【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
気楽に立寄ってちょ~

1955(昭和30)年4月5日

2010年04月05日 | 情報一般
【写真で見るきょうは何の日】“夢いっぱい"だった公営住宅

 1955(昭和30)年4月5日、快晴の下、子供が遊ぶ東京都新宿区の都営戸山アパートは洗濯物でいっぱいだ。

 戦後、焼け野原も多かった東京の住宅不足解消に鉄筋の集合住宅が建ち始めたのは48年の都営高輪アパートが最初。2間に台所が付き、風呂はなくてもガス・水道に水洗トイレが備わった、当時にしては夢の住宅だった。

 ただ、70年代の後半から公営住宅の建設は減少。今世紀に入ると「住宅供給は民間に」という動きが加速したため、全国で多くの自治体が建設を抑制する傾向にある。特に大型公営住宅の基礎を築いた東京都は、石原慎太郎知事が就任してから新規の建設はない。

 公営住宅は現在、高齢の住民が多くなって地域コミュニティーの形成が難しくなったり、各地で家賃の未納が相次ぐなど、さまざまな問題を抱えている。

2010.04.05 ZAKZAK

年金の支払い不能も?経済危機で

2010年04月05日 | 情報一般
年金の支払い不能も?経済危機で

運用利回り4.1%という虚妄!経済危機が年金制度に与えた深刻な影響

 経済危機によって、日本経済は大きな打撃を受けた。年金制度も、例外ではありえない。潜在的に言えば、年金制度が経済危機によって本質的な影響を受けたことは、否定できない。年金は長期的に安定的な制度であるべきなので、経済危機の影響を真剣に検討することは、たいへん重要だ。

 ところが、年金制度は長期的な制度なので、問題が存在していても、すぐには顕在化しない。そのため、対応は遅れがちになる。しかし、遅れれば遅れるほど問題が進行するので、解決は難しくなる。とりわけ問題は、既裁定者が聖域化して手がつけられないことだ。これまでもそうであったが、年金制度を改革する場合、すでに受給している人たちの金額を削減することは、ほぼ不可能である。

 年金制度が直面する最も深刻な危機は、支払い不能に陥ることだ。これまで年金について指摘されてきた問題は、不公平の問題が中心であった。制度間の格差、世代別の格差、世帯累計の違いによる格差などである。もちろんこれらは問題なのだが、支払い不能に陥ることとは、問題の深刻さが異なる。仮に年金が支払い不能に陥ったとしたら、借入れによっては対処できないだろう。なぜなら、返済できる可能性がないからだ。

 したがって、年金制度の破綻は、事業の破綻とは性質が異なる。こうした事態に陥れば、絶体絶命の危機である。現在公表されている年金制度の見通しでは、そうした危機はありえないこととされているのだが、はたしてそう考えてよいのだろうか。

 年金の財政収支状況は、「平成16年年金改正制度に基づく財政見通し等」として公表されている。詳細な解説は、「厚生年金・国民年金 平成16年財政再計算結果」にある。

 厚生年金について見れば、保険料率が2017年の18.3%にまで徐々に引き上げられてゆくという前提の下で、2050年まで収支は黒字で、積立金が積み上がるものとされている。最終的な所得代替率は、2023年度において50.2%だ。これで見る限り、日本の年金制度は磐石であるように見える。

 この計算は、2005年に行なわれたものである。その後、財政検証が行なわれ、その結果が2006年1月12日に公表されている。さらに、2009年2月に財政検証の結果が公表されている。

■運用利回りの低下
 2009年の財政検証において、経済危機の影響がどの程度正確に反映されているかは、はっきりしない。ただし、以下に述べるように、適切に考慮されていない可能性が強い。

 第一の明白な問題は、積立金運用利回りの見通しである。2004年の見通しにおいては、運用利回りとして3.2%が仮定されていたが、今回は引き上げられて4.1%とされた。

 運用利回りの見通しが引き上げられた理由ははっきりしないが、長期的な想定としては、ありえない想定と言わざるをえない。今回の経済危機の明白な影響は、日本企業の利益率が大幅に低下したことだ。しかも、それは短期的な変化ではなく、長期的、構造的な変化だと考えられる。したがって、年金積立金の運用利回りは、従来に比べて引き下げられて然るべきだろう。リスクのない運用利回りの目安は長期国債の利回りだが、それは1.3%程度である。これより大幅に高い運用利回りを想定する合理的な理由は見当たらない。

 2006年当時に3.2%と想定されていたことさえ、過大な想定だった。結論(所得代替率5割)を引き出すために無理やり置いた仮定としか考えられなかったのである。その矛盾が、経済危機を経て、さらに拡大されたように思われる。

 第二の問題は、経済危機を経て、賃金の伸び悩みがはっきりしたことだ。厚生年金の保険料は、標準報酬に対する「率」で決められているので、保険料収入は、名目賃金に依存する。したがって、名目賃金が伸び悩めば、保険料収入も伸び悩むのである。

