昭和の建築ではなく、昭和の生活を振り返る本です。
戦後から現代において私たちの暮らしがどのように変わってきたかを紹介する本です。
その中で一番興味深かった内容が、住宅メーカーの広告コピーから住宅の移り変わりを紹介した章。
ここ最近記事にしている様に、私が戦前の建物に興味を魅かれるのは、日本の普遍的な要素を前提にしながらも、その時代の特徴が随所に散りばめてあり、それが生活スタイルと同時進行で移り変わっているのが感じられるからです。
しかし、この本を読むと、戦後の住宅は、住宅メーカーの販売戦略に沿って移り変わっているだけで、生活スタイルは、その販売戦略にはめ込まれているのが分かります。
つまり、住宅メーカーが、流行らせたい生活スタイルを特徴とした住宅を新商品として売り出し、それが売れれば、別の生活スタイルを新たに新商品として売り出す。
時代の変化に伴う生活の変化に住宅があるのではなく、商売の戦略の上に住宅があり、それに生活スタイルがはめ込まれているだけなんです。
だから、各時代によって住宅メーカーの広告コピーは数年前と真逆の事を言っていたりもするので、いきなり生活スタイルが180°変わったりもします。
だから、個性の時代と言われている割に、没個性と感じてしまうのは、きっとこれが原因なんだなと思いました。
他と違うことが個性ではなく、変わらない芯を持ち続けることが個性だと思います。
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