数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

核融合実用化?Compact Fusion Reactor ・レーザー核融合、原発とプルトニウムは最大のリスク?

2014-10-24 21:04:24 | 数理論理戦争
ロイターに核融合炉実用化のニュース記事がありました。

[ワシントン 15日 ロイター] 「 米航空防衛機器大手ロッキード・マーチン(LMT.N: 株価, 企業情報, レポート)は15日、核融合エネルギー装置の開発において技術面の画期的進展(ブレークスルー)があり、10年以内にトラックに搭載可能な小型の核融合炉を実用化できると発表した。
 開発チームを率いるトム・マクガイア氏は記者団に対して、これまでの作業を通じて出力が100メガワット(MW)で、現在存在するものより約10倍小さく大型トラックの後部に入れられるほどの核融合炉が製造できるめどが立ったと説明した。」

 核融合というと、超高温のプラズマを磁気で閉じ込める方式のトカマク型のことがよく話題になっていました。確か日本は最先端を行っているとのことでしたが…

〔H26-11-29 上記ローッキード・マーチンの方式は慣性閉じ込め方式(レーザー核融合)ではなく、磁場閉じ込め方式であるとのブログ記事もありました。
 http://wired.jp/2014/10/19/lockheed-martin-compact-fusion/
「「Aviation Week」に掲載された技術記事は、ロッキード・マーティン社が取り組んでいる小型核融合炉の設計について、いくらか詳細に踏み込んでいる。それによると、基本コンセプトは、高出力のレーザーを小さなターゲットに照射する方式(レーザー核融合)ではなく、プラズマを磁場で閉じ込めるという方式であるという点で、トカマク型の核融合炉に似ている。ただし、容器の形状がトカマク型とは異なっており、同社の研究チームによると、より効率的だという。(一部転載終わり)」

 CFRの簡単な原理

 
「現在までに最も有力な核融合炉はトカマク炉と呼ばれるもので、これは旧ソ連の物理学者によって1950年代に提唱された。トカマクはトーラス状(ドーナツのような形)の磁場を用いて同じくトーラス上のプラズマを捕獲するような形式になっている。トカマクでは反応を維持させるため、ドーナツの中心部分を通るラインにセンターソレノイドコイル(CSコイル)と呼ばれるプラズマ電流を誘導するコイルを設置する。この方式の課題は、核融合によって得られたエネルギーが反応を維持するために消費するエネルギーとほとんど同じになってしまうことにある。
 トカマクの問題点はベータ限界と呼ばれる領域までしかプラズマを保持できない点にある。プラズマの圧力とそれを閉じ込める磁場の圧力の比がベータ値である。ベータ限界はそれを超えるとプラズマが消失したり、閉じ込めが破られて反応が継続されなくなったりする限界値である。トカマクでのベータ限界は5%程度である。これを超えると核融合反応は維持できなくなる。これを自転車のタイヤに例えるならば、空気を入れすぎてバーストするようなもの。それを防ぐために安全余裕を見積もって、低い圧力で運転させなければならない。これは非効率的なので、トカマク炉は非常に大きく、建設コストのかさむものになってしまう。
 ロッキードのコンパクト核融合炉(以下、CFR)は根本的に異なる方法でプラズマ閉じ込めを行う事でこれらの問題を回避している。CFRでは代わりに直列の超電導コイルによって新たな磁場のジオメトリを形成する。この結果、プラズマは炉の中全体の広い範囲で保持される。超電導コイルは炉のチャンバー外側境界に磁場を形成する。これは自転車のタイヤによって保持されるのではなく、もっと強力な外壁によってプラズマを支えるようなものである。プラズマが外側に向かうほど磁場が強くなって押し戻されるという、自己調節的になフィードバック機構をも持つこととなる。CFRのベータ限界は1になると期待され、さらに、それを超えることも可能なはずだと考えられている。(一部転載終わり)」

 一方、レーザー核融合の一種(似ている方式)とのブログ記事もありました
 

「Skunk Worksが開発中の核融合炉は、ITERによるトカマク方式とは異なり、「Compact Fusion Reactor (CFR)」という方式に拠るものとなる。CFR方式の核融合炉は、両手で持ち上げることができる程のサイズの封じ込め装置に、中性子ビームを打ち込むことによって発火に至ることが想定されている。
 これと似たレーザー核融合においては、Lawrence Livermore National LaboratoryがNational Ignition Facilityにおいて、発火に至るものではないが、今年に入ってから史上初めて投入量以上のエネルギーを得ることに成功し、大きな注目を集めていた。(一部転載終わり)」

 
 いずれにしてもロッキード・マーチンの小型核融合炉は極めて独創的な技術なのだと思われます。そしてそれは間違いなく、空母や潜水艦などの軍事用に開発されたものが基になっていると思います。恐らく軍事用にはもう完成されているのではないでしょうか?そうでなければ、このような技術は公開されないと思われます(詳しい内容は発表されていないようですが…)。そして商用の基本特許はすべて握られてしまうと思われます。原発も海軍艦船用に作られたものを商用に応用したものでした。 