 他方で、年金額は名目で固定されている。従来は、インフレによって年金の実質価値が低下することが懸念されていたので、インフレスライドの制度は存在する。しかし、物価水準や賃金水準が低下する場合に名目年金額を切り下げる「デフレスライド」制度は導入されていない。したがって、物価が下落すれば、年金の実質価値は自動的に上昇することになる。

 年金収支の面から見れば、保険料収入が想定した値を下回る半面で、年金給付は変わらない。したがって、収支は悪化することになる。

 2009年財政検証では、物価上昇率として1%、賃金上昇率として2.5%が前提されている。しかし、この見通しは高すぎると考えざるをえない。

 第三の問題は、給付が減る要因はなく、むしろ増える可能性が強いことだ。とりわけ、在職老齢年金の給付は増えるだろう。これまでは、年金受給年齢になっても、引き続き就業する人がかなり存在した。それらの人々は、年金額を減額または支給停止されていた。しかし、雇用情勢の悪化で、就業せずに年金受給を選択する場合が増えると思われるのである。

■保険料納付者が減る
 第四の問題は、保険料納付者が減少する可能性である。雇用者が減少すれば、厚生年金の加入者は減り、保険料収入は減る。また、企業の負担も減る。

 これまでも、非正規労働の増加によって厚生年金の加入者は減少した。これについては、この連載でも検討した。

 今後考えられるのは、企業の海外移転が加速化することによって、国内就業者が減少する可能性である。生産拠点の海外移転は、これまでも国内の「空洞化」をもたらすとして問題視されていた。2007年頃までは、輸出によって国内の生産が増加したため、この問題が一時的に緩和された。しかし、これから再燃する可能性が強い。

 とりわけ、先進国市場に期待がもてないことからアジア新興国向けのシフトが起こる可能性が強いが、そうなれば低価格製品の生産が必要なため、生産拠点の海外移転は加速化せざるをえない。そうなれば、雇用者の増加は、これまでの見通しより大幅に減る可能性がある。これによって、保険料収入が大幅に減る可能性が高い。

 しばしば、法人税が日本企業にとって重い負担になっていると言われる。しかし、法人税は利益にかかる負担なので、これが生産コストを高めることはありえない。

 実際に問題 となるのは、社会保険負担である。とくに年金保険料の負担だ。これは、利益のあるなしにかかわらずかかるので、コストを高めることとなる。負担の大きさを見ても、いまや法人税より重くなっている。もともと日本の賃金水準は高いが、これがさらに高めている。国際競争力を下げていることは間違いない。非正規雇用が進んだのも、この負担を回避することが大きな要因だったと考えられる。したがって、社会保険料負担の重さが企業の海外移転を早め、それが保険料収入を減少させるという悪循環に陥る可能性がある。

■現実的な仮定の下での検証が求められる
 以上で述べたような問題に対して、どの程度の検討が行なわれたのかは、はっきりしない。

 とくに問題なのは、想定されている運用利回りと賃金上昇率が高すぎることである。現実的な見通しとの差は数%でしかないが、長期的には大きな差をもたらす。年金見通しは長期の見通しなので、想定された数値のわずかな差が結果に大きな差をもたらすのである。現在の見通しが持っているバイアスは、結果に深刻な影響を与えている可能性が強い。現在の計算は、年金制度が抱える潜在的な問題を隠蔽するだけの結果にしかなっていないように思われるのである。

 以上を考慮して、年金財政の今後についての再検討を早急に行なうべきだ。民主党は、参議院選挙に向けて年金制度の改革案作りを行なうと表明しているが、まずもって行なうべきは、これである。その際に、「100年安心年金」という結論を引き出すために非現実的で無理な仮定を置くのではなく、経済的に説明のつく現実的な仮定によって計算を行なうべきだ。

2010年4月5日 ダイヤモンド・オンライン
野口悠紀雄
野口悠紀雄 [早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授]
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『「超」整理法』シリーズ、『資本開国論』『モノづくり幻想が日本経済をダメにする』等がある。

イボ痔

2010年04月05日 | 健康
【1分で判明!病気チェック】排便時の出血に注意 イボ痔

 日本人の成人の3人に1人が“痔主"といわれるが、中でも最も発症頻度が高いのが直腸、肛門のク
ッション部分が外に出る“イボ痔(痔核)”。典型的な初期症状の“痛みのない出血”は大腸がんの可能性もある。早期に肛門科の専門医を受診しよう。

【息張っても3分まで】

 “痔”は肛門とその周辺にできた病気の総称。イボ痔、切れ痔(裂肛)、痔ろうが3大疾患だが、男女共にイボ痔の発症が50%以上を占める。

 痔の専門診療所「岩垂純一診療所」(東京・銀座)の岩垂純一所長は原因について「いずれも便秘や下痢などの排便異常が必ずベースにある。イボ痔の場合は、トイレで長く息んだり、長時間同じ座位の姿勢でいて肛門をうっ血させることが一番悪い」と話す。

