エッセイでも小説でもルポでも嘘でもなんでも書きます
無名藝人




ゴキブリやハエ、カ以外にも、家のなかで、名前の判らない、さまざまな虫を見る。そのほとんどが非常に小さいうえに害もなさそうなので、興味を持つこともない。

これも名前が判らないのだが、風呂場や洗面所に、小さな虫がはびこりだした。どうも、湿気のあるところを好むようなのだ。
大きさはだいたいこのくらいだろうか。触角は長くて、このくらいはありそうだ。しかし六本の脚はとても短く、この程度の長さしかない。
色はこんな感じ。縞がこのあたりに入っていて、それがここまで延びている。
羽があるのだが、その先端がこのような形になっているので、こういう奇妙な飛び方をする。
 
ところで、ゴキブリと違って、この虫は人間が近づいても、指先でつついても逃げようとしない。それどころか脚をこんな具合にふんばって抵抗しようとするのだが、身体はこんなに小さいくせに、その力はこんなに強い。
私もつい意地になって、ふんばっている虫を力づくでつついているうちに、脚だけ残して胴体がまるごと、ふっ飛んでしまうことがある。
すると、どうだ、命をかけて抵抗したぞ、と言わんばかりに、残された脚がこんな風に歩き出すのだ。

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