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数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

破局災害列島?その時は来たのか?

2016-09-26 19:11:25 | 地震災害
首都圏では茨城南部から関東東方沖、伊豆小笠原列島付近(深発地震)、そして東京湾北縁断層付近での地震が多発しています。
 また熊本では群発地震が収まらず、富山でも群発地震が発生し、列島各地・いや世界的(特にリングオブファイヤー沿い)にも地震活動が増加しているようです。
 未曾有の破局災害が迫っているような気がしてなりません。

(都道府県に東京都をチェックすると、東京北縁断層付近の震源を確認できます。)


 
 
「1930年(昭和5年)の2月から5月にかけて、伊東付近ではっきりとした群発地震があったことがよく知られている。後に「伊東群発地震」と呼ばれるようになった事件である。2月13日の夜から有感地震が始まり、2月後半から3月にかけて(第1期)と、5月(第2期)の2度の地震回数の高まりがあった。伊東港から川奈にかけての沖合に震源が集中したことや、付近の地盤が最大20センチほど隆起したことが測量によって判明するなど、その特徴が1978年以降の伊豆東方沖群発地震とそっくりである。このことから、1930年伊東群発地震は、現代の伊豆東方沖群発地震と同様に、伊豆東部火山群のマグマが地下に押し入ったことが原因とみられている。
 ただし、その規模はケタ違いに大きかった。1978年以降の群発地震の継続期間の多くは1ヶ月以内であり,有感地震回数は最多の1989年6~9月(伊東沖海底噴火をともなった群発地震)でも総計494回に過ぎない。マグニチュード(M)5以上の地震回数は、1回の群発地震につき2回以内である。これに対し、1930年伊東群発地震は、小康期間があったとはいえ3ヶ月以上の長きに及んだ上に、有感地震の回数は2~5月で何と4015回に達し、M5以上の地震(最大はM5.9)が10回以上にも及んだ。1978年以降の群発地震しか経験していない人にとっては想像を絶するほどの、活発なマグマ活動が過去に起きていたのである。また、先に述べた隆起量20センチは、1978年以降の伊豆東方沖群発地震にともなう総隆起量のほぼ半分にあたる。
 こうした地震や隆起量の規模の差は、1930年の群発地震時に地下へ押し入ったマグマの量がケタ違いに大きかったこと(2億立方メートル程度)によるものと考えられている。1978年以降のマグマ量は、1回の群発地震につき、最大でも2000万立方メートル程度に過ぎない。
 こうした大規模なマグマ活動であったにもかかわらず、1930年伊東群発地震は、幸いなことに噴火を起こすまでには至らなかった。しかし、影響は別の面に現れた。伊東付近の地下に押し入ったマグマは、伊豆北東部の地殻を北に押しやり、同じ年の11月26日に起きた北伊豆地震(M7.3)(本連載の第104回参照)を誘発したとみられている。(引用終わり)」
 熊本の群発地震はどうもマグマ活動と関係があるように思えます。


1.地球的規模による活動期突入の基本的背景 
 
太陽活動低下にともなう環境激変期に突入し、気候が変動し、マントルが活発化している。


 上記の太陽活動低下の影響を考えないでも、何らかのサイクルによりマントルの活動期に入っているようです。
  
参考:『検証!首都直下型地震 巨大地震は避けられない?最新想定と活断層』木村政昭監修 技術評論社
 
「…プレートを生み出す海嶺はどうも数千年に一度、爆発的に地殻を破って海底へとマグマを噴出(供給)しているようなのです。
…東太平洋海膨の、カリフォルニア沖からガラパゴス沖に至る何十キロもの広大な距離にわたって、1965年頃に海底で巨大噴火が発生し、溶岩が流出したというのです。
…溶岩に覆われた地帯一体は、バハカルフォルニアからイースター島までの、東太平洋海膨のほとんどを占め、3500キロメートルの長さにわたっていました。
…何よりこ発見が画期的なことは、新しい海洋性地殻が形成される方法は、従来考えられたより、もっと「間欠的」なのかもしれない、ということです。これまで「海底拡張」については、…マグマはじっくり流れ出すと考えられてきたのです。
…プレートが移動する速さは、東西の2方向にだいたい年間数センチから10センチくらいですが、これは平均値。先ほどの観察結果が正しければ、実際には100年間に1回くらいぐぐっと開くことがあるかもしれません。仮に東太平洋海膨でこのような間欠的な海洋底の拡大が起こったとしたら、環太平洋一帯で巨大噴火シリーズが始まったのもむしろ当たり前かもしれません。
…実際、太平洋の東岸では1980年のアメリカ・セントヘレンズ、メキシコのエルチョン、コロンビアのネバドデルルイスといった、それまで無名だった山々が突如、大噴火しています。一方、太平洋西岸の日本でも、三宅島、伊豆大島・三原山、手石海丘、雲仙・普賢岳などの噴火が相次いで発生しています。(引用終わり)」
 
 そのため、このマントル活動期はまだ始まったばかりであり、今後どの程度の期間に亘り継続するのか分からない。またどの程度の破局的災害をもたらすか、地球物理学者は固唾を呑んで見守っているのではないでしょうか。


 またマントル活動の活発化により、岩石から脱水によるマグマ発生、断層面に水が入り滑り易くしてしまうようです。
 


2.日本沈没の可能性?
 マントル活動期に入りプレートも移動速度を速めそのストレスを溜めつつ、プレート境界領域では沈み込んだ冷たいプレートの残骸が壊れて沈み、それにともないプレートが引きずり込まれて島弧の陸域も引っ張られて海没するという予想をしている専門家もいるようです。
 つまり映画の「日本沈没」の再現です。
 
 
 まさかとは思いますが、伊豆小笠原列島・海溝付近の深発地震の多発からすると、憂慮すべき状況のように思えます。

「2.マリアナスラブの同心円状屈曲と伊豆スラブの平面化
 小笠原海台小円区のマリアナスラブで2016年8月5日M6.4P534kmが起こった.今回の地震は,2013年5月14日M7.3p619kmによって明らかになった小笠原・マリアナ海溝から沈込むマリアナスラブが同心円状屈曲したまま下部マントル上面に到達していること(2013年日本全図年別,速報45,速報48)を支持する地震である(図190).」
「これまで,マリアナスラブが同心円状屈曲したまま下部マントル上面に達するとの論拠となっていたのは,1998年2月7日M6.4T552kmと2013年5月14日M7.3p619kmの2つの地震のみであった.今回の震源は1998年2月7日の震源に近接しており,同心円状屈曲の論拠を確かなものとした.2013年5月14日の地震はこれまでの最大地震記録M7.3を保持していたが,その座を2016年7月30日M7.7T233kmに譲った(月刊地震予報82).マリアナスラブは活発な活動をしており,今後更なる同心円屈曲を支持する地震の発生が期待される.
同心円状屈曲したまま下部マントルに到達するマリアナスラブの北側には,平面化して下部マントルにまで沈込む伊豆スラブが接していることが,伊豆スラブ南端の2015年5月30日M8.1t682kmと2015年6月3日M5.6-t695kmによって明らかになった(速報69).平面化した伊豆スラブの傾斜は,下部マントルまで沈込む南端でほぼ垂直に近いが,北に向かって次第に減じている.伊豆小円北区で2016年8月26日M6.1np498kmが起こった.この地震の前に伊豆小円南区で2016年8月22日M5.8+np419kmも起こっているが平面化スラブの傾斜が増大していることが分かる(図190).(引用終わり)」

3.地震空白域、震源のドーナツ現象、群発地震(サイスミック・アイ)、火山噴火
 木村教授の考えである、「地震空白域→震源のドーナツ現象・サイスミック・アイ→巨大地震・火山噴火」という考え方が、現在の状況に恐ろしいほど合致しているのではないでしょうか。

「以下は日本において現在も存在する主な空白域である。
北海道天売島西方沖〜稚内市西方沖
北海道積丹半島西方沖
北海道松前半島西方沖(18世紀に大地震が発生後、約250年大地震が起きていない)
秋田県男鹿半島沖(350年以上大地震が起きていない)
新潟県新潟市沖〜上越地方(新潟県中越地震や新潟県中越沖地震が起こっていない地域)
房総半島南方沖
伊豆半島東方沖
駿河湾〜御前崎南方沖(駿河トラフ)
島根県東部
中央構造線
高知県沖南海トラフ
天草諸島北部
(引用終わり)」

参考:『検証!首都直下型地震 巨大地震は避けられない?最新想定と活断層』木村政昭監修 技術評論社
「…どこで地震が起こるかを精度よく予測していくいちばん最初の「鍵」となるのは、「空白域」の確定です。
…けれども空白域だからといって、どこもかしこでも地震が起きるわけではありません。木村氏によれば、空白域のなかでも…「地震の目」ができているところを探し出すことで、より大きな地震を発生させる空白域を絞り込むことふができる、と主張しています。
 
 空白域は「第1種空白域」(木村氏は「A型」と呼称)と、「第2種空白域」(同「B型」と呼称)の二つに分類されます。第1種空白域とは、過去に大きな地震のあった地域と地域との間にあって、これまで地震が密集して起こっていないエリアがポッカリとできている(空白の)場所です。

 その空白域の周辺では、地震の震源がドーナツ状に現われる「ドーナツ現象」が起きていることがはっきりすることがあります。…周囲には小さな地震が続発しているにもかかわらず、ドーナツの輪のなかだけは、人体にその揺れが感じられないくらい(無感地震も含めて)微小な地震すらも起きないほど、地震が少なくなっているエリアがあります。この状態の空白域を第1種空白域とします。

…こういった傾向がさらに強くなっていくと、ドーナツの輪の中で小地震が頻繁に起こるような場所が発生するようになってきます。氏はこれを「地震の目」、あるいは「サイスミック・アイ」と呼んで警戒を強めます。地図かを上から見ると、ドーナツの輪の中に「黒目」があるような状態にまで達します。この状態を第2種空白域とします。そしていよいよ直前近くなると、このサイスミック・アイはますます発達して移動し始め、その延長線上で「本震」が発生するのです。

 図…は、東日本一帯を対象に、東日本大地震前の1960年1月1日~2011年2月28日までに起きた、M6.0以上の通常の地震活動をプロットしたものです。地震の活動域を囲んでみると、M7.5未満の「地震の目」が見えてきます。通常のM6.5以上の大地震の「目」では、N6.5未満の地震活動が行われています。しかし、この「目」内ではM7クラスの地震活動が行われいます。
 一方、「地震の輪」は、北は北海道の襟裳岬から三陸沖を南下して房総半島沖に至り、さらにその南西方面から伊豆大島・三原山に向かって西に延び、駿河湾から本州を貫くフォッサマグナを北上し、新潟県中越地方を通って日本海を北上し、下北半島を突っ切って襟裳岬に戻る巨大な輪となっています。
 この「地震の目」の巨大さと目の中の地震規模の大きなことから、本震は「スーパー巨大地震」になることが予想されました。
 …このような「地震の目」は、1995年の兵庫県南部地震でも発生しており、実際、本震が起こる30年くらい前よりそのような地震発生の傾向が生じていました。同じような現象は、規模は異なりますが、奥尻島を壊滅させた津波を伴った1993年の北海道南西沖地震でも、1994年の三陸はるか沖地震のときにも見られた、いわば共通した現象です。(引用終わり)」


