詩集「2N世代」

詩作品、短編、評論、エッセイ他: Blogタイトルと内容がこの数年異なってきた。タイトルを変えたほうがいいかもしれない。

おじいさんの帰省日

2008年09月30日 15時01分03秒 | その他の詩作品

そこにいるのは誰?
おや 死んだ おじいさん
こんなに深い闇 夜の海で
一体地球のどの深さまで
こうして一緒に沈んでいくの
船底を打つ手は何を語る?
おじいさんの帰省日は 一体いつなの

そこにいるのは誰?
おや 死んだ おばあさん
こんなに熱い釜 火攻めの中で
一体恥骨のどの成分まで
灰になって風化しちゃうの
熱いと叫ぶ黒い煙よ
おばあさんの帰省日は一体いつなの

そこにいるのは誰
おや 死んだ おとうさん
こんなに焼けた草 夏の真昼に
一体太陽はどんな気持ちで
こうして死者に微笑みかけるの
ブンブン飛び交うハエの無心さ
お父さんの帰省日は一体いつなの

そこにいるのは誰
おや 死んだ お母さん
こんなに長い読経 きたない空気
一体この世の何が見たくて
こうして首を引き伸ばしたの
開いた目は何かを知ってる
お母さんの帰省日は一体いつなの

そこにいるのは誰
おや 死んだ お兄さん
こんなに青い空 輝く雲よ
一体大気のどの遠さから
こうして赤い血がしたたるの
両手で被った耳はじゅくじゅく
お兄さんの帰省日は一体いつなの

そこにいるのは誰
おや 死んだ お姉さん
こんなにぶあつい日記 独り善がりの
一体車のどの部分を
こうして両手で愛撫してたの
ガラスが食い込み避けた内臓
お姉さんの帰省日は一体いつなの

そこにいるのは誰
おや 死んだ 弟
こんなにふやけた胃 意識も無く
一体誤解の何本の矢に
こうして射られた背中をさらすの
血を流す植物食べた
弟の帰省日は一体いつなの

そこにいるのは誰
おや 死んだ 妹
こんなに匂う身体 夜の冷気に
一体宇宙のどんな果てで
こうし凍えて割れて散ったの
白骨が星に照らされ
妹の帰省日は一体いつなの


最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。