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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録(150)半歩遅れのモグラ叩き政権

2012年02月05日 | 浜矩子語録

 

妖艶なエコノミスト・浜矩子は5日放映のTBS・日曜討論に招かれた。

片山善博・前総務大臣が共演し、司会は御厨貴、キャスターはTBSアナ・岡村仁美。

民主党が抱えている2つの爆弾、すなわち消費税上げ根拠試算不公開と、素人を問責した後に続いて出てきた素人防衛相の問題などが語られた。以下、その浜矩子語録である。

 

●寒さ対策

御厨~・~ 昨日は立春でしたが連日の寒さ、片山さんの寒さ対策は厚着だそうですが浜さんは?

浜~・~ そりゃもう、中から温めるしかないですよねえ。答えはそれ以外に考えられません。

御厨~・~ 私も、浜さんと同じです。

 

この日、片山善博にちなんだ鳥取県沖の松葉ガニが、お茶受けならぬ酒肴として供されて番組が始まった

このカニは新橋にある東京アンテナショップ「食のみやこ鳥取プラザ」では一杯2万円で販売されている超高級品、「とっとり松葉がに」の赤いタグが目印だという。

 

岡村~・~ 浜さん、カニはお好きですか?

浜~・~ そうですね、今の(片山さんの)話をうかがっていると、これはますます、内側から温めるのとセットでいきたいですよね~

 

以下Qは御厨貴、Aは浜矩子

●50年後、人口3割減

Q~・~ 高齢者が4割という超高齢社会が仮に実現するとしたら、どんなイメージに?

A~・~ 片山さんが言われた「こうならないように」というのは確かに重要です。

けれども、それでもこうなった場合に、それをどういうふうに豊かな暮らしやすい世の中にするか?を考えなければいけないわけですが、(超高齢社会の)実際のイメージとしてはどうか?

私は、これはこれでそれなりに良いのではないかという気も致します。

非常に落ち着きのある、必ずしも年の甲は知恵につながるかどうかわかりませんけれども、そうであれば賢い知恵者達が多くの部分を占めている社会となるわけで、そういう姿をどうやって上手く引き出すか?という事だと思います。

 

ぐっと、大人っぽい社会を構築するという事だと思いますけれども、まあ、いう事が良く分かっている大人がたくさんいるということ・・

制度上、年金問題とかがありますけれども、それはそれとして「こういうのも結構成り立つ社会だ」と、世界に日本が見せている感じも欲しいなと思ってみたりいたします。

「なかなかあれは良いか!」と世界に思われるような。

 

●第1の爆弾。野田内閣が年金で迷走、年金10%+7%の改革試算公表せず。

Q~・~ 野田さんの迷走は「頭隠して尻隠さず」ですが?

A~・~ 頭さえもちゃんと隠し切れていない、全出しっていう感じですけれども、そして、それに気が付いていない。

それこそ、(本来政治は)全出しであるべきですよね。片山さんがおっしゃったとおりですけれども、有権者たち、市民たちに対して、すべてのことを余すところなくきちんと示し、危機意識を共有し、問題意識を共有するようにすれば野党だって議論の俎上に乗って来ざるを得なくなると思うわけで、その辺の順路というか優先路、発想の体系が全く狂っていると思います。

「すべては市民に対するところから始まる」ということであれば野党だってその迫力には負けてくるのですけれども、密室に入ってしまっては全然ダメですよ。

 

Q~・~ 試算根拠隠し、国民の側からみれば「信用できない」となりますが?

A~・~ となってしまいますね・・。

ですから、そもそもなぜ消費税を上げるのかということが、マニフェストの中ですでにして間違っているわけで、「特定目的を達成するために消費税を上げることが必要だ」というような生易しい状況ではなくて「今日的な日本経済の中で税収をあげるにはやはり消費税という間接税によって税収が上がるようにしていかないとダメなんだ」という事がこの話の本質だと思うのですけれども、その本質のところを彼らは理解していないから情熱を持って力強く「どんな数字になってもお願いする」という気合いが入らないのであって、そこを出発点とせず、なぜ消費税を上げるのかについて自分たちをごまかしているところが多分にあると思うのです。ですから力が入りません。

 

Q~・~ 最低保証年金7万円について、片山氏は政策の選択の問題と・・

A~・~ そのとおりです。そして「これだけ選択したらこれだけカネが必要でっせ!」ときちんと説明する流れがあれば国民の理解は例え消費税が20%であっても十二分に理解を得られるでしょう。そこを、出発点でビビって物議をかもさず見栄切って行きたいというのが前面に出るたびに失敗をしている。

やはり、この失敗(の積み重ねから)学ぶことが必要で、学習機能が備わっていないのか?忘れてきたのか?という感じですね。

 

●第2の爆弾、防衛相問題

自衛隊の南スーダン派遣部隊をバングラデッシュが警護してくれているが、田中防衛相は国会で山谷えり子議員に問われると「まだ決まっていない」と、また参院予算委員会の閣僚席からいなくなりコーヒーを飲んでいたり、米軍の統合戦闘構想を「知らない」と、毎日失敗の繰り返し。

Q~・~ 前任者に負けるとも劣らない素人ぶりですが・

A~・~ 片山さんは「国際的に凄い汚点」と言い、任命権者の責任ありと言いますが、日本の守りは大丈夫?