 木村教授は房総沖は指摘されておりませんが、伊豆小笠原地震は2012年+-5年で発生すると予想されています。

4.悪夢の現実化?
 マントル活動期を考えますと、次の悪夢が考えらえます。
(1)房総沖地震 
 津波災害で太平洋側は甚大な損害が出る可能性があります。東海村原子力施設群がやられれば首都圏を直撃します。
「核燃料サイクル工学研究所 
独立法人日本原子力研究開発機構 東海研究開発センター JAEAにはプルトニウム溶液と高放射性廃液がある。その危険についての部分を転記する。

 想定事故である「焙焼還元炉の水素爆発」に基づき、以下を想定。
焙焼還元炉の運転で使用する窒素水素混合ガス中の水素濃度が異常上昇して水素爆発する。炉に設けられている破裂板からグローブボックスへ爆発の圧力が解放されることにより、グローブボックスの一部が破損し主工程室にMOX粉末が漏えいし、建家換気系のフィルタを経て排気筒から放出する。

 放出放射能量 ギガベクレル(GBq) 3x10-2乗ギガベクレル
 実効線量*(μSv)         4x10-1乗マイクロシーベルト(全身)
 *現有するプルトニウム溶液の液組成に基づき、放射性物質が放出された際、敷地境界外において放射性物質の
 空気中濃度が最大となる地点での周辺公衆の実効線量の評価値

 再処理という作業は、
 原子炉を運転して出てきた使用済みの燃料の中から、プルトニウムという物質を取り出すため、それを目的にした工場です。で、プルトニウムというのは、長崎原爆の材料になった物質でして、もともとは米国がマンハッタン計画という原爆製造計画を進める中で、どうしてもプルトニウムを取り出したいとして開発された技術です。
 東海再処理施設でも、これまで「ふげん」という原子炉が日本にあったのですが、そこから出てきた使用済み燃料を、「ふげん」というのは敦賀にあったんですが、敦賀から東海村まで持ってきまして、その使用済み燃料、もともとは個体なのですけれども、それをドロドロの液体にまず溶かしまして、溶かした液体の中からプルトニウムという物質を分離しようという、そのために作られた工場でした。(引用終わり)」

(2)伊豆小笠原地震
 硫黄島の破局噴火+伊豆小笠原地震(断層のズレ)による巨大津波による被害。
 首都圏、東海、近畿、四国、九州の沿岸部、特に沖積平野の被害が甚大になると思われます。津波の高さは想像を絶するものになるかもしれません。また伊豆小笠原地震に刺激されて「日本沈没型のプレート破壊」が促進されるようなことになれば、沿岸部の多くは海没する恐れもあります。
 箱根又は富士山が大噴火すれば首都機能は完全に麻痺します。箱根が破局噴火すれば神奈川辺まで火砕流が到達する可能性があります。

「硫黄島でもっとも問題視されているのは、マグマによる隆起が4年に1mという世界でも珍しいペースを保っている点だ。第二次大戦中の米軍上陸(1945年)当時と比べ、なんと17mも隆起しているという。この島で破局的な噴火が起きることは、もはや時間の問題とされ、“その時”には高さ25mほどの大津波が日本列島や香港などを襲う危険があるという。1458年、バヌアツのクワエ火山が同規模の噴火を起こした際は、ニュージーランドを高さ30mの津波が襲い、それがポリネシア文化の崩壊につながった。(引用終わり)」


最新の地殻変動情報(国土地理院)
 全国、水平ベクトル、期間1年を表示しますと、硫黄島の隆起量の異常さが分かります。
 注記にも「硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。」とあります。


(3)直下型地震
 もし東京湾北縁・北部断層、それに繋がっていると思える荒川断層や元荒川断層が連動するようなことになれば、相当な大きなマグニチュードになり、建物倒壊(地盤崩壊)・火災・液状化などの甚大な被害がでると思われます。キラーパルスが発生するとRC構造物も危険になると思われます。


 安政江戸地震、関東大震災の震源が東京北部・北縁断層又はその周辺と関係があるということであれば、この断層はズレ動く可能性があるということかもしれません。(ただし政府の見解では「活断層」ではないとしています)


 




(4)相模トラフ型地震
 関東大震災級の災害になります。数千年の一度級の活動期に入ったのならば、房総沖地震、伊豆小笠原地震、相模トラフ型地震、首都圏直下型地震、南海トラフ地震と連続して起こることもあり得ると思われます。


(5)南海トラフ地震
 浜岡原発がやられれば、やはり首都圏も直撃すると思われます。東海地方には致命的な被害がでると思われます。南海トラフ地震に刺激されて日本沈没型プレート破壊が起きれば、太平洋沿岸は広く海没すると思われます。最悪は映画の通りになるかもしれんません。
 

(6)阿蘇破局噴火(九州火山破局噴火)
 熊本の群発地震がマグマ活動によるものとすると、阿蘇の破局災害の可能性もあり得るのではないでしょうか。九州の大半・山口県辺りまで火砕流が到達する可能性があります。


最新の地殻変動情報(国土地理院)
 表示を九州、水平ベクトル(期間1年間)にすると、熊本の群発地震の地域は南北に引っ張られていることが分かります。また中国地方・四国は時計回りに九州に向かって移動しているようです。
 表示を九州、垂直ベクトル(期間1年間)にすると、熊本の群発地震地域は沈降し、周りはすべて隆起しています。ただし(期間1ヶ月間)では上記地域以外でも沈降するところが目立ちます。

(7)白頭山、十和田湖の大噴火
 韓国での群発地震など考えますと、白頭山などの火山も噴火するかもしれません。マントル活性化によりマグマも大量に湧き出て来るということでしょうか?



「「脱水反応」による大量の「水」の放出
 更に温度や圧力が上昇すると含水鉱物の脱水反応が起きる。プレート年代が古くて冷たいプレートが沈み込む場合には、含水化した海洋地殻の脱水反応は深さ30km付近から始まり、深さ400km低度で完結する。脱水反応によってスラブの上部に位置する陸(島弧)のマントルウェッジの中に噴水のように大量の(自由)水が放出される。
 この「脱水反応」とは何か?
 プレートの沈み込み境界域に沿って海洋地殻の最上部にあるスメクタイトやゼオライトに富んだ海洋性堆積物・変質海洋地殻物質は、海水を大量に吸着しながら、次第に沈み込み帯の深部に沈み込むだろう。温度・圧力が上昇するに従い、スメクタイトはより温度・圧力が高くなるとイライトに変化する。注目すべきことは、イライトはスメクタイトと全く異なった物理学的性質を持っていることである。イライトは層間水もないし、膨潤性も示さず、力学的特性も造岩鉱物からなる岩石に近い。
 かんらん岩に含まれるH2Oの量は、主に蛇紋石および緑泥石(クロライト)の脱水分解反応の条件を境として大きく変化し、これらの含水鉱物が安定な600-700℃以下かつ5Gpa以下では、かんらん岩は8%程度のH2Oを含み得る。一方、600-700℃を超えこれらの鉱物が不安定な場合に、かんらん岩の含み得るH2O量は急減する。
 つまり、沈み込みに伴う温度・圧力上昇の下、含水鉱物であるスメクタイトがイライトへ、同様にかんらん岩が蛇紋石や緑泥石に変化することで性質が大きく変わり、結晶構造的に“含水できなくなる”ことで、大量の「水」が放出されるわけです。(引用終わり)」
 沈み込みにともなうマグマ発生場所は岩石の違いで2箇所あるようです。
 (1)110km辺りでの「角せん石・緑泥石(クロライト)の脱水」箇所
 (2)170km辺りでの「かんらん石の脱水」箇所
 ということは、低角度でフィリピン海プレートが潜り込む近畿以西では、もしかすると(2)の箇所が相当大陸寄りになることも考えられるのでしょうか?
 そして未曾有の活動期に入ると、それまで地下で滞留していたマグマが大噴火するということもあり得るかも知れません。

「 地球の中の水といえば、真っ先に思いつくのは「海の水」です。海には1.4エクサトン(エクサは10の18乗)もの水があります。地球表層の水としては、海洋水がほとんどを占めます(下図参照)。
では、地球内部ではどれくらいの水があるのか?驚くべき事に、地球内部には海洋水以上の水が存在するのです。
地球の内部、地殻やマントルでは、水はH20ではなく、水酸化物OHとして鉱物の中に含まれています。このような水を含む鉱物は「含水鉱物」と呼ばれます。地球内部にどれくらいの水が蓄えられているのかという問題は、地球の中にどんな種類の含水鉱物がどれくらい存在するのかを調べればよいことになります。
鉱物は水を含むと膨らみます。高野豆腐を水で戻すと膨らむようなものです。体積が大きくなるのですから、密度は小さくなります。これを利用して、マントルの密度と比較して、含水鉱物の種類と量を決めることが出来ます。
このような方法で大まかに水の量を求めてみると、その結果は、上部マントル(670km不連続面より上部のマントル)には、約4エクサトン、下部マントルにも約1エクサトンもの水が蓄えられていることとなりました。以上より、マントル(上部マントル+下部マントル)には、海洋水約1.4エクサトンの3倍以上もの水が存在しているのです。
海洋の下には、それより大きなもう一つの海が広がっている、とでも表現すればいいのでしょうか?(引用終わり)」

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世界の地球物理学者は日本の「異変」を固唾を呑んで見守っている?阿蘇・伊豆小笠原の異変

2016-06-18 19:59:38 | 地震災害
世界(特に環太平洋火山帯:リングオブファイアー)で地震・火山が活発化していますが、世界の地球物理学者が破局的な災害をもたらすと予想している火山等のうち、日本には3つもあるとのことです。


「 先月、英国・マンチェスター大学のアルバート・ザイルストラ教授(天体物理学)が火山愛好家たちの協力を得て「世界で最も危険な火山10」を選定し、『VOLCANO CAFÉ』というブログで発表した。選出にあたっては、100年以内に噴火の恐れがあり、かつ破局的噴火となる可能性がある火山という基準が用いられている。今回、そのリストに日本の2つの火山が含まれているが、一体どのような理由で危険なのか探ってみることにしよう。

「世界でもっとも危険な火山10」に選定されたものを1位から順に並べると、以下の通りとなる。

1位:硫黄島(東京都小笠原村)
2位:アポヤケ山(ニカラグア)
3位:フレグレイ平野(イタリア)
4位:阿蘇山(熊本県)
5位:トランスメキシコ火山帯(メキシコ)
6位:アグン山(インドネシア)
7位:カメルーン山(カメルーン)
8位:タール山(フィリピン)
9位:マヨン山(フィリピン)
10位:ケルート山(インドネシア)

