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アンゴラとコンゴ民主共和国の微妙な関係(3)〜キンシャサを制圧したアンゴラ兵?

2018-11-06 07:30:00 | アフリカ情勢
先週の記事、2回にわたって、アンゴラとコンゴ民主共和国の関係を話題にしてきた。

初回記事では、現在進行する人道危機、アンゴラに身を置くコンゴ民主共和国からの移民が、一斉に送還されている現状について。
アンゴラとコンゴ民主共和国の微妙な関係(1)〜大量のコンゴ難民が強制帰還

そして第二話として、アンゴラとコンゴの歴史上の深い関係。植民地から冷戦の時代にかけて、それぞれのコンテクストで、相互に作用、反作用しあってきた関係。そして現代史におけるコンゴ戦争への介入などを振り返った。
アンゴラとコンゴ民主共和国の微妙な関係(2)〜植民地、冷戦、内戦。そして依存関係

そして前回記事の最後に「(コンゴは)とある事件において、(アンゴラの)ただならぬ影響力を見ることになるのだった。」と締めくくった。その事件とは。


2007年3月、和平プロセスが一旦完了し、ジョセフ・カビラ大統領が就任してわずか3ヶ月。首都キンシャサでは大規模な銃撃戦が繰り広げられた。

実は当時のコンゴ・キンシャサにおいて、銃撃戦は珍しいものではなかった。和平プロセスの中で、ほぼ3ヶ月おきに一度のペースで、カビラ派の軍と、政敵ジャンピエール・ベンバの私兵が交戦を繰り返していたのだ。しかし2007年3月のそれは一つ違っていた。その規模といい、犠牲者数といい、また政治的なインパクトがもたらした傷跡といい、それ以前のものとは明らかに一線を画すマグニチュードを持った。

2016年の大統領選挙で、ジョセフ・カビラ大統領が正式に就任すると「勝てば官軍」、カビラの兵は国軍となり、それ以外の有力者の兵は賊軍となった。治安セクター改革(SSR)、兵員動員解除・社会統合(DDR)の流れの中で、政権側は他の軍閥、特に大統領選挙を最後まで戦ったベンバ元副大統領に対し、3月15日を期限に私兵を解散するよう迫った。他方、ベンバ元副大統領の側からは、自らの安全が確保できないとして武装解除を拒否。両軍が市内で極度の緊張の中、対峙する事態となった。

(コンゴ人アーティストShula: "Calme tendu". Acrylic on canvas, 95 x 110 cm, 2007)


そして偶発的に発生したとされる戦闘は3月22日に開始。キンシャサ氏の目抜き通り「6月30日通り」を挟み、ベンバの私邸と向かいに位置するキンシャサ墓苑、ゴルフ場のあたりが激戦となった。近傍のUnicefの建物には迫撃砲が着弾し、1階、2階部分が大破した。戦闘による犠牲者は公式には200人、メディアでは500人に上ると報じられた。当時、ンボテはキンシャサに身を置いていたふが、ある欧州の国の大使館の書記官からは「実際の犠牲者は900人にのぼったと首都に公電報告した」と耳にした。正確な数字はともあれ、戦闘は凄惨なものだった。この事件によりベンバは南ア大使館に亡命。そして最終的には欧州に脱出する。

(コンゴ人アーティストShula: "Violent affrontement du 22 au 23 mars 2007". Acrylic on canvas, 96 x 111 cm, 2007.)


さてこの戦闘の顛末、キンシャサ市内では2日2晩に渡り、交戦が続いた。そしてキンシャサ市内で目撃されたのは、戦闘から逃げていく「コンゴ軍」の兵士と、一切の戦いに介入しない国連PKO、欧州展開軍(Eufor)。その後展開した多数のアンゴラ兵だった。一国の首都に、他国の部隊が展開・・・。当時、真相は明らかにされなかったが、コンゴのカビラ「新」大統領とドス・サントス大統領のただならぬ関係が噂された。そして自国の治安維持すらままならないカビラ政権は、サントス政権に、藁をもすがる思いで介入の支援を要請。そしてコンゴはアンゴラに多くの貸しを作った、とも評された。

(コンゴ人アーティストAlfi Alfa: "La Bataille sanglate de Kinshasa". 90 x 109 cm, 2007)


10有余年の月日を経て、サントス政権を引き継いだルセンソ大統領はこの事件について語り、「2007年のキンシャサ戦闘にアンゴラは国軍を送り、カビラの軍を支援した。」と明らかにした。「介入は明確に意図されたものであり、自省すべきものではない。」と答えた。

「アンゴラとコンゴ民主共和国の微妙な関係」は、次回最終回へ。

※絵は'Reflections of African artists - March 2007 Violence in the Congo'より引用。

(参考記事)
Beauté Congo~圧巻のコンゴ現代美術展!!
前編
後編

(つづく)


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