サハラ（その２）

　２度目の鑑賞には、翌日、甥っ子と行った。
　わたしは、昔、観た「ナイルの宝石」や「ロマンシング・ストーン」が大好きで、

「ああ、あんな作品を新作で観てみたいなぁ」と常日頃から思っていた。
　その点で「サハラ」は、まさにわたしの待ち望んだ作品だったと思う。しかし、わたしの思いとは裏腹に、世間一般の評価はそれほどでもなく、そんなに盛り上がることなく、いつの間にか公開が終了していた。
　その時に公開を控えていたのが、スターウォーズや宇宙戦争という超弩級の大作ばかりであったというのが、不運だったとも言える。

　「サハラ」の原作者「クライブ・カッスラー」は、米国では超有名人気作家であって、しかも、当年７２歳になる彼は、彼の創造したヒーロー「ダーク・ピット」と同じく、海底沈んだ財宝の探査や引き上げ作業に取り組んでいるというのだから驚きだ。
　こういう冒険活劇作品では、ヒーローとヒロインがどれほど魅力的かと言う点がほかのジャンルの作品よりも大きな比重を占めると思うのだが、「サハラ」の主人公である「ダーク・ピット」は、「マシュー・マコノヒー」が熱演していて、これがなかなか良いのだ。

  わたしが彼を初めて観たのは、「１０日間で男を上手にフル方法」である。

  この作品では、マシューは「モテる男」になり切れない、ちょっと３枚目的な役を演じている。これはこれで悪くはないのだが、そんなにしっくりとはいっていないように思えるのだ。
　その後、「サラマンダー」でも彼の演技を観たが、

彼はこのようなアクション系の配役の方がしっくりとするような気がするのだ。
　勿論、今回の作品「サハラ」が一番インパクトがあると感じたのは言うまでもない。
　ヒロインの「エヴァ・ロハス」を演じるのは、「ペネロペ・クルス」だ。

　わたしは、彼女の出演している作品は残念ながら「ゴシカ」しか観たことがない。

　 「ゴシカ」では、彼女は冒頭にしか出てこない「クロエ」という精神を病んだ女性を演じている。
　今回の「サハラ」とは正反対の役だ。
　しかし、彼女の迫真の演技により、観客をこの異様な雰囲気の中に引き込むのに成功している。
　彼女は演技派なのだ。
　「サハラ」では、ＷＨＯの美しきエリート研究員「エヴァ」を演じている。
　凶悪な疫病から人類を守るために、全てを犠牲にして、真実を追い求める。「エヴァ」は、非常に強い意志を持った正義感溢れる女性なのだ。
　サハラの地下に密かに不法投棄された放射能汚染物質が、海流に乗って大西洋や太平洋に流れ出れば、人類は滅亡するかもしれない。
　つまり「サハラ」のテーマのひとつは、環境汚染への警鐘ということなのだ。その世界的危機を救うために、か弱い乙女である彼女が立ち上がる。
　かっこいいっ。
　例えば、電車待ちの列の順番を飛ばしたと言って、目くじらをたてる類のどうでも良いような正義感ではない。一般に、女は融通が利かないなどと、世の男性に有難くない評価を受けがちであるが、ここまで大きなスケールになると、そんな中傷は受けずに済む。

　ところで、彼。

　ピットの相棒「アル・ジョルディーノ」を演じるのは「スティーヴ・ザーン」である。
　彼、誰かに似てる・・・、ああ、そうだ、毎朝、テレビで通勤途上のサラリーマンやＯＬを捕まえては、英語で話させて、笑いをとってた・・・えーと、うえーん、思い出さないよう。ここまで、出てるのに、思い出さない。
　（追記）セント・カミュでした。似てませんか？ もっとも、彼の方が「スティーヴ・ザーン」に似てるんだろうけれどね。
　彼の助演は、本当に光っている。
　マシューの「ピット」には、スティーヴの「アル」が必要なのだ。この２人がコンビになってこそ、このシリーズものは、完成する。・・・ｍｉｎａは、この作品がシリーズ化すると、勝手に思い込んでいる。
　敵役で言えば、謎のフランス人実業家「イヴ・マサード」を「ランベール・ウィルソン」が好演している。彼って、つるっとしたフェイスで、ｍｉｎａのタイプなんだ。エリートなんだけれど、なんとなく頼りなげで、追い詰められるとすぐに弱さを露呈してしまう。マトリックスでもそのような配役だった。

　今回も、最後にＣＩＡエージェントの「カール」に汚染した「ミネラル」を飲まされてしまう。情けないよね。でも、そこがいいんだ。

　とても楽しめたので、ハートは３つ。
　観ていない方は、ＤＶＤの発売を待ちましょう。

　ところで「サラマンダー」っていう作品、バットマンの彼が主演なんです。

　結構、おもしろいので興味のある方は、観てください。 


 

 

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