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黛信彦の時事ブログ

李明博大統領、狂気の沙汰

2011年12月19日 | 5大紙社説

野田佳彦首相と李明博大統領との日韓首脳会談は、会談の大半の40分という時間を、李大統領が元慰安婦問題に費やし茶番的に終わった。

19日付5大紙社説は次のように李大統領を諌める論調で揃った。

朝日:韓国の人たちに知ってほしい点もある

産経:脅迫まがいの言動までしたのには耳を疑う

日経:日本政府が協議に応じれば、戦後賠償をめぐる係争は際限がなくなる

毎日:韓国側の対応は、日韓関係の大局からみてバランスを欠く

読売:「むしろ問題は、(慰安婦像の設置を)韓国政府が黙認していることだ

また、産経は野田首相の甘い対応について『「これからも人道的見地から知恵を絞ろう」と応じた。圧力に屈したといえる。将来に大きな禍根を残した』と非難している。

 

08年、グローバルコリアを標榜して就任した李大統領だったが、その就任式に出席しようとした台湾の王金平国会議長と陳唐山国家安全会議秘書長を、中国の圧力に屈して追い返したことでケチがついた。

経済的には大きく成長しグローバルな舞台で主演を演じるようにまでなってきたけれども、李大統領の政権最終局面での今回の発言はとても「グローバルコリア」と賞賛できるものではない。

むしろ、狂気の沙汰だ。

 

以下、19日付5大紙社説の抄録

●朝日新聞(社説)日本と韓国―人道的打開策を探ろう 

なぜそう主張するのか、歴史的にわからないではない。

ただここで、韓国の人たちに知ってほしい点もある。

国交正常化で日本が払った資金を、当時の朴正熙(パク・チョンヒ)政権は個人への償いではなく経済復興に注いだ。それが「漢江の奇跡」といわれる高成長をもたらした。

 

また、元慰安婦への配慮がなかったとの思いから、日本は政府資金も入れて民間主導のアジア女性基金が償い事業をした。

この事業は日本政府の明確な賠償でないとして、韓国で受け入れられなかったのは残念だったが、当時の橋本首相ら歴代首相のおわびの手紙も用意した。韓国は韓国で独自の支援をしたけれど、日本が何もしてこなかったわけではないのだ。

 

●産経新聞(主張) 日韓首脳会談 「融和」外交が禍根残した

韓国大統領府によれば李大統領はソウルの日本大使館前に設置された慰安婦の碑について、「日本の誠意ある措置がなければ第2、第3の像が建つ」と警告したという。これは恫喝(どうかつ)に近い発言だ。

保守政権を率いる大統領は、これまで対日配慮もあって慰安婦問題の言及を避けてきた。大統領が問題を蒸し返し、脅迫まがいの言動までしたのには耳を疑う。来年の大統領選などを控え、韓国世論に迎合したとしか思えない。

 

会談では首相は「わが国の法的立場は決着済み」としながら、「これからも人道的見地から知恵を絞ろう」と応じた。圧力に屈したといえる。将来に大きな禍根を残した。

慰安婦の碑についても、「誠に残念だ」と早期撤去を求めるにとどめたという。これで日本の最高指導者として最低限の務めを果たしたといえるのか。

 

野田首相は直ちにこれを断ち切るべきだ。対中国、北朝鮮問題など共通する課題では協力すべきだが、慰安婦、竹島など国益として譲れない問題では、毅然(きぜん)として主張を貫かなければならない。

 

●日本経済新聞(社説)経済主導で日韓の対立を乗り越えよう

過去の日本の植民地支配がもたらした苦痛は真摯に受け止めるべきだが、日本政府が協議に応じれば、戦後賠償をめぐる係争は際限がなくなる。必要なら、ほかの方法で誠意をみせていくしかない。

 

慰安婦問題や竹島(韓国名は独島)の領有権など、日韓には歴史認識をめぐる対立が横たわる。対立は容易に消せないにしても、経済を軸に協力を広げれば、関係全体に占める対立の比率は小さくできるはずだ。早期のEPA交渉の再開をめざしてほしい。

共通の課題を抱える安全保障分野でも、日韓はもっと力を合わせられるだろう。北朝鮮の核問題や対中外交での連携は特に大切だ。

 

違法操業の中国漁船を拿捕(だほ)しようとした韓国海洋警察係官が殺傷された事件で、中韓の対立は深まっている。中国漁船への対応では、日本も似た問題を抱えている。日韓は声をひとつにして中国側に責任ある行動を求めていくときだ。

 

●毎日新聞(社説)慰安婦問題 原則曲げずに対応を

李明博大統領が強い姿勢で会談に臨まざるを得ない事情があったことは理解できる。

だが、それを考慮に入れたとしても、首脳会談の大半をこの問題に費やしたとされる韓国側の対応は、日韓関係の大局からみてバランスを欠く。大使館前にこうした像を建てることは、これまで慰安婦問題に理解を示してきた日本の世論にも受け入れられるものではないだろう。撤去を求めた野田佳彦首相の対応は主権国家として当然である。

 

従軍慰安婦のような女性の人権問題に国際世論は厳しい。政府は過去の対応をきちんと世界に説明する努力を続けるべきだし、女性の名誉や尊厳に関わる問題には一層積極的に取り組む姿勢が必要だ。

 

●読売新聞(社説)日韓首脳会談 慰安婦で安易な妥協は禁物だ

むしろ問題は、韓国の民間団体がソウルの日本大使館前に慰安婦を象徴する少女像を設置し、韓国政府が黙認していることだ。

野田首相は会談で、少女像の早期撤去を要請した。大統領は「日本の誠意ある措置がなければ、元慰安婦が亡くなるたびに、第2、第3の銅像が建てられるだろう」などと反論した。

この韓国側の主張はおかしい。外交関係に関するウィーン条約は、外交公館の「安寧の妨害または威厳の侵害を防止する適当な措置」を取る「特別の責務」が受け入れ国にある、と定めている。

 

日本政府は、少女像設置の黙認は条約違反とみている。首相の主張は当然だ。今後も、粘り強く撤去を促さねばならない。

会談で慰安婦問題が突出し、他の重要議題の議論が深まらなかった原因は、韓国側にある。ただ、慰安婦問題が、日韓関係を停滞させるのを避けることも重要だ。


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