セネガルの独立記念日から、朝の連続ドラマ小説?!、セネガルストーリーズをお送りしている。
第一話「偉大なる平和な国」
第二話「大都会ダカール」
第三話「ダカールの庶民生活事情」
第四話「乾いた国に、なぜ洪水??」
第五話「ちょっぴり悲しい過去」
第六話「ああ、共和国独立史」
きょうは前回ちょこっと触れた、かのいわく付き物件。ワッド政権の後期、大きな論争を巻き起こした「アフリカ・ルネッサンス像」だ。
(アフリカ・ルネッサンス像)

全高52m、総工費90~150億Fcfa(約18~30億円)、8年の工期をかけて作られた巨像。北朝鮮からのファイナンスで、施行も万寿台海外プロジェクトグループが行なったとされる。
ルネサンス像は、ワッド政権最大の公共事業のひとつで、アフリカの威厳を示すとともに、大陸を「闇から光に導く」との思いが込められている。

虚像のたもとには、完工式に臨席した要人の名が彫刻されている。
(起工式列席者銘板)

近隣国の近所づきあいはさておき、チャド、赤道ギニア、ジンバブエ、北朝鮮・・・こう言っては悪いが、バッドガバナンスでおなじみの国が並ぶ。
セネガルの市民が水や電気、保健など基礎生活が充足されない中、巨額の資金で建設された巨像。停電で真っ暗なダカールの下町から、煌々とライトアップされるルネッサンス像。
人々は噂する。
「この像はワッド一家。息子カリムを抱いて、この国を踏み台に私欲を肥やす像だ」
対するワッド。
「凱旋門やエッフェル塔を建設して、誰が批判を受けただろうか。アフリカの歴史的建造物を作るかどうかは、アフリカ人の意思にかかっている。」
いまでは市民にも受け入れられつつあるという。
さて、セネガルの政情に戻るとしよう。2012年の大統領選挙で、ワッド大統領は、憲法が禁止する三選条項を政治的にクリアし、立候補を宣言。野党も勢力を結集し、反ワッドキャンペーンを繰り広げた。ワッド陣営もあらゆる手を使って政権に居座ると宣言、緊張が高まった。時折しも、前年のコートジボワール大統領選挙では前職が敗北を認めず、内戦化した。お隣のマリ、民主主義のもう一つのお手本国と評されていたが、その名声はもろくも崩れ去り、内戦が進行しつつあった。セネガルよ、まさかお前もか、、、
そして決選投票が終了。結果、独立選挙管理委員会から、野党候補のマッキー・サルが当選したと発表された。はたして、この結果をワッドが受け入れるか。セネガル中が、いや、アフリカ中が、世界中が注目した。そして・・・ワッド前大統領は、当選者マッキー・サルに祝福のメッセージを送った。美しい結末だ。両者に拍手をお送りしたい。
ンボテには、負けを認めたワッド氏が偉い、というよりは、賢明なセネガル有権者がワッドがそのまま政権に居座ることを許さなかったのだ、というように目に映った。さすがは西アフリカの民主主義のモデル国だ。セネガル国民に、拍手を送りたい。
(ワッド大統領、マッキー・サル候補に祝意(France24))
余談だが、野党の大統領候補者の調整の過程で、世界的に著名な歌手、ユッス・ンドゥールが立候補への名乗りを上げた。これを見たセネガル人の反応「お前じゃない」、「お前は歌を歌うのが仕事で、政治の能力はない」。お茶の間を賑わすタレントや芸人に、おいそれと票を投じる、どこぞの国との民度の違いを感じずにはいられなかった。
(France24によるユッス・ンドゥール出馬インタビュー)
また、こちらの記事でもご紹介の通り、現在の首相はアミナタ・トゥーレ女史。セネガル政権史上二代目の女性首相だ。女性の社会進出の面でもわれわれはセネガルに見習うところが大きい。
(まだまだつづく)
第一話「偉大なる平和な国」
第二話「大都会ダカール」
第三話「ダカールの庶民生活事情」
第四話「乾いた国に、なぜ洪水??」
第五話「ちょっぴり悲しい過去」
第六話「ああ、共和国独立史」
きょうは前回ちょこっと触れた、かのいわく付き物件。ワッド政権の後期、大きな論争を巻き起こした「アフリカ・ルネッサンス像」だ。
(アフリカ・ルネッサンス像)

全高52m、総工費90~150億Fcfa(約18~30億円)、8年の工期をかけて作られた巨像。北朝鮮からのファイナンスで、施行も万寿台海外プロジェクトグループが行なったとされる。
ルネサンス像は、ワッド政権最大の公共事業のひとつで、アフリカの威厳を示すとともに、大陸を「闇から光に導く」との思いが込められている。

虚像のたもとには、完工式に臨席した要人の名が彫刻されている。
(起工式列席者銘板)

近隣国の近所づきあいはさておき、チャド、赤道ギニア、ジンバブエ、北朝鮮・・・こう言っては悪いが、バッドガバナンスでおなじみの国が並ぶ。
セネガルの市民が水や電気、保健など基礎生活が充足されない中、巨額の資金で建設された巨像。停電で真っ暗なダカールの下町から、煌々とライトアップされるルネッサンス像。
人々は噂する。
「この像はワッド一家。息子カリムを抱いて、この国を踏み台に私欲を肥やす像だ」
対するワッド。
「凱旋門やエッフェル塔を建設して、誰が批判を受けただろうか。アフリカの歴史的建造物を作るかどうかは、アフリカ人の意思にかかっている。」
いまでは市民にも受け入れられつつあるという。
さて、セネガルの政情に戻るとしよう。2012年の大統領選挙で、ワッド大統領は、憲法が禁止する三選条項を政治的にクリアし、立候補を宣言。野党も勢力を結集し、反ワッドキャンペーンを繰り広げた。ワッド陣営もあらゆる手を使って政権に居座ると宣言、緊張が高まった。時折しも、前年のコートジボワール大統領選挙では前職が敗北を認めず、内戦化した。お隣のマリ、民主主義のもう一つのお手本国と評されていたが、その名声はもろくも崩れ去り、内戦が進行しつつあった。セネガルよ、まさかお前もか、、、
そして決選投票が終了。結果、独立選挙管理委員会から、野党候補のマッキー・サルが当選したと発表された。はたして、この結果をワッドが受け入れるか。セネガル中が、いや、アフリカ中が、世界中が注目した。そして・・・ワッド前大統領は、当選者マッキー・サルに祝福のメッセージを送った。美しい結末だ。両者に拍手をお送りしたい。
ンボテには、負けを認めたワッド氏が偉い、というよりは、賢明なセネガル有権者がワッドがそのまま政権に居座ることを許さなかったのだ、というように目に映った。さすがは西アフリカの民主主義のモデル国だ。セネガル国民に、拍手を送りたい。
(ワッド大統領、マッキー・サル候補に祝意(France24))
余談だが、野党の大統領候補者の調整の過程で、世界的に著名な歌手、ユッス・ンドゥールが立候補への名乗りを上げた。これを見たセネガル人の反応「お前じゃない」、「お前は歌を歌うのが仕事で、政治の能力はない」。お茶の間を賑わすタレントや芸人に、おいそれと票を投じる、どこぞの国との民度の違いを感じずにはいられなかった。
(France24によるユッス・ンドゥール出馬インタビュー)
また、こちらの記事でもご紹介の通り、現在の首相はアミナタ・トゥーレ女史。セネガル政権史上二代目の女性首相だ。女性の社会進出の面でもわれわれはセネガルに見習うところが大きい。
(まだまだつづく)