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国内における献血者からのtrypanosoma cruzi遺伝子検出例(シャーガス病)

2013-08-20 | Tropical Medicine トピックス

シャーガス病について
トリパノゾーマ・クルージ(原虫)による感染症。中南米に多く、サシガメの一種が媒介する他、母子感染、輸血による感染が知られている。
発熱などの非特異的な急性期症状の後、10~30年間の潜伏し(無症状であることが多い)、感染者の10~30%ほどに心筋肥大、心室瘤、不整脈などの心症状や、巨大結腸等の消化器症状をきたす。

2012年10月15日よりシャーガス病にたいする安全対策として下記を実施
・中南米滞在歴等確認票に該当する方に、献血の受付時に申告をお願いする
・当該献血者の血液は、血漿分画製剤用の原料血漿として利用する(製造制限)
平成25年度第2回血液事業部会運営委員会資料より) 

 

 

調査票1及び2に該当する40歳代男性
2013年6月に献血された血液から、シャーガス病の病原体であるtrypanosoma cruziの抗体検査及び遺伝子抗原検査陽性
過去に9回の献血歴あり赤血球製剤9本と血漿けっしょう製剤2本などに使われた。
保管検体のいずれも抗体検査陽性 
日本赤十字社を通じて11本の製剤の使用実態を調査中

日本赤十字社 シャーガス病に係る安全対策について

現地ではベクターであるサシガメと一緒に病原体が混入したフレッシュジュース(アサイージュース、サトウキビジュース等)等による経口感染も報告あり
(Rev Soc Bras Med Trop, 2013) (J Food Prot. 2009)

コメント:
国内ではベクターであるサシガメがいないこと、フレッシュジュースの輸入等がないこと、輸血製剤の対策が取られていること等から、一般的な感染のリスクは低いと考えられる
 

 

 

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