数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

小保方さん事件、日本での「科学の死」?生物の数理論理化・産業化

2015-06-03 15:48:48 | 自然科学
小保方晴子さんの「STAP細胞」事件はどうも奇妙です。
マスコミの報道は、程度の低い昼メロ風のドラマのようです。ついには詐欺事件にも展開しているようです。
参考:『小保方氏 詐欺、業務上横領、虚偽公文書作成罪の可能性も
科学というのは仮説だらけですし、少々間違っていた(手順ミスなど含め)からといって、「善」「悪」で片付けられるものではないと思います。特に論文の話だけですよね?しかし、研究費の詐欺との指摘もされているようで?、一体全体どのようになっているのでしょうか?

武田邦彦教授の話を聞くと、理研や指導教授が悪いとのことです。
STAP事件の真犯人―1 「発見」を「盗んだ」人
「STAP事件はNHKや毎日新聞が情報をかく乱しましたので、なにがなんだかわからなくなりましたが、事件は比較的、簡単でした。この際、真犯人を特定しておくことは、今後の不祥事の防止や、若い研究者がバッシングを受けないためにも大切なことなので、ここで整理をしました。
 小保方さんは早稲田大学の博士課程を卒業して(教育用語では修了と言います)、理研に無給研究員として入ります。理研はしっかりした組織を持ち予算で動いている研究所ですから、「理研にとって価値のある人は有給、価値はほとんどないけれど、研究室を提供するぐらいはしても良い。勝手に研究してくれ」という人は無給でいそうろうさせることもできます。
 無給ですから、正式な職員の権限もなく、予算もなく、自分でなにかの研究費に応募して獲得した研究費や、上司(若山さん)の助手として言われたことを研究するということになります。
…いずれにしても小保方さんは2011年ごろから2年間、無給で若山さんの指示で研究をしていました。なにしろ決済の権限もないのですから、実験器具、装置、マウスに至るまで許可が必要だったと考えられます。
 そこで、STAP細胞を発見し、若山さんと連名で論文を提出しています(不採用で世には出ていない)。連名ですから、若山さんも一緒に研究をしたということになります。研究もしていないのに、ましてその研究を理解していないのに自分の研究室の無給研究員の研究を名前だけ横取りすると詐欺になります。
 ところが、2012年の暮れ、つまり小保方さんが理研に入ってから1年10ヶ月ほど経った頃、理研が奇妙な動きに出ます。それは、無給研究員で研究をしている小保方さんの研究を「理研の特許」にしようと計画したのです。
 論文は研究者が書くものですから、組織の中にいる人は勝手に書くわけには行きませんが、その名誉(名誉だけ)は研究者がとります。でも特許は「出願人」が理研であれば「理研の工業所有権」となります。つまり、主体者は論文は研究者、特許は商業上の権利ですからお金に直接関係があり、この場合は理研がとりました。
 論文の方は笹井さんが小保方さんに協力し、特許は理研の知的財産部の担当者が入ります。それに弁理士がついて、「新規性=発明は科学的に初めてか」、「進歩性=学問的に新しくても社会に貢献しないものは特許にならない」を確認し、特許の「実施例=現実に実験した手順を事細かに書いて、それがだれでも再現性よくできることを理研が保証する」ということを確認します。
 論文は出しっぱなしで、何の権利も生じませんし、誰かが論文の通りにやっても問題はないのですが、特許は特許権を買わずに勝手に実施すると特許権の侵害ということで訴えられ、膨大なお金を取られます。つまり、論文はある意味で個人だけの責任ですが、特許は自分がお金を取る権利があるし、他人の行動を制限しますから、厳密さが求められます。
 またもし研究にあまり関係ない人が共同発明者に入っていると、それだけでフロードとなり、特許は取り消し、膨大な賠償金を支払う場合もあります。つまり社会で権利を有する特許は「ウソ」は許されないのです。
理研は理研と関係先を出願人にした「STAP細胞の特許」を2013年4月に出しました。この時期、小保方さんが無給研究員を終わって1ヶ月ですから、特許に関する発明は小保方さんの無給研究員時代の成果です。
 小保方さんは無給での結果ですから、その業績は小保方さん個人のものです。それを理研が横取りしたものですが、後の理研の態度から言えば、「重要特許」ということですから、数10から数100億円の収益は期待したでしょう。そうなると、小保方さんに1億円ぐらいのお金を渡してその発明を買い取る必要が生じます。
 また、理研が「発明は存在し、意義がある」と組織として判定したことにもなります。つまり、2013年4月、理研が「特許出願を認めた」という時点で、社会との関係においてこの発明は小保方さんから理研に渡ったものです。だから小保方さんはその後の再現性などには責任はありません。
また、STAP論文はNHKと毎日新聞、ミヤネ屋などの執拗な追求で取り下げましたが、特許は2014年10月に理研は継続手続きをしています。つまり「論文を取り下げた後でも、理研は特許は成立する」という意思表示を行っています。
 私たちはNHKと毎日新聞の情報操作によって、「再現性がない」というと「小保方さんの責任」と直結していますが、それはあまりに他の事件との取り扱いが違います。
 どんな事件でも、無給アルバイトがすこし失敗したり、無責任のことをやっても、その責任は監督者の正式社員とか組織にきせられます。ましてなにかの資格が必要な業務では尚更です。たとえば医師の資格のない人に診療をさせているだけで医師か医療法人の責任が問われることは間違いないでしょう。
 ましてこのケースでは、小保方さんの研究業績を、2013年に理研に移動して、「理研の意思」で特許を出しているのですから、NHKも毎日新聞も当然、理研を追求する報道をするべきだったのです。
 もし、STAP細胞がないなら、小保方さんは間違ったですみますが、理研は間違ったではすみません。まして、2013年の時点でSTAP細胞を再現できたのは小保方さんと若山さんが1回だけ、あとは再現性は得られなかったというのですから、「再現性が得られないことがわかっている研究結果を特許にして社会を欺いた」のはまさに理研そのものだったのです。
 社会は報道の問題としては、これほど明らかなことをなぜ日本社会は小保方さんを追求したのか、真犯人が理研であることがわかりきっているのに、なぜ報道しなかったのか、そこにはおそらく圧力、お金、利権などが絡んでいるはずで、毎日新聞は買わなければ良いのですが、NHKは受信料を払わなければならないので、理研が真犯人であることがわかっているのに、なぜそれをNHKが隠したのかを明らかにする義務があると考えられます。(平成27年1月24日)」(引用終わり)

