台風一過からやっと涼しくなり、朝晩冷え込んで朝露が降りる様になりました。やっと秋のキノコのシーズン到来です。そんなわけで、私が大事にしているシロ(キノコの菌糸があり発生する場所)を回ってみました。キノコ狩りというのは、ただ闇雲に山を歩いていて見つかるというものではないのです。キノコの種類によって発生する時期やタイミング、場所をしっかり把握しておかないと、無駄に時間を取られるだけなのです。
今年は猛暑の影響で、9月が熱すぎたため、秋のキノコで最初に出て来るサクラシメジ(アカンボウ)、ウラベニホテイシメジ(イッポンカンコウ)が不作でした。そして、ここ2年ほど不作だった信州では一、二を争う人気の時候坊(ハナイグチ)が今年こそは出ているだろうと、そのシロを中心に駆けずり回ったのです。
結果は、豊作でした。ハナイグチは、傘が開ききったものより、開く途中のものが喜ばれます。虫が入り易いのと、傘の裏にあるスポンジ状の管孔に部分が消化が悪いからです。本来、ハナイグチは外生菌根を形成する樹種がカラマツ属に限定されるため、それ以外の針葉樹の下には発生しないのですが、杉林に発生するものが確かにあるのです。
傘の色がやや濃いめの他は、落葉松林に発生するものと全く代わりがありません。どういうことなんでしょうね。私は、二カ所ほどハナイグチが発生する杉林にシロを持っていますが、非常に不思議です。ただ、5~10m離れたところに落葉松があるので、それと共生関係を持っているのかもしれませんが、その落葉松の近くには出ないのが不思議です。ところが、今回杉林の縁で見つけた一本は、半径10mの周囲に落葉松はないのです。不思議です。
ハナイグチを増やすには、9~10 月に、前もって別の林で採取したハナイグチ子実体の管孔層を粉砕し、雨の前日に、水で適度に希釈した液を林床に散布するといいそうです。まあ、そんなことをしなくても、一定の条件さえ揃えば、今年の様に沢山出ますが。数年前に、放置されていたわが家の山林を除伐したところ、翌年には約700本のハナイグチが採れたことがありました。やはり、適度な整備は必要なようです。そして、老菌は採らずに、次の胞子生産源とします。食べられない様なものまで採ってきてはいけないのです。
獣道しかないような森の奥で、立ち枯れのコナラに、当地では片葉(かたは)と呼ぶウスヒラタケが出ていました。しかし、あるのは6mもの上。ただ見上げるしかありません。そこで思案した後、ガムテープを持参し、キブシの枝を3本つなげて、先にフックを作り、それでこそげ落とすことにしました。これが大成功。20枚余りの大きなウスヒラタケを手にする事ができました。
キノコは、図鑑や生半可な知識で同定すると、いつか酷い目に遭います。怪しいキノコは保健所に持って行って鑑定してもらってください。そして、福島第一原発の事故後、日本のキノコは汚染されました。
■長野県の野生キノコの汚染状況
小海町豊里チャナメツムタケ32Bq/kgハナイグチ5.6・大町市美麻ハナイグチ21.9
不検出:木曽町日義マツタケ3.7・松本市ハナイグチ、伊那市ハナイグチとヌメリイグチ、南牧村ホンシメジ、南相木村マツタケとハナイグチ、佐久穂町ナラタケモドキ(10月4日県林務部)
南牧村ハナイグチ187Bq/kg・小海町ショウゲンジ129・松本市ショウゲンジ43・佐久穂町ハナイグチ20・佐久市ハナイグチ13(9月6-27日採集)
★キノコの写真は、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】でご覧ください。
◉キノコのコラムも掲載の『信州の里山トレッキング東北信編』川辺書林が発売中。平安堂やAmazonで。カラー668枚の写真とコース地図。レアなバリエーション・コースも。
