バイエルン国王の破滅的な人生を描いた洋画があるのだが、そのタイトルがどうしても思い出せなかった。
映画は観たし、監督がルキノ・ヴィスコンティで、主演がヘルムート・バーガーだったことも思い出せるのに、そのタイトルが思い出せない。
ググれば簡単にわかることなのだけれど、自力で思い出すことが、加齢による記憶力の低下をいささかでも防いでくれるような気がして、2~3日努力してみたが、やはり思い出せなかった。
けっきょく根負けしてググると「ルートヴィヒ」だとわかった。
しかし、どうもすっきりしない。
そうそう、ルートヴィヒじゃん、ルートヴィヒ! ……とはならない。
なんだかルートヴィヒじゃないような気がする。
ヴィスコンティを特集した映画祭のパンフレットを持っていたことを思い出して、引っぱり出してきたが、そのなかにもしっかりと記してある。
「ルートヴィヒ」1972年
出演:ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー
しかし何かが違う。何かが食道あたりにつかえている。
しきりに首を捻っていたら、ふと「フリードリヒ」という言葉が浮かんで、私は、あ、これだと思った。
「フリードリヒ」だと、すんなり腹に収まる。しっくりとくる。
間違いない。映画のタイトルは「ルートヴィヒ」ではなくて「フリードリヒ」だったのだ。
真実は、物的証拠によってではなく、しっくりくるかどうかで証明されなければならない。
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