Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

みんなの声が戻ってきた

2007年07月14日 | 那覇、沖縄
 昨日は台風で外に一歩も出れない生活を送った。この数年、那覇に台風が接近するときはたいてい海外に調査にでかけていて、家族だけがこんな状況を体験していた。考えてみるとそんな不安な状況の中、夫はいつも家にいなかったわけで、昨日も「ひどい台風だぁ」と私が外を眺めながら話すと、カミサンは「私たちは毎年経験してますから」とピシャリと返されて、「イタタタ・・・」という感じである。何時間も停電して、薄暗い部屋で本を読むこともできず、ただただ瞑想にふけった一日だった。
 夜中になって暴風域から抜ける頃、風雨が少し静まった。すると窓の外から聞こえ始めた音がある。カエルと夏ムシの声。あの天気の中、どこかの影にひっそりと隠れていた「彼ら」は、いざ出陣!とばかり夜だけの自己主張を始めたのである。まだ聞こえる風の音、時折急激に降ってくる雨音に混じり、彼らの声は夜空に響く。
 渋谷駅で路上ライブをするグループは、演奏する時間と場所を相互に決めているのを知っているだろうか?グループ同士でさまざまな規則を作ることで、路上ライブの音楽環境を自身の手で設計している。だから互いに演奏時間や場所を守る。
 さて沖縄のライブは、昨日一日、予定になかった乱入者に舞台を占拠されてしまった。一日もの間、好き勝手に舞台で演奏し終わる頃、なんだか昨晩のカエルと夏ムシの声は、風や雨に向かって「オイオイ、お前たちもういいだろう?俺たちの時間が始まっているんだよ。」と相手をひどく傷つけないよう、控え目に自分たちの演奏時間を始めたように聞こえる。そこまで乱入者に気を遣わなくてもいいのに。私は布団に横になって、二つのグループのそんなやりとりを想像しながら、深い眠りにつく・・・。
 そして今朝起きると、いつの間にか、ライブはかなりシャウトしまくるセミの番にかわっていた。それにしても乱入者のライブは、そうとうに那覇をとっちらかしていったものだ。土曜日は、セミのあと、マンションの子どもたちの番だ。ウィークデーは奥様たちの井戸端会議の声かな。ともあれ、みんなの声が戻ってきた。だからこんな自然の音に囲まれて今を生きていることがとても嬉しい。