最近珍しく読書がはかどります。
良きことなり。
しかし、気がついたら森見登美彦「新釈走れメロス他四篇」が2冊あったぞよ。。。健忘症。まぁいい、よくあることだ。いい作品は何度買ってもいい!
本題。
万城目学待望の新作、「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」を読みましてん。1時間で読了です。
最近読んだ中ではいちばんだったので語ることにしました。
万城目作品は「鴨川ホルモー」から入り、あまりのおもしろさに一気に虜となり、続編短編集の「ホルモー六景」、更に「鹿男あをによし」と読み進める頃には「一生ついて行く!」とまで思ったものです。
しかし、続く「プリンセス・トヨトミ」がワタクシとしてはイマイチ万城目ワールドにどっぷり…と行かなかったんですよ。過去3作品は読み始めたらもう、万城目ワールドに没頭してしまい、それぞれの登場人物たちと一緒に、ホルモーという競技や鬼の存在や、鹿がしゃべるということを「不思議なことだが現実である」と受け入れてしまったわけです。そこが好きだったわけです。妙なリアリティーがあるというか、力ずくで「そういうもんだ」と納得させられるというか。どんなに荒唐無稽なことでもありうると思わせる、そんなパワーを持っている作品だったんです。でも、「プリンセス・トヨトミ」ではその感覚を味わえなかった…まぁ、今思うとスペイン旅行中にとぎれとぎれで読んでいたのが良くなかったのかもしれないけど…でも、やっぱり面白いんだけど、「でも、ファンタジーだな」って冷静に見てしまうような感じでした。
矛盾するようだけど、優れたファンタジーって、読んでいるときは虚構性を意識しない気がする。
そういう点で、今回の「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」は素晴らしかった。
マドレーヌ夫人は猫なのですが、彼女が人間の言葉を解すのはもちろん、犬と会話したり、○○になったり(ネタバレ防止)という「ありえない」ことが、読んでいる間はちゃんと「現実」になっていました。
さらに。
「かのこちゃん」は小学1年生の女の子なのですが、よくぞ小学1年特有のおバカパワーをここまで書ききってくれた!と思うと同時に、なんだかノスタルジーに浸ってハチミツ風味の梅干し喰った気持ちになりました。
なんで小学1年生って、あんなにおバカさんなんでしょう。
身に覚えがないですか?「今日は横断歩道の白いとこだけ渡る」と訳の分からん自分ルールで行動したりとか、うちの甥っ子王子(小2)のように、「う○こ」と耳元で囁くだけで果てしなく笑えたりとか…。
身に覚えがある人なら、きっとかのこちゃんや親友のすずちゃんに共感し、ノスタルジーで息苦しくなりながら、楽しく読みすすめ、最後はかのこちゃんの心の成長に喝采を送りたくなるでしょう。そしてどうしても纏めると陳腐な言葉になりますが、出会いと別れってドラマだよね。
というわけで、お求めやすい筑摩プリマー新書から出ていることですし、ハゲシクおすすめの1冊です。天才ですね、万城目氏。