 それを防ぐためにも、大便は行きたいとき行き(我慢は便秘を招く)、3分以内に済ますのが鉄則。

 入浴は毎日、湯船に浸かって肛門部の血行をよくすることが大切だ。

【排便時の出血に注意】

 イボ痔は、肛門と直腸の境にあるギザギザした歯状線より直腸側にできると「内痔核」、肛門側にできると「外痔核」と呼ばれる。

 どちらも肛門を閉じるのに役立っているクッション部分(細い血管の集まり)が膨らむのがイボ(痔核)の正体。だが、直腸側は知覚神経がかよっていないので内痔核では普通、痛みが出ないのが外痔核との違いだ。

 「内痔核の初期症状は排便時に真っ赤な鮮やかな色の出血だけ。まだ痔核の脱出もないので放置する人がいるが、この時点で早めに受診することが重要」と岩垂所長が強調するのは、同じ出血の症状が現れる大腸がんや大腸ポリープを見逃さないためだ。

【手術でも日帰り可能】

 内痔核を放置すると痔核が次第に大きくなり、脱出して指で押し込まないと戻らなくなる。さらに悪化すると指で押しても戻らない。外痔核も伴ってくるし、出っぱなしとなってしまうことも。治療も早ければ早いほど簡単に済むのだ。

 重症では痔核を切り取る手術一辺倒だった昔と違って、いまは脱出を伴う内痔核に対して硬化剤(ジオン)を注射して痔核を縮小、癒着固定する注射療法が行われている。

 痛みを感じない内痔核に注射するので、治療後に傷口が痛むこともなく日帰りでOK。再発率は10-20%ほどだ。

 また、外痔核を伴っている場合でも、「内痔核に注射療法、外痔核には従来の切除手術を同時に行う併用療法が、いまでは日帰りで可能。所要時間はどんなにひどくても30分以内」と岩垂所長。

 治療法は進歩するが、第一は排便コントロールでの予防が肝心。食生活を見直しておこう。

 ★「痔の危険因子」チェックリスト
 □トイレ(大便)で3分以上いきんでいることが多い
 □大便を我慢することが多い
 □いつも便秘気味である
 □野菜が嫌いであまり食べない
 □いつも下痢気味である
 □毎晩のように酒を飲んでいる
 □入浴はシャワーだけで済ませてしまうことが多い
 □朝食を抜くことが多い
 □仕事がら同じ姿勢で座りっぱなしのことが多い
 ※3つ以上該当するようなら要注意です。岩垂純一診療所(東京・銀座)/岩垂純一所長作成

2010.04.05 ZAKZAK

「小沢辞めろ!」ついに8割超

2010年04月05日 | ニュース政治
「小沢辞めろ!」ついに8割超 5割近くが「首相退陣すべき」

 共同通信社が3、4両日に実施した世論調査で、民主党の小沢一郎幹事長は「辞めるべき」がついに8割を突破した。鳩山政権の内閣不支持率も5割を超え、米軍普天間飛行場移設問題が不調に終われば、「首相は退陣すべき」が5割近くに達した。「もはや政権は末期症状」(自民党関係者)との見方が広がっている。

 共同通信の世論調査によると、「政治とカネ」の問題という“爆弾”を抱える小沢氏について「幹事長を辞めるべきだ」が前回より6.6ポイント増えて81.4%。「辞めるべきではない」は3.7ポイント下落し、14.5%となった。小沢氏が目指す参院選での民主党単独過半数についても、「占めない方がよい」が前回調査並みの56.8%と高止まりしているのだ。

 内閣支持率も33%に続落、逆に不支持率は53.3%と昨秋の内閣発足以後、初の過半数となった。「首相に最もふさわしい政治家」でも首相は7.1%。トップの舛添要一前厚生労働相の22.4%に大きく水をあけられている。

 「首相も小沢氏も辞めないと参院選は戦えない」(民主若手)という悲鳴は上がるものの、小沢氏が辞任する気配はない。逆に「過半数を維持できない場合を想定して、公明党の取り込みや大連立に動き出している」(永田町有力筋)との指摘もある。

 しかし、与謝野氏と無所属の平沼赳夫元経済産業相らの新党構想については「期待する」の27.1%に対し、65.9%が「期待しない」と回答。「理念も政策も違う『野合』だ」(野党関係者)との批判が飛び交っており、「新党構想」は早くも正念場を迎えている。

2010.04.05 ZAKZAK

機関紙配布に「無罪」は出たが

2010年04月05日 | 新聞案内人
機関紙配布に「無罪」は出たが

 共産党機関紙「しんぶん赤旗」を東京都内のマンションに配布したとして、国家公務員法違反(政治的行為の制限)の罪に問われた元社会保険庁職員、堀越明男さんの控訴審判決が3月29日東京高裁であった。

 1審の東京地裁では罰金10万円、執行猶予2年だったが、高裁は一転、地裁判決を破棄し無罪を言い渡した。

 国家公務員は国家公務員法によって政治的行為が禁止されている。具体的に禁止される行為は人事院規則で定められ、政党などの機関紙の発刊や配布などが禁じられている。地方公務員も、地方公務員法で政治的行為が制限されている。