…『VOLCANO CAFÉ』を見ると、硫黄島でもっとも問題視されているのは、マグマによる隆起が4年に1mという世界でも珍しいペースを保っている点だ。第二次大戦中の米軍上陸(1945年)当時と比べ、なんと17mも隆起しているという。この島で破局的な噴火が起きることは、もはや時間の問題とされ、“その時”には高さ25mほどの大津波が日本列島や香港などを襲う危険があるという。1458年、バヌアツのクワエ火山が同規模の噴火を起こした際は、ニュージーランドを高さ30mの津波が襲い、それがポリネシア文化の崩壊につながった。(引用終わり)」

「地球物理学者ビル・マグワイア(ロンドン大学名誉教授)が、「次に地球を襲う3つの巨大災害」の中に日本の箱根をリストアップした。
 他の2つは、エル・ニーニョ現象とヒマラヤ山脈の断層線である。
 …では、箱根はどういうことか。マグワイア名誉教授によれば、箱根の温泉地域で噴き出る火山性蒸気に、危険な兆候が見られるという。(引用終わり)」

 なにやら物騒な話ですが、指摘されている「阿蘇」、「箱根」・「硫黄島」については、木村教授が危険だと想定している、「日向灘地震とそれに連動する火山噴火」、「伊豆小笠原地震とそれに連動する火山噴火」として見ると、ぴったり符合してしまい、背筋が凍るような思いになります。

 ここで、日本でのプレートの沈み込みにともなう火山形成について、確認してみましょう。

 まずプレートが沈み込むと、「海溝」(沈み込み帯)ができ、その後に「島弧(陸弧)」(海水を大量に含んだプレートが沈み込むことによりマグマが発生、火山噴火によりできる)が形成され、さらに「背弧海盆」(その背後に地溝帯ができる、メカニズムにははっきりしない)ができるようです。

 「背弧海盆のメカニズム」について解説しているQ&Aがありました。
「…島が弧状列島になる・背弧海盆ができて拡大するメカニズムには定説はなくて、研究中のようです。
(1)海溝のできる位置は同じではなくて次第に後退し、島が海洋側に進むようになる (2)海洋プレートの沈み込む角度が次第に急角度になり、島が海洋側に引き込まれる (3)沈み込んだ深い位置=背弧海盆の下の位置で大量のマントルが溶融しプルームとなって上昇し、ミニ海嶺のような発散域を形成して、そこを中心に海底が拡大する (4)マントルプルームの上昇で周辺が押されて、プレートが沈み込むところが主に後退し島の位置も遠のき、海盆が広がる (5)マントルプルームの上昇で周辺が押されて、大陸側が主に後退し、相対的に島の位置も遠のき、海盆が広がる(引用終わり)」

 上記の(3)・(4)・(5)のマントルプルームが上昇して押し広げるという考え方が理解し易いように思われます。どうしてマントルが上昇するか不思議ですが、とにかくここでも「海水」が関係しているようです。
背弧海盆「ここでの海嶺は中央海嶺同様に玄武岩を噴出するが、背弧海盆の玄武岩には多量のマグマ水が含まれる(水の重量比1〜1.5%)のに対し、中央海嶺の玄武岩質マグマは乾燥している(同0.3%未満)のが大きな違いである。(引用終わり)」

 そうしますと、フィリピン海プレートに沿い、海溝、島弧(陸弧)、背弧海盆と形成されており、島弧では沈み込みによるマグマの火山噴火が起こり(火山フロント)、また背弧海盆でも何らかの理由でマントルプルームが上昇し火山噴火が起っているということでしょうか。特にミニ海嶺のように押し広げられるらしいです(日本海が押し広げられたように)。
 フィリピン海プレートが沈み込む琉球海溝では、沖縄本島やいくつもの島々が「島弧」を作り、その背後に沖縄トラフという背弧海盆があります。

 南海トラフの九州では、島弧(陸弧)の背後に「背弧海盆」と思われる別府・島原地溝帯があります。

 南海トラフの四国では、島弧)陸弧)の背後には、瀬戸内海という地溝帯があります。その境界辺りに中央構造線が走っています。
 参考:なぜ世界のマグマ研究者が小豆島に注目するのか「…MgOが多いというだけでは、小豆島のサヌキトイドがマントル直結の安山岩であることを、多くの岩石学者に納得させることはできません。そこで、このサヌキトイドに含まれる鉱物の化学組成を調べたり、サヌキトイドマグマがマントルと平衡に存在することを確かめる実験などを行いました。そして、サヌキトイドマグマが、30−40㎞のマントルから直接地表へ噴出したことが明らかになったのです。こうして、小豆島にマントル直結安山岩が存在することが、世界中で認められるようになりました。それは、1980年代の終わり頃でした。」
「…ようやく辿り着いたマントル直結安山岩、サヌキトイドの成因が、図5⒝に示したものです。通常のマグマができる場合は、プレートから絞り出された水がマントルを融かすのですが、サヌキトイドの場合は、プレートそのものが融けてしまっていたのです。そして、このプレートが融けてできた流紋岩マグマの中に水が多量に含まれていたのです。この流紋岩マグマがマントルの橄欖岩と反応して、サヌキトイドマグマが作られ、これが地表へ噴出してマントル直結安山岩となったのです。 (引用終わり)」
 何らかの条件が揃うと、マントルが直接溶けて地表に噴出することもあるとのことです。瀬戸内海では大昔、とてつもない火山噴火が起こっていたようです。
 
 そうすると、「阿蘇火山」は「地溝帯である背弧海盆の火山」ということになるのでしょうか。瀬戸内海では火山活動が止みましたが(沈み込みの角度が低くなり、日本海側に移ったとも言われています?)、別府-島原地溝帯ではまだミニ海嶺のような想像を絶する火山活動が起こる可能性もあるのでしょうか。

 今度は伊豆・小笠原海溝沿いを見てみます。伊豆・小笠原海溝に沿い島弧(火山フロント)があり、その背後に四国海盆・パレスベラ海盆があるようです。この島弧の火山フロント(富士火山帯=伊豆小笠原火山列)には、富士山、箱根、硫黄島などが含まれます。
 なお四国・パレスベラ海盆の活動は今は停止しているようです。

 あるサイトでは、昨年5月に小笠原西方沖(M8.1、深度は682km)の地震等について以下のように説明されていました。
「日本沈没が開始されたか
 海溝から沈み込んだ海洋プレートはスラブと呼ばれ,深発地震面として観測されている(図152).上部マントル内の深発地震がスラブ内でしか起こらないのは,スラブが破壊できる程低温なためと考えられている.上部マントル主要構成鉱物のカンラン石は,深度660kmの下部マントル上面の温度圧力条件下で高密度のペロブスカイトに相転移する.この相転移は低温ほど高圧を要するため,低温のスラブは下部マントル上面を通過できず停滞すると考えられる.地震波トモグラフィーで認められる下部マントル上面付近の高速度物質は,この停滞スラブに対応されている.スラブ深部で起こる地震の発震機構が逆断層型であることも(図152),下部マントル上面に沿って停滞しているスラブ先端に後続スラブが突き当たっているためと説明されている.」
「 下部マントル上面に沿って停滞するスラブ先端も次第に暖められ,ペロブスカイトに相転移を開始する.スラブ先端が下部マントルに沈み込みを開始すると,浮力を失って後続のスラブを下部マントルへ引き摺り込む.低温のスラブも引き摺り込まれると高圧になり相転移が連鎖的に進行する.連鎖的相転移はスラブを下部マントルに崩落させる.映画「日本沈没」(第2版)では,日本沈没を,停滞スラブの下部マントルへの崩落よって説明している.
 今回の小笠原西方沖M8.1は日本全国を揺るがしたが,深度が下部マントル上面の660kmよりも有意に深い682kmであり,発震機構が正断層型であることは,相転移したスラブ先端によって下部マントルへ引き摺り込まれた後続スラブ内で起こった地震であることを示している。」
「…下部マントル上面に接するのは,平面化したスラブでは高温のスラブ下面であるのに対し,同心円状屈曲したままのスラブでは低温のスラブ上面である.高温の方が相転移し易いことから,平面化している伊豆スラブの方が下部マントルに崩落を開始したと考えられる.伊豆スラブは南程急斜しているので,南端が最も早く下部マントル上面に到達することから,スラブ崩壊は伊豆スラブ南端から開始したと考えられる.この崩落は連鎖的に進行することから,伊豆諸島の南端から沈没を開始し,関東地方に及んで日本列島の沈没に到るであろう.
 日本沈没は,1400万年前の日本海拡大後にも起こっている(新妻,1978;1979;2007).この日本沈没は,同心円状屈曲スラブが海溝よりも海洋側から下部マントルに崩落したもので,日本海を拡大させた後に日本列島を沈没させた(図155;新妻,2014b).今回は平面化スラブの下部マントルへの崩落なので,日本海をむしろ縮小させるであろう.また平面化スラブは海洋プレートに直結しているため,崩落速度はプレート相対運動に律され,日本海拡大時のように急激に進行しないであろう.(引用終わり)」

「CMTとは、セントロイド・モーメント・テンソル(Centroid Moment Tensor)の略で、観測された地震波形を最もよく説明する地震の位置(セントロイド)、規模(モーメント・マグニチュード)、及び発震機構(メカニズム)を同時に求める解析法です。(引用終わり)」
「発震機構
 地震は、一般的には地下で断層がずれ動いて発生するものです。”発震機構”とは、地震を起こした断層が地下でどのようになっているか(断層が どちらの方向に伸びているか、傾きはどうか)とその断層がどのように動いたかを示すものです。 発震機構は地下の断層の状態を表すと同時に、地下で地震を起こす元になった力がどのようであったかも教えてくれます。これは、断層と地下の力の向きがある一定の幾何学的な関係にあることが分かっているからです。」
「初動発震機構解
 地震の発震機構を求める場合によく使われる方法が、地震波のP波の初動を使う方法です。 地震波のうち、P波は地下の岩盤の伸び縮みによって伝わる波です。地震の際に断層が下図のようにずれ動いた時、 図のように断層のまわりの領域で、岩盤が縮む領域(図の[1]、[3])と岩盤が伸びる領域(図の[2]、[4])ができます。 そして、それらの領域から出た地震波(P波)が地表面に伝わった時には、それぞれ地震波が伝わり始めた領域([1]〜[4]) に対応して、地面の最初の動き(初動)が、”縮み”([1]、[3]から伝わった波)になるか、”伸び”([2]、[4]から伝わった波)になるかが分かれます。
 この性質をP波の初動極性と呼びます。これらの”伸び”、”縮み”は、地表面では、それぞれ、地面が最初に下に動く("引き"の波)、上に動く(”押し”の波)、ことに対応しますので、”押し”、”引き”と表現されます。(引用終わり)」

 当初上記のサイトは、地震オタク系の方のものではないかと思っていました。なにしろタイトルが「日本沈没は開始されたか」というものでしたから。しかし、よくプロフィールや他のブログ等を読みましたところ、この管理人様はこの分野での権威ある専門家の方で、驚きました。
 そのような専門家が真面目に「日本沈没」が起こり得るのではないかと考えているということは、本当にあの映画のようなことが実際起こり得るということでしょうか?
 改めて2006年の「日本沈没」の映画を見直してみたところ、あまりの恐怖で体がガタガタ震えてしまうほどでした。日本列島が細切れのように分断して沈みますが、あれはマイクロプレートか活断層沿いに割れていたのでしょうか。それに阿蘇山の破局噴火(カルデラ噴火)や大津波・水没、列島のあちこちでの火山噴火など、まさにこれから起こるであろうことが描かれていたということです。また政治家が真っ先に逃亡してしまうなど、こちらも有り得そうなことだと思います。

