崖っぷちロー

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『侵略国家』はぬれぎぬ2

2008-11-02 21:44:59 | その他・趣味
空自トップを更迭 懸賞論文で「日本の侵略ぬれぎぬ」
が、思ったよりもニュースとしての強度をもっていたようです。

正論を吐いた空幕長
>審査委員長は渡部昇一氏。実は小生も審査委員の1人であった。

>執筆者の氏名が入っていない論文のコピーがCDで届けられて、それぞれが読み込んだうえで、
>2回、審査委員会を開いて絞り込んでいった。
>審査委員の合計得点で最高だったのが、田母神氏の論文だ。
>だれが書いたものか分からないまま、内容だけで判断した結果である。

こういう情報に一般人が容易にアクセスできるというのもうれしいですね。

『侵略国家』はぬれぎぬで、
>まぁ、「論文」と呼ぶべきではない。
と書いた私としては、審査委員全員の情報とか、審査基準とかも知りたいところですが。

「論文」かどうかということについては、
たまたま諏訪耕平の研究メモを読んでいてみつけた書き込みなんかも参考になりそうです。

***

・引用文献一覧がない
・文献の書誌情報が不完全で、読者の文献アクセスを保障できていない
・先行研究レビューがない
・論文のメタ情報(問題設定、方法論、論文の限界、今後の展望)が一切ない
・↑これにも関連するが、「章立て」がなされておらず、ひどく読みにくい
***


私がこの「田母神論文」で一番気になったのは、
「侵略」「侵略国家」の定義や要件などの一般論が書かれていないということでしょうか。

これは、「自白」の定義や要件も書かずに、
「Yの陳述は自白だ」「いや違う」などと言っているようなものです。
いわばスタートラインとも言える定義・要件が記述されていないので、
「論」を進めていけるわけがない。
(※言葉の究極的な定義というのは出せるわけがありませんし、
 それを要求しているわけでもありません)

まぁ、現在の私も「論文」の定義や成立要件を書けるわけではないのですが、
仮に「田母神論文」の「論文」性について論文を書けといわれれば、それを提示しますし、
少なくとも提示しようという<努力>はします。
(なお、諏訪耕平の研究メモさんではこれに続いて、「論文」の定義についての議論がなされています)

「田母神論文」中では、
>アメリカ合衆国軍隊は日米安全保障条約により日本国内に駐留している。
>これをアメリカによる日本侵略とは言わない。
>二国間で合意された条約に基づいているからである。
という記述がありますが、これは「侵略」の消極的要件を1つ提示したにすぎないし、
そもそもこれが彼の言う「侵略」の消極的要件となる根拠・理由付けもない。
(なお、私は、論証の結果としてそれが「侵略」の消極的要件となりうること自体は否定しません)

引用させて頂いたコメントを書かれた方は、内容/形式で分けられていますが、
このような定義・要件の提示は、形式的要素と言ってもいいのではないかと思われます。


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