 しかし、中山隆夫裁判長は、配布が休日に行われたことなどから、「被告の行為が行政の中立性に対する国民の信頼を侵害するとは考えられず、これを罰することは国家公務員の政治活動の自由に限度を超えた制約を加えることになる」と、本件に罰則を適用することを違憲と判断した(適用違憲)。国家公務員法の規定は合憲とした。

○見逃せない点

 無罪となったことは歓迎されるべきだが、見過ごせない点がある。

 それは、適用違憲の理由である。

 北海道猿払村で郵政事務官が旧社会党の選挙ポスターを配るなどしたことが国家公務員法違反罪に問われた猿払事件で、最高裁は、国家公務員法が定める政治活動の禁止を合憲と判断したうえで、有罪判決を下している(1974年)。

 今回の判決は、この最高裁判決に一言挨拶をしなければ、無罪と判決できないと考えたのだろう。猿払事件とは異なる判断をなぜしたのか、その理由を述べている。

 今回の高裁判決は、公務員の政治活動の規制をどのようにするかは国民の法意識にかかってくるものであり、冷戦が終息して、国民の法意識が変わった。また、インターネットの普及などにより表現の自由がより重要な権利という認識が深められたので、禁止目的については格別、猿払事件と同じ基準で判断できない――としている。

 しかし今後、仮に有事になったり、インターネットの普及とともにプライバシー保護の要請が一層強まるなど、国民の意識がかえって表現の自由を軽視する方向に変化することもありうる。そうなれば、またビラ配りが規制されることもありえると、今回の判決は述べているようにみえる。

 そもそも今回の事件の実態はどのようなものだったのだろうか。

 問題の機関紙配布が行われたのは2003年11月の衆院選前である。

 捜査官の堀越さんに対する尾行は29日間に及び、多い時は11人もの捜査官で行動を監視した。3、4台の捜査車両を使い、4台から6台のビデオカメラを回し、撮影を繰り返したのである。東京新聞の社説は「立ち寄り先や接触人物まで確認するのは異様で、戦前の暗い風景を思い起こさせる」という(3月31日付)。

○2004-05年に摘発相次ぐ

 こういった捜査や長期の拘留は、他のビラ配布事件でも実施されている。

 政党の機関紙や反戦ビラの配布を巡る事件は、2004年~05年に東京で摘発が相次いでいる(3月29日読売・夕刊)。

 なぜ、2004年からなのか。

 ジャーナリストの斉藤貴男さんは、堀越事件がイラク戦争の約半年後という時代背景に注目している。「当時の国内には『戦争を普通にできる国』への動きが急で、巧妙で強硬な思想統制があった」(3月30日東京新聞)という。

 確かに、遠いイラクの戦争であった。しかし2001年以降、自衛隊がインド洋に派遣されるなど、日本も“戦時下”にあったともいえる。一連の政党機関紙やビラ配り規制は、戦前の思想統制と類似し、まさに歴史は繰り返されていたのだ。

 「白バラの祈り」は、ナチス時代のドイツで、反ナチス運動を展開した抵抗運動組織「白バラ」のゾフィー・ショルの逮捕から処刑までを描いた映画である。1943年2月、ゾフィーと兄ハンスらは大学内で反戦のビラをまき、逮捕され、無罪を主張するが、ゲシュタポの執拗な追及で、逮捕から5日間、1回の裁判・判決で即日死刑になる(3月29日毎日夕刊)。

 ビラをまいただけで死刑にされた21歳のゾフィー。堀越さんも機関紙を配布しただけで大きく人生が狂わされたという点では、同じ境遇だ。

 04年からのビラ配りに対する一連の規制について、国連の自由権規約委員会は08年、日本政府に対して言論表現活動を過度に規制しないよう勧告している。

 このような国連の勧告があっても、日本政府は、政治状況が変わり、国民の意識が変われば、いつかまた思想を取り締まる動きをする可能性がある。しかし、どのように社会が変わろうが、いつの時代になろうが、確固たる立場で表現の自由を守っていくのが、人権の最後の砦たる裁判所ではないか。

 今回の高裁判決。無罪になったのは歓迎するが、人権の最後の砦となる気概が感じられない判決でもあった。

2010年04月05日 新聞案内人
田中 早苗 弁護士

ワシントン条約 南北問題にはするな

2010年04月05日 | 社説
ワシントン条約 南北問題にはするな

 マグロ狂騒曲に踊ったワシントン条約会議。禁輸回避の裏には、資源をめぐる根深い南北対立がある。同じ構図で足踏みが続く温暖化対策などの会議を控え、日本の責任は一層重みを増した。

 モナコの禁輸提案に欧米が相次いで賛意を示し、クロマグロの国際取引は風前のともしびだった。

 しかし、欧州連合(EU)の中でも、地中海沿岸諸国は、蓄養のクロマグロを高値で日本に輸出したいというのが本音。アジア、アフリカの途上国は、温暖化対策会議に続いて、欧米主導の会議運営に、不信と不満を表した。