すでにマスコミやネットの情報で、野生キノコの放射能汚染状況が報告されています。福島の原木や大鋸屑を使った栽培キノコは言うに及ばず、天然キノコも場所によっては非常に危険です。また、腐性性のキノコより、特定の樹木と共生関係を持つ菌根性のキノコの方が、放射性物質を溜め易いことも分かっています。チェルノブイリ後の研究で、除染方法も分かっていますが(下のスライドショー)、高濃度に汚染されたものは、除染しても食べられません。充分に気をつけなければ内部被曝します。内部被曝は、外部被曝の700倍ともいわれています。毒キノコの同定同様、要注意です。
菌根性のキノコと腐性性のキノコに分けて解説しています。文章が長くて読みきれないときは、ポーズボタンをクリックしてください。
■長野県の栗→小布施町:不検出・下條村:不検出(いずれも検出下限値2.2Bq/kg以下)
■長野県のリンゴ→シナノスイート、シナノゴールド、秋映:全て不検出(いずれも検出下限値3.0Bq/kg以下)サンふじの出荷は11月中旬から
キノコの汚染と除染については、10月28日(日)に、インストラクターとして参加する「中尾山-茶臼山ハイキング」でもお話しします。講演では、茶臼山の歴史について語る予定です。
■さわやかな「秋の中尾山ハイキング」を楽しもう
【日時】10月28日(日)8:00-8:30受付 ★雨天中止
【集合場所】黒木学園グランド(旧共和小学校)駐車場は、係員の誘導に従ってください
【参加費】ひとり200円(ただし中学生以下は無料)当日お持ちください
【持ち物】昼食、飲み物、マイ箸、シート、雨具、杖(あると便利)
【コース】
●一本松コース(黒木学園-中尾山-茶臼山-植物園-恐竜公園-黒木学園)約8キロ インストラクターと歩く秋の里山。キノコも採れるかな。アルプス展望台も。(私は、こちらを担当します)
●山麓アップルコース(黒木学園-共和園共-光林寺-恐竜公園往復)約4キロ リンゴ畑の中をゆっくり歩こう
【交流会】正午から。お昼を食べながら(キノコ汁提供)、インストラクターの話を聞いたり、歌を歌おう
【問合せ・申し込み】あいの島会館
【TEL】 050-3583-0890
今年は猛暑の影響で、9月が熱すぎたため、秋のキノコで最初に出て来るサクラシメジ(アカンボウ)、ウラベニホテイシメジ(イッポンカンコウ)が不作でした。そして、ここ2年ほど不作だった信州では一、二を争う人気の時候坊(ハナイグチ)が今年こそは出ているだろうと、そのシロを中心に駆けずり回ったのです。
結果は、豊作でした。ハナイグチは、傘が開ききったものより、開く途中のものが喜ばれます。虫が入り易いのと、傘の裏にあるスポンジ状の管孔に部分が消化が悪いからです。本来、ハナイグチは外生菌根を形成する樹種がカラマツ属に限定されるため、それ以外の針葉樹の下には発生しないのですが、杉林に発生するものが確かにあるのです。
傘の色がやや濃いめの他は、落葉松林に発生するものと全く代わりがありません。どういうことなんでしょうね。私は、二カ所ほどハナイグチが発生する杉林にシロを持っていますが、非常に不思議です。ただ、5~10m離れたところに落葉松があるので、それと共生関係を持っているのかもしれませんが、その落葉松の近くには出ないのが不思議です。ところが、今回杉林の縁で見つけた一本は、半径10mの周囲に落葉松はないのです。不思議です。
ハナイグチを増やすには、9~10 月に、前もって別の林で採取したハナイグチ子実体の管孔層を粉砕し、雨の前日に、水で適度に希釈した液を林床に散布するといいそうです。まあ、そんなことをしなくても、一定の条件さえ揃えば、今年の様に沢山出ますが。数年前に、放置されていたわが家の山林を除伐したところ、翌年には約700本のハナイグチが採れたことがありました。やはり、適度な整備は必要なようです。そして、老菌は採らずに、次の胞子生産源とします。食べられない様なものまで採ってきてはいけないのです。
