エッセイでも小説でもルポでも嘘でもなんでも書きます
無名藝人




これまで、多くの画家たちが自分だけのブルーを作り出そうとして、挫折した。
しかし、マックスフィールド・パリッシュ(1870~1966)やイヴ・クライン(1928~1962)は、長年にわたる試行錯誤の結果、彼らしか作ることのできないブルーを見つけたのである。
それらは、「パリッシュブルー」「インターナショナル・クラインブルー」と呼ばれている。

そして私も、絵を描き始めて30年有余年、ようやく自分だけのブルーを見つけた。上の色がそうだ。
成功の原因は、青を使うのはやめて、思い切って赤のみを使ったところにある。その結果、かつて誰も見たことのないブルーを作り出すことができたのだ。


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紙を裂くことを、「破る」とも「破く」とも言う。

ではなぜ、
「記録を 破る」は正しくて「記録を 破く」は間違いなのか。
いや、それだけではない。

「わたしとの愛の誓いを 破いた のね」
「人生の賭けに 破けた 男たち」
「無敗の強豪チェ・ホンマン、KOで 破ける!」
「ランナーは 心臓破き の丘にさしかかりました!」
「ははは、私の変装を 見破く とは、さすが明智くんだね」

とも言わない。

たかが紙ではないか。マッチ一本で灰になってしまう紙ではないか。それが「破る」(ラ行五段活用)「破く」(カ行五段活用)という、それぞれ独立した動詞の両方をなすがままにする権利をもっている。
しかし、愛や人生、チェ・ホンマン、心臓、変装といった、人間の最も高度な精神・肉体活動には、ラ行五段活用しか使えないというのは、どう考えても筋が通らない。

愛は紙よりも下等ということなのか。

わからない。気が狂いそうだ。


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