ユーリ・バンダジェフスキーさんは、ベラルーシのゴメリ大学で、チェルノブイリ原発事故の影響を調べるために、被曝した人体や動物の病理解剖を行い、体内臓器のセシウム137などの放射性同位元素を測定する研究を行いました。
Wikipeadiaより引用します。
「1990年、ゴメリ(Gomel)医科大学に就任、初代学長・病理学部長を務める 。ゴメリ医科大学では1986年のチェルノブイリ原発事故以来、セシウム137の人体への影響を明らかにするために、被曝して死亡した患者の病理解剖と臓器別の放射線測定や、放射能汚染地域住民の大規模な健康調査、汚染食料を用いた動物飼育実験、などの研究に取り組む 。この研究は、セシウムなどの放射性同位元素が体内に取り込まれたときの現象と病理学的プロセスを解明するとともに、旧ソ連時代からの放射線防護基準を改訂することに寄与した。ゴメリ医科大学ではバンダジェフスキーの指導のもと、30の博士論文が作成され、200篇の文献が作成された。研究成果は、定期的にベラルーシ国内の新聞、ラジオ、テレビ、および国会で報告されていた。」
ICRPの放射線防護のリスクモデルは、外部から放射線を照射した場合の影響(放射線エネルギーの量/質量)を基本にしていると思います。そして、それを内部被曝にも、ある仮定の計算を通して当てはめているのだと思います。
《仮定の計算》
(1)内部からの放射線の影響も外部からのものと基本的に同じ。
(放射線エネルギー/質量、人体では体積分の単純平均値が基本となる)
(2)核種の動態モデル等により滞在期間を推定する(生物学的半減期など)。
(3)放射線の危険率を加味(α線の危険率を単純に20倍とするなど)。
(4)臓器の感受性などにより若干危険率を加味する。
上記のような仮定計算では、「核種の特定臓器による集中的な蓄積」・「カリウムチャネルの破壊」などの生物化学的な特異な影響、また「α線・β線の局所集中的な破壊」などによる危険率を正しく反映することはできないと思います。
また外部からの放射線も
ペトカウ効果(液体の中に置かれた細胞は、高線量放射線による頻回の反復照射よりも、低線量放射線を長時間、照射することによって容易に細胞膜を破壊することができる)のような考慮も必要ではないでしょうか。
これを見ると、私は収益計算(株式や債権、その他の財産を含めた)するための
ポートフォリオ理論(計算)を思い出してしましました。
リスクを計算するには、ある「リスクモデル」が必要になります。しかし、その前提となるデータ(危険率など)をどのように選択するかについては、やや人為的な影響を受けると思います(時として政治経済的な思惑も影響すると思います)。
「米国のサブプライムローン問題」の時には、統計的に想定されたサブプライムローン(信用率の低い人向けの貸付、金利は高い)の危険率が実態より過小評価されていました(実際の危険率ははるかに高かった・デタラメだった)。
その原因は、まったく支払能力がないような人達に詐欺的な方法により借入れさせて、債権化し、大量に高利回り商品を作ったことによるものです。
格付会社もそのデタラメを見抜けませんでした(というか見逃していた??)。
支払い能力のない人たちが次々にデフォルトしたため、サブプライム商品の価値は急落し、それを取り込んだポートフォリオ商品の価格も急落しました。世界中の金融機関・投資会社・運用会社が「サブプライム関連商品」を資産として持っていたため、資産価値の急落→債務超過・デフォルト、信用不安による貸出縮小、ついには金融システムの崩壊を引き起こし、「経済大恐慌」寸前までに至りました。
つまりポートフォリオ理論による計算をする前提の、基のデータ(サブプライム債権)の危険率が間違っていた(詐欺的・デタラメだった)のです。
間違った(詐欺的な)危険率を基に数学的なポートフォリオ計算をしても、そのポートフォリオ計算(数式)そのものは正しいですが、最終的な想定リスク(危険率)は間違ったものになります。
しかし、基のデータの間違った(詐欺的な)危険率は正しいものなのだと強弁すれば、その計算結果は「科学的に正しいものだ」と主張できてしまいます。
なにやら原子力問題では、この詐欺的なデータを使用することが横行しているように思えてなりません。そしてどんなに矛盾が出ても、「科学的に正しい」というセリフを連発しているように思えます。
