数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

ヨウ素129、超長期の低線量内部被爆の影響は?生物濃縮・甲状腺集積の影響?

2013-12-29 19:33:53 | 原発公害
〔注意、このブログは人文系の個人である私が、自分で考えたことのみを記事にしています。記事をお読みになられた方は、ご自分で十分検証されるようにお願い致します〕
 

 前回の記事「ヨウ素129の危険性」でコメント(批判)がありまして、放出されたヨウ素129の量(ベクレル)では健康被害などが出るはずがない、あまりにもお粗末な記事だとのことでした。コメントされた方は放射線の専門家なのだと思いますが…

 上記のコメントが事実なら、このようなブログの記事でも福島の方にご迷惑をかけてしまうことにもなるので、前回の記事を非公開にして、ここ数日いろいろ私なりに調べてみました。

 私になりに考えた結果は、「ヨウ素129」も問題のある核種だということです。
東日本の広範囲に、特に陸上生物(植物・動物)に長期(半減期1570万年)にわたり内部被曝をもたらす危険性があります。 

〔平成26年3月2日追記 ヨウ素129については、他のブログでも半減期が長いので、影響はないとの意見が多いようです。
 しかし「院長の独り言」さんで説明されているように、半減期の長い核種(プルトニウムなど)はベクレル換算すると数値が小さくなりますが、絶対的な数量では大きくなることもあります。低線量の超長期内部被曝ということになると思います。
 低線量の外部被曝は「しきい値」があるとかないとか議論されていますが、低線量の内部被曝の影響はどうなるのでしょうか。特にヨウ素は生物濃縮(高濃縮)や臓器(甲状腺)に集積します。成長ホルモンに関与する臓器が長期の低線量内部被曝をした場合にどのような影響が現われるか?バンダジェスキーさんのように、臓器解剖でもしない限り本当のところは分からないのしょうか?
 また、超長期による低線量の内部被曝による影響というのは、単に「人の健康」だけでなく、動物・植物含めた「生態系」の破壊に繋がるのではないでしょうか?〕


 確かにヨウ素129の放出量(ベクレル)はコメント(批判)のように10の(9乗)程度の量で、β線の放射線エネルギーも低いようです。

 テルル129mの崩壊によるヨウ素129の量(ベクレル)を私になりにも確認してみました。

 〔テルル129m(129mTe)は半減期33.6日でβ崩壊して、ヨウ素-129 に変わります。ヨウ素129の半減期は1570万年、β崩壊してキセノン129に変わります。〕
 
 福島原発事故によるテルル129mの放出量は、3.3×10の(15乗)ベクレルとなっています。(wikipeadia チェルノブイリ事故との比較より

 テルル129mの半減期33.6日、ヨウ素129の半減期1570万年(1570万年×365日=57億3千50万日)です。ヨウ素129をベクレル(放射性物質が1秒間に崩壊する原子の個数)換算した場合、10の(7乗)レベルぐらいになります。その他の経路の分も合わせても低いものになるようです。
 
 またヨウ素129の土壌中のベクレル数も平米当たり1ベクレル以下のようです。


 それではどうして、野菜から3800万ベクレル/kgのヨウ素129の検出などとの記事が出てきたのでしょうか?まったくの嘘(デマ)でしょうか?


「生物は海のなかで誕生しました。原始的な生命が誕生したのは約35億年前で、はっきり細胞の形をもって生物らしくなったのは、約25億年前です。そのときは現在のような大気圏も酸素もまだなかったのです。海のなかで生まれた生物は無機的な生活をしていたのですが、やがてそれが進化して、現在のラン藻の祖先、単細胞の下等な藻類が生まれて光合成を始めました。その当時、地球上にたくさんあった二酸化炭素と水から太陽のエネルギーを利用して光合成をし、有機物、炭水化物をつくり出しはじめ、酸素が放出されました。酸素はまず海のなかに溶け、やがて大気に出はじめ、酸素を含む大気圏が形成され、生物は陸上に進出することが可能となりました。陸上に上がった生物にとって問題はヨウ素でした。海のなかにはヨウ素はたくさんありました。しかし、陸上では、ヨウ素は海から蒸発して風で運ばれてきて、雨に溶けて降ったとしても、川となって海に流れていきます。だから陸上にはヨウ素は非常に少ない。