獣道しかないような森の奥で、立ち枯れのコナラに、当地では片葉(かたは)と呼ぶウスヒラタケが出ていました。しかし、あるのは6mもの上。ただ見上げるしかありません。そこで思案した後、ガムテープを持参し、キブシの枝を3本つなげて、先にフックを作り、それでこそげ落とすことにしました。これが大成功。20枚余りの大きなウスヒラタケを手にする事ができました。
キノコは、図鑑や生半可な知識で同定すると、いつか酷い目に遭います。怪しいキノコは保健所に持って行って鑑定してもらってください。そして、福島第一原発の事故後、日本のキノコは汚染されました。
■長野県の野生キノコの汚染状況
小海町豊里チャナメツムタケ32Bq/kgハナイグチ5.6・大町市美麻ハナイグチ21.9
不検出:木曽町日義マツタケ3.7・松本市ハナイグチ、伊那市ハナイグチとヌメリイグチ、南牧村ホンシメジ、南相木村マツタケとハナイグチ、佐久穂町ナラタケモドキ(10月4日県林務部)
南牧村ハナイグチ187Bq/kg・小海町ショウゲンジ129・松本市ショウゲンジ43・佐久穂町ハナイグチ20・佐久市ハナイグチ13(9月6-27日採集)
★キノコの写真は、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】でご覧ください。
◉キノコのコラムも掲載の『信州の里山トレッキング東北信編』川辺書林が発売中。平安堂やAmazonで。カラー668枚の写真とコース地図。レアなバリエーション・コースも。
すでにマスコミやネットの情報で、野生キノコの放射能汚染状況が報告されています。福島の原木や大鋸屑を使った栽培キノコは言うに及ばず、天然キノコも場所によっては非常に危険です。また、腐性性のキノコより、特定の樹木と共生関係を持つ菌根性のキノコの方が、放射性物質を溜め易いことも分かっています。チェルノブイリ後の研究で、除染方法も分かっていますが(下のスライドショー)、高濃度に汚染されたものは、除染しても食べられません。充分に気をつけなければ内部被曝します。内部被曝は、外部被曝の700倍ともいわれています。毒キノコの同定同様、要注意です。
菌根性のキノコと腐性性のキノコに分けて解説しています。文章が長くて読みきれないときは、ポーズボタンをクリックしてください。
■長野県の栗→小布施町:不検出・下條村:不検出(いずれも検出下限値2.2Bq/kg以下)
■長野県のリンゴ→シナノスイート、シナノゴールド、秋映:全て不検出(いずれも検出下限値3.0Bq/kg以下)サンふじの出荷は11月中旬から
キノコの汚染と除染については、10月28日(日)に、インストラクターとして参加する「中尾山-茶臼山ハイキング」でもお話しします。講演では、茶臼山の歴史について語る予定です。
■さわやかな「秋の中尾山ハイキング」を楽しもう
【日時】10月28日(日)8:00-8:30受付 ★雨天中止
【集合場所】黒木学園グランド(旧共和小学校)駐車場は、係員の誘導に従ってください
【参加費】ひとり200円(ただし中学生以下は無料)当日お持ちください
【持ち物】昼食、飲み物、マイ箸、シート、雨具、杖(あると便利)
【コース】
●一本松コース(黒木学園-中尾山-茶臼山-植物園-恐竜公園-黒木学園)約8キロ インストラクターと歩く秋の里山。キノコも採れるかな。アルプス展望台も。(私は、こちらを担当します)
●山麓アップルコース(黒木学園-共和園共-光林寺-恐竜公園往復)約4キロ リンゴ畑の中をゆっくり歩こう
【交流会】正午から。お昼を食べながら(キノコ汁提供)、インストラクターの話を聞いたり、歌を歌おう
【問合せ・申し込み】あいの島会館
【TEL】 050-3583-0890