Q~・~ 自分の守りもできてない訳ですからねえ(日本の守りが大丈夫なはずはないでしょう)。

やはり非常に嘆かわしい。何をか言わんやで、またアゴが外れそうになって苦悩しますけれども、任命権者の責任もありますし、受ける方も受けるほうです。

何にも知らないことを大臣として取り仕切る事をどうして引き受けるのか、その感覚が与野党問わず日本の政治家にはそれがあることが問題ですよ。

そをまず、基礎のところからやり直していかないといけないと思うと恐ろしいところです。

でも、それが現実のようです。

この前(出演した時に)も申しましたとおり、影の内閣というのをやっていた筈なのにそれはどこに行ってしまったのでしょうか?

 

A~・~ 足元では沖縄防衛局長の更迭騒動、一川防衛相のときと同じ構図に見えますが、何で繰り返す? 

Q~・~ 私に聞かれても困るという感じですけれども、やはりこの世界というのが如何に普通の人たちの世界と違うところで生きているのかということは常に出て来る。

明るみになった時はまだマシなのかも知れませんが、出てみると凄く異様な特殊なこと、実に奇異な常識のもとにこの人たちは行動しているということがわかります。

それを阻止しょうとすれば開かれた状態をつくっていかなければなりません。

 

A~・~ 原発再稼働についても決められない。4月末には稼働ゼロで再稼働できない可能性です。

Q~・~ さきほどから一貫して、ちゃんとしたことをちゃんとした形でちゃんと国民に提示するかしないか?というのが今日の共通テーマのような気が致します。

消費税については数字を隠す、一方では「夏、原発ゼロ」と大胆にストレートに言ってしまうアンバランスは何なのだ?

ゼロで行けるのだったら日本の原発政策の大転換のひとつのきっかけになるわけですから、「そういう事なのか?」ということも含めて国民と一緒に「全てのやっかいなことを一緒に考えていきましょう!」と、そのためには丁寧な説明が必要ですし、自分たちも良く分かっていなければならないわけですが、全てが一様にモグラ叩き、それも半歩遅れたモグラ叩きのように政権がなりつつあるように思います。

そうではなく、包括的に物事を理解したうえで問題を国民に提示していくように、ちょっと高品位なレベルに上って行くことができないのかという気が強くいたします。

 

A~・~ 石原新党は「民主」でもなく「自民」でもなく。どうでしょう?

Q~・~ 政治の迷走、行き詰まりの間隙をぬって第三局が出て来る。

ある意味、民主主義の危機であると思います。

第三局的に出て来る人たちは非常に極端な物の言い方と問題を提起するから、ぐちゃぐちゃしている中ですっきり見えますから人々は一縷の望みをかけることになるわけで、そういう方向に向かうことが心配です。

まともな常識をそれなりに踏まえた政治が機能しなくなるとこういう帰結をもたらす、ということが滲み出てきた状況で、とても気がかりなところです。

 

A~・~ 第三局が言いたい放題のなか、中央政界からラブコール。危険と?

Q~・~ 危険だと思います。

迎え撃つ方(既成政党)がそっちになびいて行くだらしなさ・敗北主義を見ていると、惨憺たる状況だと思います。

そこで、もう少しまともな品位の高さを示すべきところ、次第に言葉がなくなってきてしまいます。

 

A~・~ 新党ブームは折々あった、過去と共通点はあるか?

Q~・~ 分かりやすい単純切り捨てというところでまとまっているわけで、分かりやすい単純切り捨ての世界はだんだん知性が低下していくプロセスだと思います。

民主主義とか民主主義体制における政治は手間もかかりぐずぐずしたりするのですけれども、それなりに人間らしい知的レベルで局面を打開しようというところに価値があって、粘り強く複雑で包摂的であり皆を入れて来る。

その原則からどんどん遠ざかって行くところに心配な要素を見る気が致します。

 

●消費税法案を巡って野田首相が気合いの「脅し」を2週間で陳謝

A~・~ 「独眼流のほうが元気良い!」というのなら、もう一度眼帯してみては?と思ったりしますが、それなりの迫力をもって自分なりの考えを通して行くことが、間違いなく必要だと思います。

相手を不快にさせることを全然気にしない人たちが第三局の中には結構いるわけで、「そういう者の真似をしろ」とは決して申し上げませんけれども、そこにも対応できる強さを、まともな政治の世界は持つ必要があります。

 

Q~・~ 元気を失くした野田総理に、これだけは言いたい?

A~・~ 「元気を失くした時には勉強しましょう!と

問題をしっかり見極めるとそこから展望が見えてきたりして、解答が見えれば元気が出てきます。

是非とも「猛勉強を!」と言いたいですね。(了)


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