加地尚武の佐倉新町電気街

「福音の少年 Good News Boy」シリーズ(徳間書店 徳間デュアル文庫)著者による電脳生活と意見。

【ぶんがく】 「暗闇のスキャナー」映画化!

2005年12月19日 01時19分11秒 | 本のこと。
キアヌー・リーブスにウィノナ・ライダーという人気俳優の組み合わせなので、確実に日本で公開されるだろうが、すでにネットで公開されている予告編を見るかぎり、不安と期待が交錯する。

いや、P.K.ディックの「暗闇のスキャナー」が映画化されるのだ。
「ブレードランナー」「トータル・リコール」「マイノリティ・リポート」とディックと映画は相性がいいようだ。だから、そのうち、「高い城の男」や「ユービック」「火星のタイムスリップ」あたりが映画化されるんじゃないかと期待していたのだが、「暗闇のスキャナー」がくるとは思わなかった。

その予告編はここやiTunesで観られる。

いや、なんて映画なんだろう?って思われるかもしれない。技術的なことは興味もないが、俳優が演じたフィルムを取り込んで、トゥーンシェーディング(マンガのような3DCGの効果)のように加工しているのだろうか。

これがまた原作のイメージに合ってるのだ。しかし、この絵で原作に忠実に映画化した場合・・・観客は大丈夫だろうか、などとよけいなことを思ってしまう。
 
暗闇のスキャナー

東京創元社

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上のリンクは今は無きサンリオSF文庫を復刻してくれている創元社版である。表紙はサンリオ版の方が好きだ。

そういえば、文学といいつつ内容についてなにも語っていないことに気がついた。
なんか、書こう。

その、つまり、警察国家と化したアメリカで、ジャンキーたちが互いを傷つけ合う話です。後期ディックの定番ですね。
いや、身もふたもないな。しかし、そのグダグダのプロットの終いに、主人公はニーチェの言う「世界苦」を実感する。
わたしは、原作のクライマックスで、身体が震えるほど感動してしまった。
バロウズの「裸のランチ」が名作というなら、この小説は超名作だ、と思った。

前期~中期のディックファンから駄作の烙印を押されがちな小説だが、わたしは大好きだ。
映画は観に行くかどうか思案中。