 そういえば、関東平野はついこの間(地質学的な時間管感覚で)まで、海に沈んでいました。それもかなり深海のようです。例えば堆積層の上総層群など。
 そういう意味では、「日本沈没」でなくても、何らかの活動により、ある部分的な陸地が沈んでしまうことは十分に考えられると思われます。
参考:瓜生島


 九州南部には特に火山が集中していますが、どうも複数のプレートが交わる特異な地域のようです。沖縄プレート(マイクロプレート)、フィリピン海プレート、アムールプレート(マイクロプレート)という三つのプレートに囲まれています。また九州西側の沖合いでは、沖縄プレートは北側を揚子江プレート(マイクロプレート)とも接しています。

 今回の熊本地震が意味するものは、上記の複雑な九州でのプレート構造が軋み始め、それに関連する活断層と火山噴火が活発化しているということのようです。

参考:Niitsuma-GeoLab.net 熊本地震「熊本地震は琉球弧の背弧海盆である沖縄トラフ軸から北東に続く別府-島原地溝帯の中央部で起こった(図182).別府-島原地溝帯は更に瀬戸内海に連続している.沖縄トラフでは2015年11月18日にM7.1+nt17kmの最大地震が,続いて2016年2月6日に台湾南でM6.4+pr16kmが起こり,九州の地震に警戒を呼び掛けていたところであった.(引用終わり)」
「別府湾から島原にかけて,沈降している帯状の地域を「別府―島原地溝帯」と言います.図1に薄い緑色で示したところです.図に記入されている矢印は,国土地理院が測量した100 年間の土地の動き(変位ベクトル)ですが,地溝帯より北の矢印は北向きに,九州の南は南西ないしは南に移動しています.図の左下に 1m の長さの矢印がありますが,地溝帯は100 年でおおよそ 2m ほど,南北に引き裂かれていることがわかります.」
「もちろんこの変動は最近の話ではなく地質年代からずっと続いていて,地形的にも明瞭な地溝帯を形成しています.南北に引っ張られていますから土地がへこんで,大局的に見るとへこみが溝状になっているのですが,一方では引き裂かれているため,深部から出てくるものもあります.
 もっとも顕著なのは,深部からマグマが上昇してくる火山で,由布岳,九重山,阿蘇山,雲
仙岳と連なっています.熱源が浅く温泉もたくさんあります.
 九州では地震は少ないと思われていた方も多いようですが,図2に見るように地震もたくさん起きています.特に地溝帯に沿っての地震が多いです.活断層もこの地溝帯に沿ってたくさんあります.阿蘇山の周りは厚い火山灰のため,断層は確認されていないようですが,大分市や熊本市付近では明瞭な活断層がいくつもあり,今回の地震も熊本側の「日奈久(ひなぐ)断層」と「布田川(ふたがわ)断層」で起きました.このふたつの断層は,地溝帯の南側の縁にあり,今回の地震でも断層の北側が沈降し,地溝帯のへこみが進みました.(引用終わり)」

 沖縄トラフ、別府-島原地溝帯、瀬戸内海は地溝帯として繋がっているようです。そして台湾の地震と熊本地震のような活断層地震・火山噴火なども連動しているようです。熊本地震はただ活断層が動いたということではなく、別府-島原地溝帯が拡大し、マグマが浮き上がってきており、それに連動して活断層が動いたということなのでしょうか。 

 そうしますと、マントル活動が活発化し、地震・火山噴火の活動期に入っている時期には、海溝型の巨大地震、島弧(陸弧)内の活断層にともなう巨大直下型地震、島弧の火山フロントの巨大噴火(破局噴火)、そしてもしかすると背弧海盆のマントルプルームによるミニ海嶺的な巨大噴火(破局噴火、地震も連動)も起こるかもしれないということのようです。

 阿蘇、箱根、硫黄島、これらがもし巨大噴火(破局噴火)すれば、日本は実質的に終わると思われます。もう原発震災どうのこのと言っている場合でもなくなります。本当に日本列島が引き裂かれて木っ端微塵になってしまうことも想定されるのではないでしょうか。

 世界の地球物理学者は、西之島噴火・小笠原深海地震、熊本地震、その他様々なデータ
を見て、固唾を呑んでその成り行きを見守っているのでしょうか?

 

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地球環境激変、銀河系スパイラルアーム突入→太陽活動低下→宇宙線増加→気候寒冷化・マントル活発化、まだ始まったばかり?

2016-04-30 20:49:38 | 地震災害
熊本地震が発生しました。(4月中旬から震源が移動して断続的に継続中のようです)
(被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。)

 どうやら中央構造線が動き出したようです。中央構造線が動くということは、こういうことなのかと実感しました。つまり「構造線」を構成する活断層が連鎖的に移動しながら動き出すということです。
 参考:中央構造線で体験した“最初の地震” やっぱり難しい? 地震予知(なお島村教授は「地震予知」に懐疑的ですが、私は地震予知の可能性はあると思います)
 とにかく、残念ながら「異変」は始まったばかりのように思えます。

〔H28-06-20 熊本地震の見方は、上記のような中央構造線・活断層の動きというより、「沖縄トラフ・別府-島原地溝帯」の背弧海盆の拡大にともなうマグマ上昇とそれにともなう地震(活断層による)と見る方が適しているかもしれません。そして、このような状況は、地球が大きなマントル活動期に入ったためと思われます。

 また「日向灘地震(南海トラフ地震にも連動?)」発生の前兆とも見ることができるかもしれません。木村教授が指摘するドーナツ環の空白域を埋める地震や連動する火山噴火ではないかとも思えます。
 参考:『検証!首都直下型地震 巨大地震は避けられない?最新想定と活断層』木村政昭監修 技術評論社より。
「 その空白域の周辺では、地震の震源がドーナツ状に現われる「ドーナツ現象」が起きていることがはっきりすることがあります。…周囲には小さな地震が続発しているにもかかわらず、ドーナツの輪のなかだけは、人体にその揺れが感じられないくらい(無感地震も含めて)微小な地震すらも起きないほど、地震が少なくなっているエリアがあります。この状態の空白域を第1種空白域とします。
 …こういった傾向がさらに強くなっていくと、ドーナツの輪の中で小地震が頻繁に起こるような場所が発生するようになってきます。氏はこれを「地震の目」、あるいは「サイスミック・アイ」と呼んで警戒を強めます。地図かを上から見ると、ドーナツの輪の中に「黒目」があるような状態にまで達します。この状態を第2種空白域とします。そしていよいよ直前近くなると、このサイスミック・アイはますます発達して移動し始め、その延長線上で「本震」が発生するのです。(引用終わり)」
 (なお木村教授の理論は、先生が長年研究してきた結果を踏まえて帰納的に導き出した一つの仮説だと思われます。私は、この仮説はある程度説得力があるように思えます。)

 しかし、最近この世界的な一連の地震・噴火の活動期というのは、太陽を中心とする大きな変動周期(地球のプレートテクトニクスや地磁気の変動なども含め)に関係しているように思えて仕方がありません。

 太陽活動の低下(黒点の減少〔波長の長期化、波高の低下など〕)⇒太陽系磁気シールドの減少⇒宇宙線量の増大⇒大気・マントル活動の活発化⇒大地震・大噴火、気候寒冷化という流れです。

〔H29-02-14追記 上記の太陽活動のサイクルは、太陽が銀河系を周回するときに星雲の濃淡部分を通り過ぎるためにに引き起こされるのではないかと考える研究者もいるようです。
「小氷期は太陽活動の低下したマウンダー極小期と時期が重なり、太陽などの天体活動と気候を関連付けた初期の研究対象の一つとなっている。マウンダー極小期は1975年に太陽物理学者のジャック・エディ(英語版)によって名づけられており、論文は1976年に発表され[22]、その後の宇宙気候学の嚆矢となった (引用終わり」)
(追記終わり)〕
 
 上記の13ページの「過去2千年のデータから太陽活動が低いと周期が13-14年に伸びる」という期間を見てみますと、Dalton(ダルトン極小期、1790年から1830年)、Maunder(マウンダー極小期、1645年から1715年)、Spoerer(シュペーラー極小期、1420年頃~1570年頃(1450年~1550年頃とも)、Oort(オールト極小期、1040年~1080年 )に該当します。なおオールト極小期は太陽活動が活発な中で、太陽黒点数が減少した時期のようです?またオールト極小期の約200年前くらいから長周期(黒点数減少)が続いており、何か特異な時期のように思えます(この時期は平安時代の大地動乱の期間に重なると思います)
 
 なおプルームテクトニクスによるマントル活動にも上記の太陽活動の変化が何らかの影響を及ぼしているのではないでしょうか。
 
 上記から懸念されるのは、マウンダー極小期ダルトン極小期のような寒冷化、地震・噴火の活発化(少々時期がズレることもありますが)との相関関係です。

「慶長伊予地震 - 1596年9月1日、伊予国をおそった地震。M 7.0、寺社倒壊等。中央構造線沿いと推定される地震。
 慶長豊後地震(大分地震) - 1596年9月4日、豊後国をおそった地震。M 7.0~7.8、死者710人。中央構造線と連続している可能性がある別府湾-日出生断層帯で発生した(上記地震との)連動型地震とされる。
 慶長伏見地震 - 1596年9月5日、近畿地方をおそった地震。M 7.0~7.1、京都や堺で死者合計1,000人以上。伏見城の天守や石垣が損壊、余震が翌年春まで続く。有馬-高槻断層帯、あるいは六甲-淡路島断層帯における地震とされる。上記二つの地震に誘発されて発生した可能性がある。
 慶長地震 - 1605年2月3日、南海トラフ巨大地震の一つとされてきたが、伊豆小笠原海溝付近震源説や遠地津波説など異論もある。M 7.9~8.0。紀伊半島沖と房総沖が連動したとする説もあり、M 8.4~8.5ともされる。津波地震と考えられており、地震動による被害は少なかったが、現在の千葉県から九州に至る広範囲の太平洋岸に津波が襲来し、死者1~2万人を数えた。
 会津地震(慶長会津地震) - 1611年9月27日、会津地方をおそった直下型地震。M 6.9。寺社損壊、死者3,700人。
 慶長三陸地震(慶長三陸地震津波) - 1611年12月2日に三陸沖を震源として発生した地震でM8.1(8.1-8.7の諸説あり)。ただし、津波の痕跡の範囲などから、この従来の定説に疑義があるとされ、千島・色丹沖の震源と連動した大地震・津波だったとする説もある。この大津波による北海道・三陸の死者・被害甚大。地震被害の記録はほとんど無い。
 慶長十九年十月二十五日の地震 - 1614年11月26日に起こった地震。従来高田領大地震とされたが、会津から松山に至る日本各地に被害記録があり、震源は不明。(引用終わり)」