 それに、米国ではSTAP細胞の特許が進行中のようです。
なぜか米国で進行中のSTAP特許出願の審査手続について

 そして、逆に特許を放棄した理研幹部が背任で訴えられる可能性もあるのではないかとのことです。
STAP細胞特許出願の放棄により、理研幹部が背任で訴えられる可能性

 どうなっているのでしょうか?

 どうも小保方さんは米国でのバカンティ兄弟(教授)の「胞子様細胞 」仮説に強く影響を受けたようです。
「胞子様細胞(ほうしようさいぼう、英: Spore-like cells)は、胞子に特徴的な振舞いを示す細胞としてチャールズ・バカンティらが2001年に発表した仮説である。
 論文では、既知の胞子様細胞には、ヒトを含む成体の特定の種類の幹細胞があり、これらは非常に小さく、非常に多能で、その他の生物の細胞が分裂、成長、死亡するのに対して休眠した「胞子様」状態のままで留まっていると主張。更に休眠状態にも関わらず、この細胞は成長、分裂、そして他の細胞種に分化する能力を維持していると考えていた。」

「小保方晴子の博士論文研究では、全身の組織に共通した性質を持つ幹細胞の存在を証明することを目標とし、様々な検討を行っている。胞子様細胞は微細な細胞であり、小保方は低浸透圧の溶液や先端径10μm程のパスツールピペットを用いることにより、大きい細胞塊を壊して微小細胞を採取する方法を考案した。次に、マウスの骨髄から採取した微小細胞群の無血清培地での培養により、浮遊した球形のコロニー(細胞塊)ができることを発見、これを「sphere」と名付けた。
 更にこのsphereに対し、万能性幹細胞マーカーSSEA-1やE-Cadherinの発現、Oct4等の遺伝子マーカーの発現について実験を行った。分化能についてもin vitro、in vivo双方で検証し、神経、筋肉、肝実質細胞といった三胚葉由来組織に分化できること、脊髄・筋肉・肺といった他の三胚葉由来組織にもこの細胞群が存在するかどうか、検証を行った[11][12]。なお、万能性を検証するキメラマウス実験にも取り組んだが[13]、胎児にSphere由来の細胞が見受けられたものの、完全な成功には至っていないとされている。」

 しかし科学は仮説だらけ、仮説は新興宗教の教義にように異端扱いされ、なかなか認められないようです。まあ少々胡散臭くても、「信じて」研究することは、重大な発見に繋がることもあります。「信じて研究すること」自体が尊ばれることもあります。

