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新型コロナウイルス感染

2012-10-08 | 感染症内科 トピック
SARSはヒトヒト感染して重症化する新たなコロナウイルス、2003年に8422症例と916人の死亡

2012/9/22にカタールから9/11に転送された新型コロナウイルス感染を確認
同じウイルス感染が6月にサウジアラビアで死亡した症例から確認されている

Case exposure history and laboratory investigations
症例は49歳男性でサウジアラビアに7/31-8/18まで渡航歴あり
ここで男性自身と同行者に鼻汁と発熱あり
8/18にカタールへ移動、8/21に症状改善
カタールで直接の接触は確認されていないがラクダや羊の農場を訪問
9/3に軽度の呼吸器症状の訴えあり
9/9に両側肺炎にて入院、続いて症状増悪したため人工呼吸器管理となる
9/12にロンドンへ緊急搬送、腎不全を指摘される
9/20に症状増悪のため別の病院へ転送
9/20にProMEDにてサウジアラビアで重症呼吸器疾患+腎不全で死亡した新型コロナウイルスの発見について報告がある
9/21にコロナウイルスがロンドンの症例でも同定
9/22にPCR検査で同じウイルスであることが判明

Public Health Management
症例の隔離、濃厚接触者の同定と検査、次の感染予防を盛り込んだ対応を実施
コロナウイルス確定症例は陰圧室に隔離され、full PPEにて診療、暫定的な症例定義と濃厚接触の定義が作成された
症例定義は38℃以上の発熱と咳嗽を伴う急性呼吸器症状であり、入院が必要となる状態、または(臨床的にもしくは画像的に)下気道病変を有し、他の病原体による感染症や他の原因では説明できない患者
濃厚接触の定義は下記の通り
医療従事者(直接、症状のある確定症例診療や看護を行う人、エアロゾルが発生する処置の近くにいる人でFull PPEで防御されなかった人)
家族(確定症例の有症状期に長時間顔と顔を向きあって接した人)
その他(家族同様にマスクなしで接した人、例として学校、入院見舞い者等)
該当者は9/21から特定され最終曝露から10日間監視、呼吸器症状出現した際には自宅で自己隔離(入院適応があれば入院隔離)
カタールの病院にも譲歩を通知、医療従事者への助言を策定、WHOに症例を報告、診断検査の準備

Initial epidemiological investigation and preliminary findings
濃厚接触者は症状、スワブ検査、ペア血清を採取
発症16日前からカタールにいたためカタールで感染したと考えられる
10/4までに、医療従事者、友人、家族などの64人が接触者調査の対象となる
13人の医療従事者に自然軽快する軽度の呼吸器症状を認めたものの重症呼吸器症状発生なし
接触の可能性がある入院症例もウイルス陰性
有症状の医療従事者10人からもウイルス陰性
サウジアラビアもしくはカタールに渡航歴のある4例の疑い症例が見つかった
いずれも新型コロナウイルス感染の可能性は低いと考えられたが厳重な感染制御耐性が取られた
4人のうち3人は検体でウイルス陰性、1人は9月上旬に死亡しているため調査中

Public health implications
SARS原因ウイルスは今回の同定されたコロナウイルスと同じグループで、95%は10日以内に発症するとされるため、二峰性の発熱や長期の潜伏期間があるとは考えにくい
10日間の積極的な調査でもヒトヒト感染の証拠はないが、血清検査で無症候感染の評価が必要
確定2症例間のリンク調査のため一般の人や動物における抗体検査も必要
既に新型コロナウイルスは一般社会で広がっているのか、知られていない動物の保有宿主から感染するのか調査が必要

http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=20292

2012年10月24日~29日に開催されるハッジがリスクになるとして注意が呼びかけられる

WHOによる2012/11/23 update
サウジアラビアで3例(1例死亡)、カタールで1例の新たな確定症例
3例のうち2例は同じ家族で同居していた(1人死亡)、またこの家族の他の2人においても同様の症状あり
ヒトヒト感染の可能性も否定出来ない

http://www.who.int/csr/don/2012_11_23/en/index.html

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