 伊賀上野地震 - 1854年7月9日(元年6月15日)発生の木津川断層(三重県上野市)が震源と推定される地震。
 安政東海地震 - 1854年12月23日(元年11月4日)発生の東海地震。
 安政南海地震 - 1854年12月24日(元年11月5日)発生の南海地震。なお、安政東海地震の約32時間後に発生している。
 安政江戸地震 - 1855年11月11日(2年10月2日)発生の江戸直下型地震。
 安政八戸沖地震 - 1856年8月23日(3年7月23日)発生の三陸沖北部の地震。
 飛越地震 - 1858年4月9日(5年2月26日)発生の飛騨・越後の地震。
 

 そうなりますと、これから南海トラフ大地震や伊豆小笠原地震などの海溝型巨大地震が発生、またそれに連動して直下型地震・火山噴火が多発するようになると思われます。この恐怖のドミノ倒しはまだ始まったばかりのようです。

参考:太陽活動と火山活動-泡箱としての火山- 上記の極小期外でも太陽活動低下時には火山噴火し易い環境になるとのことです。 

 なおさらに懸念されるのは、これらがポールシフトなどとも連動して影響し、人類絶滅に至るような地球環境の変動があるかもしれないと予想されていることです。これは都市伝説よりは可能性が高い予想だと思いますが…

「まずポールシフトが起きる前兆として地磁気(地球の磁場)が急激に弱まるということだが、この磁場が弱まると地球は最大で200年もの間、太陽放射にダイレクトにさらされる危険がある、とNASA(米国航空宇宙局)の科学者が警鐘を鳴らしている。この強力な太陽光放射により人類は皮膚ガンを発症、世界中の電子機器がダウンする。もちろん人工衛星や飛行機などの無線システムにも多大なる影響が出るということだ。
 また前述した主張を裏付けるようにNASAの火星探査計画「MAVEN(メイブン)」の主要計画者であるコロラド大学ボルダー校ブルース・ジャコスキー博士も、「ポールシフトが発生する際、太陽からの放射線を防御する地球の磁場は非常に弱くなり、地球は危険な放射線に無防備にさらされることになる」と語っている。(引用終わり)」

「過去360万年の間に11回は逆転し、現在では、2つの逆磁極期があったことが判明している。約500万年前から約400万年前の逆転期は、「ギルバート」と名づけられ、258万年前から78万年前の逆転期は「松山」と名づけられている。なお、国立極地研究所らの研究によれば、より精密な年代決定を行った結果、最後の磁気逆転の時期は約77万年前と報告されている。(引用終わり)」


 そうしますと、もしかすると日本海が形成されたときのよう巨大火山噴火が起こるかもしれません。これはミニ中央海嶺のような状況ではないかと思います。

 「島根半島には、地質時代で新第三紀中新世(2600万~650万年前)と呼ばれる時代の地層が分布している。この時代は、日本海が拡大し、日本列島がユーラシア大陸から離れたという、日本の自然史において大きな変換期のひとつ。島根半島で見られる岩石の多くは、広がりつつあった日本海の海底や海岸付近で形成された火山岩や堆積岩である。その成り立ちは、地球規模のダイナミックな変動と無縁ではない。」
「日本海が拡大した過程には、海底が拡大し、日本列島が横に移動したという説(拡大説)と、日本海部分が陥没した(陥没説)という2通りの説がある。近年は拡大説で説明されることが多く、本章でもこれに基づいて紹介する。
 中新世の初期、当時のユーラシア大陸東縁部で活発な火山活動が始まった。それに伴い、大地が拡大を始めた。拡大の中央には地溝帯と呼ばれる谷が形成され、次第にその幅が広がった。同様の現象は現在でも見ることができる。アフリカ東部の大地溝帯(グレート・リフト・バレー)がそれである。大地溝帯はマントルの上昇流によって大地が引き裂かれつつある場所で、拡大を続けている。このまま拡大が続くと、アフリカ大陸は大地溝帯を境に分断されることになる。拡大を始めた当初の日本海付近は、大地溝帯のような状況だったのだろう。」
「広がりつつあった日本海の海底と海岸では激しい火山活動が繰り返された。島根半島には海底火山の噴出物が広く分布している。海底火山の活動によって海底に堆積した火砕岩(凝灰岩類)は緑色を帯びることが多く、それは島根半島でも見ることができる。中新世に日本海の海底火山の影響を受けて形成された地層は、緑色の凝灰岩が普遍的に含まれることが特徴であることから、この地層が分布する地域は「グリーン・タフ(緑色凝灰岩)地帯」と総称される。グリーンタフ地帯は島根県以東の日本海沿岸地域を中心とする範囲で、鉱物資源に富む地域として知られている。島根県には、この火山活動の影響で形成された金属・非金属鉱床が多く存在する。(引用終わり)」


 白頭山のマグマはどこから供給されるのかと思いましたが、マントルが活発化すると、様々なところにマントルプルームが上昇してくることもあるのでしょうか。プレートの沈み込みよるマグマ形成も増進されると思いますが、ひょっこりとマントルプルームが湧き出してきたら、もう終わりかもしれませんね。

 もう想像を絶する天地動乱です。原発も何もあったものではありません。

 小松左京さんの『日本沈没』は単なるSF小説ではなく、小松さんが長年の研究により警鐘のため書かれたもののようです。なお『日本沈没』には第二部があることを最近知りました。ここに記述されていることはノンフィクションのようなリアリティーがあります。
「第一部から33年を経て発表された問題作
1973年に発表され大ベストセラーとなった小説『日本沈没』の33年ぶりに書き下ろされた続編。日本列島が海面下に没し、国土を失った日本人たちの25年後を描く。2006年、日本人はパプアニューギニアやカザフスタンなど世界各地に入植し、現地社会との摩擦を経験しながらも、着実にコミュニティをつくり上げていた。国土は持たなくとも日本国は存在しており、中田首相を中心とした政府は自国のアイデンティティを世界に示すため、ふたつのプロジェクトを密かに進行させていた。ひとつは日本列島が沈んだ地域に人口100万人規模の巨大な人工島を建設するメガフロート計画。もうひとつは日本人の技術を結集して挑む未来予測システム、地球シミュレーターだった。(引用終わり)」

 神は奢り高ぶった人間に「再起動」を命じられようとしているのでしょうか?

 
(参考)
「炭素 14 年代測定法において、炭素 14 濃度が時間的にどのように変動し、空間的にどのくらい均一であるかを知ることは炭素 14 年代測定法の基幹をなす情報である。過去の炭素 14 濃度の時間的空間的情報は、木材年輪などの中の炭素 14 測定値から得られ、年代測定を行う研究者のいわばバイブルとなっている。実際に、大気の炭素 14 濃度には時間的空間的な変動があり、それらは地球がおかれた宇宙線環境や気候変動を反映している。」
「過去 5 万年の中で、氷期を除く過去1万年の間氷期に限れば、大気炭素 14 濃度の変動は、地磁気の長期変動と太陽活動による宇宙線強度の変化によると考えられている。」
「いわゆる小氷期は 15 世紀から 18 世紀の大きな気温の落ち込みで観測される。また中世温暖期は、9 世紀から12 世紀の気温の高い領域に相当する。3 世紀から 6 世紀は冷涼であり、
考古学で言われる古墳冷涼期に対応し、3 世紀中ごろまでの弥生後期は温暖な時期であったことを示す。」
「太陽活動とともに気候に影響を及ぼすのが火山の巨大噴火の影響である。1991 年のピナツボ火山は世界の平均気温を 2,3 年にわたって0.3℃ほど低下させたといわれる。グリーンランド氷床コアで巨大噴火による硫酸塩の最も大きなシグナルとして記録されている 1259 年の噴火(メキシコ・El Chichon 火山か?)は、日本では鎌倉時代の「正嘉の飢饉」として知られる飢饉の原因となったと推定される。江戸の飢饉のうち、宝永の飢饉はインドネシア・Awu 火山(1641 年)、天明の飢饉は、同年の浅間またはアイスランド・ラキ火山(1783 年)、天保の飢饉はフィリッピン・Babuyan 火山(1831 年)と時を同じくしており、飢饉には太陽活動と同時に、巨大噴火の影響も色濃くみられる。巨大噴火による寒冷化は、それが太陽活動の停滞時に起こった場合には、歴史における飢饉の発生にかなりの頻度で寄与していると考えられる。(引用終わり)」

「…太陽活動が弱くなるとそのバリア機能は低下し,地球に飛来する宇宙線が増える.すると,大気中でたくさんの炭素 14 が作られ,その結果,光合成によって樹木が年輪に取り込む炭素 14 の量も増加する.逆に,太陽活動が活発になると年輪に取り込まれる炭素 14 の量は減少する.したがって,屋久杉などの樹齢の長い木や,地中に埋もれた大昔の木の年輪に含まれる炭素 14 の量を測定してその増減を調べると,過去の太陽活動の推移を知ることができる.(引用終わり)」

「 マントル内で上方へ向かう大きな物質移動は「プルーム (plume)」と呼ばれ,それが地球表層に到達すると,しばしば大規模なマグマ活動を起こす。その産物の大規模な例は「巨大火成岩区 (largeigneous province, LIP)」と 呼 ば れ,しばしば広大な洪水玄武岩の噴出を伴
う(Box 3を参照)。」
「…かつて筆者は,マントルの巨大プルームが地表に到達したときに異常に大規模なLIPマグマ活動が起こり,地球表層環境の激変と大量絶滅を導いたという因果関係を推定し,「核の冬」になぞらえて「プルームの冬」シナリオと呼んだ。これにGCRの効果による寒冷化を加えて,新たに “統合版「プルームの冬」”と呼ぶことにする。結局,宇宙からの寄与があったとはいえ,地球生物圏に対して大量絶滅に至る大被害のきっかけとなったのは,マントル
内の間欠的な大規模物質輸送(プルーム)であったと考えられる。それに誘導れた地球磁場強度の低下によってまず(地磁気誘導型)寒冷化が起こり(図5A),やや遅れて大規模LIP火山活動による火山誘導型寒冷化が加わった(図5B)。(引用終わり)」

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政治的配慮で潰された「本当の地震予知」?残党と異端児が切り開く地震予知?