 チャールズ・バカンティ教授
「チャールズ・バカンティ(英: Charles Alfred Vacanti)は、アメリカ合衆国出身の、麻酔科医(医師:M.D.)。研究分野は、麻酔学、組織工学、細胞生物学。
 マサチューセッツ大学メディカル・スクール麻酔科教授、同 再生医科学センター長、国際再生医学会長、アメリカ麻酔学会長を歴任し、ティッシュ・エンジニアリング学会・学会誌の主宰者。現在はハーバード・メディカル・スクール及びブリガム&ウィメンズ病院教授。
 1995年10月に「ミミネズミ(バカンティマウス)」がBBCテレビで報道され、その視覚的に強烈なインパクトにより、バカンティと生体組織工学(組織工学、ティッシュ・エンジニアリング)は世に広く知られるようになった。同分野で多くの特許を持ち、生体組織工学においては著名な人物である。spore-like cellsやSTAP細胞の提唱者でもある」

 生体組織工学の権威で、特許も多数保有し、「バンカティマウス」で世間をあっと言わせる、エジソンのようなバイタリティーもあるようです。

 生体組織工学とは、生物の数理論理化した後、もはや産業レベルで様々な生体組織を「効率的に生産・量産」していくことでしょうか?
 テッシュエンジニアリングとも言われるようです。
「1993 年に米国の医師と工学者が新しい考え方を提唱しています。それが「Tissue Engineering(ティッシュエンジニアリング)」です。彼らの考えによると、ティッシュエンジニアリングは、「機能を失った臓器や組織の代替品を、生命科学と工学をうまく組み合わせて作り出す考えのこと」を言うのだそうです。「Tissue (ティッシュ)」とは人のからだの「組織」のことを言います。「Engineering(エンジニアリング)」は「工学」または「工業技術」といった意味です。」
 まさしく「新しい産業革命」ですね!

 チャールズ・バカンティ教授の師匠もすごいようです。
 ロバート・ランガー教授
「ロバート・ランガー(ロバート・サミュエル・ランガー、英: Robert Samuel Langer、1948年8月29日 - )はアメリカ合衆国の生体工学者。マサチューセッツ工科大学(MIT)で化学工学科および生物工学科の教授職を務めている。MIT最高位の教授Institute Professorの一人。
 専攻はドラッグデリバリーシステムおよびティッシュエンジニアリング。1100を超える論文を出版し、 760もの特許を抱えている。MITにおけるランガーの研究室は、年間1000万ドルの研究費と100人を超える研究者を抱える世界最大の生体工学研究室とされている。
 薬物放出制御技術およびティッシュエンジニアリングの生みの親として知られており、「医学の歴史上最も多産な発明家の一人」と称されている。ランガーが発明した人工皮膚や投薬システムなどの数々の技術は、ガンや心臓病、その他多くの病気の治療法に画期的な変化をもたらしている。 また、アメリカ国家アカデミーの4つの組織のうち3つ(米国科学アカデミー、米国工学アカデミー、アメリカ医学研究所)の会員に史上最年少で(43歳)で選出された。」

760もの特許を保有し、年間1000万ドルの研究費と100人を超える研究者を擁しているとのことです。

 小保方さんは、この巨大な再生医療の産業界にあって、ひょっとすると新たなスター(特許と巨万の研究費を有する)になったかもしれないということでしょうか?
 重箱を隅をつつくような話で低俗なマスコミ報道の中で、創造的で活動的な「科学者」は潰され、科学は死んでしまったのでしょうか?

 いったい「小保方さん事件」とは何だったのか?

 私は小保方さんは「信じて研究してきた科学教徒」のように思えてなりませんが、どうして詐欺事件のような低俗なレベルの話にされてしまったのでしょうか?

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国の対外膨張(侵略)、か... | トップ | 土建屋帝国主義、すべてがク... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
物理学者 (texas-no-kumagusu)
2016-09-13 08:00:53
私は、生命現象まで含めた複雑系の成り立ちを物理学的に解明した『散逸構造の理論』の功績によりノーベル化学賞(1977)に戴いた故イリヤ・プリゴジン教授の下に25年以上に渡って教授と共同研究をして来たものです。世界の多くの一流の科学者と交わってきた現役の科学者として、新しい世界を発見しようとする小保方氏の研究の在り方の正常さ、それに反比例した小保方氏叩きの異様さに、日本の科学界の愚劣さを痛感しております。

私は理学としての学術的な興味で研究して来たのであり、武田邦彦氏のような工学者的な視点に基づいた特許制度などの法的な知識はありませんが、研究者としての経験から小保方さんいじめ事件に関して、私の考え方をシリーズで綴っておきました。以下のブログの一連の記事に目を通して頂けると光栄です。

http://ameblo.jp/texas-no-kumagusu/theme-10081085330.html
返信する

コメントを投稿

自然科学」カテゴリの最新記事