全国の公的病院の74%が経常損失をかかえ、廃止や休止も検討されています。赤字
の原因は98年以降の診療報酬の引下げ、患者の医療費負担増と受診抑制、地方交付
税の減額を背景とした自治体からの他会計繰り入れの減額、そして医師不足や医療政
策の失敗など考えられます。
金沢大学の武田先生を講師に、地方財政の勉強と分析を月一回やっています。今回、
私は出身の珠洲市総合病院の財布を分析してみました。珠洲市は市政当初(1954年)
約38000人の人口も、過疎に歯止めがかからず、現在は約半数で、県内の内灘、津幡町
より小さく、かつ3人に1人が65歳以上の構造しかも、将来在宅での介護力がない高齢
者のみの世帯が増加すると予想されています。
慢性的赤字が続く珠洲市病院(一般160床、療養型32床、結核7床)では経営改善に
むけ、市民からの意見もよせ、2009年に「改革プラン」をまとまました。この中で、
「地域で必要な医療のうち、採算性などの面から民間医療機関による提供が困難な医療
を提供すること」とその役割を明記し、困難な地域での地域医療の確保の重要性を述
べています。
①一人当たりの外来と入院収益は近隣の輪島病院や全国類似病院より高い
②医業収益の中心は単価の高い入院より、外来収入に依存する特徴(他病院と違う
しかし、肝心の外来患者数が、年々低下傾向にある
③病床利用率が低下の傾向にあり、これが収益悪化の要因となっており、この改善が
急務である。
④同時に、支出面で薬剤費の比重が他病院に比べ高く(院内処方)、収益悪化の要因の
一つともいえるので、この検討も必要と感じる
⑤しかし医師や看護部門での収益も他の病院より多く、厳しい環境の中で、奮闘して
いる姿がみえるなどなど、見えました。きちんとしたグラフで紹介できないのが残念です。
5月選挙遊説のとき、病院事務長とお話しする機会もありました。当然病床利用率を高
める重要性は百も承知でした。でも新人医師が循環で赴任しても、患者にとって「おら
が先生にならず、入院までにいかない」とこぼしておられました。やはり、安定した
医師の配置がカギなんだと痛感しました。
財政研究会では、近く先生の助言をえて、県内自治体の「財布状況」をまとめる予定です。