 禁輸回避は、日本の魚食文化が理解を得られたからではない。影の立役者は、アフリカ票をまとめた中国だ。中国でも生食マグロの消費は急激に伸びている。だが、日本が「外交の勝利」を強調すればするほど、日本の漁業や魚食に対する国際社会の監視は厳しくなる。資源が減れば、批判の嵐にさらされるのは、中国ではなく最大消費国の日本だ。

 日本が率先して、マグロの資源管理を進めてきたのは確か。だが、いまだ横行する密漁や、巻き網で不要な魚も一網打尽にしてしまう混獲の防止にも、“勝った”日本はより重い責任を負わされた。禁輸案の背後には、有力な環境保護団体が控えている。イルカ漁を非難した映画「ザ・コーヴ」のように、環境保護団体は、沿岸漁業にも目を光らせている。

 漁業者だけの責任にはとどまらない。子ガニを逃がす工夫を施したベニズワイガニのかご漁のように、資源維持に配慮した漁法を認証するエコラベル制度など、消費者の理解を促す仕組みづくりと普及も欠かせない。

 米国の医療保険改革も一段落し、ポスト京都議定書に向けた温暖化対策の議論が再び動きだす。日本は温室効果ガスの高い削減目標を掲げ、国際社会のリード役をめざす。漁業資源もそうだが、南北対立を深めるような動きは「持続可能性」の時代に背く。自然資源の管理は結局、南北協調なしにはできないのだ。

 十月に名古屋市で開かれる生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)で、指弾を受ける恐れもある。生物多様性条約会議では、南北間の遺伝資源の争奪が、主要議題になっており、生物資源の賢い利用も議題に上る。COP10を成功に導くためにも、日本の一層真摯(しんし)な管理姿勢を世界にアピールしていく必要がある。

2010年4月5日 中日新聞 社説

4/4中日春秋

2010年04月05日 | コラム
4/4中日春秋

 香港が英国に割譲されるきっかけになった戦争を描いた中国の映画「阿片戦争」(謝晋監督)が公開されたのは、香港が返還された一九九七年だ。政府高官から庶民までアヘン吸引が広がる実態や、貿易赤字を解消するために中国にアヘンを売った英国の策略などがリアルに再現されていた。

 圧巻は特命全権大使として広州に赴任した林則徐が没収した二万箱のアヘンを海辺で廃棄する場面。石灰などで中和されたアヘンは、人工池の中で黒い水となって海に流れていった。

 清国は、英国の圧倒的な軍事力の前に敗れた。長年の半植民地化につながった敗戦は、中国人にとって屈辱の歴史なのだろう。

 中国で麻薬密輸罪に問われ、死刑判決が確定した四人の日本人について、中国政府は近く死刑を執行すると外務省に通告した。執行されれば一九七二年の国交正常化後初めてとなる。

 日本とは違い、中国の刑法では覚せい剤五十グラム以上の密輸で死刑になる可能性がある。薬物犯罪への厳格な姿勢は、アヘン戦争の記憶につながっているのだろうか。

 日本でも中国人の死刑を執行した。内政干渉となることを恐れてか、同じ死刑存置国として執行中止を求めにくいのか、日本政府は執行中止は求めず、「懸念」の表明にとどまっている。捜査や司法手続きに不備はないのか、いまからでも中国側に問えることは少なくないはずだ。

内閣支持率33%に下落 世論調査

2010年04月05日 | ニュース政治
内閣不支持53%に上昇 共同通信世論調査

 共同通信社が3、4両日実施した全国電話世論調査で、鳩山内閣の支持率は33・0%と3月の前回調査から3・3ポイント下落した。不支持は4・4ポイント増えて53・3%と、昨年9月の内閣発足以後初めて半数を超えた。離党届を出した自民党の与謝野馨元財務相と無所属の平沼赳夫元経済産業相らの新党構想に関しては「期待する」は27・1%にとどまり、「期待しない」が65・9%に上った。

2010年4月4日 共同通信

「黄砂」増大可能性 ぜんそくや花粉症の悪化も

2010年04月05日 | 情報一般
黄砂の影響で霞む大阪市内=21日午前、大阪市北区のブリーゼタワーから(甘利慈撮影)

「黄砂」増大可能性 ぜんそくや花粉症の悪化も

 中国大陸で発生し、日本列島を覆う「黄砂(こうさ)」。気象庁によると、今年は特に発生源の砂漠地帯で黄砂が舞いやすい環境にあるという。中国の工業地帯を通過、汚染物質などが付着した黄砂は、ぜんそくや花粉症の悪化など人体に与える悪影響も懸念される。(豊吉広英)

■花粉と黄砂で悪化
 3月21日、全国的に観測された大規模黄砂。空は黄色くかすみ、各地で交通機関が乱れたり、洗濯物や衣服に付着したりするなど、生活に大きな影響が出た。

 しかし、黄砂の問題は、単に「砂塵(さじん)が宙を舞う」ということにとどまらない。

 環境省が平成14~19年度に実施した黄砂実態解明調査で、黄砂飛来時の浮遊粉塵(ふんじん)の成分を分析したところ、硫酸イオンや硝酸イオンの濃度が相対的に高いことが判明した。

