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感染症と予防接種の基本的事項

2013-08-21 | 感染症内科 概論

感染症と予防接種の基本的事項

感染症:病原体によって引き起こされる疾病のこと

感染の成立:病原体が体内に入って増殖すること

発病:感染の成立の結果、異常が生じること

伝染病:感染症の中で宿主(人)から宿主(人)へ伝染、伝播する病気のこと

人畜(獣)共通感染症:動物と人との間で伝染、伝播する感染症

例)破傷風は感染症であるが、伝染病ではない

 

病原体の分類

寄生虫、原虫、スピロヘータ、マイコプラズマ、クラミジア、細菌、ウイルス、真菌、プリオン

 

感染経路

  1. 直接伝播

(ア)  直接接触(接触による経皮感染、性感染)

例、伝染性軟属腫、淋菌など

(イ)  飛沫感染(鼻咽頭粘膜で増殖した病原体が唾液などの飛まつに付いて飛び散り、それを吸い込んで感染を受ける。飛まつの飛ぶ距離は通常1m以内)

例、流行性耳下腺炎、風疹など

(ウ)  母子感染(胎盤感染、産道感染、母乳を介する感染)

例、風疹、B型肝炎、HIVなど

  1. 間接伝播

(ア)  媒介物感染

①      間接接触感染(汚染されたもの、注射針を介しての感染)

例、HIV、B型肝炎など

②      経口感染(汚染された飲食物による感染。飲食物中で病原体が増殖して量が多いと潜伏期間が短縮し、重症化しやすい)

例、細菌性赤痢、ビブリオ菌感染症など

③      水系感染(井戸水や水道水の汚染によって起こる感染。一定地域内に爆発的に発生するのが特徴)

例、細菌性赤痢、ジアルジア症

(イ)   媒介動物感染(蚊、ダニなどの昆虫による媒介が多い)

例、マラリア、日本脳炎、デング熱など

 

  1. 空気感染

(ア)  飛沫核感染(唾液等の飛まつの水分が蒸発しても感染力を失わず、空気を漂って感染する場合で、離れた場所でも感染する)

例、痘瘡、結核、レジオネラ、麻疹、水痘

(イ)  粉塵感染(乾いた埃の中でも感染力を失わずに感染する場合)

例、真菌の芽胞、ノロウイルス

 

感染症予防の三原則

1. 感染源対策:患者の隔離、病原体の排除・消毒

2. 感染経路対策:マスク、手洗い、手袋、上下水道整備、汚物処理など

3. 感受性がある人への対策:予防接種(能動免疫)、免疫グロブリン製剤など(受動免疫)

 

免疫機能:生体が「非自己」(異物)を認識して排除しようとする動き

異物が病原体の場合には、免疫は生体にとってなくてはならない防衛力

例外的な免疫機能

  • アレルギー:免疫反応が身体に異常を起こした場合
  • 自己免疫疾患:自己の組織や細胞を非自己と誤って認識して攻撃してしまう場合
  • 移植免疫:医療のために移植した他人の組織・臓器の排除が起こる場合

細胞性免疫:貪食作用を持つ白血球やリンパ球のT細胞が担当している。病原体の発見、防衛体制の司令、食作用による殺菌、異常細胞(感染細胞)の破壊、などの働きを持つ。免疫における細胞間の連絡は免疫担当細胞が産生する化学物質(総称してサイトカインと呼ばれるポリペプチドで、主に免疫系に作用するホルモン用分子)によって行われる。

 

液性免疫:リンパ球の中のB細胞が産生する免疫抗体(免疫グロブリン)が病原体を中和する働きと、非特異因子(インターフェロン、補体など)による働きのこと。免疫グロブリンにはA, M, G, Eがある。

 

                        

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