宇奈月はすっかり春。
セレナーデに少し早い時間に町歩きをしました。
いいですね。暮れゆく時間。
黒部川扇状地の要にあたる愛本橋から上流に入ると、まだまだ白い雪を残した駒ヶ岳や僧ヶ岳が姿を現します。緑が一日一日と深くなっていく麓の山々と対照的に輝いています。ここだけを見ると、オーストリアに負けず劣らずと思えます。
宇奈月温泉も夕方が近づいて少し静かです。
暮れゆく山を背景にトロッコ電車を撮影してみました。
実はこれは模型です。黒部教育鉄道の駐車場にある記念撮影用のもの。よくできているでしょう。
宇奈月駅の前では、ちょうど電車が通りかかりました。
古いレンズで撮影してみたんですが、ちょっと変わった雰囲気になりますね。
宇奈月にはいろんなところにトロッコ電車があって、街灯にもトロッコがあしらわれているんです。
延楽の横から川が見えました。緑白色とでもいうのか、柳田国男もこの独特の色合いを文章に残しています。たしか、「北越雪譜」だったかな。
こういう色合いをこの土地では笹濁りといいます。雪代と呼ばれる雪解け水に典型的な色合いです。山深く、雪深い黒部峡谷では、これから6月中旬くらいまでこういう雪代が続きます。そこから一気に夏の気配に満ちていきますが、それでも峡谷の奥はまだまだ春さえ遠いそうです。
静かな温泉街を一人で歩いてみましたが、同じように、この時間をしみじみ味わっている人たちもけっこう多くいらっしゃいました。