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出兵中止

2005-12-27 16:51:10 | 十八史略を読む Ⅱ
十八史略を読むⅡ-135 出兵中止

「十八史略Ⅱ 権力の構図:徳間書店、市川宏、竹内良雄訳、1986年12月七刷」から

元康二年、匈奴の力が弱まったという報告があり、宣帝はこの機をとらえ、匈奴を攻撃し手、西域諸国の安定を確保しようとした。これに対し、丞相の魏相(ぎしょう)が反対意見を述べた。

「軍事の発動にはいろいろなケースがあります。混乱をおしとどめ、乱暴狼藉を退治するのが“義兵”、敵が攻めてきて、やむを得ず出兵する場合が“応兵”、些細なことを争い、怒りを抑えきれずに出兵するのは“忿(ふん)兵”、他国の土地、財宝欲しさに出兵するのが“貧(どん)兵”、自国の強大さをいいことに威力を敵に示すのが“驕兵”です」

「“義兵”のように正義がある場合は、天下に王たることができます。相手に応じて起こした“応兵”の戦は勝利をおさめます。感情にまかせて出兵する“忿兵”のケースでは必ず負けます。欲のため出兵する“貧兵”のケースでは敗れ去ります。驕り高ぶって出兵する“驕兵”の場合は国が滅亡します」

「現在、匈奴はわが国境を侵したわけではありません。しかるに兵を起こして匈奴の地に攻め入ろうとする・・・私は愚かにして、この出兵をなんと名付けて良いか分かりません。それよりも国内に目を転ずべきではないでしょうか。統計に拠れば、親殺し、夫殺しが実に222件の多数に昇っているまさに異常事態に直面しております。陛下の側近はこの点に全く留意せず、はるか遠方の匈奴に向けてほんの些細な怒りを晴らそうとしているのです」

宣帝は魏相の意見を入れ、出兵を中止した。

*戦記物を読むときに軍事の五つの発動すなわち義兵、応兵、忿兵、貧兵、驕兵のどれに相当するか考えながら読むと面白いでしょうね。



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