【時事(爺)放論】岳道茶房

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ギリシャ支援 当面の危機避けたが

2010年04月07日 | 社説
ギリシャ支援 当面の危機避けたが

 財政危機に陥っていたギリシャに対する支援策がまとまった。ひとまず当面の危機は乗り切った形だが、抜本解決にはならない。欧州は財政規律維持により効果的な枠組みの構築が求められる。

 欧州連合(EU)のユーロ圏十六カ国は首脳会議を開き、ギリシャに対してユーロ導入国と国際通貨基金(IMF)が協調融資することで合意した。融資総額は不明だが、IMFよりもユーロ導入国による二国間融資の金額が多くなる見通しだ。

 実際の融資に際しては、欧州中央銀行(ECB)と欧州委員会による審査やユーロ圏十六カ国の満場一致による合意、高金利の適用など厳しい条件を付けた。

 財政危機に陥った国への支援としては、IMFが融資する国際的な枠組みがある。ところがIMFに支援を頼めば、ギリシャが厳しい財政再建を求められるだけでなく、ユーロ圏全体の金融政策を遂行しているECBの政策運営にも注文がつきかねない。

 ギリシャだけでなくユーロ圏全体が米国の強い影響下にあるIMFの監視の下に置かれるような事態は欧州の自尊心を傷つける。

 「欧州の問題は欧州の手で解決すべきだ」という原則論がある一方、ドイツなどからは「放漫財政を続けたギリシャの破綻(はたん)を、なぜ他国がコストを払って救済しなければならないのか」という反対論も強かった。

 ユーロ導入国による二国間支援とIMF融資という組み合わせは両論の妥協の産物だ。手をこまねいていれば、危機がイタリアやスペイン、ポルトガルといった巨額財政赤字を抱えた同様のユーロ国にも広がりかねず、現実的対応策として妥当な結論といえる。

 だが、これで問題が解決したとはいえない。ギリシャが歳出削減や増税によって財政立て直しを急ぐのは当然として、欧州ユーロ圏としても検討課題が残る。

 なにより危機が表面化する前に、各国が財政規律維持に真剣に取り組むよう促す実効性ある枠組みを工夫すべきだ。

 現状では、財政赤字の水準を国内総生産(GDP)比で3%以内とするよう定めた財政安定成長協定がある。だが、世界的金融危機に対処するため財政出動を重ねた結果、独仏のような主要国でさえも基準を達成できていない。

 欧州版IMF創設の議論もあるが、まずは協定の運用や例外規定の厳格化が先ではないか。欧州の知恵が試される。

2010年4月7日 中日新聞 社説


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