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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

姥捨山スライドショー。(妻女山里山通信)

2011-10-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 冠着山(1252.2m)は、全国的には別名の姥捨山の方が有名かもしれません。姥捨山という呼称は、主に西側の麻績方面の人が使いますが、北東側の川中島の人にとってとても馴染み のある山です。それは、冠着山に雲がかかると天気が崩れるといわれているからです。冠着山には登山道がいくつかあるのですが、最近は車で山頂直下の鳥居原か坊城平まで行って30~40分で登るのが一般的になってしまいました。

 ところが昔は、色々な尾根の先端や谷から山頂へのルートがありました。北側の冠着神社一の鳥居から久露滝経由で登る冠着神社コースは、山頂の冠着神社への表参道なのですが、登るのは里山マニアぐらいでしょうか。このコースは、大雨で道が崩壊することがままあるので、現状を問い合わせてからがいいでしょう。また、現在も遠足で使われている冠着駅からのコースがありますが、古峠からの長い林道歩きがあります。昔は途中から右に折れて鳥居平へ出る山道もあったようですが、現在の状況は不明です。

 そして、昔は私も高校の遠足で下った事があるのですが、あまりにも長いため、いつしか廃道になってしまったのが、この鳴海新道なのです。地元の古老から昔は登山道があったと聞いた坂城在住の鳴海さんが、なんと20回以上も通い詰めて灌木を切り払い、苦労の末に昔のルートを開通させたのです。これは、お誘いを受けてトレッキングしたときの記録です。

 コースは、麓の佐良志奈神社から八王子山にとりつき、ひたすら長く急な尾根を登るという、なかなかハードなもので、3時間前後かかります。車を鳥居原か坊城平にデポしておくといいかもしれません。ひたすら尾根の稜線を登るので迷う事もなく、また景色は尾根が東西に延びるため、東南北のパノラマが楽しめます。中間点には正城城跡もあります。また鳴海さんが作った展望台が4箇所あり、北アルプス、戸隠連峰、蓼科山などのパノラマが堪能できます。

 余裕があったら山頂直下の「ぼこだき岩」に寄るといいでしょう。母親がぼこ(赤ん坊)を抱いているように見えることからの命名ですが、松代地震で上半分とぼこが落ちてしまいました。昔は、この「ぼこだき岩」の左手から鎖場を経て山頂に向かうルートがあり、母は女学校の遠足で下りたそうですが(あまりに恐かったので今でも覚えているとか)、今は廃道になっています。ぼこだき岩は、フリークライミングの名所でもあります。

 山頂は、北信五岳から、眼下に姨捨の長楽寺と姨捨SAと田毎の月で有名な棚田、目を上げると北アルプスの白馬三山、仁科三山のパノラマが広がり、南には蓼科や美ヶ原のパノラマが堪能できます。運が良ければ富士山も見えるかもしれません。このルポは5月ですが、錦秋の最中を登るのも気持ちがいいと思います。

 現在は冠着山=姥捨山となっていますが、江戸時代には別の山として描かれているものもあります。スライドショーの最後に載せましたが、『信濃奇勝録』では、姥捨山は、長楽寺の後ろにある三峯山(1131.3m)、あるいは一本松峠近くの1080m辺りが姥捨山となっています。

 この棄老伝説というのは、日本全国にあるのですが、地名として残っているのはここだけだそうです。棄老伝説は、インドを起源とする仏教説話らしいのですが、古代日本においては平均寿命も短く、高齢者はほとんどいなかったということ。老人は働き手だったということ。飢饉などの際に口減らしのために犠牲になったのは赤ん坊であることなどから、実際はただの伝説であったろうといわれています。

 むしろ現在では、強欲な極一部の老人達のために、福島や東京圏の子供達が高い放射線量の中で暮らす事を余儀なくされていることの方が遥かに大問題といえます。もう何度も書いていますが、生物学的に見ると少子化というのは、民族の緩慢なる自殺(滅亡への道)といえるわけです。この原発事故の影響で少子化にはますます拍車がかかることでしょう。色々な試算がありますが、50年度には、日本の人口は半分以下になると推測されるということです。

 江戸時代では、藩が口減らしのための間引きをさせないために(働き手が減ると年貢が取れない)、妊婦の数を報告させ、金銭的な補助もしたという記録が残っています。今年二度登った生坂村の京ヶ倉の麓の神社には、中信随一という大きな男根と女陰の陰陽二石がありました。村にとって人口が減って行くということは、村の滅亡を意味するため、「子宝」というように、非常に大切にしたのでしょう。ところが現在の日本は、「お子様」などといって子供を金蔓ぐらいにしか思っていないようです。民族滅亡への道をまっしぐらというところでしょうか。

 さて、日本では放射能汚染の話題が最大のニュースですが、世界では資本主義経済、あるいは自由主義経済の破綻が間近と大騒ぎです。新自由主義のグローバリズムによって世界中で格差が広がっているわけです。TPP(農業だけではなく全ての産業が入ります)にしても、米とて一枚岩ではなく、中小企業は反対しています。新自由主義を標榜しているのは、極一部の資本家や銀行家、投資家のみです。日本でも参加を焦っているのは、そうした連中のみ。決して市井の人々の総意を占めるものではありません。しかし、原発マフィアのやり方を見ても分かる様に、無関心でいるといいように利用されて捨てられてしまいますからご用心めされよ。

【信州の里山】冠着山(姥捨山)鳴海新道 Mt.Kamuriki at Togura in Nagano


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