ここでは、内部被曝の人体への影響(健康被害)は、外部被曝のそれとまったく違いがないと結論付けています。
特にホットパーティクル(α線・β線による局所破壊)の説明では、とんでもない論理展開となっているようです。局所的に集中して破壊されれば、その他の大部分の箇所の影響は小さくなり、平均化すれば危険率は同じだというのです。素人でも納得できませんよね。局所破壊されて、例えば癌化するようなことになれば、平均的な放射線量/質量の危険率などまったく関係ないと思いますが…
内部被曝の真の危険率は、バンダジェフスキーさんの行なわれたような、「臓器解剖」や「汚染食料を用いた動物飼育実験」などによる、生物化学・医学的な実証研究によらない限り分からないと思います。
〔米国はこの内部被曝の実証研究を行い、その危険な実態を知っていると思います。そしてそれを隠蔽していると思います。〕
バンダジェフスキーさんが見たものは、それまでICRPなどが公表していたリスクモデルとはまった違ったもの、「不都合の真実」だったのだと思います。
「1999年、ベラルーシ政府当局により、ゴメリ医科大学の受験者の家族から賄賂を受け取った容疑で逮捕・拘留された[注 1]。バンダジェフスキーの弁護士は、警察によって強要された2人の証言以外に何ら証拠がないと無罪を主張したが、2001年6月18日、裁判で求刑9年・懲役8年の実刑判決を受けた。大学副学長のウラジミール・ラブコフ(Vladimir Ravkov)も8年の実刑を受けている。この裁判は政治的意図による冤罪だとして、海外の多くの人権保護団体がベラルーシ政府に抗議した。国際的な人権保護団体であるアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、「バンダジェフスキー博士の有罪判決は、博士のチェルノブイリ原発事故における医学研究と、被曝したゴメリ住民への対応に対するベラルーシ政府への批判に関連していると広く信じられている。」と発表[要出典]。実際にバンダジェフスキーの逮捕は彼がセシウムの医学的影響に関する研究論文を発表した直後に行われ、WHOが2001年6月4日にキエフで開催したチェルノブイリ原発事故による人体への影響に関する国際シンポジウムへの出席も不可能となった。
この経緯はスイスTVの特集番組「Nuclear Controvesy(核論争)」で取り上げられた[要出典]。ベラルーシ政府は『(チェルノブイリ原発事故による)放射線は人体の健康にほとんど影響しない』という見解を現在でも堅持しており、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領(1994年より独裁体制 )は「ベラルーシ国内農地の4分の1が放射能汚染を理由に放置されていることは認めがたいとして、バンダジェフスキーが逮捕された1999年に原発事故以来人々が避難していた汚染地への再入植を施政方針とした。」
そして、原子力公害では、真実を言う者は迫害されます。
そしてどこでも、「放射線は人体にほとんど影響しない」と大本営発表するらしいです。
「バンダジェフスキーは突然死を含む被曝小児患者の病理解剖を行い、セシウム137の体内分布を調査した。心臓をはじめとして、腎臓、肝臓、甲状腺・胸腺・副腎などの内分泌臓器に高いセシウム137の集積と組織障害が認められた(内部被曝線量の全身平均の約10倍)。再生能力が高い骨格筋細胞と違い、心筋細胞はほとんど分裂しない[14]ためにセシウム137が過剰に蓄積しやすく、心筋障害や不整脈などの心臓疾患が惹起されやすいと考察している[15]。さらに、セシウムにより人間や動物の体内に引き起こされる病理学的変化を『長寿命放射性元素体内取り込み症候群=Syndrome of long-living incorporated radioisotopes(SLIR)』と命名した[16]。SLIRは生体に放射性セシウムが取り込まれた場合に生じ、その程度は取り込まれたセシウムの量と時間で決まる。そして、その症候群は心臓血管系・神経系・内分泌系・免疫系・生殖系・消化器系・尿排泄系・肝臓系における組織的・機能的変異によって規定される。SLIRを惹起する放射性セシウムの量は年齢、性別、臓器の機能的状態により異なる。小児の臓器と臓器系統では、50Bq/kg以上の取りこみによって相当の病的変化が起こり始める。10Bq/kgを超える濃度の蓄積で心筋における代謝異常が起こり始める[11]。」