 植物は根を張りますと動けませんから、植物のほうがヨウ素を濃縮する能力をもちはじめます。空気中に含まれるごく僅かなヨウ素を、自分の体に必要な量まで濃縮する能力をもちはじめました。10億年も前から濃縮する能力は年とともに高まって、現在の高等植物は、調査データによりますと、250万倍から1,000万倍ですが、何百万倍にも空気中から植物体内にヨウ素を濃縮できます。それで原発周辺のムラサキツユクサは、体内に放射性ヨウ素をどんどん濃縮して、体内から被曝を受けたのです。

 普通の原発では、希ガスと言って、クリプトン85だとかキセノン133やキセノン135という,化学的な反応力の全くない不活性気体が放出されますが、その仲間と比べて原発の気体廃棄物として出されるヨウ素は、ムラサキツユクサの実験をした当時、だいたい1万分の1でした。現在は活性炭フィルターが付けられて10万分の1に減っています。それでも希ガスと比べて1万分の1とか10万分の1くらいのものが出るのです。希ガスは不活性気体で、化学反応をしませんので、空気中と植物の体のなかの濃度は同じなのです。ところが放射性ヨウ素だけは空気中には1しかないのに、例えば500万倍濃縮されるとすれば、放出量は希ガスの1万分の1だとしても、植物体内では希ガスの500倍になります。

 それで原発の周辺のムラサキツユクサの突然変異が増えるということが証明されたのです。植物は濃縮できる能力を獲得したからこそ、必要なヨウ素を集めることができたのです。動物は植物を食べることによって、また肉食動物は草食動物を食べることによってヨウ素を摂取できます。そしてそのヨウ素を哺乳類ですと甲状腺に集めます。そして甲状腺に集める速さは若い人ほど速い。一般的に言いますと成人に比べて、10歳ぐらいの子どもで10倍ぐらいの速さです。乳児は10歳ぐらいの子どもの8倍ぐらいの速さです。ですからわれわれに比べて乳児は80倍ぐらいの速さでヨウ素を集めます。なぜならば、ヨウ素は、体を成長させる成長ホルモンを甲状腺でつくるのに必要なのです。それで甲状腺にヨウ素を集めて成長ホルモンをつくって成長させるのです。だから若い人ほど集めるのが速いのです。例外は女の人で、妊娠中には自分の甲状腺よりも、むしろ胎盤を通じて胎児の甲状腺に集めます。特に妊娠中期を過ぎた頃から、さかんに胎児の甲状腺にヨウ素を集め、胎児の成長ホルモンをつくらせるのです。もう一つの例外は授乳期間です。赤ちゃんを産んでお乳を与えている間、母体の甲状腺にはあまり送らないで、ほとんど乳腺に集めます。そしてお乳に入って赤ちゃんに行くのです。全部、若者、若い者優先のシステムになっています。つまり若い人ほど、成長ホルモンを必要とし、そのためのヨウ素を必要とするのです。つまり陸上には少ないヨウ素に植物も動物もみごとに適応しているわけです。

 ところが、原子炉が産み出すヨウ素はすべて放射性です。自然の非放射性のヨウ素に適応した生物の優れたシステムは、人間が放射性のヨウ素をつくり出したことによって、たちまち悲しい宿命となり、人工放射性ヨウ素を体内や甲状腺、胎児や乳児に著しく濃縮して、至近距離からの大きな体内被曝を受けることになってしまいます。その他、ヨウ素と同じような働きをするのは、自然界の元素には放射性のものがないもので、骨や歯、卵殻に選択的に沈着するストロンチウム90もそうですし、筋肉や生殖腺に蓄積するセシウム134や137もそうです。ストロンチウムはカルシウムの代りになります。(引用終わり)」


 つまり陸上生物、特に植物のヨウ素の生物濃縮は250万から1000万倍にもなるとのことです。先ほどのヨウ素の放出量10の9乗に250万から1000万倍(10の6乗から7乗)を加味すると10の15乗から16乗に匹敵する危険性があるのではにでしょうか?