2015-08-21 19:58:25 | 地震災害
 前回の記事「原発震災列島(5)緊急警戒が必要?「伊豆小笠原地震・房総沖地震」+首都圏直下型地震は起こるのか?」で村井教授の研究に触れたところ、批判があり、一体どうなっているのか?私になりに少々調べてみました。
 
 どうも、現在の地震学の学会(それを統治している官僚組織)の見解は、「地震予知」はできないということになっているようです。確かに「地震予知」は難しいと思われますが、「できない」という結論を出してしまっては、地震予知の可能性もなくなってしまいますし、何らかの地震の前兆と思われる様々なデータ(ラドン濃度、電磁波、前兆としての地殻変動)もまったく考慮されないことになってしまうと思います。学会(官僚)の公式見解が「地震予知はできない」ということであれば、様々な「地震予知」はインチキなものになってしまうと思います。
 そうすると、地震前の地殻(基盤の)変動(それにまったく同期する訳ではないですが、同様な変動を見せると思われる地表(堆積物上)のGPSの変動データ(3次元))も、地震とはまったく相関関係がないことになってしまいます。相関関係があるのであれば、積極的に(短期・中期の)地震予知に繋がる可能性があり、学会(官僚)の公式見解(地震予知できない)と矛盾してしまいます。
 つまり地震の前兆現象はあってはならないことになってしまうと思います。

〔しかし、「地震予知ができない」例外があります。それは「東海地震の予知」です。これは予算が付き・法律も出来ているので、東海地方で地震予知ができることが前提になっています。『「地震予知」の幻想―地震学者たちが語る反省と限界』黒沢大陸著によると、この法律のできる前の質問で、官僚が「予知できる」と答弁してしまったようです(予算欲しさに?当時はそのうち予知できると思った?)。そのため、大前提は「地震予知は不可能」、だけど東海地震だけは「地震予知の可能性がある」ということになっているようです。
 
〔H28-11-19追記 平成28年6月、政府は上記の「東海地震のみ予知可能」の政策を転換せざるをえなくなったようです?
 参考:【大転換】政府が地震対策の方針を大幅に変更へ!約40年ぶりの見直し、地震予知から地震警戒に!(情報ドットコム)「政府の中央防災会議は28日、南海トラフで懸念される大地震について新たな防災対策の検討を始めることを決めた。確実な直前予知は困難なことから、東海地震の「警戒宣言」に伴う厳重な規制措置の緩和や、大規模地震対策特別措置法(大震法)で防災対策を強化する地域を南海トラフ沿いに拡大することなどを検討する見込み。予知を前提に構築された国の防災体制が約40年ぶりに抜本的に見直される見通しとなった。(引用終わり)」
 責任転換とも取れるように思いますが、地震・火山にに関しては、独立的な総合研究所を作り、安全保障上の最重要課題として取り組んだ方が良いと思います。
「まず、挙げられるのが、噴火や地震の予知対策がハード偏重になっている点だ。朝日新聞の記事によれば、御嶽山の山頂付近には12もの地震計が設置されている。もちろん、それでも足りないと言われているのだが、むしろ問題は、そのデータが十分に活用されていなかったことである。これらの機器によって計測されたデータは、一応気象庁にも提供されているらしい。しかし、その提供を受けたとしても、それは全国にある47の活火山に関する何百とあるデータの一つに過ぎない。気象庁でその監視と解析を担う担当者の数はおそらく5人いるかどうかではないだろうか。
 本来は、機器を増やすのであれば、それによって増えるデータ解析などの作業をする人員を増強しなければ有効利用できないことは誰にもわかる。また、維持管理の経費も増やさなければならない。しかし、実際は、大きな地震や噴火の被害が出るたびに、機器を増やすが、その維持管理や有効活用のための継続的に必要となる予算はほとんど増えないのだ。」
「どうして名大のデータが気象庁で十分に活用されなかったのだろうか。
その原因は、悪名高き縦割り行政である。普通に考えれば、御嶽山の噴火の予測を行なうのなら、山頂付近の複数の計測器をどこか一つの機関が責任を持って管理運用する方が良いに決まっている。ところが、気象庁の他に長野、岐阜両県、名古屋大、防災科学技術研究所などの地震計が12箇所に置かれていて、かろうじて、データだけは気象庁に伝達されることにはなっているが、実際にはほとんどバラバラに運用されている。
 もし仮に、これらを一つの機関に集約すると、国土交通省(気象庁)、文部科学省(防災科学技術研究所、大学)、総務省(県)などの省庁の予算が一本化され、おそらく、無駄な重複などがなくなるはずだが、その結果、全体の予算が減少するので、各省庁ともそういうことは反対する。これまでは、むしろ、災害のたびに、各省庁が自分の縄張り、すなわち利権の陣取りのために、自分たちの予算を増やしてバラバラに計測機器を増やしてきたのだ。(引用終わり)
 破局噴火さえも想定されている状況の中、この最大の安全保障問題に対して、セクショナリズムやら拝金教やらのため、根本的な危機対応ができない国家というものは、本当に偶像崇拝教者の集まりでしかないのだろうか?(追記終わり)〕

 地震予知には否定的な学者は多いようです。
〔H27-09-12 追記 『「地震予知」はうそだらけ』講談社文庫を読了しました。島村さんは作家のような文章能力もお持ちのようです。「地震予知」が「装置産業」として利権化して、「予算獲得」・「縄張り獲得」のため、学者(学閥)も官僚や業者(メーカー・工事会社など)と一体とになって、そのシナリオ通りに狂奔していた。装置産業化(工学化)した地震研究では、創造的な(理論)研究はできなくなり、夢のないものとなってしまった。
 
 特に文部省から旧科学技術庁系の官僚の主導になると、研究が国策化して硬直化していった。官僚が描いたシナリオに、学者は追随せざるを得なくなった。官僚など(地震研究の利権団体)は阪神淡路大震災の地震予知の失策を隠蔽し、看板の架け替えをして誤魔化し、なおかつ予算をさらに獲得するというように焼け太りした。何らの反省も責任も取ることなく、さらなる策謀により、予算と縄張りの獲得に狂奔している。
 島村さんがどうして、不可解な事件に巻き込まれてしまったのか、よく理由が分かったような気がします。
 なお世界的には「地震予知は不可能」というのが常識のようです(驚きました)。英国のネイチャーで地震予知の特集が組まれ、最終的に現代の科学では予知はできないとの結論になったそうです。ただし、キリスト教の公会議と似て、正統学派や異端派と決められても、その時点での判断ということであり、特に欧米では地震災害にはあまり係わり合いないこともあり、重要視されていないことも影響していると思います。そのため、欧米の地震学者は、その「公会議」の結果を受けて、地震予知の研究者たちをクレイジーな奴だとみなしてしまうようです?(追記終わり)〕


この方のおっしゃることも一理あると思います。
 そもそも、都市計画において危険な地域をもっと明確にすべきだった。津波が常襲する地域、軟弱地盤で液状化や揺れが増幅する地域、急傾斜地や土砂災害の被害の可能性の高い地域、活断層の近く、火山噴火の恐れのある地域などは、早くから開発を規制すべきだった。土建屋帝国主義の基、開発者、土木建築業界、地主、リベートが入る官僚・自治体首長・政治家、開発による産業振興により恩恵うける商工業者、安い土地に工場(発電所など)を建てられる事業者などの拝金教的な開発至上主義のため、科学的な合理的精神は圧殺された。絶えず自然災害の影響は過小評価されてきた。開発・産業にマイナスとなる災害要因は意図的に隠蔽されてきたのではないでしょうか。このような「杜撰な都市計画」を顧みないで、「地震予知」ができるから安心だとしてきたのは、ある意味では詐欺的とも言えるかもしれません。
 それに「省益」を排除して、「米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)」のような災害に総合的に対処できる組織を作るべきだと思います。
 考えてみれば、本当におかしなことになっています。
 福島原発事故では、今のところ誰も裁かれていません。あれほどの大災害(原発震災)も想定外の自然災害によるものだということのようです。この地震学会(官僚)の対応も、そのような大きな流れで見れば、さほど驚くべきものではないようです。

 また、地震予知に向けてつぎ込まれた様々な観測機器(地震計、歪計、傾斜計、伸縮計、潮位計、地下水計、GPSなど高感度観測網、衛星(だいち)、海底掘削船(ちきゅう)など)は、無駄遣いではなく、スーパーコンピューターなどの高度な解析も助けとなり、多くの研究成果もあったようです。『地震予知の科学 日本地震学会地震予知検討会編 東京大学出版会 2007年』によると、東日本大震災前ではありますが、研究員の希望に満ちた話が多かったです。アスペリティとゆっくりすべり、摩擦係数のパラメーターを変えると、ゆっくりすべりが徐々に加速する場合と逆に減速する場合があることなども書かれてありました。
 
 この地震予知につぎ込まれた予算は累計3000億円程度とのことですが、地震大国日本にとっては決して目だって大きな金額だとは思いません。ただし、土建屋帝国主義的な思惑が影響すると、純粋な学者さんには迷惑なことなのかとも思います。

 どうして「地震予知がきない」という公式見解になってしまったのか、分かり易く説明された記事がありました。『地震予知研究の歴史と現状 上田 誠也
 この方は、プレートテクトニクス研究の第一人者で、仲間や先輩に「晩節を汚す」とまで言われても、VAN法にのめり込んだ方です。

「では「短期予知」はできるのか。少なくとも我が国ではできてはいません。そしてそれは当面「不可能」とされているのです。」

「簡単に結論から申しますと、我が国の地震予知計画は、地震観測網を充実しなければいけないということから始まりましたが、それを熱心に行っているうちにそれが主な仕事になってしまい、予知という本来の目的を見失ってきた。地震観測では起こった地震のことはわかりますが、これから起こる地震のことはそうわかるわけがないのです。そんなことは、はじめからわかっていたはずなのに、地震観測だけがとどまるところがない大事業になってしまいました。
 そのうちに阪神大地震が起こりました。もちろん予知はされませんでした。その“効果”といっていいかどうかわかりませんが、地震予知、とくに「短期予知は当面不可能」ということになり、その研究すら放棄することになってしまったのです。国民の安心・安全に関わるお国の方針にこの重大な変化があったことを国民の皆さんはほとんど知らない。皆さんもご存知ないでしょう。国民の皆さんは、「いまでも日本は地震短期・直前予知の研究を一所懸命やっている」と思っておいででしょうが、実はやっていないのです。憂慮すべき事態です。」

「私は、「短期予知はできるに違いない」と思います。地震はいわゆる複雑現象なので、一筋縄ではいかない相手ですが、それでも明らかな自然現象です。科学的手法によって予知・予測ができないはずはないのです。具体的には、まず何らかの前兆現象を捕まえなければなりますまい。何もなしの予知・予測は神がかりの占いの世界です。そして意味のある前兆現象は地震計だけをいくら並べても見つからなかったし、なかなか見つかりそうもないというのが長い経験の教えるところです。そうとなれば、「前兆現象は地震以外の現象に見られるのではないか」という可能性を探るのが科学の常道ではないでしょうか? 適当な例とはいえませんが、天気のいい日に雨がいつ降り出すかを予知するのには雨量計ではだめで、湿度、温度とか、風とか、なにか別の物理量を測らねばなりますまい。これは素人にも、地震屋さんにも納得のいくことだと思うのですが、どうもそれがそういうことにならないのです。ところで前兆現象は地震を起こす要因でなくて良いのです。いま仮に地震の前に地電流異常が発生するとしましょう。でも、地電流が地震を起こすとは考えられません。それは地震を起こす何かによって、直接・間接に発生すればいいのです。地震観測網に加えて、最近はGPS測地(ご存知のカーナビの精密版です)による地殻変動測地網の充実も目覚しく、大きな貢献をしていますが、それらでは地電流異常をとらえることはできません。大地震のまえに、深部低周波微動とか、ゆっくり地震、「前兆すべり(いまだに観測されたことはない)」とかが活発化するというようなことがあればいいのですから、地震・地殻変動監視も怠ってはなりませんが、他の分野の観測・研究もやらねばならないのです。」

