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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

怪しく美しい粘菌の世界(妻女山通信)

2009-07-13 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 信州の旧埴科郡は、日本の中でも最も雨量の少ない地域のひとつです。そんなわけで粘菌(変形菌)は、あまり見かけませんでした。ところが、今年の当地としては異常なほどの雨模様に、ついに今まで隠れていた粘菌が目を覚ましたというわけです。

 妻女山のわが家の森にある松食い虫の駆除のためにずっと前に切り倒されて積まれた赤松の丸太があるのですが、その切り株に粘菌が発生しました。昨秋にもっと深山でコマメホコリを見て以来です。早速撮影しました。といってもモデルは、大きさが数ミリの世界。あいにくの雨模様で、蜂やアブ、ヤブ蚊に刺されながらの苦難の撮影となりました。

 蜂は、その前の除草作業中に刺されたのですが、ムモンホソアシナガバチ。巣を作る位置が比較的低く、草刈りの際によく刺される蜂です。肩を刺されました。痛いのですが、すぐに毒抜きをして腫れずにすみました。アブやヤブ蚊は気にしてたら仕事になりません。

 三脚がないと手ぶれしますが、持ち合わせていなかったので、朽ち木で代用。とにかく固定できればいいのです。アルミシートと割り箸で作った小さなレフ板もなかったので、雨模様の暗い自然光のみでのマクロ撮影。結構厳しい条件でしたが、そこそこのカットが撮れました。

 一番上は、ツノホコリ。半透明の枝分かれした房状の子実体が美しい粘菌です。房の長さは3~4mm。まだ変形中でさらに長く成長します。二番目は、ツノホコリの変種エダナシツノホコリです。このような特定の形になった物を、子実体といい胞子を飛ばすわけです。これもまだ変形途中で、さらに長く成長するはずです。写真の長さは2mmもないでしょう。触るとつぶれてネチョーっとなります。

 三番目と四番目は、サンゴのようなピンク色が美しいクダホコリの未熟。三番目で幅が6mmほど。四番目の上のもので3~4mm。私のフォトギャラリー、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】の変形菌(粘菌)のページには、粘菌を食べる小さな甲虫や、テントウ虫の幼虫の写真がありますが、変形体の未熟なものは、小動物の餌にもなります。こんな動物でも植物でもない生物は不要では、と思うかもしれませんが、微生物を食べる森の掃除屋さんの一面もあるのです。

 70年代のアメリカのある街では、粘菌が町の至る所で大発生しました。得体の知れないネバネバした生物で、しかもゆっくりとだが成長し、動いていると大騒ぎになったそうです。宇宙からの新略説まで出たが、研究者によって粘菌と判明して一件落着となったとか。

 ちなみに2008年のノーベル賞のパロディ、イグ・ノーベル賞は、中垣俊之・北大准教授らの「迷路を解く粘菌」でした。授賞式は、大爆笑の連続だったとか。

■変形菌(粘菌)とは、アメーバのように餌を求め動き回り、キノコのように子実体になり胞子で子孫を残す単細胞生物である。ネバネバしているので粘菌とも呼ばれる。湿気の多いところにある朽ちた倒木や落ち葉が住みか。世界に分布する。バクテリアやカビを食べる。南方熊楠が研究したことで知られる。詳細は「南方熊楠記念館」のサイトで。また、変形菌については、「国立科学博物館・変形菌の世界」のサイトで。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。キノコ、夏の花、昆虫、樹木、蝶などを更新しました。トレッキング・フォトルポにない写真も掲載してあります。

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