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舶来ソング その2~女学生の愛唱歌になった「舶来唱歌」

2007年06月21日 | 唱歌
 1879(明治12)年10月、学校教材用の歌の作成・編纂、教師の養成機関として「音楽取調掛(おんがくとりしらべかかり。東京芸術大学音楽学部の前身)」が文部省内に設置された。初代所長伊沢修二は、アメリカから自らが師事したルーサー・W・メイソンを招聘、歌集の編纂を行い、1881(明治14)年に日本初の官製唱歌集「小学唱歌集」が出来上がった。「小学唱歌集」の歌は、スコットランドやアイルランドの民謡が多く取り入れられた。「蛍の光」「庭の千草」などがそれにあたる。最初の「舶来唱歌」である。
 やがて明治後半から原曲の内容を生かした美しい訳詞をつけて歌う流れが起きる。直訳でなくメロディに合った日本語独特の文体がみごとに調和しているものが多い。特に堀内敬三は格調の高い文体で多くの舶来曲を訳詞した。戦前の女学生歌集で紹介され、女学校のコーラスで多く歌われた。戦後は広く学校や職場のコーラスなどの定番になっている。「舶来唱歌」の主な曲は以下のとおり。

(稲垣千頴 訳詞)明治14年 蛍の光(スコットランド民謡)
(野村秋足 訳詞)明治14年 蝶々(スペイン民謡)
(里見義 訳詞) 明治17年 庭の千草(アイルランド民謡)
(大和田建樹 訳詞)明治21年 故郷の空(スコットランド民謡)
(里見義 訳詞) 明治22年 埴生の宿(ビショップ)
(犬童球渓 訳詞)明治40年 旅愁(オードウェイ)
(近藤朔風 訳詞)明治42年 ローレライ(ジルヒャー)
(近藤朔風 訳詞)明治42年 野ばら(シューベルト、ウェルナー)
(近藤朔風 訳詞)明治42年 菩提樹(シューベルト)
(杉谷代水 訳詞)明治43年 星の界(コンヴァース)
(吉丸一昌 訳詞)大正 2年 故郷を離るる歌(ドイツ民謡)
(堀内敬三 訳詞)大正 3年 モーツァルトの子守歌(フリース)
(堀内敬三 訳詞)      春の日の花と輝く(アイルランド民謡)
(堀内敬三 訳詞)昭和22年 冬の星座(ヘイス)
(堀内敬三 訳詞)      ラ・スパニョラ(キアラ)
(津川主一 訳詞)昭和27年 希望のささやき(ホーソン)
(津川主一 訳詞)       夢路より(フォスター)

 私は子供の頃、東京世田谷三軒茶屋の明薬通り(明治薬科大学)に家が面しており、夕方学生達がコーラスしながら帰って行くのを眺めていたものである。その辺が私の原点で、そのあと高校の音楽でのコ-ラス、大学の頃の歌声喫茶、就職先のコーラス部とコーラスとの付き合いが多々あった。その中で「舶来唱歌」のジャンルの曲が一番思い出に残っている。

 私の「舶来唱歌」に関するCDを以下に紹介する。
(1)「ローレライ/世界の愛唱歌」<ビクター>
    東京混声合唱団やボニージャックスなどによるベストアルバム。
    立川清登・中沢桂・中村健・木村宏子らなつかしい歌手の声も聴ける。
(2)「女性コーラス愛唱歌全集~世界のうた1、2」(東京レディース・シンガーズ)<キングレコード>
    舶来唱歌は女性コーラスが一番ピッタリする。全40曲収録。
    東京レディース・シンガーズは1985年に創立された声楽専門家による合唱団で、
    現在日本最高の女性コーラスグループであろう。
(3)「歌のつばさに~世界のメロディー」(島田祐子/ボニージャックス)<ソニー>
    私の好きなボニージャックスの歌声も推薦できる。
(4)「翻訳唱歌集『故郷を離るる歌』」(藍川由美)<デノン>
    まさに舶来唱歌集。声楽家藍川由美の日本歌謡シリーズのひとつである。
    主要な舶来唱歌が収められている。中野振一郎のチェンバロ伴奏が日本語本来の
    持ち味と良くマッチしている。
(5)「なつかしき愛の歌~堀内敬三の名訳詞による欧米名歌集~」(東敦子)
    オペラ歌手が歌うのも、スケールの大きさを感じる。
(6)「堀内敬三の名訳による懐かしの名歌集」(グループ・ロブ)<ビクター>
    堀内敬三の名訳ばかりを集めた芸大卒業生グループの歌。












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