「国家計画としての地震予知研究
 以上のことをもうすこし詳しくお話しましょう。我が国の地震予知の組織的研究は1962年、いわゆるブループリントで始まりました。私の恩師、坪井忠二先生、和達清夫先生、萩原尊礼先生たちの提案です。プレートテクトニクスも、およそハイテクもなかった当時としては、科学の正道にのっとった先見性のあるものでした。それを予算化するにあたっては、まず地震の起き方を詳しく知るために、地震観測網の整備・充実に人員や予算を集中しました。当然ながら、これは予知研究を行うための必要条件でした。しかしそれは「短期予知」のための十分条件ではない。前兆検出のためには地殻変動観測が重視され、技術開発努力もされました。地下水、ガス放出、地磁気・地電流などは、「短期予知」への次のステップとして挙げられていました。ところが、ひとたび大規模な地震観測網の整備・充実をはじめると、それが目的化してしまい、それ以外は人員的にも予算にも刺身のツマになってしまったのです。別な言葉でいえば、研究が事業化してしまい、学問的活性がとぼしくなり、いつまでたっても進歩しないという事態になったのです。もちろん熱心な研究者も多く例外はありましたが、私などが属していた「地球観革命」の活気満々の世界から見ると、予知計画の皆さんは雑用に追われ、科学的緊張感の欠如した集団に見えました。しかし、10年、20年も同じことを続けているとさすがに外部の眼も厳しくなり、心ある当事者たちには焦りが出てくるようでした。
 阪神大地震も予知できなかったとあって、学界挙げての計画の見直しが図られました。草の根レベルでも真剣な議論が盛んに行われました。従来のやり方に対する批判・反省から出発しましたが、ほどなく「今後は前兆探しはやめて、地震現象の物理を理解することに重点を」という風潮が支配的になりました。これは次代をリードせんとする若い研究者たちの真摯な批判意見でしたし、その後成果も上がっています。しかし、その風潮の結果はだんだん思わぬ方向に進みました。それまでの予知計画では、実際には前述のように地震観測ばかりで、まともな短期予知研究は行われていなかった。ところが、建前上は短期予知の研究、すなわち、前兆現象検知努力もしてきたことになっていたのですね。そういう「地震予知計画」を何十年も続けてきたものですから、いまさらしていなかったとはいえず、「ついに前兆検知には成功しなかった。それは極めて困難であり、誰にもできないだろうから、当分はあきらめよう」という結論が出たのです。若い方々は前兆検知努力もろくに行われていなかったという現実をあまり認識されておらず、長年の虚報? を額面どおり受け取ったのかも知れません。しかしこれでは、地震予知計画はみなふっ飛んでしまいます。それでは困るので、「今後の地震予知研究では、従来の前兆探し的短期予知はあきらめて、基礎研究にもっと力を注ぐべきだ」という結論が出ました。これも良心的かつ反論しがたい結論に見えるし、当事者たちも正直そう思ったのでしょう。しかし、これは結果として、やってもこなかった架空の「従来の前兆探し的短期予知」に罪を押し付けて、短期予知研究をすべてやめてしまえという驚くべき風潮を正当化することになったのです。そして実質的には基盤観測の名の下に、地震・地殻変動観測網整備・拡充のみをもっとやろうということになってしまった。かくて「短期予知は当分しなくてもよいが、もっと予算がとれる」体制が確立しました。」

「勿論、長期・中期予知については、それなりの研究が行われています。地震調査推進本部は、各地が30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を発表しています。しかし、どの地域に地震が多いかなどということは長年の先覚以来の研究で、すでにわかっていたことで、数値になっていなかっただけです。数値が出たのは結構ですが、30年以内に見舞われる確率ですから検証不可能です。30年たって、起こっていれば当たった、起こらなければ確率だから当たらなかった、というだけの話です。とても予知とはいえません。」

「阪神大地震以後の基礎研究
 さきに申し上げたような事情によって、阪神大地震以後は、「短期予知」は放棄されたのに、さらに大きな予算がついて観測網を整備することになりました。現在では日本中に2,000点もの地震観測点があって、世界中の地震学者がその恩恵に浴しています。また、GPSステーションも1,000点以上もつくられ、日本の地面の動きがリアルタイムでわかるようになりました(図7)。夢のような話です。さらに、地震を起こす海溝の底まで穴を掘って状況を調べようと、深海掘削船がつくられました。57,500トンの世界一の掘削船で、深海の海底下7,000メートル下まで掘れる「ちきゅう」が近々実動します。昨今研究の主体となっている若い世代には、往時の雰囲気とは違う活気がみなぎっている感じです。
 以上のように研究は進んでいますが「短期予知」研究は全く入っていないのです。人員、経費ともに全体計画の1%も満たないでも重大な成果が期待できるのに、それはなぜでしょう? それは先ほどからのお国の方針に沿ってか、膨大な経費を運用する一種の産官学共同体ができて、純粋に科学の論理だけでは話が進まなくなってきたせいではないかと思われます。必要に応じて深さ2,000メートル以上の深い孔まで掘って高感度の地震計を1,000個も設置するにも、巨船をつくるにも多額のお金が動くし、しかもその予算措置は官ですから、大きな産官学共同体の作業です。そこでは科学以外の論理も重要になるのでしょう。それはそれで社会の発展過程の一つなのでしょうから全面否定はいたしませんが、地球科学の最後のフロンティアともいうべき地震予知研究が、科学の論理主導では動きにくい体制になってしまったとしたら問題ではないでしょうか。反省すべきは研究体制なのです。」

「電磁気的方法とは
 神戸薬科大学の安岡由美さんたちは、彼らの研究の一環として大気中のラドン濃度を長年測定していました。大気中のラドンは地面の中から大気中に出てくる放射性ガスですが、その数値が阪神大地震の前に急激に上がったというのです。ラドン以外にも地下水位・成分・温度の変動などなど、非地震性の前兆現象は数多くあるのですが、地震予知の主流派はなるほどねというだけで、さっぱり乗ってこない。やはり地震・地殻変動以外の前兆現象には興味がないのですね。
 地震電磁気学には研究者も多いし、事例も多いのですが、まあ似たような扱いを受けています。電磁気的な予知の発想は単純なことです。モノが壊れるときに電気が起き、光も出る。これは実験室で十分確認されています。壊れるときだけに起こったのでは地震の予知に役に立たないが、地震の前にもそういう現象があるのではないかということです。
 阪神大地震のときには、偶然、直流域からメガヘルツにわたるいろいろな周波数の電磁現象を何人かの人がモニターしていました。必ずしも地震予知を狙っていたわけではないのです。そうしたら、その多くが本震の数日前に異常を見出していたのです。観測された異常変動には地下の震源からのシグナルとおぼしいものと、震源域の上を通った人工電波の伝わり方の異常とがありました。これを契機として、みんなで「地震電磁気学」を進めようということになったのです。私がある日突然、地震短期予知は可能かもしれないと思ったのは、VAN法というものに出会ったからでした。1984年のことでした。Varotsos, Alexopoulos, Nomicosという3人のギリシャの物理学者たちが始めた方法です。地中に流れる地電流を連続的に多地点で測っていると地震の前に信号が出て、震源もMも発生時期も大体分かるというのです。この方式は実証的にも理論的にも世界で一番進んでいる方法だと思います。成功基準は、時期は数時間から一カ月、震央位置は100キロメートル以内、Mは0.7以内です。ギリシャのM5以上の地震について、1980年代ですでに成功率、警告率はともに60%位でした。Mのもっと大きな地震については、さらに確率は高くなります。私は劇的な成功の瞬間を現地で何度か目撃しました。
 ところが、当時この方法を評価したのは私くらいでした。私がある国際学術誌の編集者となったときに「とても信ずることのできない内容の論文」として扱われていたのを検討してみて、「これは出版の価値あり」として掲載を決めたのでした。偶然のめぐり合わせです。しかし、その後も、VAN法はギリシャでも世界でも広くは評価されておりません。彼らの論文がいつも読みにくいのは事実で、なかなか読む人がいないせいもありますが、地震予知関係者はまったく関心を払わないどころか、そのようなことは不可能で、素人仕事だというのです(彼らは地震学者でない!)。しかし、私は彼らを研究者としても、人間としても信頼しています。

地震総合フロンティア計画
 阪神大地震の後、我が国の地震予知研究をどう進めるかについての模索の途中で、何人かの理解者のおかげで、科学技術庁(当時)が「地震総合フロンティア計画」なるものを立ち上げ、理化学研究所に地電流・地磁気観測を中心とした研究のために資金を出してくれることになりました。電波伝搬異常の研究に対しても宇宙開発事業団(当時)に資金を出してくれました。私どもは大いに感激して、同志を募って、東海大学を拠点として理化学研究所のプロジェクトを担当しました。北海道から沖縄まで、日本中にたくさんの観測点をつくって、馬車馬のように働いたのです。」

「これらのことから電磁気的地震予知は案外うまくいくかもしれないぞと張り切って、国際的な外部評価委員会に評価を受けたのですが、時すでに遅く、その前に「短期予知は不可能」というお国の基本方針が決定しており、我々の計画は止められてしまいました。「評価がこんなに高いのにどうして継続できないのか」と担当官に開くと、「問答無用。あれは科学的評価。我々は政治的評価をする」とのことでした。これは我が国の評価システムの汚点となる事件だったと思います。さて、そうなると、全国に40数点つくった観測点は片端からつぶされ、定職をなげうって各地からはせ参じた同志たちも失職、いまや、我々は残党になってしまいました。」

「地震電磁気研究の現状
 電気通信大学の早川正士教授を中心にして進められていた宇宙開発事業団でのプロジェクトも我々と同じ運命でした。いまやお国の予算は文字どおりゼロです。一般に研究者は科学研究費に応募して評価に通れば、研究資金を受けられるのですが、現在、文部科学省の募集項目には明示的に「地震予知」としたものはないのです。これも驚くべきことではないでしょうか? これでは「研究するな」というようなものです。しかし、我々は研究を放棄してはいません。ほとんどがボランティアみたいなものですが、若い学生さんたちは貴重な戦力ですし、活発な国際共同研究や国際会議もやっています。
 地電流を測るVAN法は直流的なものですが、ULF(超低周波)の地磁気変化や、VLF(数キロヘルツ)の信号を捕らえたという研究者もいます。一方、電波伝播の異常も盛んに研究されていて、実験的予知すら実行されています(図9)。電波伝搬の異常はとりもなおさず、震源上空の大気圏・電離圏の異常を意味するわけですから、世界的にも、電波物理学や電信工学の専門家たちが研究をリードしています。台湾の研究者は、電離層の電子密度の日変化が地震の前だけは起きないことを示したし、フランスでは、電離層が変化するのなら人工衛星で空から見たらいいというので、Detection of Electro-Magnetic Emissions Transmitted from Earthquake Regions(地震から出てきた電磁放射を検出しよう)を略した「DEMETER」という人工衛星を2003年に打ち上げました。現在、日本の有志たちも参加してそのデータを検討しており、有意義な結果が出つつあります。人工衛星による地震電磁気研究はソ連が草分けなのですが、ソ連崩壊をうけてフランスが引き受けた。旧ソ連圏諸国、スエーデン、ポーランドでも復活していますし、中国、メキシコ、トルコも計画を進めています。悲観論に抗して、アメリカでは民間研究グループがQuakefinder衛星を打ち上げました。信じられないことですが、フランスが「DEMETER」衛星を打ち上げる前に、日本の上を通るときにデータを地上に吐き出すから受信してくれないかと打診してきましたが、我が宇宙開発事業団は「オールジャパンとしては足並みが揃ってないから」などの理由から断わったのだそうです。ほとんど地震もない諸国が衛星を打ち上げ、地震国日本はそれに協力もしない。これは一体どうしたことなのでしょう?(引用終わり)」