 「これは四日市ぜんそくの原因として知られる二酸化硫黄や二酸化窒素などが反応し、黄砂に付着したとみられる」と話すのは大分県立看護科学大学の市瀬孝道教授(生体反応学)。

 中国の工業地帯を通過した際に付着した可能性が高く、吸い込むと「のどや気管で炎症を起こす危険がある」(市瀬教授)。目がチカチカしたり肌がピリピリするなどの異常も報告されているという。

 さらに、黄砂にはアレルギー反応を活性化させる死亡微生物が大量付着していることも判明。動物実験で、黄砂とスギ花粉の両方を投与すると、黄砂や花粉の単独投与より激しいアレルギー反応が確認された。

 砂の主成分である二酸化ケイ素もアレルギー反応を活性化させることが知られており、市瀬教授は「黄砂は砂そのものと、付着した微生物により、花粉症などのアレルギーを悪化させる可能性が高い」と指摘する。

■ゴビ砂漠の乾燥で…
 気象庁によると、平成12年までの30年間で日本で黄砂が観測された年間日数は平均20・2日。ところが、同年以降は40日超の年が続出している。原因として考えられるのは、中国で広がる過放牧や農地転換による土地の劣化、砂漠化だ。

 さらに、黄砂発生源の地表状態や、黄砂を運ぶ偏西風の流れなども飛来量を大きく左右するという。

 気象庁によると、今年はゴビ砂漠付近で積雪が少なく地表が露出している上、空気も乾燥しており、黄砂が空中に舞い上がりやすい環境にあるという。今月3日現在の年間観測日数は例年より若干多い11日だが、気象庁は、今後強い西風が日本へ吹き込むと「日本に黄砂が届く日数が増える可能性がある」とみている。

 一気に大量飛来したものより「ゆっくり中国を横断してきた小規模な方が汚染濃度が高い」と市瀬教授。「特に肺疾患系の病気を抱える人は飛来時に必ずマスクをしてほしい」と注意を呼び掛けている。

2010.4.4 産経新聞

4/5産経妙

2010年04月05日 | コラム
4/5産経妙

 「宇宙飛行で一番感動したことって、何だい」。病理学者の向井万起男さんが、日本初の女性宇宙飛行士である、妻の千秋さんに聞いたことがある。1994年7月の宇宙滞在から、1年以上がたっていた。

 「もちろん、地球に帰ってきたときよ」と千秋さんが答える。家族で再会できたから、ではない。重力を再び体で感じた驚きが、大きかったのだという。そういえば、帰還直後の千秋さんときたら、車のドアを開けて頭から突っ込もうとしたり、何度も手を離してハンドバッグが下に落ちるのを確かめていた。

 万起男さんは、その姿を見て笑ったことを後悔する。次に来たのが、かすかな無力感だ。「女房は宇宙旅行をしたが、オレはしてない」。「宇宙飛行士の亭主」ならではのエピソードから、喜びとほろにがい思いが伝わってくる。

 日本時間のきょうの夜、日本初のママさん飛行士、山崎直子さん(39)が、スペースシャトル「ディスカバリー」で、宇宙に旅立つ。それにあわせて出版された、『宇宙主夫日記』(小学館)のなかで、夫の大地さんは、よりリアルにその実態をさらけ出している。

 長女、優希ちゃんの育児や両親の介護など、仕事を失ってまで家族のために奔走しているのに、理解してもらえない。離婚の危機に追い込まれたこともあったという。もちろん、夢を追い続けた直子さんにとっても、家族はなにより大切だった。

 結婚後も通してきた旧姓の「角野(すみの)」を夫の姓に変えたのも、「主夫」の大地さんに報いるためだ。そして、万が一の事故が起きたときのことも考えて、「家族の『形』を大事にしたいと思った」と、あるインタビューに答えている。延ばしに延ばしてきた結婚式は、帰還後に挙げる予定だ。

参院選公約 「修正」めぐり火花 政府VS民主

2010年04月05日 | ニュース政治
「修正」めぐり火花=参院選公約、財源が焦点-政府VS民主

 夏の参院選に向けた民主党のマニフェスト(政権公約)見直し作業で、政府側と党執行部が火花を散らしている。財源不足を理由に昨年の衆院選の政権公約を大幅に修正すべきだとする政府側に対し、選挙戦重視の党執行部は難色を示す。政府・民主党は5月末までに政権公約を策定する方針だが、2011年度からの子ども手当の満額支給の是非など、調整は難航しそうだ。

 「マニフェストの実行には財源を考えなければならない」。先月31日に党本部で開かれた政府・民主党首脳会議。菅直人副総理兼財務相は財政健全化法案について説明しつつ、財源不足を踏まえた対応の必要性を強調した。これに対し、輿石東参院議員会長は「参院選を戦わなければいけないのに、政権公約の政策を抑制するのか」と反発した。

