ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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The Who, My Generation

2017-11-22 19:07:41 | 音楽批評
 

今回は、音楽批評記事として、The Who の My Generation を取り上げます。

なぜ突然……と思われるかもしれませんが、じつは、私は結構フーと縁があるんです。
このブログのタイトルはもちろんMy Generationからとられいますし、拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』の主人公トミーの名も、フーの作品からとられています。そういう縁がある(というより、勝手につなげていってるだけではあるんですが……)んで、フーのことを書いておこうかな、と。

フーは、英国ロック草創期の伝説的なバンドです。
ビートルズ、ローリング・ストーンズ、キンクスなどと同世代。この三つと比べると知名度はいくらか劣りますが、パンクの先駆けとも目されていて、後のアーティストに与えた影響はかなり大きいと思われます。パンク系バンドのライブでギターをぶっ壊すというパフォーマンスが時々ありますが、一説には、あれを最初にやったのはフーのピート・タウンゼントだそうです。

そんな彼らの代表曲の一つが、My Generation。

この曲には、彼らの無軌道な衝動がよく表れています。お前はお前、俺は俺、俺は自分のやりたいようにやってるだけなんだから、口出ししないでくれ……という。
たとえば、次のような歌詞です。


あんたらみんな消えてくれない?
俺たちのいうことを詮索しないでくれよ
大センセーションを巻き起こそうなんて思っちゃいない
ただ、俺の世代について話してるだけ

俺の世代
これが俺の世代さ ベイベー

「年取る前に死んじまいたいぜ」という有名な一節もありますが、そんな彼らが70を過ぎてこの歌を歌っているという……まあ、そういうツッコミはやめておきましょう。

また、この曲は、間奏のベースソロもいかしてます。
フーを特徴づける、ジョン・エントウィッスルの、まるでギターのようなベースです。
ロックの勃興とは実はベース革命だったのではないか……なんて私は思っているんですが、そういう視点でみても、フーは革新的な存在なんです。

斬新なのは、音楽の部分だけではありません。
アルバムのアートワークなども独特のセンスがみられ、また、彼らは“ロックオペラ”なんてものもやってました。
そのロックオペラのタイトルがTOMMYで、ロック探偵トミーの名がそこから来ているというのは、はじめに書いたとおり。
ブログタイトルもそうですけど、なんかいかした名前をつけたいな、と思うと、ふっとフーが出てくるんですね。そういう卓越したセンスが彼らにはあると思うんです。
そして、そうかと思えば、一点突破のインパクトだけでなく、いろんな歌の詞を読んでると結構深いことをいってたりもする。破天荒なようでいて、深い。そういうところが、フーをレジェンドたらしめているのだと思います。