十八史略を読むⅡ-55 楚漢の戦い-項羽と劉邦-27 二重命令
「十八史略Ⅱ 権力の構図:徳間書店、市川宏、竹内良雄訳、1986年12月七刷」から
先に漢王は、韓信に斉攻撃を命じたが、その後、食客の“れき食其”が弁活をもって斉を倒すと申し出た。漢王が“れき食其”も派遣したことから、事態は紛糾する。
“れき食其”は斉におもむき、斉王を説得して、漢陣営に着かせた。
これを知って、韓信の食客の一人が韓信に進言した。
「将軍が漢王の命を受けて、いざこれから斉を討とうとなされているとき、漢王は何の相談もなしに密使を派遣し、斉を降伏させてしまいました。そうならそうで、攻撃中止の沙汰があってしかるべきではありませんか。あの“れき食其”という男はちょっと挨拶して舌先三寸をふるい、斉の70余城を降伏させました。きのうや今日将軍となったあなたではありますまい。たった一人のへっぽこ学者に、先を越されて良いものでしょうか」
斉王の4年に、韓信は、斉を不意打ちした。一杯食わされたかと怒って、斉王は“れき食其”を釜ゆでに処し、逃亡した。
「十八史略Ⅱ 権力の構図:徳間書店、市川宏、竹内良雄訳、1986年12月七刷」から
先に漢王は、韓信に斉攻撃を命じたが、その後、食客の“れき食其”が弁活をもって斉を倒すと申し出た。漢王が“れき食其”も派遣したことから、事態は紛糾する。
“れき食其”は斉におもむき、斉王を説得して、漢陣営に着かせた。
これを知って、韓信の食客の一人が韓信に進言した。
「将軍が漢王の命を受けて、いざこれから斉を討とうとなされているとき、漢王は何の相談もなしに密使を派遣し、斉を降伏させてしまいました。そうならそうで、攻撃中止の沙汰があってしかるべきではありませんか。あの“れき食其”という男はちょっと挨拶して舌先三寸をふるい、斉の70余城を降伏させました。きのうや今日将軍となったあなたではありますまい。たった一人のへっぽこ学者に、先を越されて良いものでしょうか」
斉王の4年に、韓信は、斉を不意打ちした。一杯食わされたかと怒って、斉王は“れき食其”を釜ゆでに処し、逃亡した。