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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録(105) 三度目は死に至る

2010年11月21日 | 浜矩子語録
以下は前編に引き続き、日曜クラブに招かれ(会場:文化女子大学)『恐慌ドラマの行き先は? 今、恐れるべきことは何か』を演題とした妖艶なエコノミスト・浜矩子の9月11日の語録である。

さてさて、今日皆様とご一緒に考えたいと思っておりますのは『恐慌ドラマの行き先は? 今、恐れるべきことは何か』ということでございますが、まさに今、恐慌という怖いさ中を歩んでいると思います。
そのPart-1ということで一昨年9月のリーマンショックが起こったということでございます。
そして、“市場の見えざる手”という言い方もしますけれども、市場の成り行きを見守っている、見えざるその“手”の持ち主“市場の神様”の判断と言っても良いと思いますが、グローバル経済がとんでもないところに舞い上がってしまったためにリーマンショックという鉄槌を下されて、皆が目を覚まし、まともな方向に地球経済が軟着陸して行こう、と。
そういうまともな方向を見つけ出させるために、目覚めさせるために鉄槌が下った、それが2008年9月だったかな、と思います。 

そして「これだけ脅かしておけば皆が目覚めるだろう」と市場の神様は思ったのですが、まともな方向に、よりバランスの取れた地球経済の方向を模索する方向に動いて行くかと思いきや、世界の国々は、新たな均衡点を目指して行くのではなくて、どこもかしこも、「一刻も早くリーマンショック以前の高すぎる山、怖すぎる場所に大急ぎで上ろう」というので、金融大盤振る舞い、何でもありで、大急ぎで元の状態に戻ろうということに邁進し始めてしまった。
というのが、リーマンショック以降、今日に至る展開であったと、私には思えます。

それに伴ってどういう問題が出てきたかをこれから考えて参りたいと思いますが、
その展開を見ながら市場の神様が「おやおや、こりゃ、まずいわ!! あんなに脅したのに駄目だったか??」ということで第二の鉄槌が我々の上に下りつつある、ということだと思います。

その、市場の神の第二の鉄槌を名付ければ、それが即ち“通貨大波乱”ということで、我々が今その最中にあるわけで、とりわけ日本が円高という格好で、その通貨大波乱の衝撃を最も強く受けている状況です。
もっとも、これは後ほど申し上げることですが、円高という表現を差し当たり使いますが、これは決して決して円高ではなく、この問題の本質はドル安でございます。
ここを見誤ってはいけません。

天は、「リーマンショックという鉄槌で目覚めるか」と思いきや、人々は「また元の世界を目指して突っ走ろう」という風にしてしまった、というので、天はやりようがないので、二番目の鉄槌を下してしまった、それが通貨大波乱というものです。

面白い、感慨深いとも言うべきですが、リーマンショックというのは通貨の世界で起こったこと、金融の世界で起こったことですね。
金融大暴走が行き過ぎて金融大激震をもたらしたというのがリーマンショックだったわけで、金融の世界で起こった衝撃でした。
これが今、ドル安を軸に起こっている波乱、これはまさに通貨の世界という事であります。
通貨の世界と金融の世界、これはカネの2つの側面であり、その両側面にショックが起こったという格好で、今我々は「新たな均衡点を探り当てるべし」、という強い天からの声が投げつけられている、ということだったと思います。

さきほどご紹介いただきました、9月に入ってから出版されました私の本には、『死に至る地球経済』というタイトルを付けてしまいましたが、つくづく、カネというものの金融ではないもうひとつの顔、通貨の顔のところまで衝撃が及んでいる、これだけ厳しいメッセージが我々に投げかけられているのに、それにさえも対応できずに、また元の木阿弥のほうに戻ってしまう、いたずらに逃げ惑う、或いは人を押しのけてでも自分だけが生き残ってゆく、そういうような行動が今回又全面に出るようであれば、三度目は死に至る。
ここを、今の状況に上手く対応できないと地球経済は一巻の終わり、三度目は死に至るというようになってしまうと思います。

神の鉄槌が下っている中でそれに我々が当面して右往左往している現実で、次に恐れるべきことは何か?、それを見極めて参りませんと、何を恐れるべきかが判っていれば、そのことで、その(恐ろしさの)度合いは低下しますでしょう。
得体の知れないもの、予期せざるものは、我々は怖い。
そんなに恐ろしいものでも真正面から正体を見際めることが出来ていれば、怖さの背景にはこんなことがあるのだという事が見極められていれば、怖さも低減し、怖さと戦って勝利することが可能であると思いますので、そのために、皆様と一緒に怖いことを見極めて参りたいと考えております。

私は、今恐れるべきことは、3つあると考えております。
その一、それは、財政恐慌でございます。財政が恐慌をもたらす。
その二、それは昆虫大戦争でございます。
そして怖いことその三、それは、愛国開発でございます。
この三つのことが、どうも、来るべき三大怖いことではないかと思います。
これらを検証して参りましょう。以下、次編

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