Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

露天商――祇園祭にて(2)

2007年07月20日 | 
 祭りといえば露天商である。祭事の当日、どこからともなくやってきて、整然と露天商が並び、祭りに彩りを添える。そして祭りが終わるや否や跡形もなく消えていく。祇園祭も例外ではない。山鉾町や八坂神社の狭い道の両側には相当数の露天が並んで、道を歩くと鉄板の上で少し焦げたソースやら、解けたチョコレートの匂いが漂う。
 せっかく祇園祭に来たのだし、露天商で何かをつまもうと思い、京都らしいものはないかと探してみる。しかし数ある露天の大半は、ヤキソバ、たこ焼き、フランクフルト、広島風お好み焼き・・・探してみても東京や那覇で見る露天商の食べ物とどれもかわらない。かろうじて「もつ焼き」、「神戸牛の串焼き」というのが売られていたが、いろいろ考えて遠慮した。結局、露天では何も食べないまま、見つけたコンビニでカレーパンとビールを買って胃を満たした。
 祇園祭という京都のお祭り、いわば地方色豊かな祭礼と全国展開する露天商で販売される品々。この極端なほどの対比がユニークである。しかし考えてみれば、露天商の威勢のいいねじりはちまきのお兄さんが、「はい、そこの浴衣のお姉さん、京都生八橋、抹茶パフェがうまいよ。」なんて声をかけていると思うと少し笑える。やはり、露天商は「ジャパン・グローバル」な食べ物が似合っている。そしてそれらの店の間には、やはり全国定番の金魚すくい、ヨーヨー釣り、射的、くじ、アンズ飴、べっ甲飴、チョコバナナなんていう露天が並んでいるからこそ、日本人は安心して地方色豊かな祭礼を楽しむのである。