これが、本当の「不都合の真実」なのだと思います。
セシウムの内部被曝についてのブログ
この方は生命科学者のようです(一部転載します)。
「内部被曝に関するもっとも重要な論点のひとつに、化学毒性を生じない、また急性被曝にもいたらないような摂取量(低線量)において、確率的影響以外の生体影響を生じるかどうか、というものがあります。
ここに示した論文はラットを使った、期間も数か月以内の実験ですが、セシウム137を低線量領域において経口投与し、内部被曝させた場合の生理的または分子的影響を調べたものです。
心筋障害マーカーや炎症性サイトカイン、ストレスホルモンの上昇、また、血中ビタミンDや性ホルモンの低下、睡眠覚醒リズムの異常などが認められており、少なくとも、セシウム137低線量内部被曝において、いわゆる化学毒性や確率的影響以外の生体影響が存在することを示しています。これらは、ICRPやUNSCEARにあるような従来のモデルではまったく考慮されていません。(転載終わり)」
「セシウムはカリウムと、良く似た体内動態を取ると考えられています。
体内のカリウムは一部が血液中にあり、大部分は細胞内にあります。
細胞の中にカリウムが入る、逆に細胞内のカリウムが細胞外に出る、こうしたカリウムの移動は、それが細胞の膜の電位を変化させるために、細胞の働きにおいて重要な働きをしているのです。
筋肉の収縮のために、カリウムが必要となるので、その活動性の高い部位ほど、カリウムの含量は多くなります。これがカリウムの心臓の筋肉の含量の多い理由です。
副腎がステロイドホルモンを合成するには、細胞内へのカリウムの流入が必要です。
そのため、副腎のカリウムの含量は多くなります。
膵臓のインスリン産生細胞では、カリウムを細胞の外に運び出す、カリウムチャネルが閉鎖することにより、インスリンの分泌が促されます。
従って、膵臓の内分泌細胞も、カリウムの含量は多くなるのです。
つまり、筋肉以外に内分泌腺組織は、トータルにカリウムの細胞内の含量の多い組織なのです。これはその組織が、機能亢進状態にあると、血流の増加により増幅されます。
(転載終わり)」
〔また上記のバンダジェフスキーさんの研究結果に触発されて、その理論的なメカニズム(仮説)を説明されているサイトもあります。
非常に専門的ですが、大まかな仕組みは分かりました。
1.従来の放射線エネルギーによる遺伝子の破壊(電離作用も含む)というような単純な思考(ドグマ)では、真の内部被曝の人体への影響(健康被害)を上手く説明できないとのことです(詐欺的な説明になってしまうとのことです)。
2.セシウムはカリウムチャネルに分子構造的(カリウムより若干大きいため)に嵌まり込んでしまう。そして、長時間滞在(カリウムは即座に通り過ぎる)して、細胞に共鳴的な被害(バッファーの水分子が切れているため)を与えてしまう危険性があるとのことです。
3.セシウムの放射線(共鳴的な被害)のため、カリウムチャネルの内向きのゲートがオープンのままになってしまうと、心筋の波動が間延びする(QT延長)。
それにより、心筋の安全余裕度がなくなり、心筋梗塞など重大な疾患にかかる可能性が高まるとのことです。
4.そしてこれはほんの数ベクレルのセシウムによっても引き起こされる可能性があるとのことです。〕
どうも「
カリウムチャネル」の損傷が、特に心臓に著しい障害をもたらし、その他、内分泌腺組織にも影響を与えるようです。
また骨(骨髄)に集積するストロンチウムによる白血病などの被害も重要です。
〔H27-09-07追記 最近「居眠り病」とも言われている症状は、もしかするとストロンチウム90による脳内のカルシウムチャネルの異常にともなうものかもしれないようです。
「カルシウムイオンは脳における神経伝達において主要な役割を演じています。
脳細胞が活動していないときのカルシウム濃度は血液中の濃度と比較して1万分の1と僅かしかありませんが、脳細胞の興奮時に大量のカルシウムイオンが細胞内に流入し、脳の記憶、情動、判断など脳機能の維持に深くかかわっています。しかし、細胞の興奮が終えるとカルシウイオンは細胞内から細胞外へもどります。
…ストロンチウム90が吸収されると脳細胞に入りカルシウムイオンの代わりに脳機能にいろいろ影響を及ぼすことは十分考えられます。
