8日、民主党は小沢一郎元代表の党員資格停止処分を10日付で解除することを決め、無謀にも実行した。 10日は、強制起訴の一審で無罪となった小沢一郎元代表の控訴期限であり、「起訴になっても解除は変わらない」と断言する輿石東幹事長の発言から政治的圧力とも思われるタイミングだ。
しかし9日、検察官役の指定弁護士3名は二審への控訴という重い決意をした。
一審で彼らは、裁判に勝って判決に負けた。しかし熟考してみると一審判決には「見過ごせない事実誤認がある」として踏み切ったものである。 弁護士の使命はクライアントの無罪を勝ち取ることであるのに、検察官役を演じる立場の今般は、有罪を求めるという、あまたの弁護士のなかでもなかなか経験することの少ない使命を帯びている。
国民はもちろん、各界・各層で賛否両論だが、小欄は3名の指定弁護士にエールを送る。 民主党の前原誠司政調会長が「裁判は三審制だ。・・・」と述べた報道が繰り返し流されているが全くそのとおりだ。 指定弁護士には最高裁での決着まで粘り強くやっていただきたい。
以下、5大紙の9日・10日付の社説のタイトルと資格停止処分解除に関する抄録である。
■社説タイトル
●朝日(10日):民主党の責任―「小沢案」で政治浄化を
●産経(9日):小沢氏処分解除 民主党に公党の資格なし
●産経(10日):小沢氏裁判 控訴を厳しく受け止めよ
●日経(10日):波乱の中の小沢裁判第2幕
●毎日(9日):元代表処分解除 無節操な決め方に驚く
●毎日(10日):元代表裁判控訴 市民感覚踏まえた判断
●読売(10日):小沢氏処分解除 「消費税」反対なら離党が筋だ
■資格停止処分解除について
●朝日:いかにも、民主党らしい対応ではないか。やるべきことと、実際にやることが違うのだ。
●産経:「判決確定まで」と自ら決めていた期限を一方的に覆した。これは、公党の資格はないと宣言したに等しい。国民の信頼を自ら踏みにじっては、だれも民主党を信用しなくなるだろう。
●日経:小沢元代表が強制起訴された昨年、「無罪確定まで」という条件で党員資格停止処分にした。これは公党としての国民への約束というべきものだ。控訴期限までのわずかな期間をなぜ待たなかったのか。一審判決だけでの処分解除は公約違反で、党内外にかえってわだかまりを残したともいえる。
●毎日:拙速で無節操だというほかない。元代表が強制起訴されたのを受け、昨年2月、党が処分を決めた際には、処分の期間は「判決確定まで」となっていたはずだ。今回の東京地裁判決を受けて指定弁護士は期限の10日までに控訴するかどうかを決めることになっている。最低限、それを待つのが道理である。
●読売:昨年2月、当時の民主党執行部は、「判決確定まで党員資格停止」とする処分を決めた。
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