 そしてレーザー核融合の研究も進展しているようです。
「レーザー核融合(レーザーかくゆうごう、英: Laser fusion)は、非常に高い出力のレーザーの光を用いた核融合のこと。
 核融合反応でエネルギーを取り出すためには、燃料プラズマを高温に加熱し、かつ、十分な反応を起こすために密度と時間の積がある一定値以上でなければならないという、ローソン条件を満たす必要がある。磁気閉じ込め方式の核融合では低密度のプラズマを長時間(1秒以上)保持することを目指すのに対し、燃料プラズマを固体密度よりもさらに高密度に圧縮、加熱し、プラズマが飛散してしまう以前、すなわちプラズマがそれ自体の慣性でその場所に留まっている間に核融合反応を起こしてエネルギーを取り出すことを目指した慣性核融合が考えられ、研究が進められている。レーザー核融合は、燃料の圧縮と加熱のために大出力のレーザーを用いる慣性核融合の一方式である。
 2009年2月から稼働を始めたローレンス・リバモア国立研究所のレーザー核融合施設国立点火施設(National Ignition Facility:NIF)(192本のレーザーを使用)は、核融合で放出するエネルギー量が燃料に吸い込まれる量を上回る「自己加熱」による燃焼を世界で初めて達成したと2014年2月に発表した。(一部転載終わり)」
 
 そして近年、CPA(Chirped Pulse Amplification、チャープパルス増幅)という技術により、超短パルスレーザーに高エネルギーを詰め込むことが可能になったとのことです。

「近年高速点火方式が可能となった背景には、CPA(Chirped Pulse Amplification、チャープパルス増幅)技術の発明により生み出された超高強度・超短パルスレーザーの出現がある。超短パルスレーザーに高エネルギーを詰め込むことは従来不可能と言われてきたが、CPA技術により可能となった。1015W を超えるレーザー装置が大阪大学などで現実のものとなっている。高速点火方式の利点は、従来の中心点火方式と比較して、より小さなレーザー装置でより大きな利得(投入したエネルギー量と反応で得られるエネルギー量の比)が期待できることである。
 このような大出力のレーザーの登場により、高強度場科学や高エネルギー高密度物理(High Energy Density Physics)、高エネルギーレーザー科学と呼ばれるような新たな分野が開拓されようとしている。前述の超高強度・超短パルスレーザーを集光することで、その光強度は1018W/cm2 から 1021W/cm2におよぶ。このような高強度場はかつてないものであり、超新星などで起こる現象を実験室において模擬することのできる実験室宇宙物理やレーザー加速器のような分野を創生している。(一部転載終わり)」

 このチャープパルス増幅を発明し、フェムト秒レーザー加工の基本特許を持っているのは、米国ミシガン大学のジェラルド・モロー教授のようです
「エキシマレーザーは短波長が特徴なのですが,1990年ぐらいになるとチタンサファイアレーザーが開発されました。チタンサファイアレーザーは,近赤外光を発振し,スペクトル幅が広いので超短パルス化に最適なレーザーとなりました。
 エキシマレーザーだと,パルス幅は100fsが限界なのですが,チタンサファイアレーザーでは10fs以下にすることができます。それまでわれわれは,色素レーザーで発振し,エキシマレーザーで増幅するという組み合わせでフェムト秒テラワットレーザーを開発していました。それが現在では,発振にチタンサファイアレーザーを使うのが主流になっています。
 増幅にはチタンサファイアレーザーを使う方法とエキシマレーザーを使う2つの方法がありますが,科学研究においてはチタンサファイアレーザーを使うシステムが主に使われています。増幅器にエキシマレーザーを使ったシステムは,短波長で高い平均出力が得られるのが特徴です。
 現在,フェムト秒レーザーの研究がさかんですが,これにはチタンサファイアレーザーの貢献が大きいといえます。というのも,それまでフェムト秒レーザーに使われていた色素レーザーは,専門家でないとうまく発振できませんでした。ところがチタンサファイアレーザーは,初めて操作する人でも簡単に超短パルスを出すことができるのです。
 フェムト秒レーザーは,加工において注目されていますが,まだ研究段階のものが多いといえます。この状況はエキシマレーザーが開発されたばかりの頃とよく似ています。フェムト秒レーザーは高い可能性があるため,今はあれにも使えるこれにも使えるとやっていますが,そのうち値段に見合った本当の使い方が見つかると思います。
 フェムト秒レーザー加工というのは,穴を開けるにしても熱で融かすのではなくアブレーションで吹き飛ばすことで行います。このため加工の際にもバリがでず,非常にきれいに仕上がります。また,ガラス内部にレーザー光の焦点を結んでやれば,ガラス内部に線を引くことも可能です。
 じつは,フェムト秒レーザーを使った加工はミシガン大学のジェラード・モロー先生が基本特許を取っており,これが大問題になっているのです。モロー先生は高出力超短パルスレーザーの大家で,チャープパルス増幅の発明者をしたことでも有名です。(一部転載終わり)」