…ストロンチウムが脳で影響に関与するには血液と脳細胞の間にある血液脳関門(BBB, blood brain barrier)を、最外殻の電子構造が類似していることから通過できるがその割合は若干落ちるのでは(具体的数値は掴んでない)と想像しています。
但し、カルシウムの量とストロンチウム原子数にはかなりの差(ベクレルとアボガドロ数比から)があるので、ストロンチウムの大きな要因はベータ線被ばくによる影響かと想像します。
イノシトール3リン酸(IP3)受容体が組み合わさってカルシウイオンチャネルム(参考資料1)を形成しているがこのチャネルは細胞内の小器官である小胞体の膜上に局在するタンパク質で、神経伝達や記憶・学習を担っている。この受容体は4つサブユニットが組み合わさって、中心部にカルシウムイオンを1つだけ通す小さなイオン透過口を形成しているが、このチャネルを、ストロンチウムは恐らく旨く通過できず(50%位か)意識断絶を起こすこと一つの要因と想像している。以上いくつか要因を挙げたが最大の要因はベータ線被ばくにあろうと想像したが、まだまだ分からないことが多いので確率は50%位と想定した。(引用終わり)」
〔H27-12-28追記 どうも各核種が別々に襲うだけでなく、テンコ盛り(放射性物質の混合物)となって攻撃するようです。
『なんのための原子力発電なのか?これは「大量殺人」ではないのか?』ダイヤモンドオンライン 広瀬隆氏
「1986年に起こったソ連のチェルノブイリ原発事故の放射能汚染地帯となったベラルーシでは、ミンスク大学放射線化学研究所のエフゲニー・ペトリャーエフ教授が、事故が発生した翌年の1987年から1992年までに、11~70歳の一般死亡者の遺体300体を解剖して、放射能の被害を調査した。
その結果、実に7割の遺体からホットパーティクルと呼ばれる「強い放射線を出す微粒子」を検出したのだ。
このホットパーティクルは、セシウムではなく、いくつかの放射性物質の混合物から成っていた。したがって、ウランを主体として、プルトニウムやルテニウムなどの猛毒物が含まれている。吸いこんだ空気を通して、肺の深部や気管支に分布し、その粒子の数は、遺体一人あたり数百個~2万個前後にも達した。
ホットパーティクルは、排出されることなく、死ぬまで肺にとどまり続ける。そのため、間違いなく癌を引き起こして、多くの人命を奪ってきたのだ。
では2011年のフクシマ原発事故では、何が起こったのか?
内部が数千度の高温になった原子炉からは、同じようにウラン、プルトニウム、ルテニウムがガス化して、東日本全域の空気中を漂い、われわれがそれを吸いこまされたのである。
事故当時、フクシマ原発が爆発した翌月に自動車で走行したエアーフィルターを取り出し、レントゲンフィルムに感光させた写真をみると、アメリカ北西部のシアトルではきれいだが、東京や福島市では、放射性の微粒子が大量に検出されていた。自動車が吸いこんだと同じ空気をわれわれが吸っていたのだから、体内にホットパーティクルが大量に取り込まれたのだ。(引用終わり)(追記終わり)〕
物理学・工学などの研究者にとっては、放射能からでる「放射線のエネルギー量/質量」だけが問題だと見ているように思われます。放射線(特にガンマ線など)は細胞の外から当てても、内部から当てても、その影響は同じだと思われているのだと思います(生物化学的な影響を無視した皮相的な物理化学的な考えではそうなると思いますが…)。
そしてポートフォリオを組むように、様々な仮定の危険率を調整して、内部被曝にも適用できると確信しているのだと思います。
そして、バンダジェフスキーさんの研究結果などは、その仮定(架空)の計算結果から大きく外れているので、間違っている、胡散臭い研究だと思われているのかもしれません。
そういう意味では、バンダジェフスキーさんの研究を蔑んでいる物理・工学者の方たちが迷信や「まじない」のようなものに頼っているように思います。
また、ゴアさん達が世界に広めた「不都合の真実」は、そしてその二番煎じのような「パンドラの約束」で語られている「不都合の真実」は、今ではとても胡散臭いもののように思えてなりません。
しかし、その結果、「クリーンエネルギーの原子力を進めよう」というのは、論理的ではないですよね。ある種の詐欺的な説明のように思えてきます。
原子力産業はクリーンではありませんよね。ウラン採鉱から精錬、原発での燃焼、廃棄物処理、その保管、これらにすべて放射能汚染が付きまといます。それに人間の倫理もズタズタにしてしまいます。