〔それにしても、植物からヨウ素129が3800万ベクレル(10の7乗)/kg検出というのは、考えられない数値だとは思いますが…、原発のすぐ近くとか?(59km地点とのことらしいですが?)、ヨウ素129とヨウ素131の合計とか?もしくは政府等の発表している数値がもの凄く過少なのか?使用済み核燃料からも大量に漏洩している?どういうことでしょうか?〕

 さらに食物連鎖(植物→動物(動物同志の食物連鎖))があります。

 そして人体では甲状腺に集中的に蓄積します。さらに子供は大人に比べて蓄積が高まります。

 ヨウ素131は半減期約8日で豪雨のように甲状腺を侵しますが、ヨウ素129は生物濃縮・食物連鎖・甲状腺蓄積などを介して半減期1570万年間絶えず攻撃を繰り返すということです。

 ヨウ素129の脅威は、100年経っても、200年経っても消えません。はっきり言って、生物濃縮などを考慮すると、プルトニウムやウランより恐ろしい核種なのではないでしょうか。私はだんだん背筋が凍る思いになりました。

 これでは本当に水俣病の悲劇の再来になるのではないでしょうか?

 『くらしと環境 有機化学物質』より引用します。

「工場の排水口から水俣湾に流入した水銀は,海水中では0.0001mg/L(およそ1ppm)という低い濃度であったのに対して,プランクトンでは,0.2~0.5ppm,プランクトンを食べた魚の段階になると,0.27~24ppm,魚を食べたネコやヒトでは22~70ppm(肝臓)から700ppm(毛髪)まで濃縮されていることが分かります。このように生物体内で分解されたり,体外に排出されにくい物質が,食物連鎖のつながりを通してだんだんと高い濃度に濃縮される現象を「生物濃縮」といいます。(引用終わり)」

 『4大公害病』より引用します。

「熊本県水俣市の(株)チッソという会社が製造していたアセトアルデヒド(化学製品の原料になる)をつくる工程で触媒として用いた水銀が、工場排水として自然界に流され、それが有機水銀(メチル水銀)となり、生物濃縮で高濃度になった魚介類をたくさん食べた人から発症した(1956年頃が発生のピーク)。おもな症状は、感覚障害、運動失調、視野狭窄(きょうさく)、聴力障害などで、ひどい場合は脳を冒し、死に至る。また母親が妊娠中に水銀で汚染された魚介類を食べた場合、胎児水俣病が発症することがある。

 熊本大学医学部水俣病研究班は、1959年に原因物質を究明していたが、政府が認めたのは1968年であった。この遅れのため、新潟水俣病 (阿賀野川有機水銀中毒事件、1965年頃、昭和電工の工場の廃液) を防げなかったともいえる。その後、外国でも水俣病の発生が報告されている。

 熊本の水俣病訴訟は1969年、原告団勝訴判決は1973年と新潟水俣病よりも遅れたのは、1959年にチッソと患者が結んだ見舞金契約(死亡者に一時金30万円、生存者には年間で10万円という少ない金額、でも多くの患者たちは貧しくて正月をむかえる金がないという状態だった)の中に、「将来、水俣病の原因がチッソということがわかっても、それ以上の要求はしない」と書かれていたことが制約になっていた。

 原告団が和解を受け入れたのは、やはり患者の高齢化が進み、これ以上訴訟を長引かせることはできないと判断したことが大きいだろう。

 ただ、「患者」をどう認定するか(症状ばかりではなく、すんでいた地域、食生活(魚をたくさん食べた)の証明、生まれた年(1969年以降に生まれた日という制限)など)という問題はまだ残された課題である。また、チッソの補償金支払いを保証するため、国と熊本県はチッソに対して475億円(支払対象者2万人を想定)の貸し付けも決定した(2010年9月)。事実上、国の責任で支払うということである。もっとも、この想定されている患者数でいいのかとか、会社分割を考えているチッソ(液晶など利益を生む子会社と、補償を担当する親会社に分割し、子会社を売却し、親会社を精算する)の動向の問題などもある(引用終わり)」

 水俣病の時も、物理化学者の方は低濃度の水銀が健康被害をもたらすことなど「科学的」にあり得ないと主張していました。今回の原発事故でも、「科学的に健康被害など起こりえない」というフレーズが盛んに飛び出しています。

