読売新聞・・・・・・税収や人口を増やす効果は大きいが、ものづくりの育成につながっていない――。福井県立大地域経済研究所(北條蓮英所長)は、原子力発電所の地域経済への影響についての研究成果を発表した。営業運転中の原発が国内最多の13基立地することが、財政の健全化などに貢献した反面、その効果を生かし切れていない現状も浮き彫りになった。
原発の立地に伴う税収には、核燃料に課税する県の「核燃料税」や、敷地や設備を対象とした市町村の固定資産税などがある。同研究所によると、2007年度の原発による税収増加額は、敦賀市で税収全体の28・7%にあたる約44億円。美浜町は52・6%の約13億5000万円、高浜町は58・3%の約19億1000万円、おおい町は78・5%の約33億8000万円に達した。
原発ができる前の1965年(おおい町は70年)を100とした場合の人口推移(国勢調査)は、敦賀市はほぼ右肩上がりで増加。90~05年は県全体が110程度なのに対して、125前後で推移した。高浜、おおい町は95年から減少に転じたが、県内の町村合計を上回る水準を維持している。
一方、07年の製造業の付加価値額は、ものづくりが盛んな越前・鯖江地区が住民1人あたり143万円。原発が集中する敦賀・小浜地区は49万3000円にとどまった。
同研究所の井上武史講師は「原発立地が受ける恩恵は大きいが、機材などは地元への発注が少なく、製造業育成の効果があまりなかったことがわかった」としている。
研究は敦賀市の若狭湾エネルギー研究センターの委託で、09~12年度の4年間の予定で進めている。(2010年5月11日 読売新聞)・・・・・・・・・
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「07年の製造業の付加価値額は、ものづくりが盛んな越前・鯖江地区が住民1人あたり143万円。原発が集中する敦賀・小浜地区は49万3000円にとどまった。」・・・・・西川県政が原発での産業育成をかかげているが、こういう状況だ。
振り返れば、この研究も目新しいものではない。これまでも日本共産党はこういう点を指摘してきたし、元敦賀市会議員の上野寿雄さんは「原発がきたため、製造業が育たなかった。原発のない武生や鯖江などの都市の方が一生懸命産業育成に取り組んで、製造業出荷額でもはるかに高い」と、お元気な頃はよく演説されていた。
以前、新潟県巻町の原発建設住民投票の応援にごいっしょしたが、住民の方に推進側の「地域が発展する」宣伝の欺瞞を知っていただくうえで大きな役割を果たされた。
原発誘致の時代を知る政治家として、原発頼みの市政に警鐘を鳴らし続けている。
西川知事は、原発にかこつけて福井大学や福井工大、県立大学などをまきこんでエネルギー拠点化計画を推進しているが、工学部がある大学はまだしも、なんら原発技術と関連学問がない県立大学にいろいろな「指示」を出しても、研究者のみなさんも迷惑しているのではないか。
いま、検討しなければならないことは、うまくいかない公算が大きい「もんじゅ」が停止した場合の、後のダメージをいかに小さくおさえるか、ではないか。さまざまなシュミレーションを県庁内部ではおこなっていく必要がある。
いづれにしても学問を便宜的に利用する県政は改めた方がよい。
原発の立地に伴う税収には、核燃料に課税する県の「核燃料税」や、敷地や設備を対象とした市町村の固定資産税などがある。同研究所によると、2007年度の原発による税収増加額は、敦賀市で税収全体の28・7%にあたる約44億円。美浜町は52・6%の約13億5000万円、高浜町は58・3%の約19億1000万円、おおい町は78・5%の約33億8000万円に達した。
原発ができる前の1965年(おおい町は70年)を100とした場合の人口推移(国勢調査)は、敦賀市はほぼ右肩上がりで増加。90~05年は県全体が110程度なのに対して、125前後で推移した。高浜、おおい町は95年から減少に転じたが、県内の町村合計を上回る水準を維持している。
一方、07年の製造業の付加価値額は、ものづくりが盛んな越前・鯖江地区が住民1人あたり143万円。原発が集中する敦賀・小浜地区は49万3000円にとどまった。
同研究所の井上武史講師は「原発立地が受ける恩恵は大きいが、機材などは地元への発注が少なく、製造業育成の効果があまりなかったことがわかった」としている。
研究は敦賀市の若狭湾エネルギー研究センターの委託で、09~12年度の4年間の予定で進めている。(2010年5月11日 読売新聞)・・・・・・・・・
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「07年の製造業の付加価値額は、ものづくりが盛んな越前・鯖江地区が住民1人あたり143万円。原発が集中する敦賀・小浜地区は49万3000円にとどまった。」・・・・・西川県政が原発での産業育成をかかげているが、こういう状況だ。
振り返れば、この研究も目新しいものではない。これまでも日本共産党はこういう点を指摘してきたし、元敦賀市会議員の上野寿雄さんは「原発がきたため、製造業が育たなかった。原発のない武生や鯖江などの都市の方が一生懸命産業育成に取り組んで、製造業出荷額でもはるかに高い」と、お元気な頃はよく演説されていた。
以前、新潟県巻町の原発建設住民投票の応援にごいっしょしたが、住民の方に推進側の「地域が発展する」宣伝の欺瞞を知っていただくうえで大きな役割を果たされた。
原発誘致の時代を知る政治家として、原発頼みの市政に警鐘を鳴らし続けている。
西川知事は、原発にかこつけて福井大学や福井工大、県立大学などをまきこんでエネルギー拠点化計画を推進しているが、工学部がある大学はまだしも、なんら原発技術と関連学問がない県立大学にいろいろな「指示」を出しても、研究者のみなさんも迷惑しているのではないか。
いま、検討しなければならないことは、うまくいかない公算が大きい「もんじゅ」が停止した場合の、後のダメージをいかに小さくおさえるか、ではないか。さまざまなシュミレーションを県庁内部ではおこなっていく必要がある。
いづれにしても学問を便宜的に利用する県政は改めた方がよい。