みみずのしゃっくり

みみずのしゃっくりのように役に立たないことを不定期に書き込むブログ。
専属スターはいませんが、猫っぽい内容です。

前方への逃避

2016-09-17 | おきにいり

9月17日からアラビア語コース新年度が始まります 
ちっとも進歩しないけど 面白いんです

以前にも書きましたが、コースを主催しているのはシリア出身の国連職員で、難民キャンプに子供のための学習・医療施設を立ち上げたり、短編集を執筆したり、スーパーウーマンなのです。

彼女の2冊目の短編集

収録されている短編のタイトルをとって「前方への逃避」

本のタイトルとなっている短編は、女囚用の監獄の話です。「私」の入っている監獄に、汚れて獣のような女囚が連れてこられます。同室の女性たちが、何とか洗ってやり、少し人間らしくなります。その数日後、所長がやって来て「明日は国際赤十字の視察団が来るから、新しい服を支給する。質問があったら、この国や大統領を愛していることを話なさい。政治的な質問には絶対答えてはいけない」と指示(命令)します。翌日、赤十字の視察が終わり一段落すると、例の女囚はすっかり落ち着き、「私」に打ち明けます。「私の監獄では何人も死んだわ。私も正常なままなら死んでいたわ。」

どういう監獄かは語られていませんが、政治犯と察せられます。筆者が実際体験したことか、あるいは国連の関係で、体験者から聞いたのかは知りません。多分後者だと思いますが、彼女も結構危ない橋を渡ってきたようです。

裏表紙

「前方への逃避」から所長の訓示の部分が紹介されています。



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