 あるデータ(例えば過小評価など)を基に、数学的な結論を導き出すと外見上確かに正しいものとなり、「科学的」との形容も入ると思います。ただし総合的に精緻な前提(例えば生物濃縮を考慮するなど)で再計算すれば、それは誤った結論になります。生物濃縮のことを考慮せずに結論を出した物理化学者は、そのことを指摘されても専門外との口実で何等過ちを認めないでしょう。故意か偏見かは分かりませんが、そういった物理化学者・工学者によって、公害の健康被害が広まってしまう危険性もあります。


 福島原発公害のヨウ素129(その他核種も含め)も同じ危険性を孕んでいます。そしてその汚染範囲は東日本の広範囲にわたります。取り返しのつかない、人類史上未曾有の環境汚染になる可能性があります。海でもプランクトンから魚への生物濃縮・食物連鎖が懸念されます。そしてそれは北半球の太平洋の大部分が危険地帯になるということではないでようか?


 そして甲状腺が侵されると以下のような症状が出るようです。

甲状腺に関連する疾患[編集]甲状腺機能亢進症
バセドウ病
甲状腺クリーゼ
機能性腺腫
下垂体腺腫
甲状腺機能低下症
クレチン症
橋本病
甲状腺炎
無痛性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎
慢性甲状腺炎(橋本病)
急性化膿性甲状腺炎
腫瘍
甲状腺腫(diffuse goiter)
甲状腺腺腫(adenoma)
甲状腺癌(carcinoma)


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4 コメント

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もっと基礎知識をつけてください。 (mahlergstav)
2014-01-08 14:04:13
>それではどうして、野菜から3800万ベクレル/kgの
>ヨウ素129の検出などとの記事が出てきたのでしょう>か?まったくの嘘(デマ)でしょうか?

デマにしては、専門的すぎるので、それなりの根拠はあるのでしょう。これが本当なら、事故当時10の14乗Bq/Kg程度のヨウ素131があったか、Te129由来とすると事故当時に10の14乗から15乗程度のTe129が存在したことになる。

これは無理がある。何故なら、こんな濃度なら人間は生きていけないでしよう。

ヨウ素129のγ線のエネルギーは40keV程度なので測定が難しいので、測定ミスも十分考えられます。

ここで紹介されている市川さんは、かなり問題のある人で、ここに書かれている多くは単なる仮説で確定したものではない。私としては、悪意のないトンデモと思っています。ご本人は、善意と熱意で活動されているのでしょうが、度が過ぎると、今後、訴えられる可能性もあります。あまり「利用」されない方が、ご本人のためと思います。

この人の発想に倣えば、こんなことも考えられます。産廃にヨウ素129が紛れ込んでいて、たまたまそれを測定した。常識では考えられないことですが、2011年12月に東京都世田谷区八幡山で産廃由来のラジウムが発見されていますので、あながち非常識とも言えない。

市川流で心配するなら、産廃中の放射性物質を心配したほうがよい。実際、米国DOEでは、真剣に産廃中の放射性物質をモニタしています。

放射能ネタでブログ等書かれたかったら、放射能等の基礎知識が必要です。多くの方が独学で学習していらっしゃるようですが、これが問題です。結局、エキセントリックな学説が目立つので、それに影響されすぎることです。

比較的簡単かつ確実に基礎知識をつける方法をお伝えします。
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放射線取扱主任者試験 (mahlergstav)
2014-01-08 14:27:01
放射能や臨界について多くのブログでデタラメが流布されています。多くは、事故当時の「過激な専門家」の仮説が刷り込まれて、それを否定する説明は頭から受け付けないように見えます。きっと、素人が手軽に学習できる制度を知らないのだと思います。

放射能に関しては、放射線取扱主任者試験があります。詳細は、
http://www.nustec.or.jp/syunin/syunin01.html
ここを見てください。

この試験は、世間では敷居が高いもので、放射能の専門家が受験するものと思われていますが、そうでもありません。

受験者の70%は、10代、20代です。数学、物理、化学、生物学の知識が必要ですが、高校程度の知識で解けるように問題はできています。現役高校生の合格実績もあります。毎年5000人ほど受験しますから、受験そのものは気楽にできます。

