完成してからおおよそ1ヶ月、音を出し始めてこれくらい経ってくると完成直後の興奮も冷め、
ある程度客観的な感想を持てるタイミングでもあります。
で、だいたいこれまでスピーカーを作った時の印象は次のような経過をたどったりする。
ステップ1:始めての音出しの当日→おおっ、これはちょっと凄くないかい?
ステップ2:1週間が経過するまで→良い部分にだけ耳が反応する。
ステップ3:1週間経過後→悪い部分がわかり始め、そこばかりが気になり始める。
ステップ4:それ以降→対処不能な悪い部分は忘れるっ!(爆!)。
そもそもバックロードホーンのような形式のスピーカーは完成直後とても変な音がする事が多いらしい。
それは構造が大きい事に加え内部の音道を構成する合板を強引に接着したりしているのでエンクロージャーを構成する合板に不自然なテンションがかかっていて、それが音に乗っかってくるためで、合板が馴染んで変なテンションが取れてくるまである程度時間がかっかたりします。
加えて新品のドライバーユニットを使ったりしていると未エージングの硬い音と相まって聴くに耐えない音になることもあるようだ。
バックロードホーンが嫌われることも多いのはそのあたりにも一因があるのかもしれない。
今回も完成直後の音だしでは、特定の周波数帯に妙な付帯音が付きまとっていたが、日が経つにつれておさまって来たので一安心。
取り付けたユニットFE126Eは3年以上1号機に取り付けて鳴らし込んだエージング済みのユニットなので最初からいい感じに鳴ってくれている。
このユニットのメーカーであるFostexの設計による1号機より今回の箱の方が相性が良いようで、以前感じていた高音域の乱れというかキンキンしたトゲのある音が全く鳴りを潜め、実に綺麗な中高域を聞かせてくれている。
いやぁ~、これは実に嬉しい誤算でありました。ほんとにユニットは箱によって化けるもんです(今回についてはただの偶然ですけどね)。
で、いつもチェック用に鳴らしてみるのがこのCD
ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団 ブラームス交響曲第3番
なんでこんな古い録音を使うのかというとアナログレコード時代も含め単に若い時から散々聴き尽くしてきたからというだけの理由。
この中の第3楽章と第4楽章、あとおまけに収録されているアルト・ラプソディーの冒頭部分で試してみます。
第3楽章はコントラバスのピチカートの聞こえ方を試し、第4楽章では「ダラララ~」って感じのティンパニの速い連打がオーケストラの音の中でどんな風に聴こえるか、アルト・ラプソディーの出だしでは中低域の充実感というか重々しさを重点的にチェック。
あとはこの古い録音自体を気にせず音楽に没頭できれば合格ってところでしょうか。
して、その結果はというと・・・手前味噌にしかならないけど、中低域の量感と解像力に加え高域の伸びやかさで一皮むけたというかクオリティーがひとクラス上がったような(錯覚?)気がする。
設計段階でわかっていたのだが残念なのはローエンドの伸びが今ひとつ(ホーン長が2メートルあるかないかなので、やはり長さ=箱の大きさが足りないって事か・・・)。
まぁ~でもそんな事はある程度忘れさせてくれる音楽性の高さが何より嬉しい部分だったりする。
バイオリンやピアノのソロについては言うことなし、フルオケのスケール感も必要十分な出来。打楽器系の表現力が素晴らしいのでライブ感抜群。
あえて欠点を上げるとどちらかというと響くスピーカーなのでヨーヨーマの無伴奏チェロ組曲でチェロの胴鳴りが強調され過ぎるのと、
いい感じに鳴らすためにはある程度ボリュームを上げる必要があるので日曜日の昼間しか鳴らせないという・・・。
それしてもFE126Eというユニットは値段を考えると恐ろしくコストパフォーマンスの高いユニットである。
実はうまく行くようなら上位のユニットへの交換を考えていたのだが、今はあまりその必要を感じない。
むしろ更なる箱側のアップグレードを考えたくなるような・・・ってオイ!
いえいえ、それは遠い将来のことであります。