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マリ大統領選挙速報(2)~IBK優勢、決戦投票は?

2013-07-31 07:30:45 | アフリカ情勢
連日お伝えしているマリの大統領選挙、さらにここまでの途中経過、続報としてお伝えしたい。

◆主要国の反応
フランス、EU、米など主要国は、選挙が平和、平穏の中挙行されたことを一様に高く評価。仏はオランド大統領、エロ―首相、ル・ドリアン国防相がそろってコメント。選挙を平和裏に進めたマリ国民への賞賛とともに、仏の主導が成功裏に進んだことを一様に評価した。

EUはルイ・ミッシェル監視ミッション代表が「マリ国民の快挙に脱帽(Chapeau bas aux Maliens)」との表現を用い、高く評価した。

※ちなみにルイ・ミッシェルは元ベルギー外相で、アフリカ・ヨーロッパ関係を議論する上で無視しえない重鎮。ンボテがコンゴ民主共和国に駐在中、旧宗主国の外相としてコンゴを侮蔑するコメントを行い、物議を醸しだした。そののち、欧州委員会(EU)の援助協力局委員(閣僚にあたる)を勤めた。

米国は国務省パトリック・ベントレル報道官がマリ国民に選挙の成功に関する賛辞を送った。加えて、「全ての候補者と会派が、結果を厳粛に受け止める」よう要請した。これは昨日の記事で述べた、コートジボワールのような選挙結果を巡る騒乱に至らないよう警告するものだ。

◆投票率は50%超。
今回の選挙では120万人とも言われる潜在的有権者が、登録されずに選挙を迎えたともいわれる。また昨日の記事で触れたとおり、少なからぬ登録有権者が技術的理由で投票できなかったと報じられているが、それでも投票率は前回を上回る。

選挙を所管する国土行政大臣は、今回の投票率は53.5%と発表した。EUのルイ・ミッシェル監視ミッション代表は、「38%にとどまった前回に比べ、目を見張る数字。」とコメントしている。日本の先の参議院議員選挙の投票率が約52.61%。苦難の中でマリ国民がマークした数字は高いとみていいだろう。

◆出口調査結果~IBK絶対優勢、決戦投票はあるか?

選挙より二日たち、投票結果の趨勢が判明してきた。ここまでの報道ぶりではイブラヒム・ブバカル・ケイタ(IBK)の優勢はほぼ間違いなく、焦点はどうやら決選投票に持ち込まれるかどうかにかかっている。

国土行政大臣は、1/3の開票が済んだ途中経過として、「IBKが大きくリード。このまま推移すれば決戦投票にいかない可能性」を示唆。また、対抗候補のスマイラ・シセも、第三位のドラマヌ・デンベレ候補に大きく水を開けてリードしていると発表した。

有力対抗候補のスマイラ・シセ候補陣営は「大臣発表は間違いだ。開票の進行は12%に過ぎす、1/3ではない。この段階でこのような数字を出すのは火薬に火をくべる意図を感じざるを得ない」と発表。これまでも「自分が触れた数字では、決選投票は必至」とコメントしていた。

最終公式選挙結果はいかに。遅くとも8月2日までに公式発表されることになっている。

◆北部・トゥアレグ族~選挙後を見据え
選挙に対する積極的な評価と相対して、北部、アザワド解放国民運動(MNLA)が拠点とするキダルでは、投票率はわずか12%程度にすぎなかった。選挙実施の根拠となったマリ暫定政府とトゥアレグ勢力(MNLAと、「アザワド連帯のための高等評議会(HCUA)」)の間の合意、「ワガドゥグ合意」によれば、アザワドは選挙の実施と妨害行為の自粛、マリ軍の展開を受け入れるかわりに、逮捕されている構成員の釈放、組閣後60日以内の「和解のための対話」開始を規定している。

MNLA幹部は「選挙はバマコ政権とトゥアレグの交渉の相手方を選定するプロセス」に過ぎないとし、「交渉に応じなければ惨劇が待っているだろう」と警告、新政権をはやくも牽制している。

また、IBK優勢の報道については「トゥアレグとの関係において、過ちを犯してきた人物ではない」として、今後の「交渉相手」を好感した。


今後、数日内に選挙結果が明確化する。各候補、支持者が結果を厳粛に受け止め、民主主義のルールの中でマリが国民再統合の道、また再生と再建の道を歩むことを、心から期待している。


NHK国際放送ラジオジャパン(フランス語放送)のマリ・サヘル情勢に関するンボテ飯村インタビュー、8/3まで限定で、Webサイト上でお聞きいただけます。こちらの記事にリンクが貼ってあります。なお、ンボテ出演は7'20"頃から16'20"頃までです!


(サヘル情勢シリーズ)
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