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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録にみる G20通信簿=5大紙社説から

2009年04月04日 | 浜矩子語録
2日閉幕したG20金融サミットに対して、妖艶なエコノミスト・浜矩子は「君の内需は私の外需」と提言していた。
その中で「かつて、ニューディール政策が成功したのは、米国が『相互主義でお互いにやり合っている限り、この袋小路から抜け出すことは不可能だ』と気づいて互恵主義へ転換したことだった」と語っている。

5大紙社説は3日或いは4日付でG20を解説した。
産経新聞が『財政政策や金融規制をめぐる意見の食い違いも表面化した。それでも、首脳らがグローバル経済の一員という認識を共有し、金融危機と不況からの脱出に向けてメッセージを発した意義は大きい』と書いたほか朝日、日経、毎日がG20の「取り組み姿勢」自体は評価した。
しかし、結果としては読売が合意や協調のウラ側を『火種、反故、溝、限界、対立』などの負の単語を用いて課題を指摘したように、浜矩子の言う「互恵主義」や「地球村」には程遠い内容だった。
はっきり言って、金融恐慌へのG20の対応は、「ようやく危機感を共有した」にとどまり、対策は緩慢に過ぎる。
浜矩子ならずとも、ロンドンサミットの通信簿は30点だろう。
彼女なら、その理由を、「(合意が)何か書いてあるから10点、(その中身に)いろいろ書いてあるから10点、残りの10点はおまけみたいなもので、おまけを付けてもやっぱり合格には到達しない、こういう趣旨です。」と言うはずだ。(追加経済対策は30点

(以下、各紙社説から転載)
■朝日新聞(社説)G20合意―これは出発点に過ぎぬ
財政出動の5兆ドルという規模は、G20各国がこれまでに打ち出した対策を積み上げた数字であり、G20で新たに付け加えられたものはなかった。それで世界経済を4%底上げできるのか、しっかり検討されてはいない。思うように効果を発揮しなければ、追加策の議論に追い込まれるだろう。

■産経新聞【主張】金融サミット 危機脱却へ約束の実行を
保護主義の面では、関税の引き上げだけでなく、不況対策を名目にした輸入制限的な措置が各国で目立っている。会議ではこうした措置を是正し、世界貿易機関(WTO)に監視を求めることにした。世界大恐慌への対応策として各国がとった保護主義策が、第二次世界大戦を引き起こした教訓を忘れてはなるまい。

■日本経済新聞(社説)危機脱却へ決意を示した金融サミット
 首脳宣言は投機マネーの温床とされるタックスヘイブン(租税回避地)への締め付けや金融機関の報酬体系の見直しを打ち出した。しかし、重要なのはやみくもに規制強化に動くのでなく、専門家の英知を結集して「賢い規制」を探ることだろう。金融当局で構成する金融安定化フォーラムの改組による機能強化は時宜にかなう。

■毎日新聞(社説)G20サミット 地球規模の解決へ前進
他国を非難したり、「自国さえよければ」と保護主義策に走りたくなる誘惑は、5カ月前よりむしろ強まった。
そんな中、最終的に対立を回避し、G20に参加していない新興国・途上国に配慮した総額1・1兆ドル(約110兆円)の資金支援策をまとめた意義は大きい。

■読売新聞(社説)金融サミット 結束優先で封印した不協和音
G20が危機感を共有し、悪循環を断ち切る決意を示したのは当然といえよう。だが、協調を最優先し、不協和音を封印した跡がみえる。まず、追加的な財政出動を巡る米欧の対立だ。
初参加したオバマ米大統領は、大型の景気対策を決めた米国と同様に、各国に積極的な財政出動を求めた。国内総生産(GDP)比で2%以上を念頭に置いた。
 新たな追加経済対策の検討に入った日本は同調したが、ドイツやフランスは追加策は不要とし、足並みはそろわなかった。今後の景気対策について火種を残した。
 金融機関に対する規制をどう強化するかという問題では、ヘッジファンドの登録制導入などで米国が歩み寄ったのは前進だ。だが、具体策では、強力な規制を求める欧州と米国の溝は依然大きい。
 経済危機の国を支援する国際通貨基金(IMF)の融資枠を拡大する点でも一致した。ただ、発言力増大を狙う中国など新興国と、米国の思惑は食い違う。
 大恐慌を教訓にすれば、世界経済の再生に、自由貿易の推進が欠かせない。宣言が、保護貿易主義の阻止を明記したのは当然だ。
 しかし、前回会合でなされた保護主義反対の合意は、その後、各国で相次いだ自国産業を保護する動きで反故にされた。今度こそ、順守しなければならない。
 世界的な問題に対する先進7か国(G7)や8か国(G8)の限界が指摘され、G20の首脳会議が始まった。だが、参加メンバーが多く、意見が対立しがちなG20もまた、課題を抱えていることが明らかになったのでないか。

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