〔H28-06-12追記 チャープパルス増幅について分かり易い説明(図)がありました。
 補足説明 CPA法(チャープパルス増幅法)
「 レーザー光は、自然光に比較すると極めて波長が揃っているが、微小とはいえ有限のスペクトル幅(光に含まれる波の波長分布)を持っている。 CPA法(チャープパルス増幅法)においては、まずレーザー発振器(図4のA)から出力されたレーザー光の時間幅(パルス幅)を、このスペクトル幅を利用して拡張(パルス拡張)する(図4のB)。 これは、プリズムで日光を七色に分けるのと同じ原理を利用している。このレーザー光をチャープパルスと呼ぶ。 チャープパルスは、パルス幅が拡がった分、パルスの高さ(出力)は低くなっている。 このチャープパルスを複数のレーザー増幅器(図4のC~F)で順次増幅し、レーザー媒質が損傷しない、ぎりぎりの出力まで高出力化する。チャープパルスの増幅には、波長の違い(スペクトル幅)がある程度あっても増幅できる特性を持ったレーザー媒質が必要である。 このような特長をもったレーザー媒質として主なものは、チタンサファイア結晶とネオジムガラスである。チタンサファイア結晶は放熱性に優れるので熱がこもりにくく、高繰返し発振や装置の小型化に有利である。 一方ネオジムガラスは、より大きなものを製造可能であるので高出力化に有利である。 今回開発したペタワットレーザーでは、利用研究での利便性を考慮して前者を採用した。 レーザー核融合研究用レーザーでは、後者を採用している。このようにしてレーザー媒質損傷の限界まで増幅したレーザー光(チャープパルス)を、今度は逆に波長の違いを利用して時間的に短縮(パルス圧縮)する(図4のG)。
 パルス幅が短くなった分、パルスの高さ(出力)が高くなり、結果としてレーザー媒質損傷の限界値よりも高い、超高出力のレーザー光が得られることとなる。(引用終わり)」
 つまり、チャープパルス増幅により、結構簡易な方法で高出力レーザーが得れることになり、そのレーザーを物質に照射すれば、中性子ビームも発生させることができるようになった。そして中性子ビームを複数当て焦点を合わせると強大なエネルギーが発生し、核融合反応も起こるということでしょうか。
 それにしても、自由電子レーザーやこのチャープパルス増幅などは、人為的に波長・強度などをコントロールしてしまうとうことのようなので、様々なレーザーを簡易的に発生することができるようになり、軍事的にも超強力な破壊力を持つのではないでしょうか。一瞬で物質を分解して消失させてしまうような破局的兵器になるのでしょうか?〕

参考:磁場核融合とレーザー核融合の比較(分かりやすいサイトがありました)

 日本では大阪大学がレーザー核融合の研究を行っているようです

 大阪大学におけるレーザー核融合研究

 また米国のサンディア国立研究所が保有する核融合実験装置であるZマシンでは超強力なX線を発生させることができ、このX線をプルトニウムに照射すると核分裂を起こさせることができるようです。原発施設にZマシンのような装置から強力なX線を投射された場合、巨大な核爆発が起こるということでしょうか?


 もし「小型核融合炉」が実用化された場合、ウラン・石油・天然ガスなどのエネルギー資源は必要なくなるということでしょうか(価格が暴落、それに頼っている国は一気に貧窮するでしょう)。
 原発・プルトニウムはもう必要ないのではないでしょうか?
 管理に途方もなく費用がかかり、安全保障上も最大のリスクとなる、大きなお荷物となるのでしょうか?

 南海トラフ大地震に連動する直下型地震、火山噴火、それにともなう原発震災により、日本は原発施設を今後も管理していく余裕はあるのでしょうか?(それに福島原発公害による内部被爆(3号機は核爆発?)・被曝による健康被害もジワジワと顕在化するかもしれません。
 オリンピックに踊って、アンベノミクスで多少札束を稼いだからといって、この破局からは逃れられないように思います。
 現在の「円安」も諸々要因があると思いますが、要するにお金が海外に逃げていることも関係しているのではないでしょうか。
 日本の民間の金融資産が海外に本格的に逃げ出したら、日本国債を買う人はいなくなり、最終的に物凄いインフレにしない限りチャラにはできないと思います。


 「レーザー核融合」こそ真のエネルギー革命だと思います。

 シェールガス・オイルなどのは従来の技術の延長線上の話だと思います。

 レーザー、数理論理そのもののような技術が今後国の存亡に関わる最重要なものになると思われます。

 
コメント
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