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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

自立循環型住宅4

2009-08-21 11:09:13 | 建築法規・施策

Img_0483 ②昼光利用:昼光を利用する事で、照明エネルギーの削減を期待します。昼光は、照明の均一的な明りに対して、天気の変化や時間の変化で明暗の差がある事で、視覚的な快適性も得る事が出来ます。必要な照度については照明で補う事ができますが、昼光が演出する明りの揺らぎは、照明では演出できないので、メリットとして解釈しています。

立地条件は、自然風の利用と同じ振り分け方で、3つの地域から選択します。周辺の建物の過密度が違えば、同じ工夫をしても、部屋に取り入れられる明りが違う事を区別する為です。

次に、各居室で有効な採光窓が1部屋に何か所設けられるかを検討します。有効か否かの判断は、基準が設けられています。

(1)直接的な昼光利用方法:壁面に設ける窓は、建築基準法をクリアする面積を前提として有効な手法と言えます。当たり前の事ですが、壁に設ける窓は、開閉の容易さと掃除のしやすさがメリットとして上げられます。但し、むやみに大きくする事は、夏季の冷房負荷の増加につながり易いので、熱損失の補てん(正直、開口部の場合、他部位での補てんは難しいです)や日射遮蔽の検討も必要になります。

壁面に設ける窓のポイントをまとめると、

・窓の位置は、高い方が部屋の奥まで光が届き、室内照度の均一性は向上します。同時に、プライバシーの確保が容易になる場合があります。

・同じ面積の窓であれば、横長よりも縦長の窓の方が照度の均一性が向上します

屋根面に窓を設ける場合、照度の均一性は格段に向上しますが、掃除や日射遮蔽の検討を十分に行う必要があります。

(2)間接的な昼光利用方法:窓は高い位置にあるほど、室内照度の均一性が増すと触れましたが、吹き抜けの窓もそれに当たります。吹き抜けで空間が広がる事により、気分的にも解放感が得られますが、照明の設置位置を間違えるとランプ交換が難しくなったり、空調計画(断熱・気密・換気含む)や構造計画にも十分な配慮が必要になります。

室内の間仕切りに欄間を設ける事で、隣室に光を導くこともできます。独立性を上げたい場合は、ガラスブロックも有効です。

その他、建物をロの字型やコの字型にする事で、明りを取り入れる工夫もありますが、排水計画や構造計画にも注意が必要です。

明りが取り入れにくい場合、室内照度の均一性を上げたい場合、仕上げ面の反射を利用する方法もあります。単純に、濃い色の仕上げ材よりも明るい仕上げ材を使用した方が反射率がいいので、濃い色が好きな方でも、コントラストで部分的に明るい使うなどの工夫も考えられます。但し、個人的な考えを付け加えると、ツヤのある材料で反射率を上げると、目が疲れる要因にもなりますので、ほどほどにした方がいいと考えています。

上記の様な有効窓が、各居室に何か所あるかを調べ、立地条件と組み合わせるとレベル0~3が決まります。これにより、照明エネルギーが0%~10%の範囲で削減が期待できます。

昼光利用については、ごく当たり前(建築基準法レベル)の事ばかりで目新しい技術等はありません。但し、その当たり前の設計が、何%のエネルギー削減につながるかが分かるようになったというのが、自立循環型住宅の特徴だと思います。

つづく。


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