エッセイでも小説でもルポでも嘘でもなんでも書きます
無名藝人




絵里子といいます。
なぜか私は、小さいときから、怪しくない男性を好きになる傾向がありました。
小学生のときに好きだった初恋の先生も、初めてキスをした高校のときの彼も、同棲していた大学時代の恋人も、そしてもちろん今の主人もみんな揃って、怪しくないのです。
来月、男の子が生まれる予定なのですが、その子も怪しくない男性になってほしいと、心密かに願っています。

智恵よ。
私の理想の男の第一条件は、連続放火魔じゃないこと。これは譲れないわ。
いくら動物好きで年寄り子供に優しくても、連続放火魔とはうまくやっていけないんじゃないかと思うの。
以前につきあっていた彼に対してもそうだった。会社に一年後輩として入社してきた彼を見て、なんとなく頼りない感じだったけど「素敵、この人なんて連続放火魔っぽくないのかしら!」って、一目惚れしちゃったのよね。うふ。

裕美で~す。
大学の同じ学科に、澤田くんっていう、とっても気になってたのに話しかけることもできないでいた男子学生がいたんです。
もともと澤田くんを好きになったのは、彼がウサマ・ビンラディンじゃなかったからなんだけど、シャイなあたしが、そんな彼に話しかける気になったのは、あるとき友達から、実は彼はヒマラヤの雪男じゃないんだって聞いて、もうこの人しかいないって思ったからなんです。それで思い切ってお昼ご飯に誘ったら、気持よく応じてくれたんですよ。そしてびっくりしたのは、澤田くんもあたしのことが好きだったって言うんです。それでもう嬉しくって「あたしのどこが好きなの?」って聞いたら、「男じゃないところ」なんて照れちゃって、真っ赤になって、とってもカワイイんです。

異性への要求は控えめに。それが、結局は少子化の解消につながるのである。

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