○×式の問題ですから、まぐれ合格もありえます。過去問も公開されています。それでも合格率は30%程度ですから真剣に勉強しないと合格しません。

試験制度はいいもので、自分が本当に理解しているか確認できることです。自分に都合が悪い説に拒否感を持ったら、絶対に合格しません。

文系の人でも、合格者が出ています。だから、この試験は放射能の専門家ではなく、専門家になれることの証明にすぎないのです。

3.11以前は、好奇心のみで放射能を議論するのは特に問題ないですが、今は、単なる好奇心では済まされなくなるので、基礎からみっちりおさえておかないと危ない。

できれば、放射能関連の大学院に進学できればよいのですが、そこまで要求するのは、「素人が口をはさむな」というようなものです。

まずは、放射線取扱主任者試験の過去問に挑戦し、合格点が取れるようなら試験に挑戦し、合格証まで取得できれば、もっと現実的な判断ができるようになります。

この程度の基礎学力が無いと、放射能を論じることは無理です。
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産廃の放射能について (mahlergstav)
2014-01-08 18:22:12
産廃の放射能を紹介したために過剰反応されては困るので補足します。

よく天然放射能は無害で、人工放射能は有害であるといったことを聞きます。例えば、1ベクレルでもカリウム40は問題ないがセシウム137は有害であるといった論です。これはデタラメですが、あながち間違っているとは言えない。

約100gのセシウムCs137は、3×10の14乗ベクレルにもなります。天然カリウムだとカリウム40の半減期が約10億年で存在比が0.1%程度なので、3×10の14乗ベクレルの天然カリウムは1000万トン程度になるでしょう。

100gのセシウム137に接近すると、健康障害どころか即死でしょう。1000万トンの天然カリウムに接近してもどうということもない。結局、濃度の違いです。

人工放射能は、医療や非破壊検査のように強い放射線が発生しないと意味がないので、濃度が高くなるし、また高い濃度で製造することができます。

人工的に製造された放射能は人工放射能だから危険ではなく、濃度が高いから危険なのです。100gのセシウム137も1億トンの土砂に均質に混ぜ込まれれば、放射線障害防止法の規制にすらならない。

産廃中の人工放射能も大量の土砂等で希釈されればよいのですが、実際は試薬瓶や缶に密封されたものが紛れ込むことが多い。ここが問題なのです。これらは大量の土砂等で遮蔽されているので簡単に見つけることができない。

ところが、何かのひょうしに取り出され、瓶や缶が破壊されるととんでもないことになります。確実に死人が出るでしょう。だから、人工的に生成された放射性同位元素、たとえばセシウム137は1ベクレルも漏らさず厳しく管理します。そのために放射線取扱主任者が必要となります。

このあたりのセンスが部外者から見ると、1ベクレルでも危ないと思えるのでしょう。

そうではなく1ベクレル程度はどうでもよいでしょうと甘く見ていると、100gのセシウム137を紛失してしまうのです。そういった不始末は結構あります。

例えば、1987年9月,ブラジルのゴイアニア市
放置されていたセシウム137(50TBq)を開封して4人死亡。

最近ではメキシコでコバルト60の盗難がありました。人工放射能は高価なので貴金属と勘違いする盗賊もいるようです。犯人は死亡するようです。

日本では、2008年に非破壊検査会社の従業員が意趣返しで370ギガベクレルのイリジウムを盗み出して横浜市の大岡川に捨てたという事件もありました。

天然放射能からここまで濃度を上げるのはコスト的に割があわない。人工的に製造する方が安い。例外は、ウラン235くらいでしょうか。

ラジウムはざらに存在する天然放射能です。自然界に高濃度のラジウムは存在しないから、危険ではない。キュリー夫人のように人工的に分離合成するとセシウムより遥に危険になります。ヨウ素129も濃縮されると危険ですが、ラジウムの比ではない。




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Unknown (通りすがり)
2021-05-09 23:38:36
各放射性物質の人体への影響についてご存知なりたいなら、福島第一原発よりもっと強い害意に曝された広島市や長崎市における健康被害について調べられた方が参考になると思われます。
返信する

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