Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

デビュー目前

2007年07月06日 | 大学
 夕方から大学サークルのバリ・ガムランの七夕コンサートが、大学の中庭で開かれる。バリ島のガムランを外で演奏するのは、やはり気分がいい。室内だと倍音やウナリの反響が強すぎて、時としてそれに苦しむことすらある。もともとガムランは野外で演奏されるためのものだ。だから外で演奏すると、その音楽は心地よく響く。
 東京にいる頃、外でのイベントを企画するのは大騒動だった。イベント企画そのものだけでなく、近所への事前挨拶などだけでも相当に疲労した記憶がある。昼間なら大丈夫だと思って、リハーサルをやっていると、「夜の仕事系」の人々から騒音の苦情の電話や、怒鳴り込まれたこともある。昼も夜も、野外でガムランを演奏するのは苦労の連続だった。
 ところで、今回の大学サークルのコンサートを利用して、この5月から私が来年の公演のために教え始めた学生グループも「前座デビュー」する。たった2曲、たぶん時間にして10分程度の演奏に過ぎないが、それでも私にとっては新たなグループをデビューさせるのだからそれなりに緊張するし、嬉しさもひとしおである。
 メンバーの多くの学生は演奏を専門とする学生達ではなく、音楽研究を目指す専攻の学生たちだ。だから大学内では、人前で演奏する機会というのは年に一度の「試験」くらいしかない。実は私自身も20数年前、そんな専攻の学生だった。だから演奏を専門とする学生たちにはできないガムランを学内で演奏することは、それなりの喜びがあった。そうした経験を通して、演奏は音楽研究の原点にあると感じた。
 今日はちょっと先生モードで、学生たちに「演奏の楽しさ」を感じてもらいたいと思う。「音楽学は研究するだけで、演奏はしないし、理屈っぽいだけだ。どうせ演奏できたって二流だよ。」なんていうことを口に出していう人はいないと思うが、われわれだって演奏する。そして研究する。ガムランは私たちにしかできないだ。だから胸をはって舞台に立とう。