 10年度予算は新規国債発行が過去最大の約44兆円で、税収約37兆円を上回り、閣内からも「本来はあり得ない姿」(仙谷由人国家戦略担当相)との声が出た。11年度は社会保障費で約1兆円の自然増に加え、政権公約通りなら、月2万6000円の子ども手当の満額支給で約5兆円、農家の戸別所得補償で約1兆円の財源が必要となり、歳出はさらに膨らむ。無駄削減だけでの財源ねん出は極めて困難な状況だ。

 このため菅氏ら政府側は、衆院選の政権公約を大幅に修正し、優先順位の高い主要政策の財源確保を図りたい考え。「政権公約を全部やろうとすると相当無理がある」(岡田克也外相)との意見は強い。

 一方、党執行部は「後ろ向きの公約では選挙に勝てない」(参院幹部)と小幅修正にとどめたい考え。小沢一郎幹事長も先に「昨年8月に(衆院選で)言ったこととまるっきり違ったマニフェストが常識的にはできようはずがない」と表明した。子ども手当などの目玉政策は参院選にプラスに働くが、これを修正すれば「公約違反」と批判されることを恐れているようだ。

 最終的には、鳩山由紀夫首相ら政府側と小沢氏ら党幹部が入った政権公約会議で参院選公約を決めるが、「どちらの言い分も一理ある。最後は政治力が決め手になる」とベテラン議員は指摘する。

2010/04/04 時事通信

日医新会長 風見鶏になるよりも

2010年04月05日 | 社説
日医新会長 風見鶏になるよりも

 歴史的に自民党の支持母体だった日本医師会(日医)の会長に、民主党支持を鮮明にした原中勝征氏(茨城県医師会長)が当選した。病院や開業医の財布に直結する診療報酬の決定権を与党が握っている以上、政治の風向きに敏感になるのはやむを得ないが、政権交代のたびに風見鶏のように振る舞うのは少々見苦しい。予算獲得の圧力団体から、国民に信頼される医療・学術団体に徹すべき時期ではないのか。

 昨年の総選挙で原中氏は、診療報酬を4回連続マイナス改定した自民党に反旗を翻した。政権交代後、民主党は中央社会保険医療協議会から日医の指定席だった3ポストを取り上げ、原中氏の茨城県医師会にポストを与えた。露骨な論功行賞と言われたが、それでも日医側は7月の参院選で組織内候補である自民党公認の現職、西島英利氏の推薦を変更しようとしなかった。そのために民主党の団体窓口である幹事長室への訪問すらできない状態が続いていた。

 「民主党にものを言えるのは私だけ」とアピールした原中氏が勝利した背景に全国の医師たちの危機感が透けて見えるようだ。ただ、内閣支持率が急落する中で、現職の唐沢祥人氏、京都府医師会の森洋一氏にも多くの票が集まり、副会長にはいずれも非原中系の3人が当選した。原中新執行部は早々に参院選の対応に直面するが、その後も難しいかじ取りを迫られそうだ。

 高齢化に伴い医療費は今後も増加していかざるを得ず、国民の負担も増えていく。時の与党にすり寄っているだけでは国民の納得は到底得られまい。まずは診療報酬改定と日医会長選が毎回同じ年に行われることで、診療報酬改定が会長の勤務評定のように位置づけられていることを改めるべきだ。2月、日医の生命倫理懇談会は「高度情報化社会における生命倫理」の報告をまとめた。ネットで患者や医療事故の被害者を中傷する医師への対策、電子カルテやレセプトオンライン化、学生や研修医の医療倫理教育などが重要な課題として挙げられている。もともと医療界は自浄作用が機能しにくいと言われる。日医がこうした問題に果敢に取り組む組織へと脱皮する姿を見せてほしい。

 民主党にも注文を付けたい。日医を揺さぶり冷遇して原中氏を勝利に導いた真意は何なのか。16万人余の会員のいる日医の資金力と票は、選挙を考えると魅力には違いない。しかし、患者を置き去りにして互いの利益のために癒着していた自民党の二の舞いになることだけはごめんだ。

 政権交代が現実に起きる時代になった。日医だけでなく業界団体と政治の関係が問われている。

2010年4月5日 毎日新聞 社説

4/5編集手帳

2010年04月05日 | コラム
4/5編集手帳

 源平・壇ノ浦の合戦で、イルカの大群が源氏から平氏の側に泳いで行くのを見た陰陽師の安倍晴信は、平氏の滅亡を予言したと平家物語は伝えている。

 古い時代のイルカに関する記録は少ないが、群遊して魚を追うため、豊漁をもたらすものとして漁民の信仰の対象とされることもあったようだ。イルカを捕獲し料理する食文化も、一部地域で受け継がれてきた。

 和歌山県太地町で行われているイルカ漁の模様を伝え、米アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」が、日本でも一般公開される予定だ。イルカがいかに知的な動物であるかを強調し、その血で真っ赤に染まった太地の海を“告発”する。

 他の動物とどう違うのだろうか。そんな疑問もおのずと浮かんでくる。もっとも、今や多くの日本人がイルカで思い起こすのは、食肉ではなく水族館などで見かけるその愛らしい表情だろう。

