25日、妖艶なエコノミスト・浜矩子はTBS・時事放談に呼ばれた。
共演者は、先ごろNHK特別番組で共演した自民党政調会長・石破茂である。
番組終盤、野田佳宏内閣が総選挙に踏み切らないことに関する御厨貴からの質問を遮って、浜矩子が、いきなり喧嘩腰で、石破茂に迫った。
以下、Hは浜矩子、Iは石破茂のバトルである。
(H) 石破さんに伺ってもよろしいでしょうか?
自民党も経済成長と財政再建の両立という立場なのでしょうか?
(I) 財政再建に反対する人はだれもいない。経済成長に反対する人も誰もいない。
じゃ、どうやって両立させますか?という各論を・・・・
(H) それって、不可能ですよね?
(I) 要は、経済成長というのはGDPを上げることであり、それは法人が創る付加価値の総量であるからして、法人に対して掛ける負荷、例えばCO2の25%削減とか法人税率維持というような法人に対する負荷を如何に減らして行くかということは一つの経済成長の鍵だと私たちは思っているんですね。
如何にしてそれ(法人に対する負荷)を止めて行くか。
海外に出ようとする企業に対して「何が何でも留まってくれ」ということでこれから先も行くべきなのだろうか?、と
海外に出る企業は出る、そこで稼いで来る、このカネを日本でどう使うか?という発想もしていかなければ、と私は思っていますね。
(H)なるほどね。
けれども、「本当に正直なところ両立は難しいですから、こっちで行かせてください」と言うのが、ある意味では本当のマイサイドだと思います。
(I)そうすると「財政というものを優先します」と言ったときに何が起こるか?
私は、間接税の比率は上げて行くべきである、少なくともこれ以上財政が悪化するのを防ぐ意味での消費税アップなのであって「消費税上げたら財政再建だなんて、そんな生易しい話ではありませんよ!」という認識を、良く有権者に持っていただかなければなりません。
浜矩子は、近著『誰が「地球経済」を壊すのか(実業之日本社)』で、「成長に優しくあることと財政再建を目指すこととは、基本的に二律背反の関係にある」とし、平易な表現として「胃腸に優しい暴飲暴食」と表現したが、その鋭い感性を石破茂にたたきつけたのである。
そして、石破茂は素直に増税路線というマイサイドに、立ち返ったか或いは目覚め、「消費税上げたら財政再建だなんて、そんな生易しい話ではありませんよ!、と有権者に訴える」と語ったのである。
超辛口エコノミストと言われる浜矩子だが彼女のディベートは他者を殺すことをしない。小欄の見立ては、それが竹中平蔵や勝間和代との違いである。
浜矩子は平安に満ちた眼差し、石破茂は吹っ切れた顔、久しぶりの爽やかなディベートで番組が閉じた。名勝負だった。
浜矩子に言わせれば石破茂に比して、
オバマ大統領は不本意男化し、野田首相に至っては2年前から「不本意ながら、不本意ながら」とも言わないで、ずるいどじょうと化している。
民主党議員たちを「百家」などと言えないが、党内の争鳴をノーサイドという言葉で取り纏めたかのようにしている野田首相にマイサイドは夢のまた夢だ。
今後とも、上質な情報とご意見の発信を期待しエールを贈ります。
草々