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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

二人で178歳の絶品鯛焼き:信州名物(妻女山里山通信)

2009-12-14 | 男の料理・グルメ
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 最近流行りのファストフードチェーンの鯛焼き屋でしたら、間違いなく不良品ではねられる品物。買いに来る人は、それを承知で来るわけです。森将軍塚古墳とあんずの里、姥捨山と棚田で有名な千曲市の屋代駅前通りにある小さな鯛焼き店「知野じまん焼き」。働いているのは二人合わせて178歳のおじいさんとおばあさん。

 鯛焼きはご覧の通り、あんこははみだしている、焦げている、つぶれている、ばりは取ってないと見てくれは最悪。それでもお客は絶えないんです。近所のおじさんおばさんから、OL、女子高生から幼児まで。テレビになんぞ出てしまったものですから、遠くからわざわざ買いに来るお客さんもいます。

 旨いんです。あんこが旨い。皮が旨い。焦げたところが旨い。ばりが旨い。素朴で昔懐かしい昭和の味です。昔から焼き方はそうきれいではなかったけれども、お年を召してさらに汚くなりました。それでも旨い。旨いんだから仕方がない。タピオカ入りだの、チーズ入りだの面白いことはなにもしていません。だけど旨い。だから旨い。小豆は粒が小さいのでわが家も作ってネット販売もしている希少な少納言でしょう。一般的な大納言にはない優しい繊細な味。皮は懐かしい重曹の香りがします。

 ではちょっくら寄ってお土産に20個も買おうなんて思ったら大変です。いつ焼き上がるか分かりません。なにせ御高齢ですから、動作はナマケモノ(失礼!ご本人達は至極働き者です)並ですから、無理させちゃあいけません。気長に待ってください。予約しても時間通りには焼き上がりません。いいんです。旨いんですから。それが嫌なら買わないことです。

 最近、銅鑼焼きでマーガリンを挟んだものが流行っていますが、あれはいけません。風味のない中国産の安いあんこと低品質の小麦粉を誤魔化すための苦肉の策です。鯛焼きは尻尾まであんこが入っていないといけない? ここのはあんこの入り方がひとつずつ全部違います。いいのです旨いんですから。昔はぶーちゃん焼きというのがありましたが、なんでも焼き型が割れてしまったとか。いいんです、豚でも鯛でも。鯛焼きなのに鯛に見えないんです。でもいいんです。旨いんですから。

 お二人とも鯛焼きを焼くと同時にご自分の顔も焼いてしまうんではないかしらと心配になるほど腰が曲がってこられていますが、老人力でこれからも絶品鯛焼きを焼き続けていただきたいものです。追記:おやきもあります。
★残念ながら閉店しました。長い間本当にありがとうございました。
コメント (3)
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