 「時代は変わった」と語り、長年続けてきたイルカ漁をやめ、今では観光船によるイルカ・ウオッチングを企画する漁業者もいる。イルカをめぐる日本人の文化について改めて考えてみる機会かもしれない。

介護保険料、住民負担もう限界か

2010年04月05日 | ニュース政治
介護保険料「住民負担は限界に近い」…読売調査

 9割の市町村が、制度の持続性に疑問を持っていることが明らかになった読売新聞社の介護保険全国自治体アンケート。保険料上昇への懸念が強まるなか、抜本改革を求める声は強い。

 「特に要介護度が低い人は、介護サービスを受け過ぎないようにすることが大切です」

 介護保険料が全国一高い青森県十和田市。市が発行する「介護保険だより」には、保険料上昇を抑えるため、市民にサービス利用を手控える呼びかけが並ぶ。

 同市の介護保険料は、全国平均(月4160円)より1610円高い月5770円。介護施設の利用率が高いことなどが原因だ。市では、筋トレなどの介護予防事業に力を入れるが、高齢化で保険料の上昇は抑えられそうもない。小山田久市長は、「市の努力だけでは限界がある。介護保険財政の税の割合を上げるべきだ」と訴える。

 介護保険の持続性に疑問を持つ市町村は多く、現行のままで制度を維持できると考える市町村は12%に過ぎない。2000年度に3・6兆円だった介護保険の総費用は、09年度には7・7兆円に増加。当初月2911円(全国平均)だった保険料も1・4倍になった。

 12年度の介護報酬改定では、介護職員の待遇改善のための報酬引き上げが見込まれており、保険料がさらに上昇するのは避けられない見通しだ。だが、調査で住民に負担を求められる保険料の限界を聞いたところ、最も多かったのは「4000円台」(56%)。既に負担の限界に近いといえる。介護保険料の上昇は、「介護保険の運営で特に困っていること」を尋ねた質問でも、72%とトップだった。

 市町村からは、「年金から介護、医療保険料を払い、残る金額で介護サービスを受けようとしても、満足するサービスが受けられない高齢者が多い」(岩手県の町)などの声が寄せられた。

 71%が賛成した税の負担割合の引き上げについて、長妻厚生労働相は、「12年度改定で、必要であれば議論する」としている。仮に税の割合を現行の50%から60%にすると、現在でも7000億円が必要になる。また、利用者の自己負担割合(1割)の引き上げについては、「一定所得を超えた人に限り実施」(36%)、「特定の介護サービスに限り実施」(9%)、「一律に実施」(6%)など、肯定的な回答が条件付きを含め、過半数に上った。(社会保障部 小山孝、青森支局 安田武晴)

2010年4月4日 読売新聞

平成大合併終了

2010年04月05日 | 社説
平成大合併終了 歪みに配慮し行革を進めよ

 功罪両面が指摘される「平成の大合併」が3月末で終了した。

 人口減・少子高齢化社会や地方分権に備えるという市町村合併の方向性は正しい。一部で顕在化した歪(ゆが)みに手当てをしつつ、さらなる合併を追求すべきだ。

 1999年3月に3232あった市町村は、11年間で1727となり、ほぼ半減した。

 市は670から786に増加した。町は1994から757に急減し、市を下回った。村は568から184に減ったが、それでも一定数が残されたとも言える。

 市町村の減少率は、都道府県ごとのばらつきが大きい。長崎、広島など4県が70%を超えたのに対し、大都市部の大阪、東京はわずか2%台だった。面積が広い北海道も15%台にとどまった。

 少子高齢化が進む中で、住民に身近な行政機能を確保するには、市町村の行財政基盤を高めることが不可欠だ。国から都道府県、さらに市町村へ地方分権を進めるにも、同様のことが言えよう。

 行政の効率化や経費削減の面でも、合併のメリットは大きい。首長ら三役と議員が2万1000人減り、年1200億円の人件費が節約された。2016年度には、年1兆8000億円の節減効果を生むとの試算もある。

 今回、合併を検討しながら、首長や議会の相性の悪さなどから交渉が不調に終わった例も少なくない。今後も、各市町村が自主的に合併する選択肢は残しておくべきだ。国と都道府県も、積極的に側面支援してもらいたい。

 一方で、合併の結果、「中心部から外れた旧市町村がすたれた」「住民の声が届きにくくなった」との不満があるのも事実だ。

 旧市町村に開設した市町村役場の出先機関の機能や出先機関の長の権限を強化するなど、きめ細かな対応が求められよう。

 住民サービスの低下や地域の伝統・文化の衰退を懸念する声もある。だが、これらは、合併よりも、不況や、三位一体改革の地方交付税削減に起因する面が多い。

 合併による効率化は、すぐに目に見えるとは限らない。中長期的な行政改革を通じて、粘り強く実現を目指す必要がある。

 注目すべきは、合併の副次効果として、住民が地元の行政に目を向け、地方自治への参加意識を持ち始めたことだ。新たな地方自治組織を作り、イベントや町づくりに取り組む例も多数ある。

 こうした動きを、各市町村が支援し、連携することが重要だ。

2010年4月5日 読売新聞 社説