもよさそうだ。

3月期上場企業 予想上回る業績

2010年04月25日 | ニュース一般
3月期上場企業、予想上回る業績 新興国の高成長追い風

 東京証券取引所第1部に上場する企業の2010年3月期の連結業績が、従来予想を大幅に上回る見通しになったことが24日分かった。新興国経済の高成長や円安傾向が追い風となった。共同通信の集計では、4月に業績予想を変更した企業の約75%が純損益を上方修正。1部上場企業全体の純損益は2年ぶりに黒字化する見込みだ。

 ただ売上高はまだマイナスで、利益改善はリストラ効果に支えられた面も大きい。世界各国の政府による緊急的な景気刺激策も要因となっており、今後については「資源価格の上昇や政策効果の息切れがリスク」(大和証券キャピタル・マーケッツの高品佳正次長)との指摘が出ている。

 4月初めから23日までに業績予想修正を発表した東証1部上場の3月期企業153社のうち、113社が純損益を従来より改善させた。東南アジアなどで販売が増えたいすゞ自動車は50億円の赤字から一転して80億円の黒字に変更。東芝は赤字幅を500億円から200億円に縮小した。

 10年3月期決算は週明けから発表が本格化する。前期の09年3月期は世界同時不況の影響で、純損益が7年ぶりに赤字に陥った。

2010/04/25 共同通信