 もう一人の残党の早川正士教授のお話も聞いてみましょう。

「早川正士(以下、早川) 地震予知は、長期、中期、短期に大別されます。このうち、中・長期の予知とは、数十年、あるいは数百年~数千年の間に、どこそこで、何%の確率で地震が起きるのかを予知するもの。一方、短期予知とは、数日から1ヶ月ぐらいの間での地震の発生を予知するものです。日本では、中・長期の地震予知研究については盛んに研究が行なわれてきましたが、短期予知についてはあまり研究されてきませんでした。
 しかし、短期予知こそが、市民の命や財産を守るという観点から最も重要です。数日前に地震が発生することが判れば、被害を最小限にする対策を講じるための時間を確保できるからです。また、緊急地震速報と比べても優位です。緊急地震速報の場合には、地震が発生してから警報が流れますから、震源に近い地域では、ほとんど対策を講じる時間を確保できないためです。」

「早川 地震発生前に起きる電磁気的な現象をとらえて地震予知を行ないます。
特に有望視されているのが、地震発生前に起こる電離層の異変を観測し、地震予知を行なう方法です。電離層というのは、地上から約80キロメートルのところにある、電波を反射する性質を持った大気上層のことですが、地震が起きる前に2~3キロメートル下がることがわかっています。なぜ下がるのかについては、まだはっきりした原因が解っていませんが、この電離層が下がる現象を観測できれば地震を予知できるのです。
 我々の研究チームでは、この電離層が下がる現象を超長波/長波(以下、VLF/LF)送信局電波を使用して観測しています。原理は単純です。電波の送信局と受信局をいくつか用意して、ある地点からある地点までの電波のとどく時間を調べるのです。この時間は、電離層の高さによって変化します。なぜなら、地表面と電離層を交互に反射しながら進む電波は、電離層の高さに応じて進む距離が増減するからです。
 この電離層が下がることによるVLF/LFの伝播異常は、通常、地震が発生する約1週間前に現われます。この異常は、地震が発生するまで持続するわけではなく、異常が発生してしばらくすると収まるという特徴を持っています。」

「早川 関東大震災が1923年に起こった後、地震予知研究の方向性として、2つの考え方が示されました。ひとつは、地震のメカニズムを科学的に解明し、その知見をもとに予知の方法を探していこうというもの。もうひとつは、科学的な理由づけはできなくても、実用的に予知につながる方法を何でも探そうというものです。
 最終的には、前者の考え方が採用され、東京大学に地震研究所ができました。この経緯から分かるように、地震学として力学的なメカニズムを明らかにする研究にずっと力点が置かれてきたのです。地震のメカニズム研究の中から地震予知につながるものは結局出てくることなく、1995年に阪神淡路大震災が起きました。
 その後、文部科学省の測地学審議会が、地震予知は将来にわたっても不可能であるという結論を出すに至りました。それから、地震予知という言葉が、世間一般から消え、地震予知というのが、不可能なものであるという認識が一般的になってしまいました。」

「早川 地震のメカニズムを明らかにする地震学と、地震予知学というのは全く関係のない学問であることを認識することです。地震予知とは、地震の前兆現象をみつけるものであって、地震のメカニズムを知らなくても行なえます。この前兆現象は、地震前に発生する現象であれば何でもいい。電磁気的なものでも、力学的なものでも、極端な話、ナマズでも良いのです。とにかく、地震との因果関係がはっきりした現象であればいいのです。
 その前兆現象として、我々の研究チームは、電離層の異常をとらえるのに成功したのです。台湾の研究チームも、電離層の上の層で地震の前に異常があることを発見しています。したがって、地震の前に電離層に異常が現われることはほぼ確実といってよいでしょう。(引用終わり)」

 本当に地震予知に関しては複雑怪奇ですね。
 しかし、短期予知研究も、残党の方や異端児が国家・学会から離れ、市民的な民間研究として継続されているようです。まるでパルチザンのようです。これでは、謀略的とも思われる批判をされるのも納得できます。また学会の公式見解から外れた研究はすべてインチキだと見なされ、差別され、異端裁判のようなこともされるかもしれません。
 あるデータと地震が相関関係(相関係数のような数学的な裏付け)があれば、それは科学的に関係があると思います。

 しかし、地震学と地震予知学は違う学問であると考えるとスッキリします。ある意味そのほうが良いと思います。地震学者はそのメカニズムをとことん調べれば良い訳です。やはり因果関係の究明は最重要かもしれません。地震予知に関して社会的な責任のようなものを負わず、仮説をきちんと立てて実証していけば良いと思います。
 地震予知学者は、地震とあらゆるデータの相関関係を調べ、その相関性を高めていけば良いと思います。地震予知に関してはある程度責任を持ち、国民に分かりやすい説明(失敗した場合も)をして、絶えず国民と情報交換しなければいけないと思います。
 
 なおイタリアでは以下のような裁判も行われているようです。(遺族にとってはどうしても納得できないのでしょう)
「 多数の犠牲者が出た2009年のイタリア中部地震で、大地震の兆候がないと判断し被害拡大につながったとして、過失致死傷罪に問われた同国防災庁付属委員会メンバーの学者ら7人の判決公判が22日、最大被災地ラクイラの地裁で開かれ、同地裁は全員に求刑の禁錮4年を上回る禁錮6年の実刑判決を言い渡した。」
「この群発地震のなか、3月上旬には、大地震が来るという独自の地震予知情報を出す学者も現れた。空気中のラドンという放射性元素の濃度からの予想である。

 活発な群発地震や大地震の予測を受けて、地元では情報が錯綜し、パニックになりかかっていた。

 マグニチュード四の地震の翌日、「国家市民保護局」は科学者も含む「大災害委員会」を招集した。だが委員会は、人心の不安を鎮めようという方針がすでに政府によって決まってから招集された。こうして委員会の結論として「大地震は来ない」という安全宣言が出された。政府が科学者に期待したのは科学者のお墨付きだけだったのである。委員のなかには「大地震が来るかどうか分からない」と言った科学者もいたが無視された。(引用終わり)」

なお二審では無罪になったようです。しかし、「報道陣に「安全宣言」をした当時の政府防災局のデベルナルディニス副長官は、禁錮2年の執行猶予付き判決となった。」とのことです。

 


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平安時代大地動乱と酷似、これから始まるロシアンルーレット?

2013-08-19 20:43:50 | 地震災害
 さて桜島が大噴火したようです。日本列島というか世界的規模で地震・火山活動が激動の時代にあるようです。大地震⇒大噴火⇒大地震・・・という連鎖反応が続くようです。素人でも分かるようなはっきりとした兆候です。

 平安時代の大地動乱と現在の状況は酷似しているという指摘があります。
 
 『歴史の中の大地動乱』

  wikipedia貞観地震より引用

「850年11月23日(11月27日)(嘉祥3年10月16日) - 出羽地震、M 7
863年7月6日(貞観5年6月17日) - 越中越後地震
864年7月 - 富士山の貞観大噴火(2年間)
864年11月 - 阿蘇山噴火
867年3月(貞観9年1月) - 鶴見岳(大分県)噴火
867年6月 - 阿蘇山噴火
868年7月30日(8月3日)(貞観10年7月8日) - 播磨・山城地震、M7、山崎断層か。
869年1月(貞観10年閏12月) - 摂津地震(7月30日の余震が続いていた)
869年7月13日(貞観11年5月26日) - 貞観地震
869年8月29日(貞観11年7月14日) - 肥後台風被害。同時に津波が襲った可能性あ り。
871年5月(貞観13年4月) - 鳥海山(山形県・秋田県)噴火
874年3月25日(貞観16年3月4日)、仁和元年(885年)7月、同8月 - 開聞岳(鹿児島県)が大噴火。
878年10月28日(11月1日)(元慶2年9月29日) - 相模・武蔵地震、M 7.4
880年11月19日(11月23日)(元慶4年10月14日) - 出雲で地震、M 7
887年8月26日(仁和3年7月30日)- 仁和地震(南海地震)、M8.0~8.5」

 こうなると、次は南海・東南海・東海の三連動地震、東京湾北部地震、富士山噴火などが10~20年のうちに起こる確率も高いかもしれません。

 多くの地震学者(公的・個人的研究含め)が大地震・噴火を予測する努力をしているようです。地震予測というと何か胡散臭い感じがしていましたが、最近は様々な物理・化学・生物・地学的なデータを駆使して前兆を見つけようとしているようです。コンピューターの処理能力も上がり、かなりの相関的なデータも集められているようです。

 大地震・噴火の続く大きな周期(景気循環のように)があるようです。昔嶋中教授が太陽黒点活動と景気循環の話をされていました。その当時はまるで信じられませんでしたが、太陽黒点⇒太陽フレア⇒大地動乱⇒景気循環ということであれば、ある程度理論的なのかもしれません。

  また巨大な太陽フレアにより地球の電気機器がすべてダウンする危険性も指摘されています

 そのとき原発はどうなるのでしょうか?もはやロシアンルーレットのようなものでしょうか?巨大太陽フレアによる電気機器のダウンでは、全原発・再処理施設の全電源喪失ということになります。稼動停止中の原発にも使用済み核燃料があり、冷却できないとアウトです。世にも恐ろしい事態になります。

 東京都ではオリンピック開催招致に躍起ですが、この大災害を前に招致することなどは狂気の沙汰(犯罪行為に近いのでは?)としか思えません。富士山噴火・東京北部地震・三連動地震、どれが来ても壊滅的被害が予想されます。あと数基の原発がやられれば、日本列島は本当に放射能まみれになると思います。

 やはり国家非常事態宣言でも出して、これから来る大災害に備えるべきかと思いますが…(安全保障上もそうならざるを得ないと思います)。

 話は変わりますが、福島原発のメルトアウト(格納容器から漏れ、地中に浸透)はもう公然の秘密のようです。要する手が付けられない状況です。つまり放射能汚染はそのまま(拡散するにまかせる)にするしかないということでしょうか?

 そしてまだ残っている使用済み核燃料もすべてメルトダウンしてしまえば、菅首相の時に考慮された東京を含む民族大移動(避難)が具体化するでしょう。

 前門の虎(地震災害)後門の狼(原発災害)のような状況です。
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